[過去ログ] 【腐女子カプ厨】巨雑6438【なんでもあり】 [無断転載禁止]©2ch.net (651レス)
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569: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:57 d AAS
 小さい頃に父親グリシャの部屋にあった写真集。
 今はもう実家のどこにあるかもわからない。
 空、街中、植物、動物…同じカメラマンの写真集がワンセットで置いてあった。
 医者であったグリシャの部屋は医学書ばかりが並び、海外の言葉で書かれた本も多く、どれを見ても当時のエレンには理解ができなかった。
 当時の、とは言っても今読んだところで、医学を専攻しているわけでもなければ、外国の言葉に強いわけでもない大学生のエレンには到底理解ができる内容でもない。
 読んでみたいともあまり思わないのが正直なところだ。
 そんな中で写真集は異彩を放っていた。並んだ背表紙からも小難しい医学書ではないことが簡単に見てとれる。
 グリシャの趣味とも思えないが、確かにそれはそこにあり、エレンはグリシャの不在時に父親の部屋に忍び込んではパラパラとページをめくって楽しんでいた。
 それは母親のカルラが病気で亡くなるまで続きカルラが亡くなった後は掃除や整理をする人間がいなくなったことで、いつのまにかその写真集は医学書の中に埋もれて見つけられなくなってしまった。
 この季節、時折吹く風はまだ冷たい。しかし日に日に気温はどんどん暖かくなって春の訪れを告げていた。
省12
570: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:57 d AAS
「な、なんですか……」
 なにかしただろうか。
 肩すらぶつかっていないはずだから、因縁をつけられる覚えもなければ物を落としたわけでもないだろう。
 男の目つきは鋭く、まるで睨まれているようだった。正直とても怖い。
「お前……、あ、いや、君……あなた……?」
 どれでもいい。男はできる限り丁寧な言い方を考えているのかもしれないが、無表情でそう言われても怖い印象は変わらない。
「はあ……、あの、ご用件は?」
 なかなかその先の言葉が出てこない男におそるおそる尋ねてみる。
 身長はエレンの方が高いのに男のオーラが威圧的でついつい縮こまってしまい、身を引こうにも腕は掴まれたまま、離してもらえそうもない。
「待て。怪しい者じゃない……怪しいだろうが、そこまで怪しくないから安心してほしい」
省13
571: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:57 d AAS
 思い出せたところで、モデルになるつもりがないエレンは今度はこの場をどうやって切り抜けよう考え出す。

「あー……じゃあ、考えます。考えるので、とりあえず離してもらえないですか?」

 試しに名刺を受け取って曖昧な返答をしてみせてみた。
 すると、思いの外すんなりと腕は解放されて自由になる。返事が決まったら連絡してほしいと告げられ、また曖昧に言葉を濁す。

「いい返事を期待している。返事が決まっていなくとも質問があれば何でも答えるから連絡してほしい」
「わかりました。ちょっと急ぐので今日はこれで、」

 名刺を鞄にしまい込んで頭を下げる。律儀にもリヴァイもまた頭を下げてくれた。
 終わってみれば因縁をつけられたわけでもなんでもない。
 キャバクラのキャッチに声をかけられたようなものだと頭を切り替えて、逃げるようにしてその場を離れた。
 万が一にでも後をつけられていたら困るので、時々振り返って後方を確認したがリヴァイの姿は遠くなる一方でそんな様子はない。良かった、助かった。
省13
572: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:57 d AAS
 混乱するエレンを置いて、リヴァイの顔写真が映っていた画面は次に彼の撮った過去の写真や写真集をスライドで流し出す。
 見たことのある写真だった。
 一部、エレンの知らない写真もあったが、出てくる写真のどれもがエレンの記憶にあるものばかりだ。
 忘れもしないし、間違えようもない。それはグリシャの部屋にあった写真集の写真だった。
(だからなんとなく聞き覚えがあったのか?)
 リヴァイについて調べもしなかったエレンはその事実に愕然とする。信じられない真実に頭がくらくらした。
 リヴァイは、怪しくないどころか好きだとも言える人物らしいことが分かる。
 ああ、でもこれで名前が分かったから写真集が買える。
 違う、自分はなんて失礼なことをしたんだ。でもあの場では仕方がない。
 いきなり写真を撮らせてくれなんて言われて警戒しないはずがない。あの写真集のカメラマンだなんて誰が思うか。
省12
573: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:58 d AAS
 物をひとつずつよけて探すとやがて角が折れてボロボロになり、雨水で茶色くシミができてしまったいるそれが見つかる。幸いにもまだ字は読める状態だった。

