[過去ログ] 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む27 [無断転載禁止]©2ch.net (517レス)
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455
(2): 2017/01/14(土)01:51 ID:B/CAkwIq(1/4) AAS
>>454
定義の部分を引用して
> 未定義の記号や用語をほいほい使えるんだ
> 未定義の記号や用語をほいほい使えるのは、数学ではなく、文学だろ? それとも哲学か?
と書き込むのは自虐ネタなのかもしれないが面白くも何ともないよ

>>453
決定番号が出題者(および解答者)が扱えないほど大きくなることを問題にすることは
(空)が箱の中身が空であることを表すことにして決定番号がdになるような数列anを
順番に箱に入れた(出題した)場合に a1, a2, ... , ak, (空), (空), ... , (空), ad, a(d+1), ...
となるから時枝戦略の是非ではなくて無限数列の出題可能性を問うことである
省1
456: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)08:20 ID:co7dEEx8(1/45) AAS
>>455
どうも。スレ主です。
ID:B/CAkwIqさん、High level people すぎて、ついていけない

どうぞ、下記へ
あそこなら、議論してもらえるだろう

現代数学の系譜11 ガロア理論を読む28
2chスレ:math
457
(1): 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)08:33 ID:co7dEEx8(2/45) AAS
>>455

決定番号が出題者(および解答者)が扱えないほど大きくなる:”扱えないほど大きい”が未定義
だし

”(空)が箱の中身が空であることを表すことにして決定番号がdになるような数列anを
順番に箱に入れた(出題した)場合に a1, a2, ... , ak, (空), (空), ... , (空), ad, a(d+1), ...
となるから時枝戦略の是非ではなくて無限数列の出題可能性を問うことである”

ってさ
分からん(^^
勝手に、問題を作ってないか? 時枝記事>>2-4を離れて、全く別の問題を

>箱に数字を順番に入れて上の(空)をなくせば決定番号は求められることになる
省4
458: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)10:15 ID:co7dEEx8(3/45) AAS
>>398 戻る
>時枝>>2-4のもう一つの大きな問題点は、定量評価ができていないこと
>・世に、すその重い分布なるものがあって、期待値(平均値)も分散も定義できない。大数の法則も、中心極限定理も不成立。そういう分布がある

定量評価の必要性について、”すその重い分布”ではないが、もっと簡単な具体例で考えてみよう

宝くじ発行方法で、
・1等、2等、3等、・・・、n−1等(ここまで当り)、n等(外れ)とする。
・全部の発行枚数は、10^n枚とする
・1等、2等、3等、・・・、n−1等 各1枚で、n等(外れ)は10^n-(n-1)枚発行となる
・当りは各1枚なので、当りの確率は、(n-1)/10^n
・nを大きくして行くと、当りの確率は→0、つまりゼロに近づく
省4
459: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)10:16 ID:co7dEEx8(4/45) AAS
つづき

さて、この話と合わせて、>>39-43 の説明を読んでほしい
で、循環小数 ロバートソンの表示方法 a + b ( 10^ n /(10^ n - 1) )で、 b ( 10^ n /(10^ n - 1) )が、循環節。 aが、冒頭の循環していない有限小数部分

Hart氏のgame2>>47は、区間[0,1]の有理数を選ぶのだから、微調整でa + b ( 10^ n /(10^ n - 1) ) & a ∈ [0,1]としよう
つまり、簡単に、0<a<1 かつ 0<a + b ( 10^ n /(10^ n - 1) ) <1 と仮定する。(整数部分をゼロ(0)にすればいいだけなので、こう仮定してもgame2に対しては一般性は失わない)

時枝>>2の数列しっぽ同値類、つまり、 b ( 10^ n /(10^ n - 1) )の循環節が一致する有理数たち。異なるのは、aの冒頭の循環していない有限小数部分
ここで、簡単のために、同値類の代表rとして、a=0 を考える。代表は実質bそのもの

この場合、aの有限小数部分の長さをLとする(仮定より、0<a<1として、a=0.a1 a2 ・・・ an と少数表現できるとして、L=nとする)
少数第n+1位から循環節に入り、しっぽが一致するので、決定番号は d=n+1 =L+1 となる
省5
460
(1): 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)10:28 ID:co7dEEx8(5/45) AAS
>>449-450
数学はディベートじゃないよ
議論に勝っても、数学の定理は得られない

