[過去ログ] 【テレ朝】林美沙希part14【Jチャンあいつ今麻雀LOVE】 [無断転載禁止] [無断転載禁止]©2ch.net (1002レス)
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122: 2018/12/28(金)19:43 ID:TlIA0XSo(4/4) AAS
AA省
123: 2019/01/03(木)09:00 ID:BCC0C/ko(1/12) AAS
辰男は極つた時刻に學校から歸つて、テーブルの位置も書物の配置も亂されてゐないのに安心した。
衣服を着替へて椅子に腰を掛けると、昨夕ヴアヰオリンの音を戀しがつたことを思ひ出して、壁の方へ目を向けたが、
感興は何時の間にか消えてゐて、そんな物を手に執るのさへ懶かつた。矢張り英語修業に心が惹かれた。
夕日は障子の破れ目から、英文典の上に細い黄ろい光線を投げてゐる。
下女はランプに油を注いで、部屋々々へ持ち廻つてゐる。
十日には味い魚を買ひ溜めて待ち設けてゐたのに、榮一は歸つて來なかつた。
「もう四五日遊んで歸る。」と、大阪の市街を寫した繪端書を寄越した。
誰れよりも勝代が一番長兄の歸省を待ちかねて、母親に向つて頻りに噂をしてゐた。
「榮さんが春まで家に居つて呉れると、勝も東京へ隨いて行けるのぢやけれどな。戻つたと思ふと、直ぐにまた行つてしまふんでせう。
東京で暮すよりや田舍に住んで居る方が仕合せだと、よく手紙に書いて來るけれど、自分だつて一月とも田舍にはぢつとして居られんのだもの。
省11
124: 2019/01/03(木)09:02 ID:BCC0C/ko(2/12) AAS
「お前の友達は皆んなペンで手紙を書くんかい。」と、四角な桃色の封筒を手に取つた。
「昔風の候づくめの手紙なら卷紙に筆で書くのがよう似合ふとるけど、言文一致にや西洋紙にペンを使ふた方がえゝ。
第一一枚の紙にも仰山に字が書けて、お父さんの口癖の經濟的にもなるんぢやもの。」勝代は皮肉をまぜて答へた。
「まだ友達同士英語で手紙のやり取りは出來んのかい。」才次は差出人の名前を見て封筒を下へ置いて、
「この女も東京言葉を勉強しに、高い資本を費うて東京の學校へ入つとるのかい。」
「そないな惡口は勝等には何ともないがな。此方に居る者でも、手紙にはお互ひに東京言葉を使うとるんぢやもの。」
「……東京の女子も變梃な言葉を使ふぜ。一寸道を訊いても、ぺら/\と云うて何やら譯が分らん。」
「東京の人は一體に口が早いんぢやらうか。」勝代はふと眞面目に尋ねた。そして、卑しい田舍訛を朋輩に哂はれはしないかと氣遣つた。
「口が早いばかりぢやない、何か知らん忙しさうでゴタゴタした所ぢや。若い間はあんな町で好きなことをして暮すのもよからうが、
歳を取つたら居れる所ぢやない。田地まで賣つて大阪や神戸へ行つた者が、よく見い。大抵は失敗つてヒヨコ/\戻つて來るぢやないか。
省6
125: 2019/01/03(木)09:04 ID:BCC0C/ko(3/12) AAS
才次は宗旨などどうでもいゝので、妹が友達の耶蘇信者が女學校で死んだ時の儀式の樣子を話すのを難癖をつけずに聞いてゐたが、
やがて、先つき云はうとしたことに話を戻して、
「家の者も東京なり神戸なり、出て行く以上は、その土地々々に一生落着くことにして、生活が六ヶ敷うなつて生家へ轉がり込まんやうにきつぱり極りをつけとかにやならんと思ふ。
都會住ひをした者に田舍を手頼りにせられちや、此方で質素な生活をしてる者は迷惑するし、第一割に合はん話ぢやから。
兄弟だからまさかな時にや世話になりやえゝといふ量見で居られちや共倒れぢや。」
「それは利己主義ぢやがな……。」
「どうせ皆んなが利己主義ぢやから、初めからさう極めとくに限るんぢや。辰男だけはこの村で別家さすにしても、此處とは少し離れて家を建てゝやるとえゝ。
直ぐ側に親類が並んでると、よけりやよし、惡けりや惡しで、嫉んだりけなしたりし合つて煩いものぢや。」
「昔は兄弟は近い所に居るのがえゝと云うて、高松の伯父さんなぞは直ぐ裏の地續きに、自分の家と間取りから柱の數まで同じい家を弟に建てゝやつたのぢやが、
今時はさうは行かんぢやらう。」と、母親は反對もしなかつた。
省5