「良かった! あった!」

 両手でそれを取り上げて、指先で折れてしまった場所を伸ばす。そんなことしたって元の状態には戻らないことはわかっていても、そうせずにはいられなかった。
 ひと文字ずつ指でなぞる。
 自分がリヴァイの世界の中に入れるとは考えもしたことがなかった。
 似合うとも思えない。あれからもうひと月も経っているし、待っていると言われたのにエレンはリヴァイに連絡のひとつだってしなかった。
 考えるとごまかして、しっかりとした断りだってしなかったのに、好きな写真家だったというミーハーな理由で話を蒸し返されても困らせるだけだろう。
なんだこいつは、と嫌な印象を与えてしまうかもしれない。返事もしていない時点でもう充分嫌な奴だが。

「はぁ……、」

 大きなため息がエレンから漏れる。落胆していた。
省14
574: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:58 d AAS
 店主とウェイター、それぞれからいらっしゃいませと声をかけられたので会釈して、カウンター席へと座る。
 奥の客がどんな料理を頼んでいるのか気になって、メニューを開く前に横目で盗み見た。
「あっ!」
 しかしエレンの視界に飛び込んできたのはテーブルの上の料理ではなく客の顔だ。忘れもしない。
 あの顔、あの髪型。そこにはリヴァイが女性と対面して座っていた。
 声を出した時、リヴァイと目が合った気がする。
 通りすがりのようなものだったし、もしかしたらリヴァイはエレンのことを忘れているかもしれない。
 でも覚えていたら気まずいことこの上ない。
 急いでメニューを開いて、その中の文字列を追った。
 カタカナばかりの料理名でちっとも頭に入ってこない。流し見るようにしてページを次々とめくっているとあっという間に最後のページまできてしまった。もう一度最初のページに戻る。
省11
575: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:58 d AAS
「よう、覚えているか?」
「…………」             
「チッ、」
 緊張でなにも言えない。後ろを振り返ることすらできない。
 背中を丸めるとメニューにどんどん顔が近づいていき、もうすぐメニューとキスしてしまうそうだ。
 そんなエレンの気を知ってか知らずか、リヴァイはエレンの隣の椅子を引いてそこに腰かけた。
 体は完全にエレンの方を向いている。頬杖をついて、メニューとキスする五秒前のエレンをじっとりと眺めていた。
 怖い。最初に腕を掴まれた時の恐怖が蘇る。いや、今日はエレンに後ろめたいことがある分、初対面の時よりももっと怖い。
 こんなに怖い人があんな綺麗な写真を撮ってるだなんて詐欺だ。
「このひと月、ずっと連絡を待っていたんだがそろそろ待ちくたびれたな」
省13
576: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:58 d AAS
 小声で伝えると、リヴァイは知り合いだと言う店主にハンバーグのチーズ焼きとサラダ、ライス大と辛口のジンジャーエールを注文した。
 次いで、会計はリヴァイ持ちでいいと言い、自分用にグラスシャンパンを頼んでいる。
 奢ってもらう理由がないと慌てたエレンは会計は別にしてほしいと頼んだが、あえなく却下されてしまった。
 曰く、何の欲目もなしに奢るわけがない。下心があるに決まっているとのことだった。
「まだモデルは決まっていない。撮らせてくれ。その目が欲しい」
 睨むでもなく、ただ真剣に目と目を合わせてそんなことを言われると、口説かれているような気分になる。
 男同士なのに妙な気分になってしまいそうだ。
 改めて見るとリヴァイは整った顔立ちをしていた。
 背こそ低いが、欠点はそれくらいに思える。
 リヴァイと一緒にいた女性はエレンがメニューに沈んでいる間に本人の宣言通りに帰ってしまっていたようだ。
省9
577: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:59 d AAS
 頼んだグラスシャンパンが出される。合わせて、ジンジャーエールもエレンの前に置かれた。軽く乾杯をしてからひと口飲む。シュワシュワした炭酸で頭が冴えてきた。
 テレビを見た時はモデルを引き受ければ良かったと後悔したが、本当にエレンで良いのだろうか、と疑問がわく。
 当たり前だがエレンは一般人だ。どこにだっている大学生で、リヴァイはやたらと目を褒めてくれるけれどそれだって人より少し大きな釣り目というだけだ。
 目力が強いとはよく言われる。でも目が大きければそんなことは必然で、ほかにも似たような人はいるだろう。
 それどころか、もっと良い人だってたくさんいるはずなのだ。
 リヴァイがエレンを選ぶ理由がないように思えた。エレンでなければならない理由が、エレンには分からない。
 素人を使うより、プロを使ったほうが撮影も楽に進む。
 何より、自分がリヴァイの世界に紛れ込むことで、彼の世界が汚れてしまうんじゃないかと恐怖すら感じてしまった。
 すっかり怖じ気づいたエレンはそれを素直にそのまま伝える。
「……お待たせさせてしまったのに申し訳ないです」
省14
578: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:59 d AAS
 ピピピ! と調理場からタイマーが鳴っているのが聞こえる。
 頼んだ料理がそろそろ出来上がるのかもしれない。こんな状態で食べて味がわかるか不安だ。

