女が土の中に埋まってた (118レス)
上下前次1-新
15: 2014/12/14(日)03:00 ID:NgK(15/117) AAS
フゴーはにわかに信じられなかったが、
目の前で起きた現実離れした現象にすっかり感覚が麻痺していた。
16: 2014/12/14(日)03:01 ID:NgK(16/117) AAS
「それでこれからどうするつもりなんだ?」
「どうするって?」
「記憶がないのでは生活の手段も無いのだろう。」
「言われてみれば…。」
17: 2014/12/14(日)03:01 ID:NgK(17/117) AAS
女はそう言って、俯きながら
フゴーを期待するような目で覗き見た。
「 わかっている、中途半端に拾っただけでは解決にならん。」
そう言いながら、フゴーは女に隠された秘密に関心を抱いていた。
18: 2014/12/14(日)03:02 ID:NgK(18/117) AAS
「 (こいつが死なない理由を何とかして突き止めたい。)」
フゴーには小さな頃から現実離れした夢を持っていた。
不老不死の夢である。
19: 2014/12/14(日)03:02 ID:NgK(19/117) AAS
フゴーは何かをする時に必ず、
それは金を稼げるのかと考える癖があった。
女を置くことは金を稼ぐことにはならないが、
それ以上に不老不死という幼い頃からの
夢を叶えられるかもしれない、と思うと心が躍った。
20: 2014/12/14(日)03:03 ID:NgK(20/117) AAS
「 まず、君の名前を考えなくてはいけないな…
ソーマという名前はどうだ。」
「 ソーマ…。わかりました。」
21: 2014/12/14(日)03:03 ID:NgK(21/117) AAS
「 では、君には明日から私の秘書となってもらう。
今日はもう寝ていいぞ。」
「 唐突なんですね。私の意向は聞かないの?」
「 そうして欲しかったんだろ。
余計なわがままは聞かないつもりだ。」
22: 2014/12/14(日)03:04 ID:NgK(22/117) AAS
できれば、もっと可愛い名前がよかったなと思いながら、
ソーマは自分にあてがわれた部屋へ向かった。
フゴーは1人で食器を片付けながら、
今日の自分のおかしな行動を省みた。
23: 2014/12/14(日)03:05 ID:NgK(23/117) AAS
「 (あの女を助けたのは、俺の夢のためだ。
それに美しい女が秘書なんて
弁護士として箔が付くじゃないか。)」
わざわざそんなことを考えながら、
自分は何もおかしくないと言い聞かせた。
24: 2014/12/14(日)03:06 ID:NgK(24/117) AAS
晩が明けると、街には霜が降りて、
朝日に照らされて七色に輝いていた。
ソーマはベットから起き上がると、
お腹の辺りをさすり、穴の存在を再確認した。
「 (やはり、何も思い出せないものね。)」
リビングに入ると冷蔵庫の中から適当に見繕い、
簡単な朝食を用意した。
25: 2014/12/14(日)03:07 ID:NgK(25/117) AAS
テーブルに食器を並べているとフゴーがガウンのまま、
新聞であくびを隠しながら歩いてきた。
26: 2014/12/14(日)03:08 ID:NgK(26/117) AAS
「記憶は無くても、料理はできるものなんだな。」
「 覚えてないのは、自分の過去だけ。
何も覚えていなかったら、会話だってできないでしょう?」
それもそうだと考えながら、パンを口に詰め込み、
コーヒーで奥まで流し込んだ。
27: 2014/12/14(日)03:08 ID:NgK(27/117) AAS
「それでは結局、何も思い出せてはいないんだな。」
「 そうね。自分が何者なのか、以前何をしていたのか、さっぱりだわ。
でも、記憶があるからってあなたは自分で自分が何者か、
何をしているのか、なんてことがわかる?」
28: 2014/12/14(日)03:09 ID:NgK(28/117) AAS
「 私はフゴー・ハングライ。弁護士だ。」
フゴーは女の質問の意味がわからずにそう答えた。
「 そうじゃなくって。じゃあ、あなたは、なぜ弁護士になったの?」
「 何故って、稼ぎがいいからさ。それに人からは先生と呼ばれる。」
フゴーは皮肉気味にそう答えた。
29: 2014/12/14(日)03:09 ID:NgK(29/117) AAS
「 なぜ、そんなに稼ぎたいの?なぜ、人から尊敬されたいの?」
フゴーは質問攻めに合い、答えるのが面倒になってきた。
「 金があって、人から尊敬されて困ることがあるか?
どちらもあった方が良いに決まっているだろう。」
30: 2014/12/14(日)03:10 ID:NgK(30/117) AAS
少し強い口調で言い過ぎたと反省しながらも、
ソーマの質問はそこで途絶えたのでフゴーは満足した。
31: 2014/12/14(日)03:11 ID:NgK(31/117) AAS
「 気は済んだか?食事が済んだら、車に乗っておけ。
お前の分のスーツを繕ってもらう。」
「 ありがとう。仕事を覚えるまで
迷惑かけるかもしれないけど、頑張るわ。」
ソーマはフゴーはぶっきらぼうで、言葉は粗雑だが、
悪い人ではないのだな、と思った。
32: 2014/12/14(日)03:11 ID:NgK(32/117) AAS
ソーマを車に乗せるとフゴーはタバコに火をつけ、街へ向かった。
「 私は、きっとついてるのね。」
「 記憶を失っているのにか?」
「 話かけたのがあなたでよかったと言っているの。
あなたはいい人だから。」
「 俺はそんな人間じゃない。」
タバコの火を押し潰しながら、フゴーは言った。
33: 2014/12/14(日)03:12 ID:NgK(33/117) AAS
ソーマのスーツをあつらえてから、
オフィスで仕事の簡単な説明をすると、
フゴーは電話をあちこちにかけた。
「 (弁護士の仕事って裁判で喋るだけじゃないんだ。)」
ソーマはフゴーをよそ目にオフィスの窓から外に向きながら思った。
34: 2014/12/14(日)03:13 ID:NgK(34/117) AAS
景色は彼女にとって新鮮だった。空には無数の車が飛び、
立体ホログラムが企業の宣伝をしていた。
「 (こんなのを見るのは初めてな気がする。)」
上下前次1-新書関写板覧索設栞歴
あと 84 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル
ぬこの手 ぬこTOP 0.005s