126: 2019/01/03(木)09:06 ID:BCC0C/ko(4/12) AAS
「才さんに學資を出して貰やあせず……。」勝代は兄が動もすると、自分の樂しい理想を破らうとするのが口悔しくて、
かう言ひ放つて、顏を見られぬやうに炬燵の上に首伏した。才次は澁い顏して口を噤んだ。
「女子で月給取りになるのも、容易なことぢやあるまい。」と、母親は感じのない聲で獨り言のやうに云つた。
皆んなが暫らく默つてゐるところへ、辰男は階子段を軋ませて、のつそり下りて來て炬燵の空いた所へ足を入れた。
「辰さんはテーブルの下へ火鉢を置きなさいな。辰さん一人火の氣のない所に居つちや割に合はんぞな。」勝代は今氣がついたやうに云つた。
「ランプを點けつ放しにしといちや危ないぜ。」才次は二階から差して來る燈火を見上げて云つた。
勝代は腹がチク/\痛みかけると、懷爐だけでは心許なくて、熱湯を注ぎ込んだ大きな徳利を夜具の中へ入れて眠ることにしてゐたが、
ある夜、徳利の效き目がなくつて、眞夜中頃に暫らく忘れてゐた激しい痛みを感じ出した。
階下へ下りて母親や兄嫁を驚かすのは氣の毒であるし、それよりも自分の腸胃のまだ癒つてゐないことを家の者に知られて、東京行を引き止められるかも知れないのが恐しくて、
腹を壓へて唸きながら我慢してゐた。が、疼痛は容易に收まらなくつて、唸き聲は自然に高くなつた。
省5
127: 2019/01/03(木)09:09 ID:BCC0C/ko(5/12) AAS
AA省
128: 2019/01/03(木)09:12 ID:BCC0C/ko(6/12) AAS
勿體振つた兄の言葉を妹は可笑しく感じた。教へられた通りに、徳利の栓を拔いて口移しに湯を啜つた。
大息を吐いて、いくらか安らかな氣持になつて、「階下では皆んな眠とつたかな。勝は心細いから、も少し其處で起きとつてお呉れな。」
さう云はれると、辰男は自分の寢床へ退くことが出來なかつた。
「勝はこないに身體が弱うちや困るがな。外の兄弟は丈夫なのに勝一人だけは……。」「……運動せんからぢや。」
「この村にや厭らしい人間ばつかり居るから外へ出るのが恐しいもの。……辰さんは身體が強いからえゝなあ。家ぢやお姉さんが早う死んだし、
勝も長生きをせんやうに思はれるけれど、女子は婆さんになるまで生きて居らん方が結句仕合せなやうに思はれる。お姉さんは家で皆んなに介抱されて死んだのぢやけれど、
勝は他所の土地で一人で死ぬのぢや。」勝代は疼痛が和ぐのにつれてこんなことを云つて涙を浮べた。
辰男は幾度も嚔をした。寒さに堪へられなくなるし、妹の愚かな言ひ草に興も起らないので、言葉の切れ目にその側を離れて、自分の寢床へ入つた。
夜具の中へ首をすつ込めて足を縮めて、冷えた身體の暖まるので、いゝ氣持になつてゐたが、すると今見た手紙の内容がいろ/\に想像され出して、自
分に女房の出來るのが不思議でならなかつた。……學校の小さい生徒か母か妹かの外には、女と口を利いたこともなければ、染々女の顏を見たこともないので、思ひ出にも若い女の影ははつきり浮ばない。
省3
129: 2019/01/03(木)09:16 ID:BCC0C/ko(7/12) AAS
AA省
130: 2019/01/03(木)09:20 ID:BCC0C/ko(8/12) AAS
階下が賑つてゐるので、炬燵に當りに行くのを遠慮してゐたが、末の妹が息をせか/\吐きながら上つて來て、「榮さんのお土産。」と云つて、栗饅頭を二つ机の上に置いて行つた。辰男はインキに汚れた骨太い指で抓んで大口に食べた。
そして、冷たくなつてゐる手を内懷に入れて温めながら暫らく息休めをした。
妹と母とは、階下から夜具を運んで、次の室へ兄の寢床をのべた。と、間もなく榮一が上つて來たが、辰男の方を一寸振り返つたばかりで、次の室へ入つて襖を締めた。直ぐには寢ないで、手紙を書いたり雜誌を讀んだり、良吉が殘して行つた書物を手に取つたりしてゐた。
矢鱈に吸つてゐる煙草の煙は、襖の隙間から洩れ出て、辰男の顏のあたりにも漂つた。
階下が寢鎭まつてから暫らく立つて、榮一は部屋に漲つた煙を外へ出して、燈火も消して寢床に就いた。平生眠付きの惡いのが病ひなのに、堅い寢床が身體に馴染まなくてますます寢づらかつた。
「辰はまだ寢ないのか。燈火が邪魔になつていけないな。」
