[過去ログ] 【俺の妹】伏見つかさエロパロ19【十三番目のねこシス】 (1001レス)
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562: 風(後編) 8b/63 2011/06/18(土)13:37 ID:ND8G9piy(24/52) AAS
「そんなに驚かれなくても……。とにかく、午後三時に野点が始まりますが、その前に、高坂さんと妹さん
に、簡単な作法の手ほどきをできればと考えております」

「は、はぁ……」

 そういえば、禅寺で保科さんに会ったとき、そんなことを言われたな。

「ただ、土曜日は午前中もみっちり講義がありますし、妹さんがこちらに新幹線でいらっしゃることを鑑み
ますと、あまり早い時間に拙宅へお出でいただくことも難しいでしょう。ですので、当日の午後二時半前ぐ
らいに、拙宅へお出でいただき、都合三十分弱ほど基本的な作法や所作をお教えするということでいかがで
しょうか」

「え、ええ……。そうですね……」
省3
563: 名無しさん@自治スレで設定変更議論中 2011/06/18(土)13:39 ID:4PE3hsvC(1/2) AAS
やっぱりこいつの自演だったのかw
564: 風(後編) 8c/63 2011/06/18(土)13:39 ID:ND8G9piy(25/52) AAS
「あ、い、いえ、そうでした。今度の土曜日には、野点に招待されていたこと……、ちゃ、ちゃんと覚えて
いましたよ……」

 そう言いながら、俺は傍らの陶山と川原さんをチラ見した。
 案の定、二人とも、口をぽかんと開けたまま、絶句している。無理もねぇや。ついさっき、この日はお茶
会をしようって決めたばっかなのに、いきなりの横槍だからな。それも何の脈絡もなく、超絶美人が毛筆書
きの書状を持ってだぜ。
 二人の頭の中は、『この美人は誰?』、『高坂との関係は?』、『野点って、何?』といった様々な要素
が錯綜していて、どう反応していいか分からないってとこだろう。何せ、俺だって、保科さんの急な登場で、
頭の中が混乱しているんだからな。
省5
565: 名無しさん@自治スレで設定変更議論中 2011/06/18(土)13:40 ID:sE1P+l7m(1) AAS
Androidアプリ 俺の妹がこんなにネトウヨなわけがない

外部リンク:rocketnews24.com
566: 風(後編) 9a/63 2011/06/18(土)13:41 ID:ND8G9piy(26/52) AAS
 それでも俺は、ささやかなるレジスタンスを試みた。

「でも、三時ですか……」

「高坂さんもわたくしも、午前中は外せない講義がありますから、ちょっと大変でしょうね。その点は申し
訳なく思います」

 畜生、憂いを帯びた眼差しでそんなことを言われるなんて、反則だ。
 俺は、時間を逆算してみた。午後二時半までに保科さん宅へ到着するとして、午後二時には身支度して
下宿を出なければならない。あやせの身支度にどれだけ掛かるか知れないが、一時間は見ておかないときつ
いだろう。そして、新幹線の中央駅から下宿までが四十分、大学から中央駅までが二十分。
 講義が終わったら、速攻で中央駅に向かい、あやせをピックアップして下宿に行き、あやせは和服の着付
け、俺はスーツに着替える。それだけで、十分ほどのビハインドだ。だが、下宿からタクシーを使えば、間
省3
567: 風(後編) 9b/63 2011/06/18(土)13:43 ID:ND8G9piy(27/52) AAS
「何なら、高坂さんのご自宅へお迎えの車を手配致しますが……」

「あ、い、いえっ! それには及びません。妹と二人でタクシーにでも乗って、お伺い致します」

 そこまでしてもらえるなんて心苦しいし、万が一だが、あやせが着付けに手間取って、それが終わらない
うちに迎えの車が来たりしたら赤っ恥だからな。ここは、時間に遅れないようにしながらも、マイペースを
キープしたい。

「分かりました。では、当日は宜しくお願い致します」

 そう言い残して、保科さんは、すぅ〜と、舞うような優雅な足取りできびすを返し、俺たちの前から立ち
去った。
 彼女の残り香なんだろうか。花の香りとも果実の香りとも違う、独特の匂いが辺りに漂っていた。
省1
568: 風(後編) 9c/63 2011/06/18(土)13:45 ID:ND8G9piy(28/52) AAS
「お、おいっ! 高坂! い、今の人は何者なんだ?! その招待状は何なんだよ?!」

 陶山の素っ頓狂な声で現実に引き戻された。
 多分、普段は沈着冷静な陶山が、目を剥いて俺に詰め寄ろうとしている。
 一方で、陶山の相方である川原さんは、目が点で、口をぽかんと開けたまま呆然としている。突然現れた
保科さんに毒気を抜かれたのか、それとも俺の変わり身の早さに呆れているのかも知れない。

