[過去ログ] 興行収入を見守るスレ5656 (1002レス)
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抽出解除 必死チェッカー(本家) (べ) レス栞 あぼーん

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721: ボビー・バレンタイン(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:46 ID:XEi7410U0(21/57) AAS
オレは立ち上がり、退屈しのぎに片足を上げてよろけながらシャボン玉の内側をこぶしでたたいてみるが、金属の様な硬い音がする。
 どうなってんだ。こいつはシールドなのか?
 ふと下を見ると。オレの眼下で小さくなった奴らが悔しそうに攻撃を諦めてオレたちを呆然と見上げている。

「ふぅ。なんとかなったか」
 オレはネロに背を向けて寝転び、耳を穿りながら眼下に広がる景色を眺めた。

 広大な森が広がり、山が連なり、川が流れ、大きな湖、大きな滝、古城、遺跡がちらほら見える。
 大自然がオレを呑み込み、オレは息を呑む。これが、世界か。初めて見る。
 昔は、この森に人が住んでたかもな。

 それにしても。
 禁断の森の途中まで馬で来て、すく帰るつもりだったんだよな。
省10
722: 山崎武司(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:46 ID:XEi7410U0(22/57) AAS
オレたちを包んだシャボン玉は上昇気流に乗って目がくらむ高さまで上昇した後、風に任せてゆっくりと飛んでゆく。
 オレは束の間の旅を楽しむ。
 その時、飛行機の様な騒音が近づいてくる。

「なんだ?」
 オレは何事かと思い、音のする方に顔を向ける。

 騒音とともにごっついホバーボードに乗った、幼馴染のミサがオレとネロの間に割って入る。
 オレは寝返りを打って、やっと来たミサを「おせえんだよ」と呟く。
 ミサは亜麻色のポニーテールでエメラルドグリ ーンのベレー帽を斜めに被り、額にゴーグルを装着している。
 両耳にハートのピアス、首にはハートのネックレス。
 服は白のブラウスで胸に小さな紅いリボンが付き、スカイブルーのガーディガン。
省6
723: 古田敦也(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:47 ID:XEi7410U0(23/57) AAS
オレはつまらなそうにネロを見る。
 ネロはミサを無視して胡坐をかき、景色を眺めながら腕を組んで顎に手を当てて何やら考え込んでいる。
 また始まったよ。ミサの媚が。付き合ってらんね。

「つうか、ミサ。お前、今までどこ行ってたんだよ?」
 オレは寝転んだまま、耳を穿りながらミサを睨む。
 こいつ、可愛いんだけど、性格が最悪なんだよな。

「どこでもいいでしょ? カイトには関係ないじゃない」
 ミサはオレに舌を出して、両手を組んで鼻と喉を鳴らしてそっぽを向いた。

 オレは舌打ちした。
「ああ、そうかよ。お前の恋が実るといいな。どっかの誰かさんと」
省8
725: 稲葉篤紀(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:47 ID:XEi7410U0(24/57) AAS
~絶体絶命~

 その時、どこから飛んできたミサイルランチャーがオレのジャンボシャボン玉に当たり、卵が割れる様な嫌な音を立てて罅が入る。
 オレのジャンボシャボン玉にミサイルランチャーが当たる度に罅が大きくなる。
 その後、何故か敵の攻撃が止んだ。
 諦めてくれたか?
 オレは寝転んだまま、辺りを見回す。

 くそっ。今度はなんだよ。
 敵の攻撃が止んだのを確かめると、オレは眠気が一気に覚め、何事かと思い慌てて飛び起きた。
「おい、ミサ。なんでオレだけ罅が入るんだよ!?」
 オレは拳を振り上げ、ミサに食ってかかる。オレの拳が怒りで震えている。
省9
726: 松中信彦(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:48 ID:XEi7410U0(25/57) AAS
ネロはミサを無視して、デジタル腕時計を弄りながら、黒縁メガネのレンズでどこからミサイルランチャーが飛んできたか探索モードで必死に探っている。

 ここはネロに任せるか。オレはミサに視線を戻す。
 オレはミサの苛立ちで両手で頭を掻き上げる。
「おい、ミサ! オレのだけ手加減したのかよ!? お前、それでも幼馴染かよ!?」
 オレはまた力強くミサを指さす。やっぱりミサが信じられず指先が震えている。
 今度は額に嫌な汗を掻いている。

 ミサは肩を竦め不気味に微笑んで、鬱陶しそうに手をひらひらさせる。
「ネロとあたしは大丈夫だから。落ちるのはカイトね。短い間だけど、楽しかったわ」
 ミサは瞼を閉じ、涙を指で拭う仕草をして、胸の前で十字を切った。

