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葉鍵キャラを性別反転させてみよう!その16 (893レス)
葉鍵キャラを性別反転させてみよう!その16 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/
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820: 名無しさんだよもん [sage] 2005/05/15(日) 14:40:18 ID:RI/Hvnjs0 それは例えば更衣室の中で――― クラスの女子は俺の持っていた予備知識以上にあけすけで、彼女たちが着替るなか、 俺はロッカーと睨めっこしながら努めて無心で着替えることを強いていた。 女子更衣室とはいえ十分な広さがある筈もなく、隣の子の素肌と素肌が接触することが 何度も起き、俺はその度に身を強張らせてしまい女子から訝しげな視線を送られる。 先日なんかは「河野さん突撃レポーぉト!」とかいって下着の上から胸を鷲掴みにされた。 その時の俺は、突然胸を握られたこととか、すぐ真後ろから香ってくる女の子の匂いだとか、 落ち着け、と自分に言い聞かせるより先に頭の中が真っ白になって、その子を跳ね除けてしまった。 その子や俺を取り巻いていた女子も、その時はおふざけが過ぎた、と苦笑して場を流したが 結果として女子からの不信に拍車を掛けたことだろう。 そうして現在。男子と話していた方が安心していられる自分がいた。 相変わらず悪意の混じった視線やセクハラ発言――と、定義していいのだろうか?――には 嫌悪バリバリだけど、河野貴子の本質はやっぱり男なんだと……そう、思う。 今日の昼食はひとり。さて、どこで食おうかと考えていると長瀬がいくつかのパンを 持って教室に戻ってきた。 彼女が十波と同じ行動パターンを取ってるんだとしたら、珍しい事。 二ヶ月前からも、A組にまわされてからも、彼女は大抵小牧と一緒に食事を摂るか、 でなければ学食で食べるのが常だった。 十波と長瀬。俺の疑念を解決するには良い機会じゃないだろうか? 思い切って正面に廻って声を掛けてみる。 「長瀬。今日の昼は、ひとり?」 「……」 声を掛けられたのが望外だったのか、少し目が泳いだがこくりと頷く。 「そか。なら、さ。私と一緒しないか?」 逡巡。やがて俯き、「ダメかな…?」と不安を覚えた矢先、 「いいけど…」 と短く了承してくれた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/820
821: 名無しさんだよもん [sage] 2005/05/15(日) 14:46:01 ID:RI/Hvnjs0 じゃあ、とばかりに俺が弁当を持ち出して長瀬と向かい合うように座る。 食べ始めてからも、どう切り出したら良いか頭を働かせている間に長瀬が一つ目のパンを 食べ終えてしまった。 マズイ!早くとっかかりを得ねば…と焦っていると長瀬がナニヤラちらちらとこちらを 窺っているのに気付く。視線の先は……俺の弁当。 「ああ…食べるか?分けてやるよ」 「別に…っ、そんな…つもりは……」 「いいっていいって。そら、割り箸」 「う、うん………………あ…おい、しい…」 「口に合ってよかったよ。まだ三、四人にしか食ってもらったことないから」 「河野さん、料理、上手なんだ」 「貴子でいいよ」 『以前の由真』には河野貴明河野貴明とフルネームで呼ばれてばかりで、同じ顔、同じ声で さん付け呼ばわりされるというのは肌に合わない。 「まあ上達するっきゃないって状況に立たされてたからな」 「ねえ貴子、さん「『さん』はいらないって」うん…。貴子ってその……め、め…」 「メイドって噂?」 聞くことに戸惑うのは彼女の性格か、はたまた長瀬もまた瑠璃ちゃんのようにメイドという 存在に歪んだイメージを持った後ろめたさからだろうか。 どんな理由であろうと長瀬が聞き易いよう、何でも無い事のように扱ってみせた。 「メイドじゃなくて、使用人だよ。雇われて他人の世話してることは一緒だけどさ」 「使用人……」 長瀬はその単語の意味するところを咀嚼するように呟いている。 「執事と使用人の違いってなに?」 「は?」 まるで進行中の刻を吹っ飛ばしたかのような脈絡の無さ。 でもこれって、十波といた頃はよくあった事…だよな? http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/821
