[過去ログ] 怪盗が捕まってあんな事こんな事・・・第6夜 (965レス)
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515: 2019/06/14(金)03:42 ID:tgFVlmFK(5/9) AAS
腰の左右にポーチが付けられていることや、白い手袋に目が奪われたのではない。
もっと全体的な容姿が、鮮烈な印象を私に与えたのだ。

ヒップラインから裾にかけてプリーツ加工が施された黒いミニスカートは夜風に揺れて、上質な絹のようなふとももと戯れるようにひらひらと遊んでいる。
胸の下で裾をカットした白いタンクトップは肌に密着し、薄手の生地も相まって年不相応に艶かしい。
本来なら感じるであろうスポーティーで活動的な印象が退いてしまっているのは、その態度だけで無く、むき出しのへそ周り滑らかさのためだろうか。
視線を喉元に結わえられた赤いリボンから更に上げると、垂れがちの目に収められた青い瞳、小さい鼻筋、淡い色合いの花びらのような唇……
かなりの美少女と言い切れるほどの面貌が目に入る。
肩口まで伸びたウェーブがかかった金髪を指で梳き流すと、見え隠れする白いうなじが街灯に妖しく照り映える。
ところどころに纏われた白い煙が、この世あらざる妖精のような趣を演出していたのだった。

「動かないところを見ると、護衛の方と同じ目に会いたくないということでよろしいですか」
省12
516: 2019/06/14(金)03:44 ID:tgFVlmFK(6/9) AAS
「エクリュ〜〜! 頂いたよ〜!」

はっとして後方へ目をやる。
果たしてそこには、〈預かり物〉を手にしたもう一人の少女が笑っていた。
自慢げに胸を張り満面の笑みを浮かべながら。

やられた。白いタンクトップの娘に気を取られている隙に、守らなければならないものを取られてしまった。
背後から呆れたような溜息が聞こえる。

「簡単に行き過ぎですね」

やれやれ、という嘆声の主を恨みを込めた目でにらみ、秘密の運搬物を奪回すべく駆け出した。
省12
517: 2019/06/14(金)03:46 ID:tgFVlmFK(7/9) AAS
「 作戦成功ー♪」

「お疲れ様。それは私が移送します」

二人の盗賊少女の合流を許してしまう。
彼女らは〈預かり物〉を手に、踵を返して夜道に消えていく―――

「行かせるか!」

慌てて2人の少女怪盗の前に立ち塞がる。
相手の澄んだ碧眼が見ひらかれた。
省17
518: 2019/06/14(金)03:49 ID:tgFVlmFK(8/9) AAS
「通報するんですか? こんな深夜に何をしていたか、ちゃんと事情を話せるんですかね」

「うっ!?」

こちらの内実を明かすわけにはいかない。私も元々法的に見れば外れた行為を重ねてしまっているのだから。
それにしてもこの私が出し抜かれるとは……
年端もいかぬ小娘にやり込められ、年甲斐もなく顔が熱くなる。
向こうの目には、頬から耳まで真っ赤になってる様が認められたことだろう。

「じゃーねー、おじさん♪」

「これに懲りたらもう悪いことしちゃダメですよ」
省1
519: 2019/06/14(金)03:50 ID:tgFVlmFK(9/9) AAS
今回はここまで
前投稿への乙米、ありがとうございました
続きは近いうちに投下できると思います
520: 2019/06/14(金)08:53 ID:4326gsly(1) AAS
乙です。
全裸土下座待機してます!
521: 2019/06/14(金)10:50 ID:4cOm2+gn(1) AAS
なんか必死な乞食が一人だけいるな
522: 2019/06/14(金)20:06 ID:dGl4sdn0(1) AAS
続きが読めて嬉しいです、乙。
523: 2019/06/15(土)08:28 ID:7bCoL4VS(1) AAS
もはや必死、がどちらなのか…
524: 2019/06/15(土)09:41 ID:zVTLrEIX(1) AAS
作者だろ
525: 2019/06/15(土)09:59 ID:jEM8RLcx(1) AAS
乙。久々の長編に期待
526: 2019/06/17(月)03:38 ID:HN0oIb7Q(1/7) AAS
できたー
行きます
527: 2019/06/17(月)03:43 ID:HN0oIb7Q(2/7) AAS
そうだ。ここだ。

