[過去ログ] 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む27 [無断転載禁止]©2ch.net (517レス)
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466: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)13:18 ID:co7dEEx8(11/45) AAS
つづき
 でも、のちのちに、このときのぼくの認識は大間違いだったことがわかったのだ。当時のぼくがいけなかったのは、「数学を、目の前にある本や、講義のノートの、そのままの字面から理解しようとする」ことから一歩も外に出ようとしなかったことだった
ぼくは、「数学を理解する」という行為を限定的に閉じ込めてしまい、もっと広い外界にアクセスしなかったことが災いしたと気付くことになった
数学を(いや、どんな学問でもそれを)理解する、という行為は、人生を総動員して行うべきものであり、そうしさえすれば、(それへの愛と欲求がある限り)理解は不可能なことでもそんなに難しいことでもない、ということだとわかったのだ

 実際、経済学者となってからのぼくには、数学を理解するための作業が、数学科の学生だった頃と大きく違うものとなった。例えば、数学的なアイテムを理解しようとするとき、専門書に書いてあることをそのまま受け入れようとする努力を捨てるようになった
それが抽象的すぎて、とても自分の感覚ではついていけないと感じたときは、そこに書いてあることを自分によくわかる別の言葉や記号に置き換えていく作業をすることにした

具体例を挙げるなら、それは本書『数学は世界をこう見る 数と空間への現代的なアプローチ』のホモロジー群の説明に表れている。ホモロジー群というのは、チェインと呼ばれる幾何的対象の集合を高次元から低次元に並べて、その順番に沿って、境界作用素と呼ばれる写像を作る
そして、そのk番目の写像の像を(k+1)番目の写像の逆像で割って、剰余類を作る。その群がホモロジー群と呼ばれるものである。この定義は、何回読んでも、何をしているのかさっぱりわからなかった
だから、いったん、そういう抽象的な定義を鵜呑みにするのは諦めて、低次元で、それがどんな作業をしているのかを自分の言葉で理解してみようと試みた。最初に0次元で、次に1次元で。そしたら、だんだんと、それが意味していることがわかってきた
「要するに、これって、単なる中学1年生の文字式の同類項計算に毛が生えたものじゃん」という悟りに達したのである。こういう「自分の言葉での理解」を得たあとに、もう一度、一般的な定義に立ち返ってみると、チェインの集合間の境界作用素から剰余類を構成する手続きは、実にすっきりしていて、みごとな整合性を持っていることが実感できた

つづく
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