 こいつ、冗談じゃないな。本気だ。
省12
727: 王貞治(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:48 ID:XEi7410U0(26/57) AAS
オレのジャンボシャボン玉の罅がみるみる大きくなる。
 くそっ。諦めたんじゃなかったのかよ。

 何でオレだけなんだ。
 オレは両手で頭を掻きながらミサとカイトを見る。
 ネロを見るが、ネロのシャボン玉は攻撃を吸収して大丈夫みたいだ。
 ミサはミサで、青白い障壁に包まれている。

 ミサ、オレのだけ本当に手加減したのか?
 オレは首を横に振る。そんなわけねぇ。
 オレは両手の拳を握り締める。
「おい、なんとかしろよ!」
省12
728: 新井貴浩(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:48 ID:XEi7410U0(27/57) AAS
「不味いぞ。ミサ、カイトをなんとかしろ!」
 ネロの怒声が波の様に揺らいで聞こえる。

 大鷲のミサイル攻撃がオレのジャンボシャボン玉に当たり、攻撃音が遠くに聞こえる。
 なんとかならねぇのかよ。くそっ。
 オレは両手の掌を床に突き、拳を握り締めて見えない床を叩く。
 その間にも、オレのジャンボシャボン玉の罅割れが大きくなる。
 オレの鼓動が高まり、緊張で息が荒くなる。
 瞼を閉じた。落ち着け。とにかく、考えるんだ。どうにかしないと。
 その時、オレのジャンボシャボン玉は攻撃に耐えきれず、ついにガラスが割れた様に砕け散る。

 オレの身体は吸い込まれるように宙に投げ出された。
省9
729: 星野仙一(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:49 ID:XEi7410U0(28/57) AAS
禁断の森の奥
カイトとミサ
 オレは手を伸ばして掌を広げる。
「ミサ、ネロ……」
 オレは小さく呟いた。
 ついにミサとネロが点になり、見えなくなった。
 オレの身体が急降下してゆく、地上に向けて。
 今度ばかりはダメかもな。
 オレは涙が滲んでゆっくりと瞼を閉じる。

「こらあああああ! カイトおおおおお! なに諦めてんのよっ! あたしがカイトを助けるんだから! 幼馴染を見捨てたりしないわよ! 今行くから待ってなさいっ!」
省13
730: ダルビッシュ有(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:49 ID:XEi7410U0(29/57) AAS
 ミサは鬱陶しそうに髪を掻き上げ、背後の魔物を無視してオレの降下スピードに追いつく。
「魔物なんかどうでもいいわ! あんたがなんとかしてよ! あたしはあんたを助けるので手一杯なんだから! カイト、手を伸ばして!」
 ミサがオレに手を伸ばして掌を広げる
 ミサの亜麻色の前髪とポニーテールが風で靡いている。

 オレもミサに手を伸ばしながら、腰のホルスターに挿したオートマチック銃の柄に手をかける。
 オレは舌打ちした。やっぱ、オレがなんとかしないとな。
 大鷲の魔物はミサの背後で羽ばたきながら、長い尻尾の鋭い先端をミサの背中に向ける。
 こいつ、あの尻尾でミサを刺そうってか。させるかよ。
 オレはミサに手を伸ばしつつ、腰のホルスターに挿したオートマック銃を抜く。
 片目を瞑って大鷲の魔物に狙いを定め、オートマチック銃の引き金を引いて二三発撃つ。
省8
732: (福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:53 ID:XEi7410U0(30/57) AAS
その時、もう一羽の大鷲の魔物がお腹を向けて急降下して来た。
 そして、青白い電気を包み込みながら降下していた大鷲の魔物と接触して空中爆発が起きる。

 その衝撃波がオレとミサを襲う。
 あとちょっとでオレはミサの手を掴むところだったが、爆風でオレは回転しながら吹っ飛んだ。
「うわっ」
 熱気と破片が飛んできて、オレは顔の前を手で遮る。
 凶器と化した破片が頬や腕、脇腹や太ももを掠めて皮膚が切れて怪我する。
 オレは痛くて、「っつ」と思わず顔をしかめて声を漏らす。

