【天候擬人化】にっしょくたん 2スレ目 (783レス)
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728: ◆GAIA///6T. 2016/09/08(木)07:18 ID:Vp33R3DC(5/5) AAS
「それじゃあ、色々とありがとう。ばいばい」
そういって彼女が歩を進めて――って、いやいや、まだ雨も風も。
思わず立ち上がったところで、彼女がもう、右にも、左にも、正面の道路のあちらにも、何処にもいないことに気づく。
不思議と、不思議とは思わなかった。
ああいやまた変なことを言った。つまりだ、彼女が霞のように消えてしまっても、それはごく当たり前のような気がした。
彼女に感じた親近感と、現実感のなさを考えるに、彼女はきっと、吹き荒ぶ風と、濡れそぼつ雨のフィルターを介した時にだけ見える、精霊のようなものだったのだろう。
――台風一過。先程までの雨風がうそのように、太陽がぎらり。
家へ帰る前に、もう一回りだけすることにして、歩きながら考える。
そんな、朧な精霊を、果たして本当に見たのだったか? あれはちょっとした白昼夢ではなかったのだろうか?
それを確かめるのは簡単だ。灰皿の中を覗いて、吸い殻の本数を検めればいい。一本吸った数より多ければ、それは精霊のぶんだ。
でも、実行するのはよしておこう。こういうのは、夢か現か、曖昧なままにしておくのがいいように思う。
ふと顔を上げると、虹がひらり。耳を澄ませば、遠雷がごろり。
もうすぐ、夏も終わりだ。
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