数学の定理として、証明ができなければ無意味
逆に、議論はあくまで、証明を得るための通過点でしかない

だから、どうぞ、現代数学の系譜11 ガロア理論を読む28 2chスレ:math
下記の証明をお願いします。

1.まず、Hart氏のgame2>>47 で、これは選択公理を使わないから、全てが可測の世界で収まるはず。そこで
 1)2列の比較で、勝つ確率1/2を示すこと(本来("trategy" なし)は確率1/10だ)
 2)100列の比較で、勝つ確率99/100を示すこと
省4
461
(2): 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)10:58 ID:co7dEEx8(6/45) AAS
>>397 戻る

時枝>>4
”n番目の箱にXnのランダムな値を入れられて,ある箱の中身を当てようとしたって,
その箱のX と他のX1,X2,X3,・・・がまるまる無限族として独立なら,
当てられっこないではないか−−他の箱から情報は一切もらえないのだから.
勝つ戦略なんかある筈ない,と感じた私たちの直観は,無意識に(1)に根ざしていた,といえる.”

としている
時枝は、>>2-3と、”その箱のX と他のX1,X2,X3,・・・がまるまる無限族として独立なら,当てられっこない”との矛盾の言い訳をしている
”勝つ戦略なんかある筈ない,と感じた私たちの直観は,無意識に(1)に根ざしていた,といえる”のだと

だが、>>328
省18
462: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)11:06 ID:co7dEEx8(7/45) AAS
>>461 つづき

院生から上数学のプロに近い人たちはこれ(>>461)でおわりだろう
が、数セミの学部生クラスでは、本格的な確率論はまだだろうから、これでおわりとはいかないだろうし

数学的に当てられないものが、どうして当たるように見えるのか?
時枝が、はまった理由や、Hart氏>>47が、PUZZLES ”Choice Games”と称している(数学の論文にあらず)数学的理由付けをさぐってみたいというのが、私スレ主の動機だ

Tさんには、面白ねたを紹介してもらったと思っている。その意味では感謝している
Tさんは、最後まで覚醒できなかったようだが・・。それは残念だが仕方が無い
463
(1): 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)12:51 ID:co7dEEx8(8/45) AAS
>>402

前層 イメージ これ良いわ!ありがとう!(^^
動画リンク[YouTube]
数学 前層 イメージ presheaf (ver 1.0) - YouTube HanpenRobot 2013/10/12
464: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)12:53 ID:co7dEEx8(9/45) AAS
>>460 訂正

(本来("trategy" なし)は確率1/10だ)
 ↓
(本来("strategy" なし)は確率1/10だ)
465
(2): 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)13:15 ID:co7dEEx8(10/45) AAS
>>433 関連

外部リンク:d.hatena.ne.jp
数学は、人生を総動員して理解するとよいのだ、とわかった - hiroyukikojimaの日記: 2014-05-23
(抜粋)
本書には、図形の位相的な形を分類するためのホモロジー群、空間でないものを空間化させてしまう位相空間理論、n次多項式の零点として定義される図形を代数的に捉えるイデアル理論、加減乗が定義された代数系である可換環を位相空間上の関数に仕立ててしまうスキーム理論などの入門編を解説しているのだけど、
これらはいずれも、数学科に所属していた頃に理解できずに落ちこぼれた素材なのだ。

 今でも忘れられないは、ホモロジー群を教わった位相幾何の講義のテストのときだ。たしか2時間ぐらいのテスト時間にもかかわらず、ま〜ったく何もわからず、ただただ答案用紙にトーラス(ドーナツ形)の絵を描いて時間が過ぎるのを待った。
早々に答案を(白紙のまま)提出して退出する勇気はなかった。あれほどの退屈な時間と、あれほどの屈辱の時間は、他に経験がない。

 それから、ゼミで代数多様体についての輪読をしたとき、それがマンフォード『代数幾何1』のほとんど最初のほうであるにもかかわらず、何も理解できないまま、夜な夜な英語の文面を呆然と見つめていたものだった。
可換環論が当然の前提知識となっており、それを理解しようとすると、その前提にはもっと初歩の代数系や集合論(ツォルンの補題など)が利用されており、それを紐解こうとすると、「無限後退」に陥るような気持ちになって、目眩がした。
省2
466: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)13:18 ID:co7dEEx8(11/45) AAS
つづき
 でも、のちのちに、このときのぼくの認識は大間違いだったことがわかったのだ。当時のぼくがいけなかったのは、「数学を、目の前にある本や、講義のノートの、そのままの字面から理解しようとする」ことから一歩も外に出ようとしなかったことだった
ぼくは、「数学を理解する」という行為を限定的に閉じ込めてしまい、もっと広い外界にアクセスしなかったことが災いしたと気付くことになった
数学を(いや、どんな学問でもそれを)理解する、という行為は、人生を総動員して行うべきものであり、そうしさえすれば、(それへの愛と欲求がある限り)理解は不可能なことでもそんなに難しいことでもない、ということだとわかったのだ

