[過去ログ] 【WHITE ALBUM2】冬馬かずさスレ 砂糖58杯目 [転載禁止]©bbspink.com (366レス)
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17: 2015/10/23(金)11:48 ID:+a0bZo3T0(9/43) AAS
AA省
18: 2015/10/23(金)12:00 ID:+a0bZo3T0(10/43) AAS
曜子 「あらあら。ギター君、わかりやすい表情。ひょっとしてかずさがこの先独身だったらどうしようとか気に病んでくれてた?」
春希「……」
かずさ 「フフン。残念だったな」
春希 「い、いえ。…そ、そういえば、お二人の馴れ初めなど聞かせていただけると…」
曜子 「かずさの方からよ。もう、猛烈アタック。そうしなきゃダメって経験が生きたわね」
かずさ 「(赤面)ちょっと! 母さん!」
春希 「はは…普段のかずささんからはなんだか想像できませんね」
曜子 「冬馬家の女の性欲なめんな。男ナシで20代の盛りを乗り切れるワケないでしょ」
春希 「……」
かずさ 「…あんたの血を受け継いでこれほど後悔した日はないな」
省8
19: 2015/10/23(金)12:13 ID:+a0bZo3T0(11/43) AAS
AA省
20: 2015/10/23(金)12:20 ID:+a0bZo3T0(12/43) AAS
二人の為に身を引く決意を固める榛名。榛名がピアノを取り戻したことを知った母親からの留学の薦めを承け、誰にも知らせずウィーンへ去ろうとする。
 飛行機が起つ直前でその事を知り、空港へと向かう和希と雪音。
 雪による遅延で奇跡的に3人は出会うことができた。

 再会を誓い、和希と雪音は榛名を見送る。しかし、榛名はもう二人の元に戻らないと心に決めていた。

「あれ?」
「何か…ポケットに…」
「これ…和希のギターピック…」

 その意味に愕然として飛行機に向かい榛名の名を叫ぶ雪音。その雪音に寄り添う和希。二人の姿を照らしていたスポットライトが徐々に絞られ、舞台は暗転し、最終幕は閉じられた。
 スポットライトが最後に照らしたのは二人の繋がれた手、それは二人の未来を暗示していた。

 拍手に包まれる劇場にかずさの慟哭が響き渡った。
21: 2015/10/23(金)12:29 ID:+a0bZo3T0(13/43) AAS
千晶はそんなかずさの様子を観察して悦に入っていた。
「いやいや、あの席は特等席だねぇ…」
 前列端のその席は舞台を見るための特等席ではなかった。舞台袖に控える役者がその観客を観察するための特等席だったのだ。
「3人の1人しか引っ掛からなかったのは残念だけど…さあ、見せてちょうだい。冬馬かずさの怒り、嫉妬、嘆き、叫び、涙。全部を…」
 千晶はそう呟くと『榛名』に戻り、舞台へ踏み出した。

「イチャイチャしたりジタバタしたり忙しいな」
「うぇっ!? ふ、冬木?」

 ガタンッ!
「えっ!? かずささん!?」
 突然立ち上がったかずさに驚いたのは板倉だった。かずさの顔からは血の気が失せていた。
省8
22: 2015/10/23(金)12:46 ID:+a0bZo3T0(14/43) AAS
5/13(木)「シアターモーラス」『届かない恋』開演前

「明日の公演後このコ連れて来て。そしたら取材でも何でも応じるよ」
 瀬之内晶はそう言って板倉記者にチケットを握らせると、あっという間に雑踏へ消え失せてしまった。

 あとに残されたかずさと板倉記者だが、かずさのほうは呆気にとられたようすで、板倉記者が何を話しかけても生返事しか返ってこなかった。

 仕方なく、明日会う約束だけしてその場は別れた板倉記者だったが、かずさが来るかは半信半疑だった。
 久しぶりに会った学友?にしては様子がおかしかったが…

 翌日の公演開始10分前。待ち合わせは20分前だったから、もう10分の遅刻だ。
23: 2015/10/23(金)12:54 ID:+a0bZo3T0(15/43) AAS
ああ、冬馬さん。わたし。クラス別だったけど学年同じだったよ。でも覚えてないよね。瀬能千晶っていうんだけど」