私が笑みを浮かべる怪盗共を捕らえようと走り出した次の瞬間、紅い衣装を着た方が跳んだのが見え、続けて右肩に強い衝撃を受けた。

痛みに細められた私の目に映ったのは、空中にひるがえり、茶目っ気たっぷりに舌を出した怪盗の姿。宙返りする途中であり、身を丸めようとしたため尻が一瞬こちらに突き出された格好になる。
赤いスクール水着のような衣装はぴっちりと股間の柔肉に食い込み、僅か一瞬の間の出来事とはいえそこに目が吸い寄せられるのを止められない。

「余所見している場合ですか」

前方からの声で、続け様に私は虚を突かれた。
あわてて向き直ると、腰の後ろで手を組んだ少女の姿が目に入る。
小さくみずみずしい唇から溜息をもらし、非難がましい上目遣いでこちらを見ている。
こちらは何倍も年上の大人だというのに、無礼な態度を隠そうともしていない。
省10
528: 2019/06/17(月)03:45 ID:HN0oIb7Q(3/7) AAS
「狐につままれたような―――そんなお気持ちでしょうね」

「だ、黙れっ」

そこからはがむしゃらだった。
遮二無二手を伸ばし、突進し、姿を消せば見つけるために頭を振り回す。
しかし相手の胴体はおろか、腕にも、足にも、髪の毛一本にすらかすることも叶わない。
あと少しというところで、いつもいつも捕獲の手をすり抜けていく。

「はあっ……! はあっ……!」

こちらの息が切れ、汗が噴き出すまで動き回っても、相手の余裕を崩すこともできない。
腕を振り回しながら接近しているのだが、アルキメデスと亀の定理のように距離が縮まらないのだ。
省8
529: 2019/06/17(月)03:46 ID:HN0oIb7Q(4/7) AAS
「様子を伺ってばかり。普段運動不足なのでしょうけれど、もう少し頑張ってくれませんか?」

呆れ混じりの挑発に、浮かび上がり始めた感情を慌てて心奥に押し込む。

「まだ子どもだろう! 大人を馬鹿にするんじゃない!」

そう怒鳴りながら飛びかかるものの、またしても身を翻らせて避けられてしまう。

「いや大人だから偉いとかないですし。一人の人間として評させてもらったまでです」
省22
530: 2019/06/17(月)03:47 ID:HN0oIb7Q(5/7) AAS
「エクリュ〜 そろそろ終わらせちゃお? 遊び過ぎても時間的にマズイし」

「先刻承知です。カルマン、悪いですけどこの荷物少し預かっててもらえませんか」

「りょーかい!」

「くっ!」

二人の余裕に、私の怒りはいよいよ頂点に達しようとしていた。
何とか一泡吹かせてやりたい―――そう思っていたところ、あることに気が付いた。
タンクトップの小娘の背から5、6メートルほどに建物の壁がそびえている。
そして今までの行動を思い出してみると、この慇懃無礼な小娘は私の手から逃れるときは常に後方へ退く動作が含まれていた。
なら、残りの力を振り絞り、襲い掛かれば―――
省13
531: 2019/06/17(月)03:49 ID:HN0oIb7Q(6/7) AAS
「あっ……!」

ついに、タンクトップの怪盗娘の肩がコンクリート壁に当たる。
驚きとわずかな絶望が混じった小さな悲鳴は、私に勝利の確信をもたらす。

「所詮はガキだな!」

両腕を広げ逃げ道を塞ぎつつ、じりじりと距離を詰めていく。
生意気な小娘は怯えの色が混じった目で私を睨んでくる。
消え去った逃げ道を辿ろうと、未練がましく踵(かかと)でかちかちと硬い壁を小突いているが、無駄な足掻きとしか言いようが無い。
やがて己の運命を悟ったのか、敵は観念したかのように腕を下ろし、うなだれるように顔を伏せた。

勝った。
省7
532: 2019/06/17(月)03:51 ID:HN0oIb7Q(7/7) AAS
今回はここまでです
また次回よろしくお願いします
533: 2019/06/17(月)08:54 ID:akc4Sdk2(1) AAS
乙です!
こちらこそよろしくお願いします!
534: 2019/06/17(月)12:55 ID:Ss+qua3n(1) AAS

おじさんがんばれ!
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