[過去ログ] 【今こそ】ロシア語入門・初級スレッド【ロシア語】 (1002レス)
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966: 吾人導師1号 (オイコラミネオ MM03-h53F) 02/08(土)21:44 ID:bVuRCe/IM(1/4) AAS
「王、皇帝、ツァーリって区別つく?」

・цар (定形 цàрят, 複数形 царè) 「王、皇帝、ツァーリ」
・царѝца「女王、女帝、王妃」
※これは元々ローマ皇帝 Gāius Jūlius Caesar 「ユーリウス・カエサル (英語発音の転写だとジュリアス・シーザー)」の名前に由来し、カエサルの名声があまりにも大きかったために、その名前自体が「ローマ皇帝」の意味になった。
Caesar はスラブ語に入って一旦 кесарь となり、前舌母音e 名前で к>ц の子音変化が起きて цесарь (цѣсарь) / цезарь(цѣзарь)となった後、それが約まってロシア語 царь となった。
(с>з の変化は、ドイツ語形 Kaiser「カイザー」が影響したものだろう)
ブルガリア語の語末子音は、軟子音の場合規則的に硬子音化されるが、語尾が付くと本来の軟子音が復活する:
цар: 定形 цàрят(*царът ではない)

ラテン語では Caesar の語末子音 -r は勿論硬子音だが(というかラテン語に子音の硬軟の区別は無い)、それをスラブ語が軟子音として受け入れたのには訳がある。
ロシア語には комар「蚊」(属格 комара) に対する словарь「辞書」(属格 словаря) のように、
省9
967: 吾人導師2号 (オイコラミネオ MM03-h53F) 02/08(土)22:11 ID:bVuRCe/IM(2/4) AAS
ブルガリア語では цар と呼ぶのはロシアとブルガリアの王に限り、それ以外は
крал (定形 крàлят, 複数形 кралè) - кралѝца 及び
имперàтор (定形 имперàторът) - императрѝцаなる語を適宜当てる。

ブルガリア語 крал (露 король) は神聖ローマ帝国の初代皇帝・カール大帝(シャルル・マーニュ;独 Karl der Grosse、羅 Carolus Magnus)の人名から派生したものである:
Karl > *korlis > ①*krālь/②*korolь
※①と②は >>847 の開音節化の法則による、①は南スラブ語、②は東スラブ語における規則的な反映。
968: 吾人導師3号w (オイコラミネオ MM03-h53F) 02/08(土)22:16 ID:bVuRCe/IM(3/4) AAS
「魔女と新婦の関係性を知る」

ま〜た訳ワカメな小見出し付けやがって!ってか?
因みに女性は年齢順に言うと женà, девòйка, момѝче となる。
・женà(複数形は женѝ でアクセント移動しないが、単数呼格は жèно! とアクセントが前に移る) は「婦人」というニュアンスが強く、「妻」の意味にもなる。
一般に男性との対比で女性という場合にも、この語を使う。
・девòйка は「(結婚適齢期の)年頃の女性」のようなニュアンス。ロシア語 девушка に相当。
・момѝче(複数 момѝчета)は中性名詞なので注意。 露 девочка に近いニュアンスだが、девушка の意味でも使われる。
例:петна̀десетгодѝшно момѝче「15歳の女の子」
девочка の意味であることを強調するなら、момѝченце という指小形を使うと良い。

さて小見出しのテーマに戻ると、魔女は вèщица(>>940 参照) という。(口語では悪女の意味でも用いられる)
省11
969: 吾人尊師・英太郎殿 (オイコラミネオ MM03-h53F) 02/08(土)22:27 ID:bVuRCe/IM(4/4) AAS
さて、新婦のことはブルガリア語では невя̀ста(複数 невèсти)と言う。
語幹母音が я/е の交替を見せるということは、それが ять (ѣ:ě) だったことを意味する。
ロシア語 невеста も同様で、この語も *ne-věd-ta と分析しうる。
つまり「知らない女性」ということで、具体的には「汚れ(けがれ)を知らない無垢な女性」という意味であろう。

つまりは魔女も新婦(婚約者)も、どちらも「見て知っている」というニュアンスを持つ語根を持っているということ。
英語 queen「女王」及び quean「あばずれ」も等しく古期英語 cwene「女性」から派生した語であり、
その印欧語根 *gwen- からはブルガリア語やロシア語の жена も派生していることと比較せよ。

かくして、もまいらは吾人導師様の聖なる導きにより、魔女と新婦の関係性を知ったのであった。
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