822: 名無しさんだよもん [sage] 2005/05/15(日) 14:46:53 ID:RI/Hvnjs0 「執事ねぇ……やることはそう変わらないんじゃないかな?ただ何となく主人の側を 離れない、みたいなイメージあるよな。 でもやっぱ同じかもしんない。身の回りの世話したり、雇い主の送り迎えやったり」 「楽しい?」 「楽な仕事なんて無いと思うけど…けどこうして上達した料理誉めてもらうのは悪かないよな」 「そう」 「興味でもあるのか?」 「別に…」 「そうか……?」 「…………忠告しておくけど」 おいおい、また話題が飛んだな。 「貴子って浮いてるから気をつけたほうがいいわよ」 「なんだよそれ?」 「女子から離れて男とばっかり話してるから。良くない噂、広まってる」 「なら、私と一緒にこうしてたら疑われるんじゃないのか?」 「いいの。あたしって元々馴染んでるタイプでもないし」 「ん。だったら、言いたい奴には言わせておけばいい」 お互い食べるものは無くなっていた。話すなら、今だ。 「長瀬、私も聞いていいか?」 「あたしの方も、名前でいいわよ」 「いや、それは遠慮しておく。なんか調子狂うし」 「ズルイわよ、それ」 何でだよ…。でも……いいぞ。ノってきたな? 「長瀬ってずっと前から目、悪い?」 「そうよ」 「先月、コンタクト着けてたりしてなかったか?」 「ううん。でもちょっと前まではこの眼鏡、修理に出してた。 それもこれもあの…………??なんだっけ?」 俺に聞くな。 でも、なんだろう。今、彼女がもの凄く十波に近付いた。 ともかく裏付けは取れた。なんで俺に十波と名乗ったのかは分かんないけど、長瀬は十波だ。 ここから先は……リスクが伴う。でもここまで来て聞かずにはいられなかった。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/822
823: 名無しさんだよもん [sage] 2005/05/15(日) 14:48:08 ID:RI/Hvnjs0 「なぁ長瀬。十波って知ってるか?」 「なっ―――なんであんたが知ってるのよっ!?」 ガタンと椅子を押し退け立ち上がる。 教室にいた連中も何が起きたか解らずに視線だけが集まった。 長瀬も、それに気付き脱力したように腰を落す。 「もしかして…そっちが地なのか?」 「知らないわよそんなことっ。それより!どうしてその名前を知ってるのよ?」 ここが本当の境界。これ以上踏み込んでしまえば確実に怪しまれる。 俺は心のどこかで知られたがっていたと言うのだろうか? この口が止まることは無かった。 「前に私の知ってる奴がさ。長瀬の事、十波って呼んでたんだ」 「誰よそれ」 「そいつ、貴明っていうんだけど……知ってるか?」 「たかあき?………たかあき……」 そこに人別帳でもあるかのように瞳を上方に向け、記憶の探ってる様子。 「―――知らない」 「えっ!?」 あっけらかんとした返答に今度は俺が面食らった。 「知らないって、どういうことだよ!河野貴明、本当にこの名前に覚えが無いのか!?」 自分が今どれだけ危うい発言をしているか頭では解っていたが感情が追いつかない。 「知らないってば。それ、あんたの兄弟?」 「嘘だ!…………あっ…」 声を張り上げる。のぼせ上がった俺は教室内の静寂に引き戻され、 「ごめん。変なこと訊いた」 短く詫びをいれて席に戻った。 放課後。午後の授業の内容は全く頭に入って来なかった。 十波が俺のことを覚えていない?自分はその程度の認識でしかなかったのか? http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/823