「あ、ああ……、さっきの人は、保科隆子さんっていって、法学部の同級生だ。と言っても、先日妹と一緒
に大学の近くの禅寺で出くわした程度の仲でしかないんだがな……」

「ほ、保科さんって……。まさか……」

 陶山と川原さんが目を丸くして、互いに顔を見合わせている。どうやら、ジモティにとって、“保科“の
省5
569: 風(後編) 10a/63 2011/06/18(土)13:48 ID:ND8G9piy(29/52) AAS
「由緒正しき家柄ってわけか……」

「でもね、この辺のお寺や神社に顔が利くらしいことは有名なんだけど、正直、何が生業なのか、あたし
たち地元の人間もよくは知らないのよ」

「何だか、ミステリアスなんだな」

「うん……。伝説の域を出ないんだけど、そんな話もなくはないんだよね……」

 川原さんは、ちょっと目をつぶって、頭を左右に軽く振った。それは、あたかも貧血か何かでふらふら
しているような感じだ。
省4
570: 風(後編) 10b/63 2011/06/18(土)13:50 ID:ND8G9piy(30/52) AAS
「何だよ、さっきの人は、にこやかに笑っていただけだってのに……」

「でも、なんつぅか……。高坂くんの前で申し訳ないんだけどさ、目に見えない圧迫感みたいなもんを感じ
たんだよね。何でだろう……。でも、彼女って、すごくいい笑顔なんだよ。あたしが変なのかな……」

「疲れているのさ。昨日、また夜更かしでもしたんだろ。きっとそのせいだ」

「う……ん」

 さっきまで元気いっぱいの川原さんが、塩をまぶされた青菜のように生気を失っている。
 どういうことなんだろうね。
 そういや、あやせの奴も笑顔の保科さんのことを、『嫌な感じ』とか言っていたな。あの時は、あやせの
嫉妬なんだろうが、川原さんの場合はそれじゃ説明がつかない。
省2
571: 風(後編) 10c/63 2011/06/18(土)13:52 ID:ND8G9piy(31/52) AAS
 陶山が頷いたのを認めて、俺は料理を受け取る配膳口のすぐ脇にある給水器に急ぎ、そこで冷たい水を
コップに注いで取って返すと、コップを川原さんに手渡した。

「あ、ありがとう、高坂くん……」

 川原さんは、俺が差し出したコップを受け取ると、一口か二口、口に水を含んだ。

「ふぅ……。少し落ち着いたみたい……」

 川原さんが、ようやく微笑した。川原さんもなかなかの美人だから、笑顔になると一段と魅力的だ。
 しかし、彼女は気になることを言いかけていたよな。
省4
572: 風(後編) 11a/63 2011/06/18(土)13:54 ID:ND8G9piy(32/52) AAS
 陶山が川原さんをたしなめるように言っているところを見ると、あまりよい話じゃなさそうだ。なにせ、
鬼女がらみだからな。

「う……ん、はっきり言って荒唐無稽なおとぎ話だよね……」

 そこまで言いかけて、川原さんは、許可を求めるかのように、陶山と俺の顔を交互に窺った。
 陶山は、口をへの字に曲げている。だが、俺は、

「どんな話なのか、俺は聞きたい。川原さんさえよかったら、ちょっと聞かせてくれ」

「いいけど……。真に受けないで欲しいわね」
省4
573: 風(後編) 11b/63 2011/06/18(土)13:56 ID:ND8G9piy(33/52) AAS
「でね、調伏された鬼女は一族共々改心して、この地方を守護する存在になり、いつしか里の者からも崇め
られるようになった。さらには鬼女の一族の一人は妖力で人化、つまりは人になって、里の者と融合したっ
て話……」

「オチが俺にも読めてきたんだが、その人化した鬼女一族の末裔が、保科家とかってんだろ?」

「そういうこと……。でも、根拠のない与太話でしょうね。保科さんの家はこの地方の主な寺社に顔が利く
ようだけど、遠い祖先が今は祭神となった鬼女の一族だってことにして、自ら神格化を図ったような感じが
するのよ」

「一種の箔付けみたいなもんか?」

 だとしたら、安っぽい話だな。実際、鬼とか鬼女とかが実在するわけがねぇもの。
省2
574: 風(後編) 11c/63 2011/06/18(土)13:58 ID:ND8G9piy(34/52) AAS
 なるほどね……。傍系とはいえ祭神とつながりがあることにすれば、寺や神社から税金みたいなもんを
徴収する際のステータスにはなるだろうな。
 そして、保科家と寺社との関係は今も続いているんだろう。俺は、禅寺で出会った保科さんが、『和尚様
にお届け物』と言っていたことを思い出した。

