[過去ログ] 伊藤和夫の英文解釈36【ビジュアル英文解釈教室】 [無断転載禁止]©2ch.net (1002レス)
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344: 2017/05/27(土)13:35 ID:ayqVhemV0(1/10) AAS
『ビジュアル英文解釈』の紹介 (1)
1985年、伊藤先生は文化放送で夜間放送していたラジオ番組、『旺文社大学受験ラジオ講座』に出演しました。
当時すでに、受験に役立つ放送としては『ラ講』は機能しておらず、旺文社から参考書を出している著作者の促販のための番組と化してしまった印象は否めませんでしたが、
そこに当時の『三大予備校』の英語科主任が出演するのは大きな事件でありました。
この一連の講義は評判を呼び、カセットテープの音声教材としてそののち販売され、1994年には単行本化されました(『ルールとパターンの英文解釈』)。
この講座の形式は約40題の課題文がまず与えられ、それを先生が講義してゆくというもので、予備校の講義形式に準ずるものでした。
違っていたのは課題文の構成。
最初の数題は「大学受験というよりは高校受験用のテキストか」と思われるような簡単な文章が並んでいました。
しかし、最後の第40回課題文はセンター試験の文章よりも難しいものでした。
345: 2017/05/27(土)13:36 ID:ayqVhemV0(2/10) AAS
『ビジュアル英文解釈』の紹介 (2)
伊藤先生は文頭からピリオドまでに出てくるSVの数を基準に2個から3個、4個と含んでいる数順にテキストを並べて編纂し、漠然と講義を始めたようです。
最初の十数題は高校の入学試験問題、短大の入試問題からセレクト。
この順番で文章を並べ、当時駿台の進学コースで教えていたのと同じ詳しい文法解説つきの講義を展開していきました。
ところがどうでしょう、簡単な問題でしっかり確認した基礎事項が、次から次へと繰り返し出てくるではありませんか。
〈基本事項が何度も出てくること、1つの基本事項の理解がどれだけ新しい視野を開くことになるかには、私自身も驚いているくらいです。〉
これは『ルールとパターンの英文解釈』p.164からの引用ですが、伊藤先生のこの驚きは実際の事だったらしく、
周囲の人たちに「ラ講の受講生でも東大に入れる!」と興奮気味に語っていたようです。
ラ講終了後伊藤先生は常日頃の冷静な姿に戻られ、「いや、まだこれでは足りない」と新しい著書の執筆に入りました。
346: 2017/05/27(土)13:36 ID:ayqVhemV0(3/10) AAS
『ビジュアル英文解釈』の紹介 (3)
この様にして1987年『ビジュアル英文解釈』は誕生しました。約40題(正確には44題)だった課題文は61題に増えました(7題は重複)。
英語を読む際に注意を向けるべき基礎事項を『ルール』、複文のSVの組み合わせを『パターン』と呼んで図解する方式、
基礎事項を積み上げ、課題文の読み方を反復練習して読解力を育てる方式は両者で共通しています。
(ただし『ルール』の数は『ルールとパターンの英文解釈』では13コ、『ビジュアル英文解釈』では11コ)。
しかし、到達地点は、『ビジュアル』の方が課題文が多いだけレベルが高い所にまで達しています。
ところで、名著『英文解釈教室』は
a) 伊藤先生が提唱する全体的な文構造を考慮に入れた逐次的な英文の読み方、
b) 難関校の入試問題に当たるのに過不足のない「英文解釈の公式」の網羅
を目指した野心的な書物でした。
省4
347: 2017/05/27(土)13:51 ID:ayqVhemV0(4/10) AAS
『英文解釈教室』の紹介 (1)
かつて『英語構文演習』という名の英語教材がありました。
伊藤先生によって編纂され駿台英語科で教えられていた内部教材で、前任者鈴木長十先生が編纂された教材『Choice Exercise』と並んで、
駿台英語科の二枚看板でありました。
伊藤先生は1966年4月駿台で教鞭をとり始め、たちまち評判となりましたが、
1977年1月その講義内容のほとんど全てを参考書『英文解釈教室』として、世に問いました。
これは英語受験参考書の歴史を大きく書き換えた書物で、それまで主流であった英文解釈参考書、
例えば山崎貞『新々英文解釈研究』を書棚から駆逐し、
以降出版された全ての英語参考書に影響を与えました。そのインパクトを越えるものはいまだ存在していません。
もっとも、この参考書は"光明"とともに"暗闇"をももたらしました。
省8
348: 2017/05/27(土)13:53 ID:ayqVhemV0(5/10) AAS
『英文解釈教室』の紹介 (2)
全体として伊藤先生が提唱していた「直読直解」の方法論を説明しつつ、大学入試で想定される、いわゆる「英文解釈の公式」の
ほとんどすべてを網羅したこの参考書は学力の高い一部の受験生に"福音"をもたらすと同時に、「平均的な」多くの受験生を挫折させました。
従ってこの参考書に生半可な実力の者が取り組んではいけません。
最低でも『英文解釈教室入門編+基礎編』もしくは『ビジュアル英文解釈Part I+Part II』を履修し終えた者、及び同等の解釈力を持った方のみ取り組める、と思ってください。