「ああもう! あとちょっとだったのに! 世話が焼ける男ね! こうなったら、魔法しかないわね! ウォーターポール!」
 ミサの苛立ちの声が降り、ミサは呪文を詠唱した。
省6
733: (福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:53 ID:XEi7410U0(31/57) AAS
ミサが鬱陶しそうに髪を掻き上げ、ホバーボードを飛ばしてオレのジャンボシャボン玉に近づいてくる。
「即席のウォーターボールよ。文句言わないでよ ! あたしの魔力、そんなにないんだから!」
 ミサがジャンボシャボン玉の中に手を突っ込んで、オレに手を伸ばす。
「いつまで持つかわからないわよ? また落っこちたい?」と、ミサは顔をしかめて冷たく言い放つ。
 自分の手を早く掴めと言わんばかりに、シャボン玉の中に突っ込んだ手の指をひらひらと動かす。

 魔法が使えないオレはミサの態度に苛立ち、頭の後ろで手を組む。
「おせえんだよ。待たせやがって」
 オレは舌打ちしてから、一安心してため息を零し、仕方なく嫌々ミサに手を伸ばす。
 オレがミサの手を掴んだ瞬間、ジャンボシャボン玉が勢いよく弾けた。

 ミサはオレの手を掴んだままため息を零す。
省8
734: (福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:54 ID:XEi7410U0(32/57) AAS
ミサの汗の粒が風に飛ばされて、オレの頬に張り付く。
「オレを殺す気かよ。ったく」
 オレは眉根を寄せてミサを睨み、俯いてため息を零す。
 雲を抜け、雲の間から足元に広がる景色に息を呑んだ。
 ネロの奴、今頃なにしてんだか。

「ねえ、ネロのこと考えてるの? ネロのことなら心配ないわよ? 後で合流しようって言ってたし。それに、ネロのハイテク装備もあることだし。なにも心配することないわよ」
 ミサはオレが考えていることを、さらりとロにした。

 やっぱ、ミサはオレの幼馴染だな。オレはミサの顔を見て微笑む。
「そうか、ならいいんだ。ミサを巻き込んで悪かったな。お前、ネロと一緒に王都ガランに行くつもりだったんだろ?」
 オレはミサのことはお見通しという感じで、ミサに歯を見せて笑った。
省9
735: (福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:54 ID:XEi7410U0(33/57) AAS
ミサはデートのこと根に持ってるのか、ミサの盛大なため息が聞こえる。
「ネロがどうした? なによ、気になるじゃない」
 ミサの興味津々な声が降ってくる。
 オレは俯いたまま、ゆっくりと瞼を開ける。
「なんでもねえよ」
 オレは小さく呟き、握り拳に力を入れて拳が震えた。
 そのまま、ミサと顔を合わせるのが嫌でオレは俯いたまま。

 急にミサが洟をすすって泣いた。
「少しはあたしの恋に協力してくれてもいいじゃない。カイトのバカッ」
 ミサが小声でぼそりと呟く。
省15
736: 浜崎順平(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:56 ID:XEi7410U0(34/57) AAS
ミサがため息を零すのが聞こえ、オレはミサを見上げた。
 お前、ため息が多いな。そんなにネロとデートが出来なかったことが悔しいのかよ。
 なんかミサに悪いことしたな。今度、ミサの恋に協力してやるか。

 ミサは風で髪をなびかせて、眼下に広がる景色にうっとりして堪能していた。
「あーあ。思った以上に景色が綺麗で、この子の 燃料食っちゃったなあ。反省……ごめんね、ネロ」
 ミサはがっくりと肩を落とし、意気消沈して俯く。

 おいおい。お前、ホバーボードの名前がネロとか病んでるな。聞いてて寒気がする。
 オレはホバーボードでミサを殴ってやろうかと思ったがやめた。
「お前が寄り道してるせいで、オレとネロは大変だったんだからな。ちったぁ反省しやがれ」
 ホバーボードを掴むオレの手が怒りと重さで震えている。
省12
737: 浜崎順平(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:56 ID:XEi7410U0(35/57) AAS
オレはミサの体重に引っ張られる。
「ぐっ」
 オレはミサの手をしっかりと片手で掴む。
 ホバーボードを掴んでいる手を、ホバーボードを持ち上げて脇に挟み、ミサの手を両手で掴む。

「ミサっ!?」
 オレは歯を食いしばって力を入れた。
 ぜってえ離さねえ。無理しやがって。
 ミサのパワーグローブのおかげで、ミサの体重をそんなに感じない。
 風の抵抗を受けながら、大地が近づいてくる。
 幸いにも、下に大きな川が流れているのが小さく見える。
省4
738: 浜崎順平(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:57 ID:XEi7410U0(36/57) AAS
☆川に流されて☆

