[過去ログ] 【伝奇】東京ブリーチャーズ【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (285レス)
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253: 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI 2017/02/09(木)19:48 ID:jX3DFzkh(4/5) AAS
『イッポウ』はムジナが見事な騙しのテクニックでケ枯れさせた。次の相手は『ロッポウ』だ。
『ニホウ』『サンポウ』『シッポウ』は尾弐が引き付けている。
『ハッカイ』は祈とノエルを当面撃滅すべき対象と認識したらしい。
では。

オギャアアアアアアアア!!!!!オオオオオオオギャアアアアアアア――――――――――ッ!!!!

『チッポウ』は自分の担当だ。
腕を振り上げ、時に口から溶解液を吐き出して攻撃してくるチッポウから身を翻しながら、橘音は戦場を奔る。
とっくに息は上がり、身体も鉛のように重い。息を喘がせながら駆ける姿は、ただ闇雲に逃げ回っているようにしか見えない。

グオッ!!

チッポウの右腕が、まるで蟻でも叩き潰すかのように振り下ろされ、アスファルトが砕け散る。
チッポウは七番目のコトリバコ。ハッカイに次ぐ巨体と破壊力を有している。
張り手一発で盛大にヒビの入った地面を振り返り、橘音は背筋にツララを差し込まれたような悪寒を味わった。

「あんなの喰らったら、ボクみたいに華奢なコは一発でミンチですよ!」

誰に言うともなく、そんな泣き言を口にする。
しかし、他のメンバーの援護は期待できない。今でさえメンバーには大きな負担を強いているのだ。
自分ひとりだけが安閑としてはいられまい。

――それにしても。

チッポウの溶解液をマントで凌ぎつつ、橘音は周囲に視線を走らせる。
今、戦場にいるコトリバコは六体。イッポウはムジナがケ枯れさせたから除外するとして、一体足りない。
ニホウ、サンポウ、シッポウは尾弐を取り囲んでいる。ロッポウはムジナを追いかけている。
チッポウは橘音のすぐ後ろにいる。ハッカイは祈とノエルにかかりきりだ。
だとしたら。

『ゴホウ』はいったい、どこへ行ったのだろう?

その疑問は、すぐに解消された。

ボッ!!

チッポウが橘音に向けて、恐るべき速度で何か小さなものを投げつけてくる。
橘音はそれを避けようと、逃げながら僅かに身じろぎした。
しばらく前から、チッポウは逃げ回る橘音に手近なアスファルト片や雑貨類、コンクリートブロックなどを投げつけてきていた。
軽自動車すら軽々と投げるコトリバコの怪力で投擲されるそれは、当たれば必殺の威力を誇る。
といって、そうそう命中するものではない。橘音は今回も必要最小限の動きで回避しようと身を捩ったのだが――
今回投げられた『それ』は、アスファルト片やその辺に転がっている雑貨ではなかった。

キャハハハハハハッ……ギャハッ!アギギギギギィィィィッ!!!

「……な……!?しまった!」

癇高い、耳障りな笑い声が耳を打つ。仮面の奥で橘音は瞠目した。
投擲物が橘音の眼前で突然膨張し、無数の赤子となって橘音に抱きついたのだ。
チッポウが投擲したのは、ゴホウのコトリバコ――その本体である寄木細工。
体力の消耗を抑えるため、紙一重で回避していたのが仇となった。

「う……うああああああああああああああああああ――――――ッ!!!」

コトリバコの接触を受けることは、女性にとっては避けられぬ死の到来を意味している。
それは妖怪であっても変わりない。うぞうぞと蠢くゴホウのコトリバコたちが、あたかも親に甘えるように橘音の身体に縋りつく。
触れた場所から白煙が上がる。女子供を殺すことに特化した即効性の呪詛が、橘音の全身を冒してゆく――。

その悍ましい感覚に、橘音は絶叫した。
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