マルチジャンルバトルロワイアルpart20 (683レス)
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抽出解除 必死チェッカー(本家) (べ) レス栞 あぼーん

421: ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)17:29 ID:qGeYnOkp(1/17) AAS
書き終わったので、用を済ませてざっと読み返して今夜中に投下します。
422: ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:14 ID:qGeYnOkp(2/17) AAS
投下します。
425: 第四回放送 ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:15 ID:qGeYnOkp(3/17) AAS
 ◇ ◇ ◇

【0】

「『存在』を規定するのはなんだと思う? 『環境』? 『資質』?」

 ◇ ◇ ◇
431: 第四回放送 ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:17 ID:qGeYnOkp(4/17) AAS
 
 
 
【1】

 モニターのスイッチを乱暴に消して、ギラーミンは葉巻に火を点ける。
 ニコチンとタールが肺に染み込む感覚を堪能してから、天を仰いで息を吐く。
 白い煙は室内を僅かに漂っただけで、すぐに天井に吸い込まれていった。
 煙草よりも強い葉巻独特の甘い匂いさえ、根こそぎに飲み込まれてしまう。
 とうの昔に勘付いていた事実が、いまのギラーミンには腹立たしい。
 彼がいる部屋は、窮屈で、無機質で、必要最低限の物品以外は存在しない。
省37
434: 第四回放送 ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:18 ID:qGeYnOkp(5/17) AAS
 
 彼女は満足して死んでいった。
 自ら率先して、他人に自分を殺させた。
 体内に魔獣が棲んでいるからといって、他人に引き金を引かせたのだ。

「気に喰わねえ」

 帽子で表情を隠したまま、ギラーミンは歯を軋ませる。
 死に行くなか、少女は安堵の笑みを浮かべていた。
 これでいいと確信しているかのように、微笑んでいたのだ。
 なにより、それが気に入らない。

 死ぬというのに。
省20
439: 第四回放送 ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:19 ID:qGeYnOkp(6/17) AAS
 
「……ッ」

 反射的に、ギラーミンは腰かけていた椅子から跳び上がる。
 凄まじい速度で、視界を遮っていたテンガロンハットをかぶり直す。

 明らかになった視界の先には、一人の男が悠然と立っていた。
 身に纏っているのは、高級そうな黒いスーツ。
 金色の髪はきめ細かく、背中の半ば辺りまで伸ばされている。
 初対面の男だったが、ギラーミンはその目に見覚えがあった。
 猛禽類を連想させる鋭い目付きは、これまで放送の原稿を手渡してきた三人の男女と同じものだ。
 その三人からも奇妙な雰囲気を感じたが、眼前の男は別格だった。
省15
443: 第四回放送 ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:20 ID:qGeYnOkp(7/17) AAS
 
 
 
【3】

 ――――ギラーミンが指をほんの少し動かしただけで、銃口を向けられていた扉は消し飛んだ。

 彼の手元で白煙を吐く拳銃の名は、ジャンボガンと言う。
 その名に恥じぬ威力でありながら、反動は驚くほど少ない。
 『上のヤツら』が用意した得物であり、野比のび太が手にしたこともあるらしい。

「大層なもん用意してくれたもんだ」

 満足げに呟いて放送室を一歩出ると、そこには闇が広がっていた。
省14
444: 第四回放送 ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:21 ID:qGeYnOkp(8/17) AAS
 
 
 ――――瞬時に、視界が切り替わる。

 次の瞬間には、ギラーミンはこれまでいたのとは違う場所に立っていた。
 殺し合いの説明を行った大広間でも、窮屈な放送室でも、闇だけが広がる空間でもない。
 完全に異なっている、また別の場所。
 遠く離れた地点なのか、あるいはすぐ近くなのか、そもそも同一世界であるのか否か――
 推測することさえまったく不可能であるが、ともかくギラーミンが求める相手はそこにいる。

 あるいは――在る。
 もしくは――有る。
省27
446: 第四回放送 ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:22 ID:qGeYnOkp(9/17) AAS
 
 
 
【4】

 闇の広がる部屋に残された三人は、ギラーミンが入っていった扉を見据えている。
 扉の向こうからは銃声はおろか、物音一つ聞こえてこない。
 すでにギラーミンが入ってだいぶ経っているが、はたしてどうなったのであろうか。
 誰一人として口を開こうとせず、闇のなかには静寂が広がっていく。