824: 名無しさんだよもん [sage] 2005/05/15(日) 14:54:31 ID:RI/Hvnjs0 何かがおかしい。 じっとり厭な汗をかいた自分の手を見る。自分の体なのに妙に朧げで頼りなく見えた。 どうしようもなく不安に陥っていく。けど、どう確かめたら良い? とぼとぼと昇降口から抜けると、遠くの方に場違いな容姿の女性を見つける。 イルファさんだ。大方珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃんを待っているのだろう。 ……そうだ!イルファさんなら、きっと…! 思い立ったが駆け足で彼女の元に駆け寄った。 「イルファさん。珊瑚ちゃん達のお迎えですか?」 「まあ貴子さま。今日はお二人とも早めに帰ると言っておりましたので、こうして…」 「ご苦労様です。ところでイルファさんに訊きたい事があるんですけど…」 努めて冷静に。 「はい。お役に立てることなら何なりと」 「あのですね……河野貴明っていう人を知りませんか?」 「ご兄弟の方ですか?」 「……そんなとこです」 イルファさんの目から瞳が失せて、人形のようになってしまった。 それでも、その姿は記憶を掘り起こす人間となんら差異は無く見える。 「―――少々お待ちください、もっと深いデータベースも検索してみます―――」 心臓を握り潰されたようだった。イルファさんまでも俺が身近な人間だったという記憶が欠如している。 いや、まだだ。ここからだ。だから俺は来栖川が誇るメイドロボの彼女を頼ったんだから。 重たい沈黙の果てに、イルファさんの目に光が戻ってきた。 「お待たせ致しました。結果なのですが……私のメモリー内に河野貴明という人物は おりませんでした。わたしが来栖川研究所からロールアウトされてから一ヶ月間、 入力されてきた人物のデーターベースは一人足りとも削除されてませんので間違いは ないです。 しかし…何故か私はその人の事を良く知ってる気がするのです。こんなことは初めて なのですが……お役に立てなくて申し訳ありません―――貴子さま?どこか具合でも?」 「いえ……なんでも……引き止めて………すみま、せん…でした………」 もう駄目だった。堪え切れず遮二無二走り出す。 どこへ向かおうというのか、この足は。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/824
825: 名無しさんだよもん [sage] 2005/05/15(日) 15:03:36 ID:RI/Hvnjs0 ―――俺が、いない?河野貴明が?そんな、バカなこと!! やがて足が止まる。息をするのも苦しいほど胸が痛い。 これっぽっちしか走ってないのに、この息の上がりよう。 精神的にまいっているのは明らかだ。 酸素不足の眩暈も収まり、改めて周囲を見渡すと俺は自分の家の垣根に背を預けていたのだ。 無意識の内に、俺自身のルーツを求めていたのか…。 縋るような想いで、予め持ち歩いていた鍵を使い久方ぶりの我が家に帰る。 アルバム!あれなら! 本棚を荒らしながら必死にアルバムを探す俺は、もはや半泣き状態。 「…見つけた」 うっすらとホコリをかぶった分厚い冊子。 めくろうとして、戸惑う。一分ほど、そうしていただろうか。 恐る恐る中身を認める。始まりは俺が赤ん坊の頃のもの。 親父か、母さんか、中々マメに俺のことを写真に収めていたようだった。 小さい頃の俺はどの写真でも髪が短く服装も男物で、男か女か判断できない。 段々、俺とこのみ、タマ姉に雄二と一緒の写真が増えていく。 温かな気持ちに包まれるのも束の間。厭なものを見た。 小学校入学式の写真。 にこやかな両親の間で緊張した面持ちの俺は―――赤いランドセルを背負っていた。 胸が痛む。ギリギリと俺を苛む。 信じたくない。その一心で更に、乱暴に、ページをめくっていく。 中学校の入学式。 俺の着ていた制服は、女子のものだった。 これは決定的だ。 自分に覚えが無い以上、この写真の人物が俺である確証は無い。 でもこれで決定付けられてしまった―――河野貴明が、いない……と。 ガタガタと震えが襲う。 まだ俺は少しも信じちゃいない!信じられる筈があろうか!? 「親父!母さん!」 この場にいない人間の答えを求め、受話器を取る。良かった、まだ通じてる。 電話番号のメモを取り出し、自由の利かない指先で慎重にダイヤルする。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/825
826: 名無しさんだよもん [sage] 2005/05/15(日) 15:27:56 ID:cf7q2Xbe0 >>807 (省略されました続きを読みたければココを一秒間に十八連打してください) 無理ww http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/826