「引き受けてくれないか」

 立ち上がって頭を下げるリヴァイにエレンはどうすれば良いのか真剣に考えた。
 教えていないので、リヴァイはエレンの名前も知らない。
 知り合ったばかりのおそらくかなり年下の男に告白をすることにどれだけ勇気と覚悟が必要だろうか。
 不思議と嫌悪感はなかった。
 エレンでなければならない理由もあった。
 断ろうと思った理由は自信がなかっただけ。
 嫌なことはハッキリと嫌だと言える人間だ。
省19
579: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:59 d AAS
 これはなんだ。
 告白されたせいか、なんだか変に意識してしまっているのかもしれない。
 いまだに立ったままのリヴァイに座るように促してから、自己紹介をした。
 すると名前を褒められ、またドキドキしてしまう。
 タイミング良く出てきた料理を食べることでなんとか平常心を保ちながらエレンはリヴァイと会話を続けた。
 食べた料理はこの店のメニューをコンプリートしたくなるくらい美味しかったのでランチもディナーも外で食べる時は暫くこの店に来ることを決意した。
 それをリヴァイには言う余裕はなかったけれど。
 リヴァイは終始柔らかな雰囲気を出しており、エレンの返答にとても満足したことは確かだ。
 連絡先を交換した時もエレンの電話番号を登録した後に大事そうに自分の携帯電話を見た後で、エレンには「絶対に削除するんじゃねえぞ」と凄んできた。
「本当に引き受けてくれて嬉しく思っている。短期アルバイトとして契約書を書いてもらいたいから後日、俺の事務所まで来てほしい」
省11
580: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)13:59 d AAS
 数メートル進んでから振り返るとリヴァイはまだ店の前でエレンを見ていた。見えなくなるまで見送るつもりらしい。
 お辞儀をすると手を振られ、エレンは携帯電話を取り出した。
 メールを起動させて登録したばかりのリヴァイのアドレスを選択する。

 『風邪引かないうちに帰ってくださいね。今日はごちそうさまでした。おやすみなさい』

 本文を入力して送信ボタンを押す。メールに気づいたリヴァイがそれを読んでいる間に走って逃げるように帰った。
 家を出た時と違って、とても気分が良い。今夜はぐっすり眠れそうだった。

