【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 5冊目 (775レス)
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657: [sage saga] 2016/11/14(月)00:55 ID:bzIdgMTY(8/30) AAS
「次に、悪宇商会の人達と村上さんとは縁を切りなさい」

「あんな関われば害しか無い人でなしと関わる必要はありません」

「確かにそうだけど...」

「斬島さんや星嚙さんのことを真九郎さんは誤解しています」

「忘れたんですか?」
省16
658: [sage saga] 2016/11/14(月)00:55 ID:bzIdgMTY(9/30) AAS
「じゃあ真九郎さんは村上さんが攫われたら一々救いに行けるんですか?」

「それは...できる限り...」

「じゃあ紫ちゃんが同じ時に攫われたらどっちを優先するんですか?」

「そ、それは....」

「そんな状況になって、果たして真九郎さんは冷静でいられますか?」
省12
659: [sage saga] 2016/11/14(月)00:56 ID:bzIdgMTY(10/30) AAS
 
 いやしくも自分と張り合って真九郎を横取りしようとした泥棒猫の

息の根を止めることが出来る。そう思うと心が躍った。

 夕乃の愛の本質は、ただ一人の人間を狂おしく愛する独占欲。
 
 その為に夕乃は自分の気持ちを押し殺し、愛する人の為に尽くしてきた。

 そして、その努力が実って真九郎は自分に己の全てを打ち明け、身も心も

委ねてくれたのだ。
省13
660: [sage saga] 2016/11/14(月)00:56 ID:bzIdgMTY(11/30) AAS
 
 自分よりも先に紫が、真九郎を「強い男」に変えたという事実。

 それが夕乃にとってはこの上なく不愉快だった。

 真九郎を導いたのが紫という事実のあまりの悔しさに夕乃は涙を流す。

「真九郎さんの、大馬鹿...なによ、私のことを夢中にさせといて...」

「それで最後には紫ちゃんを選んで、私を端に追いやるのね...」
省17
661: [sage saga] 2016/11/14(月)00:57 ID:bzIdgMTY(12/30) AAS
(そう...ですよね)

(紫ちゃんは本音で、私は手練手管で...ふふふ、ふふふふ...)

(私は卑しい女、だから...だから真九郎さんは、私なんかよりも)

 しかし、真九郎の出した答えは夕乃の想像の斜め上だった。

「ごめんね、夕乃さん。俺の為にいっつも苦しんで...」
省13
662: [sage saga] 2016/11/14(月)00:57 ID:bzIdgMTY(13/30) AAS
 大好きな人にお前だけを愛すると言われなかった無念と、ようやく

真九郎が自分のことを守るべき大切な存在として認めてくれた嬉しさの

板挟みになりながらも、夕乃はそれでも必死に真九郎の愛を自分だけの

ものにしようと最後の悪足掻きをした。 

「イヤです!真九郎さん!お願いだから私だけを愛して下さい!!」 
 
「紫ちゃんにも、ちーちゃんにも貴方を渡したくなんかないの!」
省10
663: [sage saga] 2016/11/14(月)00:57 ID:bzIdgMTY(14/30) AAS
「夕乃さん」

 涙を浮かべ、唇を震わせる夕乃に覆い被さった真九郎はそのまま

自分の唇を夕乃に重ねた。

 固く結んだ唇をこじ開け、緩んだ歯の間から様子を伺う夕乃の舌を

引っ張りだして、その上に自分の想いを乗せる。
省11
664: [sage saga] 2016/11/14(月)00:58 ID:bzIdgMTY(15/30) AAS
 先程までとは立場が逆になったことに戸惑う夕乃の動揺を見抜いた

真九郎はそのまま夕乃をモノにすべく一気にたたみかける。

「ねぇ、夕乃さん?」 

「夕乃さんは紅夕乃になってくれないの?」

「ぁぅ...///」
省19
665: [sage saga] 2016/11/14(月)00:58 ID:bzIdgMTY(16/30) AAS
 
 ブンブンと頭を振って一瞬だけ脳裏に浮かんだ、真九郎と紫と散鶴との

夢のハーレムライフで一番の寵愛を受ける自分とその腕に抱かれている

真九郎との間に出来た愛する我が子。

「だ、ダメですよ。ま、まだ真九郎さんも私も大人じゃないのに...」 
 
「だ、大体、真九郎さんはどう責任を取るおつもりなんですか?」

 夕乃の最後の抵抗に、真九郎は悩むことなく即答した。
省10
666: [sage saga] 2016/11/14(月)00:59 ID:bzIdgMTY(17/30) AAS
「はい。こちらこそ末永くよろしくお願いします」

「うふふ...。今日はまるで夢みたいな事ばかり起きますね」

「本当に嘘じゃないかって、私疑ってるんですよ?」

 申し訳なさそうに頭を掻く真九郎は抱きかかえた夕乃を降ろした。

 布団の上に寝かされた夕乃は、嬉し涙を流し、真九郎の告白を快諾した。
省15
667: [sage saga] 2016/11/14(月)00:59 ID:bzIdgMTY(18/30) AAS
「まだ、紫がどうなるか分からないですけど...」

