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現代数学の系譜11 ガロア理論を読む27 [無断転載禁止]©2ch.net (517レス)
現代数学の系譜11 ガロア理論を読む27 [無断転載禁止]©2ch.net http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1483075581/
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463: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [sage] 2017/01/14(土) 12:51:27.26 ID:co7dEEx8 >>402 前層 イメージ これ良いわ!ありがとう!(^^ https://www.youtube.com/watch?v=4d2jmuYCC-8 数学 前層 イメージ presheaf (ver 1.0) - YouTube HanpenRobot 2013/10/12 http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1483075581/463
466: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [sage] 2017/01/14(土) 13:18:17.52 ID:co7dEEx8 つづき でも、のちのちに、このときのぼくの認識は大間違いだったことがわかったのだ。当時のぼくがいけなかったのは、「数学を、目の前にある本や、講義のノートの、そのままの字面から理解しようとする」ことから一歩も外に出ようとしなかったことだった ぼくは、「数学を理解する」という行為を限定的に閉じ込めてしまい、もっと広い外界にアクセスしなかったことが災いしたと気付くことになった 数学を(いや、どんな学問でもそれを)理解する、という行為は、人生を総動員して行うべきものであり、そうしさえすれば、(それへの愛と欲求がある限り)理解は不可能なことでもそんなに難しいことでもない、ということだとわかったのだ 実際、経済学者となってからのぼくには、数学を理解するための作業が、数学科の学生だった頃と大きく違うものとなった。例えば、数学的なアイテムを理解しようとするとき、専門書に書いてあることをそのまま受け入れようとする努力を捨てるようになった それが抽象的すぎて、とても自分の感覚ではついていけないと感じたときは、そこに書いてあることを自分によくわかる別の言葉や記号に置き換えていく作業をすることにした 具体例を挙げるなら、それは本書『数学は世界をこう見る 数と空間への現代的なアプローチ』のホモロジー群の説明に表れている。ホモロジー群というのは、チェインと呼ばれる幾何的対象の集合を高次元から低次元に並べて、その順番に沿って、境界作用素と呼ばれる写像を作る そして、そのk番目の写像の像を(k+1)番目の写像の逆像で割って、剰余類を作る。その群がホモロジー群と呼ばれるものである。この定義は、何回読んでも、何をしているのかさっぱりわからなかった だから、いったん、そういう抽象的な定義を鵜呑みにするのは諦めて、低次元で、それがどんな作業をしているのかを自分の言葉で理解してみようと試みた。最初に0次元で、次に1次元で。そしたら、だんだんと、それが意味していることがわかってきた 「要するに、これって、単なる中学1年生の文字式の同類項計算に毛が生えたものじゃん」という悟りに達したのである。こういう「自分の言葉での理解」を得たあとに、もう一度、一般的な定義に立ち返ってみると、チェインの集合間の境界作用素から剰余類を構成する手続きは、実にすっきりしていて、みごとな整合性を持っていることが実感できた つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1483075581/466
467: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [sage] 2017/01/14(土) 13:19:11.02 ID:co7dEEx8 つづき ホモロジー群をこういう風に理解した背景には、ぼくが塾講師だった頃に、中学1年生に文字式を教えることで苦労した経験を持ったことも生きていた。文字式の同類項の計算というのは、一度わかってしまえば、あまりに当たり前なものである。 でも、初めて学ぶ中学生にとっては、非常に抽象的で敷居の高いものである。ここで、「抽象的な計算規則を何の抵抗もなく受け入れられる子供」と「実感のないものを安易に受け入れられない子供」に振り分けられる。これは能力の優劣ではなく、性格の違いであると言える。 前者だって、本当は「無批判に何でも信じてしまう」危ない資質だとも言えなくもないからだ。そして、後者のタイプの中学生たちに「文字式とは何か」を教えるのには、非常に苦労した。「文字式とは、ある計算の仕組みの全体を抽象化したもの」ということをなんとか伝えなければいけないからである。 この教育で苦労したぼくは、めぐりめぐって、それが自分のホモロジー群の理解に生きた、というのは奇遇なことだ。 本書『数学は世界をこう見る 数と空間への現代的なアプローチ』の最終目的となったスキーム(の初歩的部分)を、ぼくが理解できたのは、もっと数奇な運命の巡り合わせである。数学科卒業後、数論に未練のあったぼくは、代数幾何の必要性を痛感していた。 とりわけ、フェルマーの最終定理が、楕円曲線上のゼータ関数の解析接続の問題である谷山予想に帰着され、それがワイルズによって解決されたのを目の当たりにしたぼくは、代数幾何をバックボーンにした数論幾何を勉強しなかったことを激しく後悔した。 そして、なんとか少しでもスキーム理論に近づけないか、と願うようになった。しかし、何度チャレンジしてもその願望は、撥ねのけられてしまった。そのときもまた、「数学を、目の前にある本や、講義のノートの、そのままの字面から理解しよう」としていたからだ。 つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1483075581/467