 実際、経済学者となってからのぼくには、数学を理解するための作業が、数学科の学生だった頃と大きく違うものとなった。例えば、数学的なアイテムを理解しようとするとき、専門書に書いてあることをそのまま受け入れようとする努力を捨てるようになった
それが抽象的すぎて、とても自分の感覚ではついていけないと感じたときは、そこに書いてあることを自分によくわかる別の言葉や記号に置き換えていく作業をすることにした

具体例を挙げるなら、それは本書『数学は世界をこう見る 数と空間への現代的なアプローチ』のホモロジー群の説明に表れている。ホモロジー群というのは、チェインと呼ばれる幾何的対象の集合を高次元から低次元に並べて、その順番に沿って、境界作用素と呼ばれる写像を作る
そして、そのk番目の写像の像を(k+1)番目の写像の逆像で割って、剰余類を作る。その群がホモロジー群と呼ばれるものである。この定義は、何回読んでも、何をしているのかさっぱりわからなかった
だから、いったん、そういう抽象的な定義を鵜呑みにするのは諦めて、低次元で、それがどんな作業をしているのかを自分の言葉で理解してみようと試みた。最初に0次元で、次に1次元で。そしたら、だんだんと、それが意味していることがわかってきた
「要するに、これって、単なる中学1年生の文字式の同類項計算に毛が生えたものじゃん」という悟りに達したのである。こういう「自分の言葉での理解」を得たあとに、もう一度、一般的な定義に立ち返ってみると、チェインの集合間の境界作用素から剰余類を構成する手続きは、実にすっきりしていて、みごとな整合性を持っていることが実感できた
省1
467: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)13:19 ID:co7dEEx8(12/45) AAS
つづき

ホモロジー群をこういう風に理解した背景には、ぼくが塾講師だった頃に、中学1年生に文字式を教えることで苦労した経験を持ったことも生きていた。文字式の同類項の計算というのは、一度わかってしまえば、あまりに当たり前なものである。
でも、初めて学ぶ中学生にとっては、非常に抽象的で敷居の高いものである。ここで、「抽象的な計算規則を何の抵抗もなく受け入れられる子供」と「実感のないものを安易に受け入れられない子供」に振り分けられる。これは能力の優劣ではなく、性格の違いであると言える。
前者だって、本当は「無批判に何でも信じてしまう」危ない資質だとも言えなくもないからだ。そして、後者のタイプの中学生たちに「文字式とは何か」を教えるのには、非常に苦労した。「文字式とは、ある計算の仕組みの全体を抽象化したもの」ということをなんとか伝えなければいけないからである。
この教育で苦労したぼくは、めぐりめぐって、それが自分のホモロジー群の理解に生きた、というのは奇遇なことだ。

 本書『数学は世界をこう見る 数と空間への現代的なアプローチ』の最終目的となったスキーム(の初歩的部分)を、ぼくが理解できたのは、もっと数奇な運命の巡り合わせである。数学科卒業後、数論に未練のあったぼくは、代数幾何の必要性を痛感していた。
とりわけ、フェルマーの最終定理が、楕円曲線上のゼータ関数の解析接続の問題である谷山予想に帰着され、それがワイルズによって解決されたのを目の当たりにしたぼくは、代数幾何をバックボーンにした数論幾何を勉強しなかったことを激しく後悔した。
そして、なんとか少しでもスキーム理論に近づけないか、と願うようになった。しかし、何度チャレンジしてもその願望は、撥ねのけられてしまった。そのときもまた、「数学を、目の前にある本や、講義のノートの、そのままの字面から理解しよう」としていたからだ。

つづく
468
(1): 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)13:20 ID:co7dEEx8(13/45) AAS
つづき