827: 名無しさんだよもん [sage] 2005/05/15(日) 15:28:26 ID:RS6YklCD0 >>815-825 メイドと学生の二重生活も始まってドタバタマターリ…と思いきや なんかいきなり急展開!? http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/827
828: 名無しさんだよもん [sage] 2005/05/15(日) 15:29:29 ID:cf7q2Xbe0 >>826 ×>>807 ○>>814 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/828
829: 名無しさんだよもん [sage] 2005/05/15(日) 15:30:15 ID:RI/Hvnjs0 電話は………通じなかった。 何度もメモを確認して、何度も掛け直しても、電話は通じない。 おそらくはまた別の地域、あるいは別の国に飛んで連絡先が変わったのだろう。 これ以上誰に縋れと云うのか。 誰でもいい!俺を貴明と呼んでくれる奴は……。 自然と、この指は向坂家の番号を押していた。 この時間、果たして雄二かタマ姉は家に戻っているだろうか…。 「たのむ、たのむ、たのむ…!出てくれよっ」 [はい、もしもし] 「っっ、雄二か!?」 [おっ?ああ、貴子か?どうしたんだよ、電話なんて珍しい] 「なあ雄二!お前は俺がわかるよな?」 会話もへったくれもなかった。ただ悲痛に訴える他なかった。 [お、おい。なに言って…」 「答えてくれよ!!俺は…俺は…誰なんだよ!!」 [貴子!?どうしちまったんだ!おい!!今どこに「っっくっ!」―――] 切れた。いや、切った。 「貴子、貴子、たかこ。もう貴明なんてどこにもいないんだ。俺は…お、れ…」 あてもなく歩く。今は街の喧騒から少し離れた、いわば裏道にあたる場所にいた。 今は、向坂の家には戻りたくない。 どうでもいい。 それ以外、考えられなかった。 「――っ!―――?――――!?」 誰か俺の近くで喚いている。うるさい。でも、やっぱどうだっていい。 「おい!聞こえねえのか!?」 ふと見れば、知らない男数人に囲まれていた。 タマ姉じゃないけど、いかにも不良な出で立ちをした連中。 「お?この女知ってるぜ。ウチの学校で槍玉になってるヤツだ。なんでも、女共から離れて 男とばっかツルんでるみたいでな」 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/829
830: 名無しさんだよもん [sage] 2005/05/15(日) 15:31:36 ID:RI/Hvnjs0 なに言ってんだこの男? こいつを含め、どう見ても俺より一回り年上なのに。とても高校生には見えないぞ。 「へっへぇ、そいつぁイイ。アッチもさぞやお盛んなんだろうなあ」 「なぁ、ちょっとオレタチに付き合えよ。極楽見せてヤんぜ?」 バカバカしい。相手にしてられるか。 男たちの間をすり抜け、ようとしたが腕を掴まれ強引に壁に押し戻される。 「逃げられっと思ってんのか?ああ!?」 「はな、っせ!!この!」 「おい。口塞げ。あそこに連れてくぞ。車回せ」 俺を知ってると言ったリーダー格の男に従って、一人が俺を抑え、もう一人はどこかに 消えていった。 どこか夢現であった俺は此処で初めて恐怖という感情を思い出した。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/830
831: 名無しさんだよもん [sage] 2005/05/15(日) 15:32:37 ID:RI/Hvnjs0 以上 ヘ( `Д)ノ 俺は逃げるぞおおおおおお!! ≡ ( ┐ノ :。; / http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/831
