[過去ログ] 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む27 [無断転載禁止]©2ch.net (517レス)
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479: 現代数学の系譜11 ガロア理論を読む 2017/01/14(土)14:03 ID:co7dEEx8(24/45) AAS
>>477 追加引用

[問題(***)] まず、X という空間上の層達の間に層の意味で何らかの関係があ
る状況を考えよ。(例えば、(19)のような層の short exact sequence がある
とせよ。層は局所的な情報も含んでいるので、層としての関係は局所的なもの
だと考える。) 層の関係から、大域的切断の空間 F(X) の間にどのような関
係が得られるか?大域的な切断の空間 F(X) のみを考えると、層 F 自身の
情報は失われるであろう。それを補完するものは何か?

これの一つの答が、H^0(X,F) = F(X) から始まる H^1, H^2, ... という層
のコホモロジーの理論なのです。

まあ、いろいろな見方があると思いますが、これは次のようにもっと一般化で
きる形で考えることができます。まず、X から一点のみからなる空間 pt={p}
への唯一の写像 f を考えます:

(23) f : X → pt, f(x) = p.

pt には位相空間の構造が一意的に入ります。(pt の空でない開集合は pt 自
身だけ。) pt 上の層は唯一の集合(もしくは加群やベクトル空間)を決めれば
決定されるので、pt 上の層と単なる集合(もしくは加群やベクトル空間)は同
一視することができます。

X 上の加群もしくはベクトル空間の層Fを与えたとき、f を通して「FのX上
での積分」が pt 上の加群もしくはベクトル空間層として定義できるとうれし
いでしょう。その一つの答は

(24) (FのX上での積分) = H^0(X,F) = F(X)

と定義することです。しかし、これではFの情報が落ち過ぎてしまいます。そ
こで、

(25) (FのX上での積分) = (H^0(X,F), H^1(X,F), H^2(X,F),...)

と考えることによって、ある程度満足な理論を展開することができます。



局所と大域の関係の研究から始まった層の理論は、このように、「層と層の間
の写像や空間と空間の間の写像を考え、それらの間にどのような関係が付けら
れるか?」というより徹底したアイデアのもとで一般論が得られています。
(categoryとfunctorの発想。) この道具は特に代数幾何という分野では無くて
はならないものとなっています。
(引用終り)
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