「でもさぁ、亮一も知らないかも知れない、もっと変な話があるんだけどぉ……。あ、二人とも頭をもう
ちょっとこっちに……」

 川原さんの声をひそめた前置きで、俺と陶山は、心持ち川原さんに顔を近づけた。

「何だよ、勿体つけやがって……」

「いや、あんまりおおっぴらに話せる内容じゃないのよ。で、本題だけど……」
省3
575: 名無しさん@自治スレで設定変更議論中 2011/06/18(土)13:59 ID:r9N6aOYq(2/6) AAS
ネトウ..ヨの糞SSでスレを埋めるのはやめてくれよ
576: 風(後編) 12a/63 2011/06/18(土)14:00 ID:ND8G9piy(35/52) AAS
「本当かよ……」

「……でね、婿の死因なんだけど、その多くは、心不全とかなんだけど、若くして心不全ってのも変で
しょ? それに古い記録だと死因が特定できなかった事例もあるんだってさ……」

「古い記録ってのはあてにならないだろ? 当時の医学じゃ解明できなかった死因とかあるかも知れないし。
それに、若くして心不全で死んだ婿が多いってのは確かなのか?」

 陶山の突っ込みに川原さんは、頷くように首を軽く振った。

「パパやママから聞いたんだけど、医者の間では結構有名な話なんだって……。ねぇ、偶然にしてはちょっ
と変でしょ?」
省4
577: 風(後編) 12b/6 2011/06/18(土)14:02 ID:ND8G9piy(36/52) AAS
「なぁ……。婿養子が早死にするとかが確かだとして、それって女系家族の婿いびりがきつくって、その
ストレスが原因とかじゃねぇのかな?」

「たしかに、女ってのは怖いから、あり得なくはないだろうな……」

 陶山が、そう呟いて川原さんの顔をチラ見している。

「何よ、その目つきは……。感じ悪!」

 川原さんには悪いが、やっぱ女は怖い部分があるよな。
 俺も、あやせとか黒猫とか桐乃にキリキリ舞いさせられてきたから実感できるぜ。
省4
578: 風(後編) 12c/63 2011/06/18(土)14:04 ID:ND8G9piy(37/52) AAS
「微妙って何よ、失礼ね!」

 不満げに頬を膨らませている川原さんをチラ見しながら、俺は陶山が作ってくれたおかずを思い返していた。
 味付けといい、美観を考慮した盛り付けといい、なまじの腕前でどうにかなるようなもんじゃない。
 こいつに敵う女子はそうそう居ないはずだ。

『川原さん、そいつは相手が悪すぎたんですよ。付き合いの浅い俺にだって、それは分かりますって……』

 てなことを心の裡で呟きながら、俺は保科さんから受け取った招待状をあらためて見た。
 墨痕鮮やかな書体は流麗で、どこか女性らしい優しさのようなものも感じられた。
 一瞬、もしかしたら保科さん本人が俺のために筆を執ってくれたのかと思ったが、それが馬鹿馬鹿しい
思い上がりであることに気付き、苦笑した。
省5
579: 風(後編) 13a/63 2011/06/18(土)14:06 ID:ND8G9piy(38/52) AAS
 おっつけメールでの返信なり、電話での連絡があるだろう。

「妹さん思いなのね……」

「そう見えるかな?」

 実際、妹じゃねぇし……、情報を逐一知らせないと洒落にならないからな。特に保科さんがらみの件では。

「おっと、そろそろ昼休みが終わっちまうな」
省9
580: 風(後編) 13b/63 2011/06/18(土)14:08 ID:ND8G9piy(39/52) AAS
 俺は、苦笑しながらも、そいつらに倣って同じように国際法の教科書を広げた。
 午前中のドイツ語のように、当てられて答えられなくて赤っ恥ってのは願い下げだからな。

 その国際法の教科書で、講義で突っ込まれそうな箇所にアンダーラインを引きながら、教室の前の方に目
をやると、いつものように禅寺の君が熱心に講義に耳を傾けていた。

『真面目な優等生でもあるんだな……』

 文系の学生にとって教養科目の物理とか生物とかなんてのは、うざいだけでこれっぽっちもありがたくな
いんだが、それでも保科さんは、しっかりと講義を聴いている。
 少なくとも、俺のような劣等生とはいろんな意味で格が違いすぎる。

 俺はため息を一つ吐くと、再び国際法の教科書に目を落とした。
581: 風(後編) 13c/63 2011/06/18(土)14:10 ID:ND8G9piy(40/52) AAS
 退屈極まりない物理の講義が終わると、本日最後の講義である国際法だった。
 この国際法の講師は、物理とは打って変わって学生に手厳しい。語学系の講義もそうだが、不意に学生を
名指しで立たせ質問するというソクラテス方式で恐れられている。

「国際法の自動執行力とは何かね?」

 今日は、俺のすぐ前に座っている気弱そうな男子学生が餌食になっていた。
 そいつは何とか、国際法が国内法としての効力を有することをしどろもどろに答えて、着席を許されていた。
 しかし、基礎的な事項とはいえ、法律を勉強し始めて一箇月程度の一年坊主に訊くなよ。
 え? 俺は当てられたら答えられたのかって? そいつは不正競争防止法にいう営業秘密って奴だ。残念
だが非公開だな。
省3
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