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43: 06/14(金)10:32 ID:PrMG6tbY0(8/11) AAS
賀川豊彦と一億総懺悔運動

東久邇宮は、平和運動の第一人者だった賀川豊彦を首相官邸に招き「今や日本の道徳は地に落ち、人心はすさみ、誰もこれを救う力がありません。外国人への敵対心と憎しみを取り除かないとポツダム宣言の発表ができないのです。世界平和を目指して諸外国と日本を結ぶために活動する資格のある者は、あなたをおいて他にないように思われます。そこで人心を新たにするために、内閣に参与制度を作ることにしました。ぜひあなたも参与になってください。そして、どうしたらいいか、意見を聞かせてください」と相談した。

これを受け、賀川は今後の日本の国家的方針について日本基督教団の団員たちに相談すると、教団主事の木俣敏が「早急に国民に呼び掛けて、キリスト教徒もそうでない者も一つになって、過去における生き方、考え方を反省し、懺悔をする運動を起こしたらどうでしょうか」と提案したという、賀川と教団の役員たちはこの意見に賛成を表明し、東久邇宮に総懺悔運動について提案をした。この意見を聞いた東久邇宮は最初、驚いた顔をしたという。

賀川は続けて「そうです。まだ戦争が始まらない頃、ある有名な議員の方が来られて、日本の軍隊は世界最強だと言われました。私はその時、日本があたかも聖書で語られている放蕩息子のような気がしたのです」

「日本ほど恵まれた国はありません。豊かな作物、温順な気候、他国の侵略を受けにくい地形。それなのに、いつの間にか日本は平和に慣れきって、ぜいたくになり、富める者は貧しい者を搾取し、資本家と結びついて一大工業国となりました。しかも軍備を誇り、何の抵抗もしない他国を侵略し、残虐行為を繰り返した」

「私はこの放蕩息子がいつか行き詰まり、破滅しないわけはないと思いました。果たして、日本は敗戦によって打ち砕かれました。今日本がなすべきことは、放蕩息子が本心に立ち返り、父に許しを求めてそのもとに帰ったように、国民が一つとなり、今までの生き方、考え方を反省し、懺悔をして新しく出直す以外にありません」と述べた。

これを聞いた東久邇宮は頷き「ラジオを通してあらゆる人に懺悔を呼び掛けましょう。老いも若きも、男も女も、職業のいかんを問わず、こぞって過去の思い上がりを改め、平和国家に生きる民としての一歩を始めるように」と述べたとされる[14]

14^ 社会的弱者の友として―賀川豊彦の生涯(13)国民総ざんげ運動ー 栗栖ひろみ筆
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