832: ひとつになる想い [sage] 2005/05/15(日) 22:39:21 ID:ckuYGMhq0 「……」 午前1時30分。僕の部屋は、エアコンの微かな唸りだけが響いている。 本当ならもうとっくに寝てる時間だけど、僕の目は完全に冴えている。それというのも、さっきまで 僕が置かれていた状況が原因だと思う。 「ゆうのことはもう大丈夫……だよね」 もう何があっても、僕が傍にいる限り、ゆうは自分を保っていられる――多分。 少なくとも、目覚まし時計で大見得を切った以上、僕は彼女の支えでなければならない訳で……。 今はどうにか、それは達成されてる。 (それに、ついさっきのことだし) 1時間半ほど前のことを思い返す。 雪の中、僕はゆうを待ち続けた。そして、彼女は来てくれた。お互いの想いが一緒だったことも 確認できた。それを証明するようなキスの感触も、まだ僕の唇が覚えてる。 でも、これで僕たちを取り巻く問題の全てが解決した訳じゃない。 「父さん……」 事故で大怪我を負った父さん。まだ意識を失ったままで、これからどうなるのか、全くわからない。 ゆうのことが解決したから、今度はそっちの方が余計に気になるようになってしまった。 (もしこのまま……ううん、そんなことはないよ。大丈夫、きっと大丈夫……) でも、この考えには全然根拠がない。ただ信じるだけ。 傍らに置いてある、電話機の子機を見つめる。 父さんの容態が変わったら、病院が電話してくれることになっている。だから、もしこれが鳴った時、 父さんは良くなってるかもしれないし、逆に……。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/832
833: ひとつになる想い [sage] 2005/05/15(日) 22:39:54 ID:ckuYGMhq0 「もう止めよう。ゆうもそろそろお風呂から上がる頃だし」 無理に、考えを全く関係ないことに向ける。 駅前から一緒に帰って来た時、僕たちふたりは寒さで震えていた。だから、ゆうに先に入浴するように 勧めたんだけど、彼女は「あなたはずっと外にいたんだから」と言って、僕に譲ってくれた。 おかげで僕は助かった……1日中あの寒い中にいたんだ。お風呂のあったかいお湯でどうにか 生き返って……で、今はゆうが入って――。 その時、トントン、とドアがノックされた。 「雪弥、まだ起きてる? いいかしら?」 ゆうだった。噂をすればなんとやら。お風呂から上がったんだ。 エアコンのある部屋とは違って廊下は寒いから、早く入れてあげなきゃ。 「あ、うん。どうぞ」 即答すると、ドアがゆっくり開く――え? 「ゆ、ゆう……?」 あれ? な、なんで服を着てないの? 僕の前に立つゆうは、その身にバスタオルをまとっただけの姿で……。 「雪弥……」 一瞬だけ、ゆうが笑みを見せる。すぐに壊れてしまいそうな、儚い笑顔だった。 でも、僕が何か言おうとした直前、ゆうは僕に飛びついてきた。その弾みで、彼女を覆っていた バスタオルが解けて……音もなく、床に落ちた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/833
834: ひとつになる想い [sage] 2005/05/15(日) 22:41:02 ID:ckuYGMhq0 「私を、抱いて……」 「えっ、ええっ?」 えーと……抱いて、って、それはあの……エッチなことをして欲しい、ってことだよね? 「あ、あのさ……まだ不安なのかな? その、僕じゃ……」 あの目覚ましに吹き込んだ約束だけじゃ安心できなかったから、ゆうはいきなりそんなことを 言い出したのかもしれない。混乱しながらもそう結論づけた僕は、そう聞いていた。 「ううん、違う」 でも彼女は、僕の胸元に顔を埋めたまま、首を横に振る。 「私は、雪弥がいれば平気よ。でも、やっぱりまだ怖い。秋人さんが……どうなっちゃうのかが」 そう。僕も今の今まで、そのことを考えていた。父さんのこと。心配でたまらなかった。ゆうの心を 救えた今でも。 「だから、今だけは……今だけでいいの。それを忘れさせて。お願い、私の支えになって……」 ああ……もうここまで言われたら、拒みきれない。 それに、僕の身体は恨めしいくらいに正直だった。裸になったゆうに抱きつかれて、その、股間の アレが……大きくなってる。 僕は何も言わずに、彼女をベッドにそっと、なるべく優しく押し倒した……。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/834
