[過去ログ] いたずらムーちゃん (937レス)
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854: 10/12/30 03:59 ID:S7BFq/qE(1/6) AAS
>>853
乙でした。毎回のことながらクオリティの高さには、ただ驚かされるばかりです。
お体が厳しい中でよく頑張ってくれました。時期が遅れてしまうのも仕方ないですよ。
856
(1): 元日の夜道で... 1/5 10/12/30 07:22 ID:S7BFq/qE(2/6) AAS
まだストックがあるよ〜♪

時は元旦。まだ新年を迎えたばかりで、つい数分前までは昨年だったその日、一匹のムーちゃんがいた。
「ムウゥゥゥゥ...」 寒さを必死にこらえている。今、ムーちゃんがいる場所はとある山の峠道。真冬の、ましてや夜間の路面にもなれば、たとえ雪が積もっていなくても氷のように冷たい。現にムーちゃんが歩いているその道も表面に霜が出来ていた。

日々迫り来る人間の手から逃れるため、都会からひたすら遠くへと足を進めているところだったが、ここ数日はエサというエサを全く口にしておらず、体温が上がらないため常に足どりはフラフラの状態だった。

道中で出逢ったシカも、すっかり寒さで元気をなくしてしまったので、もう自分の足代わりにはなってくれない。

それでもムーちゃんは、「頼れるのは、もはや自分だけだ」と寒さに震えながらも着実に一歩一歩歩みを進めていた。手先はひび割れ、足元は霜焼けになり、そこから滲み出た血液を点々とこぼしながらも、ただただ氷の路面を歩いていた。
省1
857
(1): 元日の夜道で 2/5 10/12/30 07:23 ID:S7BFq/qE(3/6) AAS
さすがのムーちゃんもこれには気持ちが折れかかった。
引き返そうにも、麓からはかなり離れてしまっており下りていては体力が尽きてしまう。 が、このまま進んでも無事に越えられるという保証はない。
付近に民家は建っておらず、また道の駅があったところで、こんな時間帯には誰もいない。また、年末年始に店が営業しているかも怪しい。
もはや絶体絶命なのは明らかだった。自分だけの力では山を越えることが出来ない。
そう思った時だった...。

ガァァァァ、ブオォン、ブオォン ブオォーーン、ウォォーーーン...

エンジン音?
だんだん大きくなっている。こっちに近づいているようだ。助かるかもしれない!!

その車はムーちゃんが思っていたよりも早く、その場所へ登ってきた。けたたましい轟音を響かせながら駆け上がってくる。

「ム...、ムームー!!」
省3
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(1): 元日の夜道で 3/5 10/12/30 07:26 ID:S7BFq/qE(4/6) AAS
ギィーャアアーーーー!!
「ムギャーーーーッ!!」
ドガッ、
ブオオン、ブオオーーン!! ドドドドドドド...

本当になぜこうもついてないのか。車はムーちゃんにとっての助け船になるどころか、逆にムーちゃんを轢いてしまったのだ。
実はムーちゃんがいた場所は右に回り込む急カーブになっており、ドライバーが安全運転を心掛けてなかったこともあったのだが、
最初に述べた通り、この日は路面に霜が張っていたので足を取られてしまい、そのままこの白いロー●スはスピンに陥ってしまったのだ。そしてムーちゃんを避けきれずにたまらず轢いてしまったという。
まぁ、スピンしなかったとしてちゃんと停まったかは怪しい話だが...。

「ム...、ムアァ...」
ムーちゃんはピクピクしている。体中、血だらけだ。背骨が折れてしまい、身動きが取れない。なんでこんな目に遭うんだ...、ムーちゃんは己に降り懸かった不幸をただ呪った。仰向けになったその身体の上に粉雪が降り注ぐ。
省1
859
(1): 元日の夜道で 4/5 10/12/30 07:29 ID:S7BFq/qE(5/6) AAS
車からドライバーが降りてくる。「あぁ、怖かったぁ。クルマ大丈夫かなぁ?」
なんと車を運転していたのは女性だった!! しかも若い!!

「なんか、踏んだような気がするんだけど...」
車の周りを確認する。血だらけで倒れているムーちゃんはすぐに見つかった。
「イヤッ、ムーちゃん!! キモチわるぅ。 もしかして轢いちゃった!?」
車を見渡してみると、当然ながらボディには血痕がビッシリと残っていた。
「うーわ、サイアク〜。このロー●ス、ついこないだ洗車したばっかりなのに〜。白いから目立つじゃない。
しかもこれで走ってたら、まるでアタシがひき逃げしたみたいに思われるじゃないのよ、ホントムカツク!!」
「ム...、ムゥゥ..、ム..」
「まだ生きてるし、コイツ。マジキモいからさっさと死ね。」
省5
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(1): 元日の夜道で 5/5 10/12/30 07:30 ID:S7BFq/qE(6/6) AAS
-その後、車内で-
♪〜〜(着信音)
「ハイ、あぁゴメンゴメン、ちょっとトラブっちゃって...」
友人:『どうしたのよ〜、大丈夫?』
「イヤ〜、実はさ、ムーちゃん轢いちゃって...」
『ウソ、ヤダ〜。クルマ大丈夫だった? アンタ気に入ってたでしょ、そのクルマ。』
「血が付いて汚れちゃったけどね。特にへこんだりはしてないから大丈夫。ムカついたから蹴っ飛ばしてやったけど。」
『アンタ運転荒いでしょ〜。ホント気をつけなさいよね〜。もうみんな来てるから。』
「うん、わかった、すぐ行く。そんじゃ。」

そう、この日は元旦。友人達と初詣の待ち合わせをしており、彼女は丁度クルマで向かっているところだった。
省3
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