それが、ここ数年になって、急に様相が変化した。それは、数学者の黒川信重先生と対談で共著を作る、という仕事をしたことがきっかけであった。
とくに、去年、共著『21世紀の新しい数学』技術評論社を作る過程で、黒川先生に、「スキーム理論は、ゲルファント・シロフの定理に由来する」ということを教えていただいたことが大きかった。
ぼくは、複素関数論の層の理論あたりに由来するとばかり思っていたので、これには驚いた。「ゲルファント・シロフの定理」というのは、1940年くらいの定理だ。
ざっくり説明すると、位相空間X(コンパクトでハウスドルフ)が与えられたとき、X上の複素連続関数の環C(X)を作り、C(X)の極大イデアルの集合specmC(X)を作る。そのspecmC(X)にザリスキー位相を入れて、位相空間に仕立てると、それは元の位相空間Xと同相(要するに同じ空間)になる、という定理なのだ。
この定理を、イメージ的に解釈するなら、次のようになるだろう。すなわち、関数の空間Cがあるとして、その極大イデアルの集合に位相を導入すると、その位相空間の上にあたかも元の関数たちが生えているようになる、ということである。
「ゲルファント・シロフの定理」の証明は、『21世紀の新しい数学』の黒川先生による付録に載っている。証明は、(大学程度の数学知識があれば)簡単で短いので、ぜひトライしてみてほしい。

このような解釈に達すれば、スキームはこのイメージを一般化させたものだ、と気付く。可換環→素イデアル→素イデアルの位相空間→その位相空間上の関数が元の可換環と同じ、というニュアンスである。
加減乗があるというだけの可換環という対象に対し、その素イデアルの集合を位相空間に仕立て、元の環自身はその空間上の関数に見立てられる、というのは、あまりに奇抜な発想だと思う。発想というより、思想・哲学というべきものであろう。

つづく
469: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)13:20 ID:co7dEEx8(14/45) AAS
つづき

ぼくがスキームを理解するための最初の重いドアを蹴破ることができたのは、黒川先生と対談したことが最も大きいが、それだけではない。他にもさまざまなリサーチをしたのである。
例えば、Yahoo知恵袋で(笑い)スキームについての質問をいろいろ検索して、隠れて読みあさった。そこには、恐るべきことにも、相当なレベルの専門家が質問に対する回答を投稿していた。
そして、その中で、「簡単に理解したいならこれ」というふうに、ノイキルヒ『代数的整数論』という本がお勧めとして挙げてあったので、さっそく購入した。この本は、全体としては難しい本だが、随所随所に、目からうろこの説明も導入されていた。
とりわけ、1次元スキームの解説はわかりやすく、これを読んだことも突破口になった。また、知り合いの小木曽啓示さんの本『代数曲線論』朝倉書店も一部読んだ。小木曽さんの数学の理解と、その説明能力は突出したものであることを(知人として)心得ていたからだった。
この本を読んだことで、ぼくは層のイメージを掴むことができ、コホモロジー群(ホモロジー群を局所的な関数たちに拡張したもの)の発想を理解することができた。これらの経験のあとに、何度も挫折していた上野健爾『代数幾何』に再チャレンジをしたら、不思議なことに相当に受け入れられるようになっていたのである。

つづく
470: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)13:21 ID:co7dEEx8(15/45) AAS
つづき

そんなふうに、長い時間をかけて、スキーム理論の入場口をようやく通り抜けたぼくは、この理論の楽しさを(そうする資格があるかは自信がないが)一般の数学ファンにも広めたいと思うようになったのだ。それが、本書『数学は世界をこう見る 数と空間への現代的なアプローチ』PHP新書を書いた最も大きな動機である。

言いたいことは、要するに、「数学を理解する、という行為は、人生を総動員して行うべきものであり、そうしさえすれば、愛と欲求がある限り、理解は不可能なことでもそんなに難しいことでもない」、ということである。

人生を総動員する、ということを具体的に言うと、「自分の言葉で理解しようと試みる」とか、「他人(特に中高生)に説明してみる」とか、「友人の専門家の説明にすがる」とか、「わからない本はすぐ捨て、本のはしごをする」とか、「これだと思う先生の講義に、ずうずしく、もぐってしまう」とか、「Yahoo知恵袋で質問する」などとなろう。
さらにもう一つ付け加えるなら、「わからないけど、本に書いちゃう」というものあるかもしれない(これは冗談だからね)。
(引用終り)
471: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)13:34 ID:co7dEEx8(16/45) AAS
>>465 関連

外部リンク:d.hatena.ne.jp
「空間」の作り方 - hiroyukikojimaの日記: 2013-07-11
(抜粋)

この三つともに出てくる、つまり、対談にも、図解にも、レクチャーにも登場するのが、「ゲルファント・シロフの定理」というものだ。今回は、これについて、ちょっと前振りをしておこうと思う。