835: ひとつになる想い [sage] 2005/05/15(日) 22:41:48 ID:ckuYGMhq0 何も身に着けずに、美しい裸体を僕に晒すゆう。 (綺麗だ……) 顔立ちはもう言うまでもないし、形の整った胸も、細い腰や手足も、ふっくらとしたお尻の部分も、 滑らかな肌も、何もかもが綺麗だった。 「ゆ、雪弥も脱いで。私ばっかり恥ずかしい……」 僕の舐めるような視線に気づいたのか、ゆうが消え入りそうな声で訴えた。 「う、うん」 僕もぎこちなく応じると、着ていたねこ柄の寝間着を脱いだ。そして下着も、全部。これで条件は ゆうと同じ。恥ずかしいのもゆうと同じだけど。 ただ、今はその恥ずかしさよりも、これからゆうとセックスができる、って期待感の方がずっと強かった。 改めて、ゆうと重なる。素肌が触れ合い、彼女の温もりが伝わってくる。 「キス、するよ」 「あ、ゆき――んっ……」 返事を確認もせず、そっと唇を重ね合わせる。さっき駅前でやったみたいな、軽い感じのキス。 のつもりだったんだけど……。 (んっ……?) その最中、僕の唇に違和感。ゆうが僅かに舌を出して、それが触れていたんだ。 今日のゆうはなんだかとても積極的だ。じゃあ僕も……。 「ん……はぁ、あっ……ふわぁ……」 お互いの舌先がちょこん、と接触する。でも、それで済ませるつもりなんてなくて、ほぼ同時に、 僕とゆうの舌は絡み合いを始める。濃厚なディープキス。こんなのは初めてだ。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/835
836: ひとつになる想い [sage] 2005/05/15(日) 22:43:00 ID:ckuYGMhq0 「んんんっ……はぁっ、はっ……んむうっ……」 ゆうの甘く色っぽい吐息が、合わさった唇の間から漏れる。それでますます淫らな気分になって、 より激しく舌を絡め、しまいにはお互いの口の中まで貪った。 そうして、溶けるようなキスを終えて唇を離した時、唾液の糸が僕らを繋いで、崩れ落ちた。 「凄いや。余計ドキドキしてきちゃったよ」 「私も……」 とか言いながらも、僕はそれ以上を求めてて、手がゆうのおっぱいを包み込む。 「あ……やあぁ……」 半球の膨らみに指がめり込み、形を大きく変える。柔らかいのに弾力があって、僕の指を押し返そうと 抵抗する。 「んっ、いっ……あうっ!」 「大丈夫? 痛くない?」 「う、うん。でも……もうちょっと、優しく……」 言われたように、そっと丁寧に、撫でるように。 手のひらにポツンとした感触がある。それがだんだん固くなってきて、それに合わせてゆうの声も 艶を帯びてくる。 「あん……あっ、はあん……」 (感じてる……のかな?) 少なくとも、痛いって感じじゃない。だから調子に乗って、僕は乳房の先端にある、ピンク色の突起に しゃぶりついた。 「っ、あっ! ふあうっ!」 それは僕の口の中でますます固く勃起していく。コリコリとした感触が、僕の唇や舌に心地良い。 軽く噛んでみると、ゆうは大きい声を上げた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/836
837: ひとつになる想い [sage] 2005/05/15(日) 22:43:58 ID:ckuYGMhq0 「ああっ、ヤダっ! やめてぇっ!」 「ごっ、ごめんっ!」 「あっ、違う……もっと、して欲しい……」 嫌がるように叫んだから、てっきり痛かっんだと思ったけど……。でも、まだ慣れてない僕の愛撫で 感じてくれて、求められるのは嬉しい。 「じゃあ、こっちも……」 再び乳首にキスをするのと同時に、僕の手はゆうの下半身へと伸びた。 「そ、そこはっ……!」 (濡れてる……) ちょっと触っただけでもわかった。ゆうのそこは、もう熱く湿っていた。 そのまま、指でまさぐる。くちゅり、って音と共に、僕の人差し指が、ゆうの柔らかい肉の中に 飲み込まれた。 「あっ!」 「凄く熱いよ、火傷しそうなくらい」 「あっあっ! やっ、イヤっ!」 でも、今度は止めなかった。さっきみたいに、ゆうが本気で嫌がってる訳じゃないのを知っていたから。 一度指を抜いて、入り口の部分を重点的に責める。 「っ! ひゃあっ! ひああっ!」 薄い下の毛をかき分けて、一番敏感な部分を探り当てる。 ゆうの蕾に触れると、彼女は今日で一番大きな嬌声を上げた。でも構わずに、既に固くなっていた そこにクリクリと刺激を与える。 「そ、そこおっ、ダメっダメえっ! 感じちゃうっ! おかしくなっちゃうっ!」 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/837
