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【今こそ】ロシア語入門・初級スレッド【ロシア語】 (1002レス)
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966: 吾人導師1号 (オイコラミネオ MM03-h53F) [sage] 2025/02/08(土) 21:44:20.25 ID:bVuRCe/IM 「王、皇帝、ツァーリって区別つく?」 ・цар (定形 цàрят, 複数形 царè) 「王、皇帝、ツァーリ」 ・царѝца「女王、女帝、王妃」 ※これは元々ローマ皇帝 Gāius Jūlius Caesar 「ユーリウス・カエサル (英語発音の転写だとジュリアス・シーザー)」の名前に由来し、カエサルの名声があまりにも大きかったために、その名前自体が「ローマ皇帝」の意味になった。 Caesar はスラブ語に入って一旦 кесарь となり、前舌母音e 名前で к>ц の子音変化が起きて цесарь (цѣсарь) / цезарь(цѣзарь)となった後、それが約まってロシア語 царь となった。 (с>з の変化は、ドイツ語形 Kaiser「カイザー」が影響したものだろう) ブルガリア語の語末子音は、軟子音の場合規則的に硬子音化されるが、語尾が付くと本来の軟子音が復活する: цар: 定形 цàрят(*царът ではない) ラテン語では Caesar の語末子音 -r は勿論硬子音だが(というかラテン語に子音の硬軟の区別は無い)、それをスラブ語が軟子音として受け入れたのには訳がある。 ロシア語には комар「蚊」(属格 комара) に対する словарь「辞書」(属格 словаря) のように、 接尾辞の -ar にはそのバリアントとして軟子音で終わる -ar' がある。 古期ロシア語に中世以降、ギリシャ語を経由してラテン語起源の語も多く入ってきたが、ラテン語で名詞から形容詞を派生させる際の語尾は -ārius であり、 例えばローマ神話の神ヤーヌス(Jānus) から「ヤーヌスの(月)」として1月の呼称を造る時も jānuārius となっている。 それは中世ギリシャ語(ビザンチン・ギリシャ語)Γεννάριος (< Ιανουάριος) として古期ロシア語に入った。 ここでギリシャ語の語末 -ος は男性名詞単数主格の典型的な語尾である為スラブ語では規則的に脱落し、ロシア語 январь となって、語末子音 r は軟子音(r' < rь < ri)扱いとなっている。 ロシア語の古語 генварь が語頭に g- を持っているのは先のビザンチン・ギリシャ語 Γεννάριος の写しだからだが、中世ギリシャ語では(現代ギリシャ語同様)γ の後に前舌母音が来るとその発音は [j] となるので、 Γεννάριος も実際には [je'narios] と発音されていた筈である。 こうしたことからの類推が働いて、Caesar なる人名は *Caesarius と再解釈され、古期ロシア語で先のような変化を被り、 現代語の царь が現出してきたものである。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/gogaku/1658683656/966
967: 吾人導師2号 (オイコラミネオ MM03-h53F) [sage] 2025/02/08(土) 22:11:37.55 ID:bVuRCe/IM ブルガリア語では цар と呼ぶのはロシアとブルガリアの王に限り、それ以外は крал (定形 крàлят, 複数形 кралè) - кралѝца 及び имперàтор (定形 имперàторът) - императрѝцаなる語を適宜当てる。 ブルガリア語 крал (露 король) は神聖ローマ帝国の初代皇帝・カール大帝(シャルル・マーニュ;独 Karl der Grosse、羅 Carolus Magnus)の人名から派生したものである: Karl > *korlis > ①*krālь/②*korolь ※①と②は >>847 の開音節化の法則による、①は南スラブ語、②は東スラブ語における規則的な反映。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/gogaku/1658683656/967
968: 吾人導師3号w (オイコラミネオ MM03-h53F) [sage] 2025/02/08(土) 22:16:33.80 ID:bVuRCe/IM 「魔女と新婦の関係性を知る」 ま〜た訳ワカメな小見出し付けやがって!ってか? 因みに女性は年齢順に言うと женà, девòйка, момѝче となる。 ・женà(複数形は женѝ でアクセント移動しないが、単数呼格は жèно! とアクセントが前に移る) は「婦人」というニュアンスが強く、「妻」の意味にもなる。 一般に男性との対比で女性という場合にも、この語を使う。 ・девòйка は「(結婚適齢期の)年頃の女性」のようなニュアンス。ロシア語 девушка に相当。 ・момѝче(複数 момѝчета)は中性名詞なので注意。 露 девочка に近いニュアンスだが、девушка の意味でも使われる。 例:петна̀десетгодѝшно момѝче「15歳の女の子」 девочка の意味であることを強調するなら、момѝченце という指小形を使うと良い。 さて小見出しのテーマに戻ると、魔女は вèщица(>>940 参照) という。(口語では悪女の意味でも用いられる) 女性であることを示す接尾辞 -ица を持つが、対応する男性版「魔男」なる概念が存在するかどうかは知らないw 語幹の вещ- は *вѣд- (*věd-)に動詞語根から名詞を派生させるための接尾辞 -t' (<*-tis) が付いて現出してきた形である。 (語根末の子音 -d は t の前で一旦 -s に変わり、t が軟子音であることの影響で更に -š になっている:*věsť- → *věšč-) *věd- はラテン語 videō「私は見る」に現れる語根 *vid-(印欧語根 *wid-)の完了語幹に由来するもので、「見てしまっている」→「見て知っている」という語義の変化を通じて、 スラブ語では「知る」を意味する語根として用いられる。 例えばポーランド語 wiedzieć「知っている」、1人称単数現在形 wiem(<*wiedm)、同じくチェコ語 vědět, vím。 ベラルーシ語 вéдаць, вéдаю も参照。 つまり「知っている女性」というのがブルガリア語 вещица の原義となる。 つまり、жена, която знае как да прави чудесà「奇蹟を行うやり方を知っている女性」ということだろう。 ロシア語 ведьма, ポーランド語 wiedźma「魔女」の語根も同じものである。 蛇足だが、ブルガリア語 зная, ロシア語 знать などに見える語根 *zna- はラテン語 nōscō<古ラテン語 gnosco「(慣れ親しんで)よく知っている、認識している」、古代ギリシャ語 γιγνώσκω、英語 to know などに見える印欧語根 *gnō-「認識・感知する」 から出たものである。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/gogaku/1658683656/968
969: 吾人尊師・英太郎殿 (オイコラミネオ MM03-h53F) [sage] 2025/02/08(土) 22:27:37.92 ID:bVuRCe/IM さて、新婦のことはブルガリア語では невя̀ста(複数 невèсти)と言う。 語幹母音が я/е の交替を見せるということは、それが ять (ѣ:ě) だったことを意味する。 ロシア語 невеста も同様で、この語も *ne-věd-ta と分析しうる。 つまり「知らない女性」ということで、具体的には「汚れ(けがれ)を知らない無垢な女性」という意味であろう。 つまりは魔女も新婦(婚約者)も、どちらも「見て知っている」というニュアンスを持つ語根を持っているということ。 英語 queen「女王」及び quean「あばずれ」も等しく古期英語 cwene「女性」から派生した語であり、 その印欧語根 *gwen- からはブルガリア語やロシア語の жена も派生していることと比較せよ。 かくして、もまいらは吾人導師様の聖なる導きにより、魔女と新婦の関係性を知ったのであった。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/gogaku/1658683656/969
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