アントニイ・バークリー Part2 (289レス)
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77: 書斎魔神 ◆AhysOwpt/w 2012/02/05(日)22:50 ID:ISBN0QJ0(1) AAS
484 :書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2012/02/05(日) 22:48:49.73 ID:ISBN0QJ0
アントニイ・バークリー「試行錯誤」読了。
バークリー・スレに刺激を受け再読したが、初読時には先の展開に気を
とられ、ストーリーを追うのに懸命であった記憶がある。
今回じっくり読んでも、才人バークリーの代表作にふさわしい読み応えある作であった。
シェリンガムものでも顔を出す、自己の信念にもとづく正義>遵法精神という
この作者のポリシーがストレートに発揮されており、
突飛なストーリーと言うてもよいにもかかわらず、
登場キャラが主人公の英国独身貴族(と言うても初老)
トッドハンター氏、探偵役のチタウイック氏等を筆頭に、とにかくビビッドで
立ちまくり。つまり「人間が描けてる」んである。
執筆当時の英国の裁判制度に関する知識が無いのは、読者サイドの者としては痛いが、裁判員制度が施行された日本でも、今1度「裁判」というものに
関するものをシリアスに考察する「よすが」のひとつともなるのではなかろうか。たかが、ミステリも読み捨てオールではないんである。
勿論、ミステリとしても、文字どおり最後の一行のフィニッシュストローク
まで油断ならないのだ。
(「刑事コロンボ」の「野望の果て」のインスパイアも本作と思われだ)
些細な点だが、エピローグのチタウィックの台詞にある「心中留保」は、
正確には「心裡留保」だね。
ただし、本邦では民法に登場するタームであり、刑事事件を描いた本作での
登場は「?」だが。英国には刑事事件にも、この概念があるのであろうか?
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