838: ひとつになる想い [sage] 2005/05/15(日) 22:44:35 ID:ckuYGMhq0 (女の子って、こんなに感じるんだ……) この前――僕らが初めて結ばれた時、ゆうはこんなには乱れなかった。僕が下手だったのはもちろん だけど、とにかくひとつになることを急いで、こういった前座をおざなりにしていたからだろう。 だから、僕はその轍は踏むまい、と思った。もっとゆうを気持ち良くしてあげたい。 それに……僕も見たかった。ゆうの全てを。ゆうが僕の行為で感じてる姿を。 いったん身体を離し、はぁはぁと切なく息を吐くゆうを見下ろす。そして僕は、彼女の両足を掴んで、 左右に大きく広げた。 「なっ、なにするのっ!? は、恥ずかしい……っ!」 「ゆうのこと、もっと良く見たいから……」 薄く生え揃ったヘアーは丘の部分をうっすらと覆ってて、「飾り毛」という呼び方がピッタリだと思う。 その下にあるのは、ゆうの「女性」の部分。 この前、僕が処女を奪ったところは、透明の液体で濡れてて、割れ目が少しだけ開いていて、その奥は 鮮やかなピンク色で……。 「ゆう……綺麗だよ……」 僕の心の奥で、理性のたががひとつ、音を立てて砕け散った。 その直後に、両手を使ってゆうの割れ目を思いっきり左右に広げた。 「きゃああっ! ひっ、開かないで! 見ないでぇっ……」 彼女の抗議にも構わず、内側が明らかになったそこにキスをして、舌を這わせる。 「や、ヤダぁ……そんなとこ舐めるなんてぇ、汚い……」 「汚くなんかないよ。こんなに綺麗なのに。ゆうの味がする……美味しいよ」 「うっ、嘘よおっ!」 「ホントだって」 僕はそう言って、ゆうの割れ目に深く口づけた。今の言葉を証明するように、蜜を強く吸い出す。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/838
839: ひとつになる想い [sage] 2005/05/15(日) 22:45:17 ID:ckuYGMhq0 「んっ、あっ! やっ、ちょ、ちょっとおっ――はんっ!」 わざと音を立てて嚥下する。それだけじゃなくて、溢れた蜜も舐め取って、さらには膣内への入り口や、 小粒の真珠を思わせる秘芯にも刺激を与える。 「ひゃああっ! あはぁっ!」 僕は興奮しきっていて、獣のようにゆうの女性器を貪っている。でも、頭のどこかでは冷静さがまだ 残っていて、どうすればゆうを満足させてあげられるかを考えていた。だから、一番敏感なクリトリスを 重点的に愛撫する。 「やああっ……だっ、ダメえっ! イッちゃうっ! これ以上はダメよっ!」 (あ……そろそろ、なのかな?) 僕でも、女の子をイカせることができるんだ。男として、ちょっとだけ誇らしくなった。そして本当に イカせるため、僕はゆうのクリトリスに口づけて、強く吸い上げた。 「ふぁああっ! ああああああっ!」 その瞬間、ゆうの全身が弓のようにピーン、とのけぞって、やがて脱力した。 (やった……!) 密やかな満足感を覚えつつ、僕は身体を起こして、改めてゆうと向き合う。 肩で息をし、瞳もどこか虚ろだったけど、僕の愛撫で初めて絶頂した彼女はそれでも美しかった。 僕はゆうが回復するのを待つ。少しして、ようやく彼女が言葉を発した。 「あぁ……はぁ、ふわあぁ……雪弥ばっかりずるい……その、私も……」 「えっ?」 「私も……雪弥のを、口でしてあげる……」 「……うん、じゃあ……お、お願い」 いきなりの申し出にちょっと戸惑ったけど、それ以上にワクワクしていた。 だから僕は、起き上がって僕の股間に目を向けるゆうに、全てを任せることにした……。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110339530/839
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