2、
「おはようございまーす」
「今日はよろしくお願いします」
 テレビでしか見たことのない機材を持つ人々が行き交っていた。
省15
581: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:00 d AAS
 しかしそれもスタジオでの撮影が始まるまでだった。
 失念していたが、白ホリということはここで撮る写真はエレンがメインのものばかりなのだ。廃ビルとは違って、エレン以外には何もない真っ白な空間にわくわくが全て緊張へと差し替わる。
 緊張は如実に撮影に影響し、ガチガチに固まってしまったエレンは自分でもこれではリヴァイが思うような写真が撮れないことが分かってしまう。
「エレン、」
 見かねたリヴァイがエレンに声をかけて近づいてくる。
「上手くできなくてすみません……」
「そうじゃない。これを見ろ」
 そうしてリヴァイの持っていたカメラの液晶画面を前に出された。表示されていたのは廃ビルで撮った写真で、さっき見せてもらったのとはまた別のもの。伏し目がちにどこか遠くを見るエレンがアップで写っていた。
「綺麗だろう。気張らなくても大丈夫だ。ポーズや視線はこっちで指示する。絶対に良く撮ってやるから自信を持て」
 ぽんぽんと頭を撫でられるとそこからすっと緊張が解れていく。リヴァイに頭を撫でられるのは二回目だった。
省14
582: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:00 d AAS
 撮影の終わりにいつもその日の写真を少しだけ見せてもらうのが楽しみだった。
 やっぱりリヴァイの撮る写真はすごい。
 自分が自分じゃないみたいで、色んな意味で感動する。
 ぼーっと間抜け顔で立っていただけでもリヴァイの手にかかれば、物憂げに悩む美しい青年に変わる。
 人物を入れた写真を撮るのが初めてなんて嘘みたいだ。
 そんな、美しく世界を切り取るリヴァイという人間を知る度に、惹かれ、心を奪われてしまったのは必然だろう。
 リヴァイは優しかった。
 それはエレンだけにではなく、スタッフにもスタジオの管理人にも、誰にでもだ。
 仕事もキッチリこなすし、周りの迷惑になるようなことは絶対にしない。
 なんて怖い人だと恐怖し、不審がっていたのが遠い過去に思えた。
省14
583: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:00 d AAS
 自分が濡れるのはいいが、機材が濡れることがあってはならない。
 ここは自分がなんとかすべきだと判断し、水が出ている箇所を手で抑える。
 水漏れ(というレベルの出方ではなかったけれど)が起きていることはきっとみんなすぐにわかるはずだ。機材を避難させるまでは濡れても構うものか。
 だが、エレンの思いもむなしく、カーテンはすぐに開けられた。シャー! と勢いよくカーテンレールが滑る音と共にリヴァイが姿を現したのだ。
「機材が……!」
「もう近くにはない。いいからお前も早く離れろ」
 開いたカーテンの向こう側を見ると、確かに水がかかってしまう範囲から機材は既に撤収されていてエレンはほっと胸をなで下ろす。
「でも、リヴァイさんまで濡れることなかったのに」
 声を出して呼んでくれれば出ていけた。
「それがお前を心配するなという意味なら却下だな」
省11
584: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:01 d AAS
 撤収の準備をしている間に管理人は到着し、それから間もなく管理人が呼んだ業者もやってきた。
 エレンは濡れた衣服を着替えて、髪を乾かし終えると帰宅の許可が降りた為、ほかのスタッフよりもひと足早くスタジオを出ることになった。
「今日はすまなかった」
「そんな! 大丈夫ですよ。お疲れさまでした。またよろしくお願いします」
 申し訳なさそうに頭を垂れるリヴァイにぶんぶん首を横に振る。
「また連絡します」
「ああ、次も頼む」
 リヴァイもこの頃にはもう着替えてしまっていて、エレンは少しだけ残念に思う。
 実はエレンは筋肉フェチなのだ。リヴァイの筋肉を見て目を輝かせたのはそのせいで、ひどく憧れた。いい腹筋してるんだろうな。触ってみたい。
 このことで、余計にリヴァイへの想いに火がついてしまったのは言うまでもない。
省8
585: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:01 d AAS
 スケジュール帳を確認していると、つきっぱなしだったテレビに幸せそうなカップルがカメラの前でお互いの仲の良さを見せつけている様子が映し出された。
 エレンは音がない空間が苦手で、家にいる時ならばテレビは常についていた。なにか見ているわけではない。
 ただなんとなくつけて流しているだけ。今、リヴァイと一緒にいられるのも、あのニュースが流れた時にこうしてテレビをつけっぱなしにしていたお陰だからこの習慣も捨てたものではない。
 テレビに映っているカップルの映像に、エレンは簡単に触発された。
 二人はとても幸せそうで、きらきらした瞳で笑いあっている。
 自分もリヴァイとこんな関係になりたい、と思うことに時間はかからなかった。

 打ち合わせが終わった後、エレンは早速、告白をする為にリヴァイを呼び出した。
 まだリヴァイには事務仕事が残っていたので、場所は事務所の近くの喫茶店だ。
 いまだかつて彼女がいたこともなければ告白をしたこともない。
 メールや電話で言ってしまえば簡単だったかもしれないけれど、
省3
586: (ワッチョイ 53a2-G+K4) 2016/04/06(水)14:01 0 AAS
>>530
BBAおたおめ
そういやキャラと誕生日同じBBAっておるんやろか
587: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:02 d AAS
 店員に通された席も前後左右に他の客が座っていることもなく、店の角席でちょうどよかった。
 リヴァイは紅茶を、エレンはレモンスカッシュを注文して、それぞれ何口か飲んでいる。
 いざ、告白するとなると少しばかり緊張する。リヴァイもこんな気持ちだったのだろうか。
 それとも先にエレンの気持ちもわからないまま告白したリヴァイはもっと緊張しただろうか。
 今から言うことがリヴァイを喜ばせる内容だといい。
 そもそもそうじゃなかったら、きっとエレンは気まずさに撮影を続けることはできない。
 だから、どうか。
「リヴァイさん、」
 テーブルの下、膝の上に置いた手のひらを握った。
 本当は目を見て伝えたいけれど、エレンにそこまでの勇気はない。
省21
588: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:02 d AAS
 エレンが顔を上げたのをきっかけに、リヴァイもやっとそのひと言を返した。
「嬉しい、と思う」
「本当ですか……!」
 テーブルに身を乗り出して、リヴァイに詰め寄る。気持ちが受け入れられた、リヴァイも同じ気持ちだった、とエレンの表情は明るくなった。
 一方でリヴァイはまだ信じられないものを見る目でエレンを見ていたが、両思いになったことが信じられないのだろうとごく自然にそう思った。
 それが、間違いだとは気づけなかった。
 さっきまでの緊張が嘘のようにエレンは途端に生き生きとし出す。
「オレも嬉しいです。リヴァイさんのこと好きになれて同じ気持ちになれて」
「ああ、……じゃあ、付き合うか。あー……それで、今日はこれが言いたかったのか?」
「はい、好きだって思ったらいてもたってもいられなくて、仕事が残っていたのにすみませんでした」
省11
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