【WHITE ALBUM2】和泉千晶スレ ネコ2匹目 (527レス)
上下前次1-新
144(1): 2013/03/10(日)00:28 ID:xkoDBqzP0(3/13) AAS
**********5/13(木)「シアターモーラス」『届かない恋』開演前
「明日の講演後このコ連れて来て。そしたら取材でも何でも応じるよ」
瀬之内晶はそう言って板倉記者にチケットを握らせると、あっという間に雑踏へ消え失せてしまった。
あとに残されたかずさと板倉記者だが、かずさのほうは呆気にとられたようすで、板倉記者が何を話しかけても生返事しか返ってこなかった。
仕方なく、明日会う約束だけしてその場は別れた板倉記者だったが、かずさが来るかは半信半疑だった。久しぶりに会った学友?にしては様子がおかしかったが…
翌日の講演開始10分前。待ち合わせは20分前だったから、もう10分の遅刻だ。
「…また騙されたかも?」
シアターモーラスの入口で待ちつつ、そうぼやいた板倉であったが、程なく彼女は現れた。
「…やあ、板倉さん」
「はいはい、かずささんこんにちは〜。今日はお付き合いありがとうございます。いやいや、本日は僭越ながら御同席させていただきますので…」
省15
145(1): 2013/03/10(日)00:30 ID:xkoDBqzP0(4/13) AAS
間もなく舞台が始まった。オープニングニングに流れたのは「White Album」。かずさにとっても懐かしい曲だ。
メジャーデビューを夢見る高校生、西村和希が二人のヒロインをバンドに引き込もうとするシーン…前半はラブコメディ色が強い
「俺と合わせられるのはお前しかいない!」
「だから質問に答えろ」
「俺みたいなヘタクソをフォローするには、お前くらいの腕がないと不可能なんだよ!」
開演後、しばらくして…2人目のヒロイン『冬木榛名』登場のあたりから…板倉はかずさの異変に気づいた。
最初はギャグシーンで他の観客と同じようにクスクス笑っていたかずさが、やがてクスリとも笑わなくなったばかりか、だんだんと表情を強ばらせている。
「…あの…かずささん?」
「…まさ…か……っ」
かずさは、気付きつつあった。
省5
146(1): 2013/03/10(日)00:32 ID:xkoDBqzP0(5/13) AAS
舞台はコンテストの直前、控え室での和希と雪音。雪音が和希にキスをねだるシーンだ。
「じゃ、もう一度目をつぶるので考えてみてください。制限時間は30秒!」
「え? え? え?」
「ん〜っ!」
「目をつぶったのはわかったけどさ…その背延びは何?」
「残り20秒〜」
「ゆ、雪音…?」
「残り10秒〜」
「10秒はやっ!?」
「………」
省11
147(1): 2013/03/10(日)00:35 ID:d1GSJ4FO0(2/2) AAS
終わってなかったのかよw
気持ちはわかるがあまり一気に投下すると何だから焦らず日を跨いだ方がいいんじゃない?
どうせ過疎ってるんだし
あまりに長文すぎると読むこと自体拒絶したくなるわ
何より連投規制で引っ掛かる可能性が高くなる(まして書き込みの少なくなる深夜)
148: 2013/03/10(日)00:40 ID:xkoDBqzP0(6/13) AAS
>>147
ありがとう。
明日にします。
149: 2013/03/10(日)23:28 ID:xkoDBqzP0(7/13) AAS
こんばんは
昨日は長文連投失礼。
もうラスト以外できているけど、ペース配分して投稿します。
今日は、『届かない恋』の終幕まで。
ちなみに、雪菜True後の後日談ですので、千晶Trueの『届かない恋』とは内容異なる
(千晶入れ込んでない、雪音に千晶入ってない等)ってことでご了承ください。
150(1): 2013/03/10(日)23:31 ID:xkoDBqzP0(8/13) AAS
「イチャイチャしたりジタバタしたり忙しいな」
「うぇっ!? ふ、冬木?」
ガタンッ!
