女が土の中に埋まってた (118レス)
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64: 2014/12/14(日)03:32 ID:NgK(64/117) AAS
「本当についていたのは、俺の方だったな。」
「 どうしたの?急に。」
オフィスで唐突にそう言ったフゴーに彼女は微笑みながら答えた。
65: 2014/12/14(日)03:32 ID:NgK(65/117) AAS
当初彼女を側に置いた理由は、フゴーの頭からはすっかり消えていた。
ただ、彼女と一緒にいたい、そう思うようにさえなっていた。
66: 2014/12/14(日)03:33 ID:NgK(66/117) AAS
フゴーは、突然の電話のおかげで、
彼女にこれ以上問いただされなくて済むと思いながら、
照れ隠しにコーヒーを口に含んだ。
しかし、電話に応対するソーマの様子がおかしい。
67: 2014/12/14(日)03:33 ID:NgK(67/117) AAS
「 名前も名乗らないで、とにかくあなたに代われって…」
奇妙に思いながらもフゴーは受話器を受け取った。
「 ただいま、代わりました。フゴー・ハングライです。」
「 その女が何者か知っているのか?」
モザイク処理のされた声だった。
68: 2014/12/14(日)03:34 ID:NgK(68/117) AAS
名乗りもせず、不躾な質問をする相手に腹は立ったが、
フゴーの冷静な部分がシラを切れと言っていた。
「おかけ間違いでは、ありませんか?
こちらはハングライ法律事務所です。
お困りの際は私にご連絡下さい。
それでは失礼いたします。」
69: 2014/12/14(日)03:34 ID:NgK(69/117) AAS
「 その女は化け物…」
切り際に物騒な言葉が聞こえたが、
フゴーは平静を装った。
70: 2014/12/14(日)03:34 ID:NgK(70/117) AAS
「 誰からですか?」
ソーマは心配そうに眉を寄せながら訊いた。
「 ただの間違い電話だ。
よくあること、対応も慣れたもんだよ。」
71: 2014/12/14(日)03:35 ID:NgK(71/117) AAS
そう笑いながらフゴーは答えたが、
ソーマは彼が嘘をつく時に慣れてると言う癖も知っていた。
しかし。彼が心配させないようにと言っているのだから、
それ以上は訊かないようにした。
72: 2014/12/14(日)03:35 ID:NgK(72/117) AAS
家に帰り、フゴーは1人で今日の昼のことを考えていた。
「(確かに、俺は俺と出会う前のソーマを知らない。
だが、そんなことはどうでもいいはずだ。
俺は今のソーマを愛している。例えどんな過去があっても。)」
73: 2014/12/14(日)03:36 ID:NgK(73/117) AAS
そう考えながら、頭の中では化け物という言葉が渦を巻いていた。
出会った頃に彼女に空いていた穴は完全に塞がり跡形も無くなっていた。
74: 2014/12/14(日)03:37 ID:NgK(74/117) AAS
最後のタバコを取り出し、煙を燻らせながら、フゴーは考えるのをやめた。
「(わからないことは、わからない。)」
そう自分に言い聞かせると、フゴーは立ち上がってソーマに話しかけた。
「 タバコを買ってくるが、何か欲しいものはあるか?」
75: 2014/12/14(日)03:37 ID:NgK(75/117) AAS
ソーマはコーラが飲みたいと言ってスーツの上着を彼にかけた。
「夜はまだ冷えるから、風邪ひかないでね。」
笑いながらそう言う彼女は、フゴーにとってやはり大切な存在だった。
76: 2014/12/14(日)03:37 ID:NgK(76/117) AAS
ライターの火打石を手持ち無沙汰に回しながら、
近くのコンビニまで歩いていく途中、
フゴーは背後に迫る足音に気づいた。
77: 2014/12/14(日)03:38 ID:NgK(77/117) AAS
少し。
また、少しと足音は近づく。
フゴーは危険を感じ、走り出した。
しかし、背後の男の方が数段速かった。
頭を掴まれ、フゴーは地面に抑えられた。
78: 2014/12/14(日)03:38 ID:NgK(78/117) AAS
「 俺は豹より速く走るぜ。」
細身にスーツ姿の男がフルフェイス越しに軽い口調で言った。
79: 2014/12/14(日)03:39 ID:NgK(79/117) AAS
「 お前は誰だ?」
「俺はフィジック。
名前なんてどうでもいいんだけどな。」
「何が目的だ?金なら持っていけ。」
「金なんてどうでもいいんだよ。
それよりお前一緒に住んでる女。
あいつは化け物だぜ。」
80: 2014/12/14(日)03:40 ID:NgK(80/117) AAS
フゴーは瞬発力といい、押さえつける力といい、
お前も十分化け物だと、言ってやりたかったが、
昼にかかってきた電話のことが脳裏によぎった。
81: 2014/12/14(日)03:40 ID:NgK(81/117) AAS
「 電話をかけてきたのはお前だったのか?」
「 おしい。俺ではないんだよなぁ。俺のボスだよ。」
「 一体、お前らの目的は何だ。」
「目的?お前も鈍いよなぁ。金じゃないんだから、後は一つだけだろ?」
82: 2014/12/14(日)03:41 ID:NgK(82/117) AAS
「(考えてみれば簡単だった。こうしている間にもソーマの身が危ない。)」
フゴーは必死でこの場から逃げる方法を探した。
しかし、フィジックの力は細い見た目からは想像出来ない程強く
、走って逃げてもすぐに追いつかれてしまう。
フゴーは抑えられていない手に握っているライターの感触を確かめた。
83: 2014/12/14(日)03:42 ID:NgK(83/117) AAS
その時後頭部の衝撃とともに、
フゴーの視界が大きく揺らいだ。
フゴーは呻くしかできなかった。
「これで終わりだ。」
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