四年目で耳に觸れた兄の聲は、相變らず尖つてゐた。辰男はその聲を聞くと同時に、ペンを筆筒に收めてインキ壺に蓋をした。ランプをも吹き消した。
翌日は日曜なので、辰男は目が醒めても容易に起き上らないで、寢床の中で書物を讀んでゐた。お土産の栗饅頭を一つ母が枕許に置いて行つて呉れた。風もないし障子に差した朝日は春のやうに麗らかだつた。
榮一は早く起きて海岸を散歩して來たが、朝餐後に一時間ばかり讀書すると、また外へ出ようとして階子段の方へ行きかけたが、ふと振り返つて、「辰。……山へ登つて見んか。」と誘つた。そして、二三歩辰男の居間へ踏み込んで、テーブルの上に目を据ゑた。
辰男は立ち上りざま初めて兄の顏を熟視した。……四年前よりも父の顏に著しく似通つてゐた。兄が身體を屈めて、英作文を一二行見てゐる間に、辰男は帽子を被りトンビを着て直立してゐた。
131: 2019/01/03(木)09:21 ID:BCC0C/ko(9/12) AAS
一人はステツキを持ち草履を穿き、一人は日和下駄を穿いて、藪蔭を通り墓地を拔けて、小松の繁つてゐる後ろの山へ登つた。息休めもしないで一氣に登つたので、二人の額からは汗がぽた/\落ちた。頂上近い所にある小祠まで來て、その側の石に腰を卸した。
小祠は田舍の郵便箱のやうな形をしてゐる。扉は壞れて中には枯松葉が散つてゐるだけで、神體はなかつた。
其處からは曲りくねつた海を越し山を越して、四國の屋島や五劒山が幽かに見えるのだが、今日は光が煙つて海の向うは糢糊してゐた。
草履を穿いてゐる兄の方は却つて足が疲れ息切れがしてゐたが、冷々した山上の風に汗を乾かして爽やかな氣持になると、今までの沈默を破つて、弟に向つていろ/\の話を仕掛けた。彼方此方に見える島の名を訊いたり、近くの山の裾の村々の有樣を訊いたりしたが、
はつきりした答へは得られなかつた。辰男は全で他郷を見渡してゐるやうで方角も取れなかつた。萬國史で見た西洋の天子の冠のやうな形をした小さい島が入江から眞近い所にあるのに、今始めて氣がついた。入江に出入りして來る漁船は皆その側を通つてゐるのに、
彼れは嘗て其處までも行つたことがなかつた。「あれが鍋島だ。樹がよく茂つてるから、あの周圍にはよく魚が寄つてると云ふぢやないか。」と、却つて兄に教へられたが、さう聞けば島の名前は子供の時から聞き馴れてゐるのだつた。
「しかし鍋よりや王冠によく似てゐる。」と思つて、冠島といふ課題で英文を作らうと思ひついた。目の下の墓地も、海を渡つてゐる鳥の群も、辰男には皆英文の課題としてのみ目に觸れ心に映つた。飛んでゐる五六羽の鳥は鳶だか雁だか彼れの智識では識別けられなかつたが、
「ブラツクバード」と名づけただけで彼れは滿足した。「辰は英語を勉強してどうするつもりなのだ。目的があるのかい。」冬枯の山々を見渡してゐた榮一は、ふと弟を顧みて訊いた。
ブラツクバーヅの後を目送しながら、「飛ぶ」に相當する動詞を案じてゐた辰男は、どんよりした目を瞬きさせた。直ぐには返事が出來なかつた。「中學教師の檢定試驗でも受けるつもりなのか。……英語は面白いのかい。」と、兄は疊みかけて訊いた。
132: 2019/01/03(木)09:24 ID:BCC0C/ko(10/12) AAS
「面白うないこともない……。」辰男はやがて曖昧な返事をしたが、自分自身でも面白いとも面白くないとも感じたことはないのだつた。
「獨學で何年やつたつて檢定試驗なんか受けらりやしないぜ。外の學問とは違つて、語學は多少教師について稽古しなければ、役に立たないね。」
「…………。」辰男は默つて目を伏せた。「それよりやそれだけの熱心で小學教員の試驗課目を勉強して、早く正教員の資格を取つた方がいゝぢやないか。
三十近い年齡でそれつぱかりの月給ぢや仕方がないね。」「…………。」足許で椚の朽葉の風に飜つてゐるのが辰男の目についてゐた。いやに侘しい氣持になつた。
「今お前の書いた英文を一寸見たが、全で無茶苦茶で些とも意味が通つてゐないよ。あれぢやいろんな字を並べてるのに過ぎないね。三年も五年も一生懸命で頭を使つて、
あんなことをやつてるのは愚の極だよ。發音の方は尚更間違ひだらけだらう。獨案内の假名なんかを當てにしてゐちや駄目だぜ。」
