女が土の中に埋まってた (118レス)
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82: 2014/12/14(日)03:41 ID:NgK(82/117) AAS
「(考えてみれば簡単だった。こうしている間にもソーマの身が危ない。)」
フゴーは必死でこの場から逃げる方法を探した。
しかし、フィジックの力は細い見た目からは想像出来ない程強く
、走って逃げてもすぐに追いつかれてしまう。
フゴーは抑えられていない手に握っているライターの感触を確かめた。
83: 2014/12/14(日)03:42 ID:NgK(83/117) AAS
その時後頭部の衝撃とともに、
フゴーの視界が大きく揺らいだ。
フゴーは呻くしかできなかった。
「これで終わりだ。」
84: 2014/12/14(日)03:42 ID:NgK(84/117) AAS
ソーマは音楽を聴きながら、フゴーの帰りを待っていた。
しかし、ガラスが割れるような音を聞き、
警戒して耳をそば立てた。足音が2人分響いていた。
「(フゴーじゃない。一体誰が?)」
85: 2014/12/14(日)03:42 ID:NgK(85/117) AAS
念のためワードローブに隠れ、足音の主が現れるのを待った。
扉の隙間から部屋を覗くと老いた男とフルフェイスの痩せた人影が見えた。
86: 2014/12/14(日)03:43 ID:NgK(86/117) AAS
「 セス、この部屋にやつはいるか?」
老人がフルフェイスに訊くと、フルフェイスはヘルメットを脱いだ。
フルフェイスの中は幼さが残る少年だった。
セスと呼ばれた少年は目を閉じると、
ゆっくりと、しかし確実にソーマの隠れる場所に指を向けた。
87: 2014/12/14(日)03:43 ID:NgK(87/117) AAS
「 でかした。」
そう言うと、老人はいやらしい笑みを携えて、近づいてきた。
「 隠れても無駄じゃよ。久しぶりの再会じゃないか。」
ソーマは老人の言っている意味がわからなかった。
「 あなたは誰なの?」
隠れても無駄だと悟ったソーマは老人の前に立ち、問いただした。
88: 2014/12/14(日)03:44 ID:NgK(88/117) AAS
「 またしても、わしのことを忘れてしまったのか、アムリタ。
無理もない、前の時も酷い目に合わせてしまったからなぁ。」
「 私はアムリタじゃない。ソーマよ。あなたなんて知らない。
これ以上近づかないで。」
89: 2014/12/14(日)03:44 ID:NgK(89/117) AAS
「 困った子だ。大人しく着いてくればいいものを…」
そう言うと老人は拳銃を取り出し、躊躇せずにソーマの腹を撃ち抜いた。
ソーマは腹を抑えて、うずくまった。
しかし、我慢出来ない痛みではなかった。
90: 2014/12/14(日)03:45 ID:NgK(90/117) AAS
うずくまりながらも老人を見上げると、
奥でセスが倒れているのに気づいた。
「 しまった、またセスの近くで発砲してしまったか…。
こいつは本当に敏感すぎて敵わん。
安心しろアムリタ。覚えていないのだろうが、お前は不死身だ。
お前の脳は異常発達し、死んだことにも気づかないようになっている。
その証拠にこうやって撃たれても痛みは感じないだろう?」
91: 2014/12/14(日)03:45 ID:NgK(91/117) AAS
そう言って、老人は2発弾丸をソーマに撃ち込んだ。
「 何十年と追い続けて来たのだ。
これが私の最後のチャンスかもしれない。」
「(この老人はどうかしている。痛くないわけがない。
今でさえ血が足りなくて意識が朦朧としているのに…)」
92: 2014/12/14(日)03:46 ID:NgK(92/117) AAS
その時、玄関が乱暴に開けられる音がした。
「フィジックが帰ってきたか。あの弁護士も死んだのだろうよ。」
老人はにやりと笑うと、フルフェイス姿の男を呼び寄せ、
ソーマを運ぶよう指示した。
しかし、フルフェイスの男は老人から拳銃を取り上げた。
93: 2014/12/14(日)03:47 ID:NgK(93/117) AAS
「なんのつもりじゃ、フィジック?」
「 そいつなら今頃石炭だよ。」
フルフェイスの男はそう言うと、老人を柄で殴り、気絶させた。
94: 2014/12/14(日)03:47 ID:NgK(94/117) AAS
フルフェイスを脱ぎ捨てるとフゴーはソーマに駆け寄った。
「どうして、こんな…ひどい…」
「 本当、ひどいわよね。訳もわからないままに撃たれちゃって…」
「 待っていろ。すぐに病院に連れて行くから。」
95: 2014/12/14(日)03:48 ID:NgK(95/117) AAS
そう言って、ソーマを抱きかかえるとフゴーは車へ急いだ。
フゴーは出血のせいか彼女がいつもより、
軽くなっていることに気づいたが、顔には出さなかった。
重さが変わる程の出血量だと彼女に悟られたくなかった。
96: 2014/12/14(日)03:48 ID:NgK(96/117) AAS
車を走らせると、ソーマが振り絞るような声で語りかけてきた。
「私、結局自分のこと思い出せないままだったけど、
短い間だったけど、幸せだったよ…
あなたのこと、悪魔のようだなんて、思ったこともあったけど、
放っておけなかったの。何だか昔の自分を見ているようで…
記憶が無いはずなのに、おかしいよね?」
97: 2014/12/14(日)03:49 ID:NgK(97/117) AAS
「 無理しなくていい。喋るな。そんなこと…
まるで、死ぬみたいじゃないか。」
フゴーはもう涙を抑えようともせずに、
ぐしゃぐしゃの顔で言った。
「死ぬのかな?死んだらもう会えなくなっちゃう。
あなたに朝ごはんも作ってあげられない。
あなたのスケジュールも組んであげられない。」
98: 2014/12/14(日)03:49 ID:NgK(98/117) AAS
「 もういいから!頼むから、そんな悲しいことは言わないでくれ。」
フゴーは悔しかった。
目的を見失った人生で、ようやく見つけた生きる理由は、
目の前で無慈悲にも消えようとしていた。
99: 2014/12/14(日)03:50 ID:NgK(99/117) AAS
「不老不死じゃなかったのかよ!ちくしょう!
なんで大切な人はみんな奪われるんだ。」
ハンドルを叩きながらフゴーは叫んだ。
そして、自分が不老不死を求めた理由を思い出した。
母が死にゆく日に、不条理に奪われる命の儚さを呪い、
母が永遠に生きることを強く祈ったのだ。
100: 2014/12/14(日)03:50 ID:NgK(100/117) AAS
「永遠に生き続けたら、きっと人は孤独よ。」
彼女の顔色はフゴーが見る度に白さを増していった。
フゴーは彼女を励ますために手を握っていたが、
握り返す力の弱さが彼女の終わりが近いことを告げていた。
101: 2014/12/14(日)03:51 ID:NgK(101/117) AAS
「どうせなら、朝日が見たいな。」
力なく彼女が呟くと、フゴーも観念した。
病院に向かうのをやめ、フゴーは車を海岸へと走らせた。
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