 突然見知らぬ学友に話しかけられ、今度は冬馬が泡を食う。
「え、ええ?」
 かまわず千晶は続ける。
「ひょっとして、今の舞台見ていた? ごめんごめん、全然気付かなかった」
 そういう千晶の顔は悪戯を見つけられた少年のものだった。だが、その目はひそかにかずさの反応を注意深く見ている。
「あ、いや、今日は別件で…」
 その答えを聞き、千晶は軽い舌うちとともにぼやいた。
「やっぱりか…、ちぇ。春希も雪菜もチケット渡したのに見に来なかったし…」
 そのつぶやきは誰にも聞きとれないほど小さかった。しかし、ピアニストであるかずさの耳にははっきりと聞こえた。
省6
24: 2015/10/23(金)13:01 ID:+a0bZo3T0(16/43) AAS
 板倉記者は困った。
 相手は今をときめく話題の美人女性ピアニスト。ここは謝罪を受けつつ、うまくすり寄って取材に持ち込めたら僥倖である。
 
 しかし今日は別の取材相手の出待ち中で、タイミングが悪かった。
『なんでこんなタイミングでこんなチャンスが…』
 しかし、二兎を追う者一兎を得ず。ここは当面の取材を優先すべき。

 少し待ってと板倉記者が言いかけたその時だった。

「あれ? 冬馬かずささんじゃないですか?」
 そう言ってスタッフ出入り口のドアを開けて出てきたのは、板倉記者の本日の取材のターゲット。
 劇団コーネックス二百三十度の新人女優、瀬ノ内晶、本名和泉千晶であった。
省2
25: 2015/10/23(金)13:12 ID:+a0bZo3T0(17/43) AAS
マネージャーはこれから冬馬曜子—稀代の世界的ピアニストにしてかずさの母、そして、冬馬曜子オフィス社長—の所に報告に向かうことになっている。
 行先は峰城大学病院…公表はされていないが、曜子は白血病を患い定期的に検査入院を繰り返している。
 
 娘の売り出しのためには病床を抜け出し駆け回ることを厭わない曜子であったが、今日のような簡単な打ち合わせは報告受けで済ましている。
 だから、かずさは今日はひとりで帰ることになっていた。

 帰る、か…

 かずさの足取りは重たかった。今日は形ばかりの仕事であったが、それでも仕事のあるうちはそれで気を紛らすことができた。
 母親から押しつけられた忙しいスケジュールも却ってありがたかった。
 しかし、仕事が終わってひとりになった時に襲う寂寞感をやり過ごす術までは、まだかずさは見出せてはいなかった。

 そうしてふらふらと出口に向かうかずさの横をひとりの女性が通り過ぎた。
省3
26: 2015/10/23(金)13:19 ID:+a0bZo3T0(18/43) AAS
>待ちきれないでボンゴレ雑炊作った
> これ、普通に美味いのな。
>どっか製品化すれば良いのに。
>キャッチフレーズは
>「人間の食べるもんじゃないな」

味噌汁ぶっ掛け飯で上等だろう犬には

後はチャーハンだな(;`・ω・)o━ヽ_。_・_゚_・_フ)) 
27: 2015/10/23(金)13:28 ID:+a0bZo3T0(19/43) AAS
わかっているよ、母さん。今の演奏は…」
 弱々しい娘の口応えを遮るように曜子は追撃を続ける。
「ええ、出来は素晴らしいわよ。
 賛否両論あるだろうけど、今の演奏は全盛期のわたしでも敵いっこない。
 たぶん、ウィーンで値段をつけさせたら倍の値段がつくわよ。
 フランツ・リスト作曲ザイン・ヴィゲンシュタイン侯爵夫人に献呈された詩的で宗教的な調べより第10曲…」
「もうやめてくれ。母さん…」
 娘の懇願に耳を傾けることなく、母親はとどめの言葉を撃ちこむ。
「『愛の《怨嗟》』ってね」
「っ…!」
省5
28: 2015/10/23(金)13:39 ID:+a0bZo3T0(20/43) AAS
曜子 「ま、人間手の届かない才能目差した努力はしない方がいいわよ。
   幸せにできるのはその手の届く人だけ。好きなだけ崇拝してるだけでは、2、3年は良くても結局5年10年はうまくいかないものよ」
かずさ 「ふん。とっかえひっかえした経験者の言葉かい?」
曜子 「ええ。だから、橋本さんとの縁は本当に歓迎しているわ。
   あなたのような、ピアノだけのちょっといびつに育ってしまった娘を、その才能を、崇拝でもなく知識としてでもなく、同じ才能を持ち共に歩んで行ける存在として受け止めてくれる人と出会えたんだから」
かずさ 「ふふん♪」
春希 「良かったですね」
曜子 「おや? あなたの『良かった』は『フった女が幸せに収まりそうで良かった』の意味じゃなくて?」
春希 「ぐ…」
かずさ 「ちょっと! 母さん! それはやめろよ!」
省6
29: 2015/10/23(金)13:47 ID:+a0bZo3T0(21/43) AAS
食事の間かずさが聞いていたのは打ち合わせの内容ではなく、レストランの外の喧噪の声であった。
 パリのカフェと同じようにポットで出されたコーヒーを砂糖で流し込み終わるころには外の喧噪も打ち合わせも止み、かずさは本日最後の仕事を実行すことるにした
「熱心なのは結構だけど、あまり入れ込みすぎるんじゃないわよ」
 曜子はそう言って練習スタジオから出て行った。