468: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [sage] 2017/01/14(土) 13:20:08.23 ID:co7dEEx8 つづき それが、ここ数年になって、急に様相が変化した。それは、数学者の黒川信重先生と対談で共著を作る、という仕事をしたことがきっかけであった。 とくに、去年、共著『21世紀の新しい数学』技術評論社を作る過程で、黒川先生に、「スキーム理論は、ゲルファント・シロフの定理に由来する」ということを教えていただいたことが大きかった。 ぼくは、複素関数論の層の理論あたりに由来するとばかり思っていたので、これには驚いた。「ゲルファント・シロフの定理」というのは、1940年くらいの定理だ。 ざっくり説明すると、位相空間X(コンパクトでハウスドルフ)が与えられたとき、X上の複素連続関数の環C(X)を作り、C(X)の極大イデアルの集合specmC(X)を作る。そのspecmC(X)にザリスキー位相を入れて、位相空間に仕立てると、それは元の位相空間Xと同相(要するに同じ空間)になる、という定理なのだ。 この定理を、イメージ的に解釈するなら、次のようになるだろう。すなわち、関数の空間Cがあるとして、その極大イデアルの集合に位相を導入すると、その位相空間の上にあたかも元の関数たちが生えているようになる、ということである。 「ゲルファント・シロフの定理」の証明は、『21世紀の新しい数学』の黒川先生による付録に載っている。証明は、(大学程度の数学知識があれば)簡単で短いので、ぜひトライしてみてほしい。 このような解釈に達すれば、スキームはこのイメージを一般化させたものだ、と気付く。可換環→素イデアル→素イデアルの位相空間→その位相空間上の関数が元の可換環と同じ、というニュアンスである。 加減乗があるというだけの可換環という対象に対し、その素イデアルの集合を位相空間に仕立て、元の環自身はその空間上の関数に見立てられる、というのは、あまりに奇抜な発想だと思う。発想というより、思想・哲学というべきものであろう。 つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1483075581/468
469: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [sage] 2017/01/14(土) 13:20:52.11 ID:co7dEEx8 つづき ぼくがスキームを理解するための最初の重いドアを蹴破ることができたのは、黒川先生と対談したことが最も大きいが、それだけではない。他にもさまざまなリサーチをしたのである。 例えば、Yahoo知恵袋で(笑い)スキームについての質問をいろいろ検索して、隠れて読みあさった。そこには、恐るべきことにも、相当なレベルの専門家が質問に対する回答を投稿していた。 そして、その中で、「簡単に理解したいならこれ」というふうに、ノイキルヒ『代数的整数論』という本がお勧めとして挙げてあったので、さっそく購入した。この本は、全体としては難しい本だが、随所随所に、目からうろこの説明も導入されていた。 とりわけ、1次元スキームの解説はわかりやすく、これを読んだことも突破口になった。また、知り合いの小木曽啓示さんの本『代数曲線論』朝倉書店も一部読んだ。小木曽さんの数学の理解と、その説明能力は突出したものであることを(知人として)心得ていたからだった。 この本を読んだことで、ぼくは層のイメージを掴むことができ、コホモロジー群(ホモロジー群を局所的な関数たちに拡張したもの)の発想を理解することができた。これらの経験のあとに、何度も挫折していた上野健爾『代数幾何』に再チャレンジをしたら、不思議なことに相当に受け入れられるようになっていたのである。 つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1483075581/469
470: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [sage] 2017/01/14(土) 13:21:26.05 ID:co7dEEx8 つづき そんなふうに、長い時間をかけて、スキーム理論の入場口をようやく通り抜けたぼくは、この理論の楽しさを(そうする資格があるかは自信がないが)一般の数学ファンにも広めたいと思うようになったのだ。それが、本書『数学は世界をこう見る 数と空間への現代的なアプローチ』PHP新書を書いた最も大きな動機である。 言いたいことは、要するに、「数学を理解する、という行為は、人生を総動員して行うべきものであり、そうしさえすれば、愛と欲求がある限り、理解は不可能なことでもそんなに難しいことでもない」、ということである。 人生を総動員する、ということを具体的に言うと、「自分の言葉で理解しようと試みる」とか、「他人(特に中高生)に説明してみる」とか、「友人の専門家の説明にすがる」とか、「わからない本はすぐ捨て、本のはしごをする」とか、「これだと思う先生の講義に、ずうずしく、もぐってしまう」とか、「Yahoo知恵袋で質問する」などとなろう。 さらにもう一つ付け加えるなら、「わからないけど、本に書いちゃう」というものあるかもしれない(これは冗談だからね)。 (引用終り) http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1483075581/470
