【勇者放浪記】トリックスターファンタジーTRPGスレ [無断転載禁止]©2ch.net (184レス)
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96: ◆zTA3Hlbo9w 2016/07/22(金)13:03 ID:LVatemQN(4/5) AAS
「ペイル…ストーン…」
間違いない。あれはペイル、双子の妹だ。ペイルの部隊はそのままゆっくりと要塞に近づいていく。
大きな犠牲を払い、士気の下がった要塞側はなかなか次の手を出せず、ペイルらの接近を不用意にも許していた。
ペイルが倒れている東軍兵と思われる死体を蹴り上げ、叫んだ。
「わたしは東の魔女ペイルストーン!簡単に言うよ。さっさと要塞から立ち去りな。
でないと皆殺し。いいね?はい、10数えるうちに逃げること。いーち…にーい…」
声は拡声の魔法で大きくなっているのだろう。その喋り方はまさに壊れた少女のものだった。
ビビのようなせめてもの歳相応の分別はなく、ただ殺戮をするだけの無邪気な子供。それがペイルだった――!

西軍の一部の兵が逃亡を開始する。西も傭兵を用いており、決して士気は高くない。
ましてや、”こう壊滅続きの現状では”。
「怯むな、撃てぇ!」
西の隊長らしき男が楽器を鳴らして合図し、矢や魔法が放たれる。
「ろーく…あれ?不意討ちってことかな? じゃあ、みんな私を守って」「はっ」
騎士の男が巨大な盾を、盗賊風の男たちはマントを使ってペイルへの矢を防ぎ、魔術師らしき女がバリアを張る。
「はい、じゃあ撃つね。下がって」
一部怪我をしている仲間を尻目にペイルは既に詠唱を済ませたらしく前に出たと思うと、突然腕から自分の体ほどあると思われる巨大な紫色の球体を出し、
要塞に向けてそれを余すことなくぶちかました。球体から無数の手のひらほどの球体が飛び出し、それは要塞に当たると禍々しいオーラを出し爆発した。
要塞では阿鼻叫喚の悲鳴が上がる。一分もしないうちに、要塞が壊滅したことが、トリスタンにははっきりと分かった。

「誰も…いねぇ…」
恐らく五百人ほどはいたと思われる兵たちが、そこには既に誰もいない。
ペイルの放った魔法の余波と思われる磁場や、そこから飛び散った死臭がたちこめる中、ペイルは前に進んだ。
「はい、掃討作戦開始」
目を見開くようにして、五人の仲間を顎で使う。彼らの目、表情を見てトリスタンは驚いた。
そう、彼らは東マクドネルのために戦っているのではない。”恐怖に支配されながら”動いているだけなのだ。
数分の後に、ある程度のお宝らしきものを持って彼らは要塞を降りてきた。
そして、ある程度その場を彼らが離れたのを確認すると、トリスタンたちは戦場漁りに”元”要塞へと向かった。
勿論、ハーグの近くでいつ西軍の本隊が現れれるかは分からない。仲間の一部には腰を抜かしてなかなか立てない者がいた。
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