「えっ!? かずささん!?」
突然立ち上がったかずさに驚いたのは板倉だった。かずさの顔からは血の気が失せていた。
「ごめんな… それから、今日まで本当にありがとう」
「…まだ終わってないだろ。最後の、一番めんどくさい本番が残ってる」
「そうだな…これが最後だ」
「………っ」
「行こうか、冬木。雪音が待ってる」
省9
151(1): 2013/03/10(日)23:32 ID:xkoDBqzP0(9/13) AAS
**********幕間
「…かずささん?」
板倉に話しかけられてかずさは我に返った。
『榛名』のキスシーンから第一幕の終わりまで、結局かずさはずっと立ちっぱなしだった。
「…行く…」
そうつぶやいたかずさに板倉は聞き返した。
「?…おトイレですか?」
「あの女のとこだよ!」
「えっ? かずささん?」
板倉を押しのけて出ようとするかずさであったが、座っていたのは端が詰まった席であったため、板倉や他の観客が邪魔になりすぐに出られない。
省13
152(1): 2013/03/10(日)23:33 ID:xkoDBqzP0(10/13) AAS
「後悔…するぞ…」
「後悔なんて…し飽きた…」
暗転する舞台
「いつもの約束…守れよ?」
「榛名…」
「雪音には…内緒だぞ」
雪音は、ふたりの逢瀬に気付きつつも、カタチだけの「遠距離恋愛の彼氏と彼女」の関係にすがりつく。
いや、カタチだけの廃墟同然の関係にすがり、崩壊だけ先延ばしにするような日々を送る。
「『もぉ〜、ひどいよねぇ〜。誕生日にまで仕事入れられて〜』」
「『てなわけで、和希くんゴメン! 電話してくれてうれしかったよ! じゃあ…』」
省10
153(1): 2013/03/10(日)23:34 ID:xkoDBqzP0(11/13) AAS
そして、最終幕。
そんな嘘に塗り固められた日々に疲れた和希がふと、榛名のピアノを聞きたいと漏らしたところから話は終盤に向かう。
ブランクとスランプに喘ぎ、自暴自棄になって和希まで拒絶して引きこもってしまった榛名。その危機を救う為に現れたのは他でもない、雪音であった。
「…何のために来た…? わたしを罵りに来たのか? それとも…憐れみに来てくれたとでも言うのか?」
雪音を拒絶する榛名。しかし、雪音は引き下がらない。
「どうしてそんなこと…そんなこと、どうして言うの…全部あなたが臆病なのが悪いんじゃない!」
ぱしっ。平手の音が響く。
「勝手な…ことを言うな…あいつの…想いも夢も、尊敬も、焦りも、嫉妬も、彼女の座もずっと独り占めしておいて…今さら被害者ですよってしゃしゃり出てくるなっ」
ぱしんっ。榛名も負けじと返す。
省7
154(1): 2013/03/10(日)23:35 ID:xkoDBqzP0(12/13) AAS
二人の為に身を引く決意を固める榛名。
榛名がピアノを取り戻したことを知った母親からの留学の薦めを承け、誰にも知らせずウィーンへ去ろうとする。
飛行機が起つ直前でその事を知り、空港へと向かう和希と雪音。
雪による遅延で奇跡的に3人は出会うことができた。
再会を誓い、和希と雪音は榛名を見送る。しかし、榛名はもう二人の元に戻らないと心に決めていた。
「あれ?」
「何か…ポケットに…」
「これ…和希のギターピック…」
その意味に愕然として飛行機に向かい榛名の名を叫ぶ雪音。その雪音に寄り添う和希。
二人の姿を照らしていたスポットライトが徐々に絞られ、舞台は暗転し、最終幕は閉じられた。
省2
155: 2013/03/10(日)23:44 ID:xkoDBqzP0(13/13) AAS
投下完了。
明日、明後日はかずさvs千晶です。
156(1): 2013/03/11(月)01:03 ID:IkWb9Us60(1/2) AAS
>>142-146
いきなりかずさに馴れ馴れしすぎるような>千晶
千晶演じる雪菜に騙くらかされうなずいてしまうかずさ
バンドを組んで友情を深めた三人が三角関係にってとこでちょっと反応欲しかった気も
かずさの前で榛名を演じニヤニヤする千晶、美味しいぞw
157: 2013/03/11(月)01:07 ID:w4CbuvwJ0(1) AAS
あら随分大作
ご苦労さん
でもこのスレ的には雪菜End後より、千晶End後の方が需要があったような…
158(1): 2013/03/11(月)01:14 ID:IkWb9Us60(2/2) AAS
>>150-154
ん〜もう少しかずさの蒼白度(?)が欲しかったかなーと
それこそ顔面蒼白で声も出せないみたいな
て、なぜに張り手合戦!?まさか千晶はその後もずっと観察し続けてたとか?