472: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [sage] 2017/01/14(土) 13:35:23.37 ID:co7dEEx8 つづき 「ゲルファント・シロフの定理」というのは、位相空間から環を作って、その環から元の位相空間を再現する方法論だ。おおざっぱには、 位相空間→複素数値連続関数の集合→極大イデアルの集合→元の空間 という構造になっている。もうちょっと詳しく説明すると次のようになる。 今、位相空間Xがあるとしよう。位相空間というのは、なんらか遠近感が導入された空間のことだと理解すればいい。そして、その空間は有限的な広さで(コンパクト)、その遠近感が「どの2点も遠近感的に離れている」(ハウスドルフ)とする。 次に、その空間X上の複素数値連続関数の集合をC(X)と書こう。(最初のエントリーでは「連続」が抜けてましたので、修正しました)。C(X)には加減乗が定義できるので環の一つと見なすことができる。 そして、この関数たちのなす環C(X)の極大イデアルの集合をYとする(極大イデアルについては、整数からイデアルへ - hiroyukikojimaの日記を参照のこと)。ちなみに、極大イデアルの集合Yには、(ザリスキー位相という)うまい遠近感を導入することで位相空間に仕立てることができる。 このとき、元の位相空間Xとこの極大イデアルの成す位相空間Yが、遠近感が同じ空間(同相)となる、というのが、「ゲルファント・シロフの定理」の定理なのである。図形的なイメージが欲しい人は、本書のぼくによる「図解」で(ただし、有限位相空間のみ)、きちんとした証明が知りたい人は、黒川先生のレクチャー「環と空間」で(こっちは一般論)お読みくださいませ。 つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1483075581/472
473: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [sage] 2017/01/14(土) 13:36:18.87 ID:co7dEEx8 つづき この定理が面白いのは、空間上の関数があって、それが環の構造を持ってたら、その極大イデアルたちに元の空間がそのまんま映し出される、ということを教えてくれることなのだ。これには、「空間の持つ性質を探るには、その空間上の関数を調べればいい」という現代数学に普遍的に共有されている発想が宿っている。 ここからは、ぼくの類推だけど(黒川先生に聞いたわけじゃない、ということ)、グロタンディークは、こう閃いたんじゃないかな、と思ったのだ。 すなわち、空間上の関数の環に元の空間が映し出されるなら、逆に、環が先にあったら、そのイデアルたちを空間化して、その空間上で元の環を関数に仕立てることが可能なんじゃないか、と。 これが可能になれば、「環の要素を、関数と化させることができる」ということになる。例えば、整数の成す環にこれを用いれば、整数は単なる一個の数であるにもかからわず、これをある空間上の関数、つまり、「空間の点をインプットすると、何かがアウトプットする」関数に仕立てることができるのである。 ただし、グロタンディークが空間化したのは、極大イデアルではなく、素イデアルだったのだ。実際、この方法で、スペックZ(各素数の倍数の成すイデアルと0イデアル)を空間化して、各整数をこの空間上の関数と化させることに成功したわけなのである。 いやあ、数学者の想像力というのは、ほんとにすさまじいものがあるわい。 (引用終り) http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1483075581/473
474: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [sage] 2017/01/14(土) 13:43:22.63 ID:co7dEEx8 >>463 関連 http://blog.livedoor.jp/calc/archives/50442748.html 学校では教えてくれない数学:層: 2006年04月04日 (抜粋) 相変わらず、層が何者か、つかめないまま、時間だけが過ぎていきました。 (思い立ってから、25年以上も経過していました!) ところが、最近、可換環論の初歩をやっていて、ふとそのつながりで、少し読んで見るとあら不思議! 層 が 何者か 解ったような気がしました。 足がかりが見え(た気がし)ました。 そのとき、幸せな感情 そして 喜び が全身を包みました。 突然ですが、層の基礎勉強を始めます。 連接層(+脆弱層)、スペクトル系列、層係数のコホモロジー を一気に、2006年内に自分のものにするために少し頑張ります。 今日は、夜、バレーボールの練習付き添いをしてから、じっくりと見直して取り組みます。 層 よ、待っていろよ、必ず お前を征服してやる! そして、ハーツホーンの本を、2007年内に読破するぞ! その次は、初心者向けの層理論へのイントロ本 なんかを書きたいですね。 つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1483075581/474
