[過去ログ] 煩悩の十二国記*十四冊目 (1002レス)
上下前次1-新
抽出解除 必死チェッカー(本家) (べ) レス栞 あぼーん
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
62(1): 頑丘+利広+珠晶 1/4 2011/02/06(日)10:36 ID:owTM9hUw(1/5) AAS
「…なにしてんの」
窓を叩かれて、珠晶は声にならない声を上げて頑丘の襟元を締め上げた。頑丘が慌てて、珠晶の頭を押さえる。
「良く見ろっ!利広だろうがっ!」
悲鳴を上げなかった事は大した物だが、珠晶の怯え方は半端ではない。頑丘の首を締めた際に自分の息も止めたらしい。
頑丘に背中を叩かれてようやく咳き込みながら呼吸をした。窓越しに涙目で睨まれ、利広がやばいかな…という表情をする。
「いつも、いつも…あんたって人はっ!」
「待てっ!珠晶!靴を投げるなっ!」
うっわ、荒れてる。思わず騎獣の首を捻らす。
「窓が割れたら、騎獣が怪我するだろうが!」
大概誰も優しくない。利広は苦笑いした。
省24
63(1): 頑丘+利広+珠晶 2/4 2011/02/06(日)10:37 ID:owTM9hUw(2/5) AAS
「怪談の中身は?」
利広が頑丘に聞く。頑丘がくだらなさそうに答える。
「夜な夜な、声がするんだと。ここ、ここだと」
「それだけじゃないのよ…」
後を引継ぎ、珠晶が身を乗り出す。
「夜中になると、仁重殿の窓から…誰かを探すような女が…っ?!」
ガタン、と利広の足元で音がした。その瞬間に、珠晶が頑丘に飛び付く。いきなり腰に抱き付かれ体勢を崩しかけた頑丘が利広を睨んだ。
「おい」
「あ、ごめん」
初めて気がついたように足元にひっくり返った剣をちゃんと机に寄り掛からせた。
省31
64(1): 頑丘+利広+珠晶 3/4 2011/02/06(日)10:38 ID:owTM9hUw(3/5) AAS
「じゃあ、なんだ?」
そう聞き掛けて…向かう方向に眉を潜める。
「こっちは、珠晶の私室だぞ」
「ここさえ違えば、問題ない」
あっさり言い退けて、歩みを進めた。
…眠れない…。
何度目かの寝返りをうって大きく溜め息を吐いた。天蓋の透かし彫を眺めても眠れない。供麒の使令でも借りれば良かったわ。頑丘なんか、あのほら見た事かと言わんばかりの顔…。思い出しても…。
「腹が立つ!」
柔らかい寝具から飛び起きたのと、窓を軽く叩かれたのは同時だった。
肩を大きく震わせ、寝具の端を引き寄せる。手の平が汗ばむ。利広じゃない…利広はもう、あの部屋にいる。
省32
65(1): 頑丘+利広+珠晶 4/4 2011/02/06(日)10:39 ID:owTM9hUw(4/5) AAS
笑いが止まらない利広と、首筋を濡らした手拭いで冷やしている二人にも、供麒が申し訳なさそうに頭を下げる。
「気持ち良さげに舞ってましたので…」
青い空に薄い桃色の羽が映え美しかった。
「後で呼べばよいと思い…」
さすがにその先が言えない。なまじっか、ただ飛ぶだけの鳥の様な妖獣だった。言葉も少ない。それが夜な夜な窓を覗き込んでいたともなると…
「すいません」
頭を下げるしかない。ようやく遁甲した妖獣は落ち着いたように影に隠れた。
供麒を部屋に戻し、深々と溜め息を吐く。
「私の騎獣を見て怯えて消えたんだね」
利広が自分でお茶を淹れながら笑った。珠晶の前に湯飲みを置き、苦笑いする。
省31
66(1): 頑丘+利広+珠晶 2011/02/06(日)10:41 ID:owTM9hUw(5/5) AAS
おわる
上下前次1-新書関写板覧索設栞歴
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル
ぬこの手 ぬこTOP 0.027s