ピック、たしか雪音は返さなかったんだよな
次はかずさが楽屋へ乗り込んで派手に張り手合戦、と読んだw
159(1): 2013/03/11(月)21:03 ID:TEnqWxrg0(1/6) AAS
>>156
>>158
感想サンクスです。
スマホからで恐縮ですが、千晶さんにインタビュー
>>千晶さん。かずささんに馴れ馴れしくないですか?
「あはは。そこは賭けだったなぁ。向こうは今をときめくヒトだし、こちらも時間ない中、最終日前にかずささんの『演技指導』受けたかったしね
…決め手は春希と雪菜の名前出した時の反応かな。『かずさの事も知っている二人の共通の友人』って誤解させて切り込むコトにした」
>>バンド組んで三角関係って、かずささんとってはすごくトラウマですよね。かずささんの反応薄くなかったですか?
「ん〜。確かに。1幕より三角関係露わな2、3幕の方が反応薄かったよねぇ? 事実から離れてるからかな? 閉幕時の声はでかかったけど…何でかなぁ?」
>>どうして張り手合戦?
省5
160(1): 2013/03/11(月)22:25 ID:TEnqWxrg0(2/6) AAS
**********「シアターモーラス」『届かない恋』閉幕後、場外のベンチにて
「…かずささん! …大丈夫ですか? しっかりして下さい!」
「………ううぅ…うう…」
板倉は困り果てた。閉幕後、板倉が何度呼びかけてもかずさはベンチにうずくまり、立ち上がろうとしない。
そこへ現れたのは千晶だった。
「いやぁ、そんなに泣かれるほど感動されると役者冥利に尽きるねぇ…」
「…っ!」
かずさが顔を上げ、涙も拭かず、憤怒の視線を千晶に向ける。
千晶は鋭い睨みにもひるむことなく、手にしたボストンバッグを床に置くと、飄々と芝居じみた語り口を始めた。
省14
161(1): 2013/03/11(月)22:27 ID:TEnqWxrg0(3/6) AAS
「ピアニストだから本能的に手をかばう、なんて都市伝説だね。フルパワーじゃん。
それに、昨日も触って思ったけど鍛えられた硬い手指。鉤爪みたいだね。弱々しい音ばかりの平手打ちとは月とスッポンだ」
「まさか…あなた…」
板倉は悟った。さっきの吹き飛び方はいくらなんでもおかしかった。手も予想していたように素早く顔を完全にガードしていた。それに、吹き飛んだ先には本人が事前に置いた大きなボストンバッグ。
「…わざと、冬馬かずささんを怒らせて…手を出させた?」
「ご名答」
「…なんで?」
「『恋敵に対してするように手を出して下さい』ってお願いしたらちゃんとやってくれた?」
「?? …なんで冬馬さんに…っ!? まさか…」
板倉は勘付いた。かずさも気づいた。
省13
162(1): 2013/03/11(月)22:28 ID:TEnqWxrg0(4/6) AAS
全て話し終えた後で、千晶はそれまでのうすら笑いではなく、にこやかな微笑みを浮かべて言った。
「まぁ、でも、ケリついたみたいだね。あんたたちの関係」
「!? っ! 何を!?」
「アンサンブル増刊号、付属CD『White Album』ボーナストラック」
「!?」
「3人の和解の産物。あなたから声掛けないとあり得ないよね。あんな曲売られるの」
「………」
「春希とおめでとう、とだけ言わせてもらうわ。これだけは心から言える。」
「何…を…?」
省14
163(1): 2013/03/11(月)22:34 ID:TEnqWxrg0(5/6) AAS
かずさは訥訥と語り始めた。
「もう、春希は…」
ストラスブールでの再会。日本での公演を決めたわけ。日本での再会。イラついて板倉にあたり、春希に助けを求める羽目になったこと。
母親の悪だくみ、いや、計らいで春希の隣室で過ごした日々。
しかし…
コンサートの時に来なかった春希とズタボロの演奏。
旧冬馬宅まで逃げた自分を追ってきた春希。自分を支えようとする春希。
だが…
「わたしは………春希を信じることができなかった………自分の親も………」
そして、知るべきでなかった真実を知ってしまう。母と春希が隠していた、母を蝕んでいた病魔…
省11
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