この定理が、この本に収録されることになったそもそものきっかけは、ぼくが黒川先生に「グロタンディークのスキーム理論は、どんなところからアイデアが出てきたのですか?」という愚直な質問をしたことだった。
スキーム理論というのは、整数からイデアルへ - hiroyukikojimaの日記にも書いたけど、環(加減乗が定義されている代数的な集合)から空間を作りだす技術のこと。
ぼくはてっきり、カルタンや岡潔の「層の理論」が源泉なんじゃないか、と思ってたから聞いたんだけど、そこで黒川先生の口から飛び出したのが、この「ゲルファント・シロフの定理」だったのだ。ぼくが子供じみた興味津々の表情をしたせいか、黒川先生は「証明は簡単なので、付録として、本に収録しましょうか」という提案をしてくださった。
それで、これを膨らました「環と空間」というみごとなレクチャーを執筆してくださることになったわけなのだ。瓢箪から駒というか、棚からぼた餅というか、いやあ、何でも恥ずかしがらずに聞いてみるものである。

つづく
472: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)13:35 ID:co7dEEx8(17/45) AAS
つづき

 「ゲルファント・シロフの定理」というのは、位相空間から環を作って、その環から元の位相空間を再現する方法論だ。おおざっぱには、

位相空間→複素数値連続関数の集合→極大イデアルの集合→元の空間

という構造になっている。もうちょっと詳しく説明すると次のようになる。

 今、位相空間Xがあるとしよう。位相空間というのは、なんらか遠近感が導入された空間のことだと理解すればいい。そして、その空間は有限的な広さで(コンパクト)、その遠近感が「どの2点も遠近感的に離れている」(ハウスドルフ)とする。
次に、その空間X上の複素数値連続関数の集合をC(X)と書こう。(最初のエントリーでは「連続」が抜けてましたので、修正しました)。C(X)には加減乗が定義できるので環の一つと見なすことができる。
そして、この関数たちのなす環C(X)の極大イデアルの集合をYとする(極大イデアルについては、整数からイデアルへ - hiroyukikojimaの日記を参照のこと)。ちなみに、極大イデアルの集合Yには、(ザリスキー位相という)うまい遠近感を導入することで位相空間に仕立てることができる。
このとき、元の位相空間Xとこの極大イデアルの成す位相空間Yが、遠近感が同じ空間(同相)となる、というのが、「ゲルファント・シロフの定理」の定理なのである。図形的なイメージが欲しい人は、本書のぼくによる「図解」で(ただし、有限位相空間のみ)、きちんとした証明が知りたい人は、黒川先生のレクチャー「環と空間」で(こっちは一般論)お読みくださいませ。
省1
473: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)13:36 ID:co7dEEx8(18/45) AAS
つづき

この定理が面白いのは、空間上の関数があって、それが環の構造を持ってたら、その極大イデアルたちに元の空間がそのまんま映し出される、ということを教えてくれることなのだ。これには、「空間の持つ性質を探るには、その空間上の関数を調べればいい」という現代数学に普遍的に共有されている発想が宿っている。

ここからは、ぼくの類推だけど(黒川先生に聞いたわけじゃない、ということ)、グロタンディークは、こう閃いたんじゃないかな、と思ったのだ。
すなわち、空間上の関数の環に元の空間が映し出されるなら、逆に、環が先にあったら、そのイデアルたちを空間化して、その空間上で元の環を関数に仕立てることが可能なんじゃないか、と。
これが可能になれば、「環の要素を、関数と化させることができる」ということになる。例えば、整数の成す環にこれを用いれば、整数は単なる一個の数であるにもかからわず、これをある空間上の関数、つまり、「空間の点をインプットすると、何かがアウトプットする」関数に仕立てることができるのである。
ただし、グロタンディークが空間化したのは、極大イデアルではなく、素イデアルだったのだ。実際、この方法で、スペックZ(各素数の倍数の成すイデアルと0イデアル)を空間化して、各整数をこの空間上の関数と化させることに成功したわけなのである。

 いやあ、数学者の想像力というのは、ほんとにすさまじいものがあるわい。
(引用終り)
474
(2): 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)13:43 ID:co7dEEx8(19/45) AAS
>>463 関連

外部リンク[html]:blog.livedoor.jp
学校では教えてくれない数学:層: 2006年04月04日
(抜粋)
相変わらず、層が何者か、つかめないまま、時間だけが過ぎていきました。
(思い立ってから、25年以上も経過していました!)

ところが、最近、可換環論の初歩をやっていて、ふとそのつながりで、少し読んで見るとあら不思議!

層 が 何者か 解ったような気がしました。
足がかりが見え(た気がし)ました。

そのとき、幸せな感情 そして 喜び が全身を包みました。
省7
1-
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