一回り小さいB6版の通称『旧版』は例題の解説が不充分で、自習書としては不向きなものでした。
当時予備校側は本書の出版に反対しており、何とか説得して出版に漕ぎ着けたようです。
恐らく、自習書として不完全なものにしたのは予備校への配慮・忖度があったのではないかと思われます。
20年の歳月を経て1997年1月出版された『改訂版』は本編解説と「例文」は同じもので、「例題」も同じものが用いられました。改訂されたのは、例題の解説。
『ビジュアル』から採用された例題解説の仕方で、完全に自習可能な本に生まれ変わったのです。
省2
349: 2017/05/27(土)13:56 ID:ayqVhemV0(6/10) AAS
『英文解釈教室』の紹介 (3)
『新装版』は和訳部分が相当量改訂されており、これが主要な変更点となっています。
編集部の責任において改訂されましたが、奥付に小さく書かれた名前を見落としてはいけません。柴田耕太郎、望月羔子と二人の人物の名があります。
柴田耕太郎氏は翻訳家で、翻訳家養成学校を主宰している方です。以前から『英文解釈教室』の訳文に対して批判的な評論文を書いていた方。
望月羔子氏はWebデザイナーで柴田耕太郎氏が研究社のHP上で展開している特集のデザインを担当している方です。
おそらく今回の改訂を主導したのは柴田氏ではなかったかと推測しています。そしてこの改訂に対して個人的には全面的に賛成です。
伊藤先生の日本語には良く言えば「癖」のような特徴があり、これを万人が納得する日本語に改訂することはこの本の価値を高めることになると思うからです。
なお内部英語教材『英語構文演習』から生み出された参考書は本書だけではありません。
『テーマ別英文読解教室』も同じく『英語構文演習』を母体として生み出された参考書であります。
これについては後に紹介しましょう。
省3
350: 2017/05/27(土)14:41 ID:ayqVhemV0(7/10) AAS
『テーマ別英文読解教室』の紹介 (1)
1991年伊藤先生は駿台英語科主任の職を後任に譲りました(高橋善昭氏)。
その際先生自身が編纂してきた英文法・英文解釈の内部教材を単行本化して残しておきたいと考えました。
『新英文法頻出問題演習』(1991)、『テーマ別英文読解教室』(1994) の二冊はこの様な背景から誕生しました。
二冊の“はしがき”のどこにもこの出自に関する経緯は語られておりませんが、駿台が以前出版していた雑誌のインタビューでそのように先生自身が述べておられます。
『テーマ別英文読解教室』は、『英文解釈教室』と同じく、内部教材『英語構文演習』を母体として作られていますが、少しだけ編集方針が異なっています。
内部教材は文法項目的に配列され、その順序は『英文解釈教室』の章立てと同じです。
一方『テーマ別』は英文の主題別に配列されています。より内容中心に関心が向くような配慮がなされています。
解説は『ビジュアル英文解釈』で切り開いたあの解説方式がそのまま踏襲されており、丁度『ビジュアル英文解釈Part III』と呼べる内容になっています。
背景にある文法篇に相当する部分は『ビジュアル』のそれではなく『英文解釈教室』の本編解説と同じ枠組みになっています。
省1
351: 2017/05/27(土)14:44 ID:ayqVhemV0(8/10) AAS
『テーマ別英文読解教室』の紹介 (2)
伊藤先生は1997年にお亡くなりになられましたが、もし時間が許せば『テーマ別英文読解教室』の「構文と訳出」
および『英語総合問題演習 上級篇』の第3部を合わせたような本編解説の改訂がなされたことでしょう。
解説の例文は可能な限り課題文そのものから引用されており、外部からの収録は最小限になっています。この2点が内部教材との違いです。
そして、そのまま本書と『英文解釈教室』との違いにもなっています。
352: 2017/05/27(土)14:45 ID:ayqVhemV0(9/10) AAS
『テーマ別英文読解教室』の紹介 (3)
収録されている課題文は『解釈教室』と同じく内部教材『英語構文演習』がソースであり、
収録数44題はオリジナルの教材が一年分40題であったことを考えれば、実力養成には十分な分量であります。
以上、『テーマ別英文読解教室』は『英文解釈教室』と遜色のない出自と内容を誇っています。
353: 2017/05/27(土)14:46 ID:ayqVhemV0(10/10) AAS
『テーマ別英文読解教室』の紹介 (4)
さて、この本の利用法ですが、まず『ビジュアル』を消化された方が続編 Part 3として使うことを提唱させていただきます。
高1、高2など早い段階で、『ビジュアル』を消化した方であれば充分可能です。
先を急ぐ受験生は『ビジュアル』の後すぐ『英文解釈教室』を読もうと思うかもしれません。
しかし、吸収消化効率を考えれば『テーマ別』が向いています。
もう一つの利用法は『解釈教室』消化後の副読本です。これは本書の“はしがき”にも書いてある利用法です。
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