「――ふふ。この場合、放送はどうなるのだろうな?」

 静寂を破ったのは三人の誰でもなく、放送室から戻ってきたブラックだ。
省12
447: 第四回放送 ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:22 ID:qGeYnOkp(10/17) AAS
 
「私は、父とは違う。
 他者の意思に干渉などしない。あくまで、少し言葉を交わしただけだ。
 ギラーミンの造反は彼が勝手にやったことであり、私のあずかり知るところではない。
 ただ、私たちの知るギラーミンという人間らしい行動ではあったが、それはやはり彼自身の『意思』ゆえのものだろう」

 再び、静寂が闇のなかに広がる。
 たっぷり一分ほど待って誰も切り出さないのを確認してから、ブラックは胸ポケットに手を伸ばす。
 取り出されたのは、掌に乗るサイズの小さな砂時計だった。

「命というものは、このように止まることなく落ち続けている。
 我々ARMS適正者とて、いずれすべての砂が落ち切って息絶えてしまう。
省17
452: 第四回放送 ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:23 ID:qGeYnOkp(11/17) AAS
 
 
 
 ◇ ◇ ◇

【5】

 ――――放送の原稿は、時間通りに出現した。

 ◇ ◇ ◇
 
 
 
455: 第四回放送 ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:24 ID:qGeYnOkp(12/17) AAS
 
 
 
【6】

 殺し合い開始から、ついに丸一日が経過した。
 幸運な、あるいは不運な生存者の諸君、放送の時間だ。
 これまで通りに、禁止エリアと死者を告げていく……が、その前に報告しておくことがある。

 すでに気付いているだろうが、放送の担当者が変わった。
 私の名は、キース・ブラックという。
 単なる進行役でしかないので、別に覚えてもらわずとも結構だ。
省19
456: 第四回放送 ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:25 ID:qGeYnOkp(13/17) AAS
 
 
 01:00よりH−6。

 03:00よりC−3。

 05:00よりC−5。

 以上、三エリアだ。
 では、死者の発表に移るとしよう。

 アルルゥ
省14
460: 第四回放送 ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:25 ID:qGeYnOkp(14/17) AAS
 
 
 
 ◇ ◇ ◇

【2】

「テメェが何人目かなんざ知ったこっちゃねえ。
 ただよォ、『模造品』ってのはいったいどういうことだ」

「喩えでもなんでもない。そのままの意味さ。
 私は、キース・ブラックの肉体と記憶を持つだけのクローンだ。
 君の言う『上のヤツら』に作られた――ね。
省30
462: 第四回放送 ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:27 ID:qGeYnOkp(15/17) AAS
「…………」

「さて……そうして考えてみると、どうなのだろうな。
 はたして、君は、本当に、ギラーミンという人間なのか?」

「…………」

「宇宙一の殺し屋として名を轟かせ、野比のび太との決闘に敗北し、宇宙警察に逮捕され、どうにか脱獄を成功させるも殺し屋を続けることは難しくなった――あの、ギラーミンなのか?
 宇宙一の殺し屋として名を轟かせ、野比のび太との決闘に敗北し、宇宙警察に逮捕され、どうにか脱獄を成功させるも殺し屋を続けることは難しくなった――そんな記憶を持つだけの模造品ではないのか?」

「俺は――」
省9
463: 第四回放送 ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:27 ID:qGeYnOkp(16/17) AAS
 
「そんな情報漏らして、なにを企んでやがる。
 俺が混乱することなんざ、『上のヤツら』は望んでねェだろ。
 少し考えりゃ分かる。今回の件は間違いなく、テメェの独断だろう」

「さすがに察しがいい。
 君が乗り込んで解決しなかった揉め事が、唯一の例外を除いて存在しないだけはある」

「はぐらかすんじゃねえ。答えろ」

「その質問には、我が妹と同じ言葉で返答するとしよう」

「テメェ――!」
省14
466: ◆hqLsjDR84w 2013/01/04(金)21:28 ID:qGeYnOkp(17/17) AAS
投下完了です。
誤字、脱字、その他ありましたら、指摘してください。
支援ありがとうございました。

ちなみに、これまで『私』だったギラーミンの一人称がいきなり『俺』になっているのは原作通りです。
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