「でも、俺頑張りますから」

「夕乃さんと紫とちーちゃんを護れる男になります!!」

「はい。その意気ですよ、真九郎さん」

「これからは一人で悩まずに私に相談して下さいね。旦那様?」
省11
668: [sage saga] 2016/11/14(月)01:00 ID:bzIdgMTY(19/30) AAS
「ち、ちーちゃん?い、いつの間に?」

 驚く姉に向き直り、弱気な瞳に強い嫉妬を滲ませた散鶴は夕乃に

対して宣戦布告をした。

「おねーちゃん!おにーちゃんはわたしのなの!」

 そして夕乃が惚けている間に、散鶴は再び真九郎にキスをした。
省12
669: [sage saga] 2016/11/14(月)01:00 ID:bzIdgMTY(20/30) AAS
 上品に笑う冥理に抱きしめられた真九郎の隣では、夕乃と散鶴の仁義なき

姉妹喧嘩が勃発し、それを法泉が面白そうに見守っている。

「おねーちゃんのうそつき!さいしょからだましてたんでしょ!」

「う、嘘なんか言ってないわよ。結果的に目的は達成したじゃない」

「ううう...妹を出し抜いて一人だけ特別扱いなんてひきょうだよぉ...」
省10
670: [sage saga] 2016/11/14(月)01:01 ID:bzIdgMTY(21/30) AAS
「ちーちゃん、ちーちゃん。お話聞いてもらえるかな?」

「やだやだやだぁ!!おにーちゃんのお嫁さんにしてくれなきゃやだぁ!」

「そんな事言うと夕乃さんがちーちゃんのおしりぺんぺんしちゃうよ?」

「やだあああああああああああ!!!!」

「あーあ。今夕乃さんがすごーく怖い顔でちーちゃんの後ろに立ってるよ?」
省9
671: [sage saga] 2016/11/14(月)01:01 ID:bzIdgMTY(22/30) AAS
「ぐすっ、おにーちゃんはわたしよりおねーちゃんがすきなの?」

「うん。でも、ちーちゃんも夕乃さんと同じ位大好きだよ?」

「でも、わたしは愛人で、おねーちゃんは正妻なんでしょ?」

「今のところはそうなるかな?でも、ちーちゃん」

「?」
省11
672: [sage saga] 2016/11/14(月)01:01 ID:bzIdgMTY(23/30) AAS
「もしちーちゃんが高校生になっても俺の事を好きでいてくれたら」

「その時は、責任をとってちーちゃんをお嫁さんにするから」

「だから、その時までちーちゃんは友達を沢山つくること。いい?」

「約束だよ?おにーちゃん」

「うん。約束する」
省9
673: [sage saga] 2016/11/14(月)01:02 ID:bzIdgMTY(24/30) AAS
「おじいちゃん、お母さん。私は真九郎さんと結婚したいんです」

「崩月の家の宿命とか、裏十三家の血筋とかそういうのじゃなくて」

「私は真九郎さんを幸せにしてあげたい。この人と一緒になりたいんです」

「真九郎さんとの仲を認めて下さい。お願いします」

 将来の義理の息子とその傍らに立って歩いて生きたいと望む自分の娘。
省20
674: [sage saga] 2016/11/14(月)01:02 ID:bzIdgMTY(25/30) AAS
「俺は引き返しません。どんなことがあっても夕乃さんを守ります」

「ちーちゃんも、冥理さんも、師匠も。俺が絶対に守ります」

 手放したモノの価値を悼みながら、それでも真九郎は止まる事無く

前に進む事を決意した。

 人でなしに墜ちながらも、それでも真九郎は自分が出来る事を選びとる。
省15
675: [sage saga] 2016/11/14(月)01:03 ID:bzIdgMTY(26/30) AAS
 十数年前に産んだ娘がまさか学校を卒業する前に結婚相手を見つけ出すとは

予想外だったな、と愛する孫娘を茶化す父の姿を見て冥理は涙ぐんでいた。

 真九郎も引き取ってきた時に比べれば、随分成長したなと懐かしく思える。

 生きる意味も無く、ただ死にたくないからという理由で生きながらえていた 

あの少年が崩月の家を出た途端、途方もない大事に巻き込まれながらも、
省8
676: [sage saga] 2016/11/14(月)01:03 ID:bzIdgMTY(27/30) AAS
 背を向けて立ち去る一家の大黒柱に真九郎と夕乃は深く頭を下げた。

 そして散鶴も渋渋ながら自分が出る幕はないと悟ったのか、泣きべそを

かきながらふすまを開け、祖父の後を追うように自分の部屋へと戻った。

「真九郎君。紫ちゃんは夕乃より手強いわよ?」

「お母さん...」
省10
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