「…………。」「娯樂にやるのなら何でもいゝ譯だが、それにしても、和歌とか發句とか田舍にゐてもやれて、下手なら下手なりに人に見せられるやうな者をやつた方が面白からうぢやないか。
他人には全で分らない英文を作つたつて何にもならんと思ふが、お前はあれが他人に通用するとでも思つてるのかい。」
さう云つた榮一の語勢は鋭かつた。弟の愚を憐むよりも罵り嘲るやうな調子であつた。「…………。」辰男は黒ずんだ唇を堅く閉ぢてゐたが、目には涙が浮んだ。
無論他人に教へるつもりで讀んでゐるのではないし、 他人に見せるために作つてゐるのではないし、正格でないことは常に承知してゐるが、
省1
133: 2019/01/03(木)09:30 ID:BCC0C/ko(11/12) AAS
AA省
134: 2019/01/03(木)09:33 ID:BCC0C/ko(12/12) AAS
AA省
135: 2019/01/03(木)09:58 ID:SsnvmpJy(1) AAS
榮一は毎日の日課として後ろの山へ上つて沖を見渡した。瀬戸通ひの汽船が島々の彼方にはつきり見えて、春めいた麗らかな日光が讚岐の山々に煙つてゐることもあれば、
西風が吹き荒れて、海には漁船の影もなくつて、北國のやうな暗澹たる色を現してゐることも偶にはあつた。そんな風の強い日には、大きな家の中がさながら野原のやうで、
いくら襖や帶戸を閉め切つてゐても、何處からか風が吹き込んで、寒さを防ぐ術がなかつた。「これでは冬籠りも出來ないね。早く東京へ歸ることにしようか。」
と、榮一は故郷の樣子を見たゞけで滿足して、再び都の小さい借家へ歸らうとした。不漁つゞきで、海鼠や飯蛸などの名産もあまり口に入らないし、落着いて勉強も出來ないし、
殊に家族の中に交つてゐると、急に歳を取つたやうな氣持になるのが厭だつた。「明日の中に立たう。」と、榮一は急に決めたが、竊かにそれを喜んだのは、辰男だつた。
明日の晩から、何時までランプを點けてゐようとも、最早苦情を云ふ者はなくなるのである。彼れの英語の發音を試驗したり、
彼れの英文について無慈悲な批評を下したりしたがる素振を見せて驚かす者がなくなるのだ。……辰男はこの頃英字に親しめなくなつて、動もすると心が外へ散つて、
寂しい詰まらない氣持がし出したのを、兄の所爲と思つてゐた。「この書物は讀んでしまつたからお前にやらう、荷物は成るべく輕くしときたいから。」
と、出立の前の夜、榮一は弟のテーブルの上に英書を二册置いて行つた。辰男は表題と著者の名前とを見詰めたが、讀み方をも意味をも判じかねた。
そして、知らない文字に攻められるのが恐しさに、内部をば開けて見ないで、手馴れてゐる自分の書物で蔽うて机の片隅へ押し遣つた。
省2
136: 2019/01/04(金)00:27 ID:1KA6A0cm(1/8) AAS
2019年新年のご挨拶
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137: 2019/01/04(金)00:27 ID:1KA6A0cm(2/8) AAS
24時間の麻雀バトルが開幕! 8チーム24人が熱戦/新春オールスター麻雀大会2019
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138: 2019/01/04(金)00:28 ID:1KA6A0cm(3/8) AAS
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139: 2019/01/04(金)00:30 ID:1KA6A0cm(4/8) AAS
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140: 2019/01/04(金)00:30 ID:1KA6A0cm(5/8) AAS
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141: 2019/01/04(金)00:48 ID:d1ADlre0(1) AAS
こんどこそ闇落ちさせて暗黒の魔導師にしろよ
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