475: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [sage] 2017/01/14(土) 13:45:12.24 ID:co7dEEx8 つづき この記事へのコメント お久し振りです。 僕自身は、リーマン面の理論(複素関数論)で、正則関数の層(つまり、正則関数の芽(germ)を解析接続していってできたもの)を最初に学んだので、あまり抵抗なかった記憶があります。解説接続をモダーンに表現したものですよね。 余計なおせっかいですが、(多変数の)複素関数論とかを先にやられると、イメージが掴みやすいかも、です。 もっともジーゲル大先生は、お気に召さないらしく、(例の3巻本の)序文で「その後一般的になった、抽象的な用語は、ここでは用いない」と宣言されてますが(笑)。 2006年04月04日 20:06 ◇sukarabeさん アドバイスありがとうございます。 多変数関数論は、岡の嫌う記述形式だと思うのですが、でも愚人の私には、これがよさげです。不定域イデアルでは、いまいちよく解りません。 層は、正則関数 と その解析接続 が一つのイメージなのでしょうけど、もっと、包括的な捕らえ方が出来ていなかったのです。 ・茎と芽のイメージ ・関数概念の拡張の意味 ・Hyperfunctionの記述言語としての存在(代数解析学、D加群を含む) ・スキームとの関連(代数幾何学の記述言語) ・ファイバー束との関連 ・層係数のコホモロジー などなど。でも、ふと、ある部分だけですが、”見えてきた”のです。 まだ、あやふやなイメージなので、もっと強固に、具体例をふんだんにするために、今年戦います。 2006年04月04日 23:09 不定域イデアルの概念は正に層そのものと言えるのではないでしょうか。岡潔さんが嫌うのは、自分が考え出したものに別の名前を付けられ、別の定式化がされ、ある意味、盗まれたと感じられたのでは、と思ったりもします。正則関数の層が連接層になるというのは、言葉は違えども、岡潔さんが発見し、証明されたことですし。 2006年04月04日 23:35 ◇sukarabeさん 換骨奪胎(かんこつだったい)という言葉がぴったりなのでは、と思います。 でも、理論の創始者の意図とは別の発展をたどるのは、どの理論も同じでしょうね。 脆弱、連接 なんて、よくも悪くも現代数学の威力を感じさせます。 ひとたび概念と記述が確立すると、他の多くの分野に適用される。 そんなことを思います。 2006年04月04日 23:54 (引用終り) http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1483075581/475
476: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [sage] 2017/01/14(土) 13:52:32.79 ID:co7dEEx8 >>474 関連 https://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/Articles/sheaf_no_hanashi.txt (黒木 玄 (くろき げん)) Subject: 層の話 Organization: 東北大学理学部数学教室 [kuroki@math.tohoku.ac.jp] (7-3221) Until: 1995/05/30 (抜粋) 「層 (= sheaf = faisceau)」の話をせよと言われても、層の言葉はあまりに も基本的過ぎるので説明するのが大変です。「層」の例を挙げよという要求は、 ほとんど「集合」の例を挙げよという要求にかなり近い感じがします。 さてどうしましょう?どうしたら良いかわからないので、歴史的にも(加群の) 層の理論の発展の motivation の一つになったと思われる Cousin (クザン)の 問題を例に説明したいと思います。実は、多変数函数論におけるクザンの問題 には第1と第2があるのですが、ここでは第1問題を1変数複素函数の場合に限っ て説明することにします。 (ここで、層(sheaf)やら芽(germ)やら意味ありげな言葉遣いが出てきますが、 どうしてそのような言い方をするかは、数学的にはどうでも良いことなので省 略します。他にも茎(stalk)という言葉もあるのですが、この辺の名前の付け 方は個人的には大変良いものだと感じています。) 要するに、正則函数や有理型函数の層を考えるということは、複素平面の一部 分(開集合を考える)のみで定義されている正則函数や有理型函数も考えるとい うことに他ならないのです。単にこれだけのことです。 層のコホモロジーの理論があるからこそ、層の理論は有用である と言えます。 つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1483075581/476
