[過去ログ] 【書評】心にナイフをしのばせて 少年事件、被害者家族の苦しみ (1001レス)
上下前次1-新
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
1(18): シガテラな本屋さんφ ★ 2006/09/25(月)02:26 ID:???0 AAS
かつて神戸でいわゆる「酒鬼薔薇」事件が起きたとき、似たような事件が三十年近く前にも
あったと雑誌等が報じた。似たようなというのは、加害者が少年であり、首を切断するという
手口を指してのことである。ところが、その後、古い事件のことはほとんど話題に上らなくな
った。
マスコミが事件を忘れても、被害者の家族は事件を忘れない。いや、正確に言うなら、忘れ
られないし、逃げられない。奥野修司『心にナイフをしのばせて』は、被害者家族のその後を
追ったルポルタージュである。
事件は一九六九年の春、神奈川県横浜市郊外で起きた。高校一年生の少年が惨殺され、間も
なく同級生が犯人だと分かった。加害少年は少年院に送られ、やがて医療少年院に移された。
それから後のことは分らなかった。
殺人事件、それも壮年事件の被害者家族が、こんなにも過酷な経験をしなければならないの
かと驚愕する。母親はショックのあまり記憶を失い、その後も心身に変調をきたす。妹は感情
を押し殺すようになり、親に反発し、自分を傷つける。父親は静かに耐えようと努める。やが
て家族は喫茶店を始める。平穏で幸福な日常を取り戻したように見えるかもしれないが、事件
を引きずり続けている。癒されることはない。加害者少年は一人の命を奪っただけでなくその
家族の人生をめちゃくちゃにしてしまったのだ。
本書で最も衝撃的なのは加害者少年の「その後」であろう。彼は弁護士になっていたという
のだ。法的な問題もあってか、詳しくは書かれていないが、過ちを悔いて弁護士になったので
はないようだ。父親の愛人の養子になることで、名前を変え、過去を消し、被害者家族への償
いもせずに地元の名士として生きている。かたちの上では少年法の精神にどおり見事に「更生」
したことになるのかもしれない。だが今もって一言の詫びもないその態度は、被害者家族をさ
らに傷つける。
被害者の家族に対し、行政は何ら手を差し伸べてこなかった。こうした悲劇を「しかたない」
で済ませたくない。
(フリーライター永江朗)
日本経済新聞
2006年9月24日(紙面より)
上下前次1-新書関写板覧索設栞歴
あと 1000 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル
ぬこの手 ぬこTOP 0.007s