「ミサっ!?」
 オレは歯を食いしばって力を入れた。
 ぜってぇ離さねぇ。無理しやがって。
 ミサのパワーグローブのおかげで、ミサの体重をそんなに感じない。
 風の抵抗を受けながら、大地が近づいてくる。
 幸いにも、下に大きな川が流れているのが小さく見える。
 うまくいけば助かるかもな。川に落ちたとしても、川の深さがわからねぇ。
 川に飛び込んだ衝撃で、怪我どころじゃねぇな。
 下手すりゃ溺れて、オレとミサはお陀仏だ。
省11
739: 浜崎順平(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:57 ID:XEi7410U0(37/57) AAS
重力の勢いで、風を切り裂きながら落ちてゆくホバーボード。
「くそっ!」
 回転しながら落ちてゆくホバーボードに、オレはミサの手から片手を離して、ホバーボードに手を伸ばす。
 オレは悔しくて歯を食いしばる。ミサ、すまねぇ。お前のホバーボードを手放しちまった。
 オレはやるせなくなり、ホバーボードに伸ばし手を垂れて俯く。
 諦めるのか? そんな簡単に。ミサの大事なホバーボードなのに。
 ミサが好きなネロって名前のホバーボードだろ? ミサのお気に入りなんだろ?
 垂れた手を握り締め。瞼を閉じて首を横に振る。いや、まだ終わってねぇ。
 ホバーボードに燃料が少し残ってるはずだ。その可能性に賭ける。
 どうにかして遠隔操作すれば、ホバーボードを動かせるかもしれねぇ。
省12
740: 浜崎順平(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:58 ID:XEi7410U0(38/57) AAS
ミサが川に落ちて水飛沫がオレの頬に張り付く。
 オレは川に流されまいと、慌ててホバーボードの上に両腕を載せてホバーボードにしがみつく。
「ミサッ!?」
 オレの下半身がずぶ濡れになり、流されまいと足に力を入れる。
 空中爆発で飛んで来た破片で太腿を切った傷口が沁みて、オレは顔をしかめる。
 痛みを我慢して、オレは水面上に浮いたホバーボードからミサに手を伸ばす。
 くそっ。動け、このポンコツが!
 オレは吐き捨てるように、ホバーボードの上を拳で思いっきり叩いた。 
 次の瞬間、ホバーボードは空気が抜けた様な間抜けな音を出し、ホバーボードが川に落ちて派手に水飛沫を上げた。

 ホバーボードが川に落ちた瞬間、オレは川の水を飲んだ。
省9
741: 浜崎順平(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:58 ID:XEi7410U0(39/57) AAS
オレはミサから目を離さない。
 ミサの数メートル先に、大きな尖がった岩が川から突き出している。
 待てよ。ミサがあの岩に引っかかってくれれば、なんとかなりそうだ。
 オレは震える手で川の水を手で必死に漕ぎながら、ミサの後ろに位置を調整する。
 やがて、ミサは大きな岩に引っかかり、ミサの身体はうつ伏せのまま浮いている。

 少ししてオレはミサに追いついた。
 岩の周りは幸いにも浅瀬せで、川の流れも遅く、オレの腰くらいまで水の高さがある。
「ミサ、しっかりしろ!」
 オレはミサを支えて肩に担ぎ、川底に足を取られよろけながら、オレはミサをホバーボードの上に載せる。
 ミサの生死が気になって、オレは横になったミサの胸に耳を当てる。
省7
742: 浜崎順平(福岡県) (ワッチョイ 9917-yILz [124.159.140.223]) 2022/09/10(土)01:58 ID:XEi7410U0(40/57) AAS
涙が滲んで、オレは手の甲で涙を拭う。
「くそっ! なんでこんなことになっちまったんだよ!」
 オレはやるせなくなり俯く、ミサの足元のホバーボード上を拳で思いっきり叩く。
 ミサを死なせねぇ。オレは諦めない。
 そうだ。人工呼吸だ。総合学校の授業で習ったな。
 オレは顔を上げ、うろ覚えでミサの身体を仰向けにし、ミサの唇に自分の唇を重ねようとする。
 ミサの白い顔を見て、オレは顔が火照る。なんでオレがミサとキスしなきゃならねぇんだ。
 オレはミサの紫色の唇を見て躊躇い、生唾を飲み込み喉を鳴らす。
 オレは瞼を閉じて首を横に振る。ミサ、目が覚めたらオレをぶん殴ってくれ。
 オレは意を決し、瞼を閉じたまま、ミサとキスして人工呼吸する。
省15
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