477: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [sage] 2017/01/14(土) 13:52:47.95 ID:co7dEEx8 つづき §5. 局所と大域という発想を越えて 層の理論の立場では、局所と大域の関係は次のような問題に定式化されます。 [問題(***)] まず、X という空間上の層達の間に層の意味で何らかの関係があ る状況を考えよ。(例えば、(19)のような層の short exact sequence がある とせよ。層は局所的な情報も含んでいるので、層としての関係は局所的なもの だと考える。) 層の関係から、大域的切断の空間 F(X) の間にどのような関 係が得られるか?大域的な切断の空間 F(X) のみを考えると、層 F 自身の 情報は失われるであろう。それを補完するものは何か? これの一つの答が、H^0(X,F) = F(X) から始まる H^1, H^2, ... という層 のコホモロジーの理論なのです。 局所と大域の関係の研究から始まった層の理論は、このように、「層と層の間 の写像や空間と空間の間の写像を考え、それらの間にどのような関係が付けら れるか?」というより徹底したアイデアのもとで一般論が得られています。 (categoryとfunctorの発想。) この道具は特に代数幾何という分野では無くて はならないものとなっています。 次に、有理型函数の特異性の情報だけを層として取り出すことができることを 説明しましょう。ここで、初めて non-trivial な層に出会うことになります。 有理型函数の特異性の情報だけを取り出してできる層、Pは直接的には次のよ うに定義されます。 (引用終り) http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1483075581/477
478: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [sage] 2017/01/14(土) 13:58:14.55 ID:co7dEEx8 >>476 関連 http://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/index-j.html 黒木玄のウェブサイト: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E6%9C%A8%E7%8E%84 黒木 玄(くろき げん)は、日本の数学者。東北大学理学部数学科助教。インターネット上の掲示板の創成期に「黒木ルール」を発案し、「黒木のなんでも掲示板」によって実践した。 (抜粋) 来歴 秋田県出身。秋田県立本荘高等学校を経て、東北大学理学部数学科卒業。東北大学大学院理学研究科数学専攻修士課程修了。名古屋大学で博士(数理学)を取得。数理物理学への表現論の応用、共形場理論と量子可積分系などを研究している。 http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1483075581/478
479: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む [sage] 2017/01/14(土) 14:03:11.22 ID:co7dEEx8 >>477 追加引用 [問題(***)] まず、X という空間上の層達の間に層の意味で何らかの関係があ る状況を考えよ。(例えば、(19)のような層の short exact sequence がある とせよ。層は局所的な情報も含んでいるので、層としての関係は局所的なもの だと考える。) 層の関係から、大域的切断の空間 F(X) の間にどのような関 係が得られるか?大域的な切断の空間 F(X) のみを考えると、層 F 自身の 情報は失われるであろう。それを補完するものは何か? これの一つの答が、H^0(X,F) = F(X) から始まる H^1, H^2, ... という層 のコホモロジーの理論なのです。 まあ、いろいろな見方があると思いますが、これは次のようにもっと一般化で きる形で考えることができます。まず、X から一点のみからなる空間 pt={p} への唯一の写像 f を考えます: (23) f : X → pt, f(x) = p. pt には位相空間の構造が一意的に入ります。(pt の空でない開集合は pt 自 身だけ。) pt 上の層は唯一の集合(もしくは加群やベクトル空間)を決めれば 決定されるので、pt 上の層と単なる集合(もしくは加群やベクトル空間)は同 一視することができます。 X 上の加群もしくはベクトル空間の層Fを与えたとき、f を通して「FのX上 での積分」が pt 上の加群もしくはベクトル空間層として定義できるとうれし いでしょう。その一つの答は (24) (FのX上での積分) = H^0(X,F) = F(X) と定義することです。しかし、これではFの情報が落ち過ぎてしまいます。そ こで、 (25) (FのX上での積分) = (H^0(X,F), H^1(X,F), H^2(X,F),...) と考えることによって、ある程度満足な理論を展開することができます。 略 局所と大域の関係の研究から始まった層の理論は、このように、「層と層の間 の写像や空間と空間の間の写像を考え、それらの間にどのような関係が付けら れるか?」というより徹底したアイデアのもとで一般論が得られています。 (categoryとfunctorの発想。) この道具は特に代数幾何という分野では無くて はならないものとなっています。 (引用終り) http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1483075581/479
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