 残されたかずさの口から嘆息とともに男の名が漏れる。
 春希ぃ…
 5年間付き合ってきた慕情を振り切ろうと決意したのが2ヶ月前。
 しかし、心身の隅々まで根を張った感情から容易く免れることなどできるはずもなかっ
30: 2015/10/23(金)13:53 ID:+a0bZo3T0(22/43) AAS
「なあ、春希」
「ん?」

いつもと変わらない朝食。

「今日はプリンはないのか?」
「だからどうして朝からデザートを食いたがるんだ、お前は」

でもいつもとは少しだけ違う、特別な朝。
31: 2015/10/23(金)14:00 ID:+a0bZo3T0(23/43) AAS
「え……?」
「いい?分かった?」
「ちょ、ちょっと待て。そんな急な」
「相手にとって申し分はないでしょう?あなた、本当に受け答え下手なんだから」
「でも何で、よりにもよってそんな……」
「……今はいいの。いい返事を期待してるからね」
32: 2015/10/23(金)14:06 ID:+a0bZo3T0(24/43) AAS
しかし、せっかく俺が纏った仮面も編集部の空気を切り裂く澄んだ声によって台無しにされてしまった。
開桜グラフの面々が声の主を振り返り見る。いや、それどころかこのフロアにいる全員が仕事の手を止めて一点に集中していた。

「なあ、答えてくれよ春希? 元彼じゃなかったら何なんだ? どうでも良い他人か? ただの元同級生? 同じ部活のバンド仲間? それとも…それとも今も…」
ハスキーな声が段々不穏当なことを言い出したがその内容すら気にならない。何故なら…
「…ねえ、見知らぬ人」
「…なんで、こんなとこに、きたのかな」

…その人は、背中を見せたままで。

わたしが気づかないとでも思った?
こんなに近くにいて、わたしが気づかないなんて。
そんなこと、できるはずないのに。
省2
33: 2015/10/23(金)14:15 ID:+a0bZo3T0(25/43) AAS
体から力が抜けて音を立てて、地面に膝がついた。

 俺は、俺には、かずさとの愛さえ貫けては、いけないというのかっ!

「あ゛ぁ”あ゛あああああああああああ—————————————————」

 雪は降り続けている。
 辛い事、哀しい事。そして、見たくもない真実を覆い隠してくれようとしている。

 ただ白く、綺麗なだけの世界を目の前に広げ、俺達をそこに置き去りにしようとしている。
省6
34: 2015/10/23(金)14:22 ID:+a0bZo3T0(26/43) AAS
AA省
35: 2015/10/23(金)14:31 ID:+a0bZo3T0(27/43) AAS
>荒らしもこうあからさまだと逆効果な気がする
>10レス未満のペースが個人的には一番キツいぞ?
>で結局長文マンは何が嫌いなの

そうだねでもやる、aaずれちゃった
テヘ
ナプキンじゃないよaa

春希  「…ちょっと、落ち着いたみたいだ」
かずさ 「…飛行機が、か?おまえが、か?」
春希  「…両方」
36: 2015/10/23(金)14:36 ID:+a0bZo3T0(28/43) AAS
希  「なんだか喉が渇いたな。サービス、もうすぐだっけ」
かずさ 「もうお前のとこには来ないんじゃないか。離陸前にシートベルト確認しにきてたけど、結構引いてたぞ。ありゃもう、確実に乗務員のサカナになってるな」
春希  「やめてくれよ…。なんで客の立場でいじられなきゃいけないんだよ」
かずさ 「いじられるような真似してたからだろ?」
春希  「そりゃそうだけど、さ」
かずさ 「いいよ。あたしの分わけてやるから」
春希  「もらえないのはもう決定かよ…」

かずさ 「…なんなら、あたしが、さ、口移し、で…

乗務員 「ドリンクのサービスはいかがですか?」
かずさ 「!ひゃい!は、はい、いた、いただきます…」
省1
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