[過去ログ] 【PSPでも】高木順一朗part3【ティンときた!】 (1001レス)
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538: SS再掲/美希・1 2009/06/07(日)22:20 ID:LTbFyX3m0(12/15) AAS
765プロダクションの社長の高木だ。皆、息災かね?
紆余曲折はあったものの、我が社の新プロジェクトは順調な滑り出しを見せていて、アイドル候補生の
諸君も次々とデビューを果たしつつある。
これは、新たにスカウトしたプロデューサーたちの実力によるところが大であることは言うまでもない。
が、彼らを見出した私の目に狂いは無かったということでもあるかな。うむ。
しかし、会社の経営が軌道に乗ってくると、私にも少しずつ暇が増えてきた。無論、決裁せねばならない
事柄は少なくない。だが、日常的な事務処理は音無君と律子君に任せていれば問題ないし、アイドルの
プロデュースについては各担当プロデューサーに一任しているので、私は流行情報について注意を促す
くらいしかやることがない。
そういうわけだから、せめて世情には敏感でなければならんと思い、空いた時間はなるべく街に出る
ようにしている。テレビや新聞、インターネットといった情報媒体に頼ることなく、自らの感覚で
捉まえたものを大切にする。そうして研ぎ澄ませた勘が、いざというときに役に立つことも少なくない。
え? 何だって?
音無君や律子君に小言を言われるのがイヤなんじゃないのか、だと?
バカを言っちゃあいかんよ。
この高木順一朗、事務員の小言のひとつやふたつで怯むような男ではない!
……オホン!
すまんな。つい熱くなって、我を忘れるところだった。
君らにこんなことを言っても仕方がないというのにな。
実は、私が会社を抜け出して、昼間から繁華街にいるのには訳がある。
この近辺に、モデル顔負けの美少女が現れるらしいのだよ。
ライバルの芸能プロダクションの複数のスカウトが彼女に声を掛けたそうなのだが、全て素気なく
断られてしまったというんだ。
そういう話を聞くと、一体どんな子なのか気になるのが人情というもの。
つまり、そういう理由で何度となくこの界隈に足を運んでいるのだが、噂に聞いたような少女を見かける
ことはなく、私は幾ばくかの徒労感を覚えつつあった。もしかしたら、ライバル会社のホラ――とは言わない
までも、ちょっとした話を針小棒大に誇張しただけのことだったのかもしれないとすら思い始めていた。
ふと空腹を感じて時計を見ると、時計の針は午後三時すぎを指していた。
なるほど、腹が減るのも無理はない。
私は手っ取り早く近くのコンビニに入り、おにぎりとペットボトル入りのお茶を買い求めることにした。
レストランなり食堂なりを探せばいいのに、と思うかもしれない。
だが、午後五時からプロデューサーたちとの会議が予定されていて、そろそろ事務所へ戻らなければ
ならない刻限が迫りつつあった。そういうときに、目の前にコンビニがあれば、つい入ってしまう。
いやはや便利な時代になったものだ。
私は、購入したおにぎりとお茶を持って、近くの公園に向かった。もう何度も訪れているから、このあたりの
地理はすっかり頭に入っている。
賑やかな表通りから細い横道に入ると、目指す公園がある。さほど大きくはないものの、それゆえに
訪れる人も少なく、静かな公園だ。
ベンチに腰を下ろすと、私はさっそくおにぎりの包装を解いて中身にかぶりついた。
もぐもぐと咀嚼しながら、この姿を見て私を芸能プロダクションの社長だと思う者はおらんだろうな
という思いが頭をよぎる。途端に自己嫌悪にも似た感情が込み上げてくるが、これをぐっと抑え込んで、
手にしたおにぎりを口元へ運ぶ。
と、その時だった。
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