ここだけ異能と魔術の洋上学園都市 (1000レス)
ここだけ異能と魔術の洋上学園都市 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/
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946: ◆95S72tfpdk [] 20/03/29(日)03:17:31 ID:1Qy >>944 「――――昼後様、私は」 右手に握り締めた鉈を、自身の腕へと叩きつける。 どうにかして覚醒状態を保たねばならない。そうでなければ役目を果たすことが出来ない。 痛みが何なのか認識できていない。だがそれに頼らなければ、意識を保つことが出来ないと―――― 「貴方に、褒めて……もらいたいのです……が……」 帰還することが出来ない。この魔導兵器を持ち帰ることが出来ない。褒めてもらうことが出来ない。 これは、何なのだろう。この環状は何なのだろう。分からない。分からないが、きっとこれは特別だと思う。 自分の頭の中をそれだけが締めていく。それさえ達成できれば後はどうでもいい。 階差機関さえ無事ならば、いくらでも取り返しがつく人形の身体だから。そういうものであるわけでもない。 「……いけませんか、叶いませんか」 そして、この、胸の奥底に湧き上がる、締められるような……息苦しさに似た物は何なのだろう。 分からない。ただ、これは嫌だった。逃れたかった。けれどどうしようもなかった、膝をついてしまったから。 これはなんだろう。休息など、必要なかった自分には……分からない。 「……ああ、機械は、夢、など」 そして倒れ込み。ガラガラと、音を立てて鉈が跳ねた。 人形は、少女は、恋い焦がれた幻想へと手を伸ばしながら――――生命として初めての、休息を手にした。 そこに、一冊の本が在った。ただ一つの奇跡を生み出した一冊の概念武装は、沈黙するのみだ。 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/946
947: ディ(以下略◆bKRvPQDCyg [] 20/03/29(日)03:26:21 ID:Z1s >>946 「一体どういう…」 人形が少女に変わり役目を終えたかのように本がまた其処にある。 間違いなくこれが確保すべき死守すべき代物なのだろう。 拾い上げ、さてどう動くかと思った矢先に足がもつれ倒れこむ。 「……やべぇな、これ」 外はどうなっただろうか。 騒動が収まれば誰かが此処にやってくる可能性もゼロではない。 問題はそれが敵か味方か皆目見当がつかない点であって。 「運任せか、アイツが来てくれりゃあ御の字なんだが…」 必要以上のことを喋らない、それこそ人形のような相棒のことを思いながら少年もまた意識を手放した。 /中身もソロソロ限界なので…お疲れさまでした http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/947
948: ◆95S72tfpdk [] 20/03/29(日)03:32:43 ID:1Qy >>947 /それでは〆ということで /お付き合い頂きありがとうございました、お疲れさまでした http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/948
949: 押井 眞子 ◆vplVQ5Q2UQHz [] 20/03/29(日)04:01:42 ID:fFP >>945 「Shut up,Punk!」 無数の弾丸が、眞子へと襲い来る。 圧倒的物量、圧倒的火力。まさしく人一人を消しさるには、過剰すぎる火力。 ただの教師ならばひとたまりもないだろう。 しかし、押井眞子はGTO(グレートティーチャー押井)。賭けのテーブルに乗るだけの奥の手は残している。 「借りるわよ、昼後君」 「収納」の術式が刻まれたタトゥーシールから、一本の杖を取り出す。 「朔の杖」────先日遭遇し指導を行った黎明協会の構成員の一人、昼後葵が落とした品だ。 その効果、魔力増幅は確認済み。だが、過剰稼働状態での使用は試していないぶっつけ本番。 「────────」 目を瞑り、息を吐く。それは魔術や異能というわけでもない、ただのルーティーン。 今から行うのは、完璧な授業。その手の杖は、如何にして強大な敵を打ち破るかを地平線の向こうまで指し示すべく握られた教鞭。 そして眞子の背中は、どこまでも先を行く、教師としての背中。 永遠にも近いコンマ数秒の集中。杖へ一時的に最低限以外のほぼすべての魔力を流し込む。掠る弾丸さえ、意識の彼方へ────。 「────Let's start today's lesson!」 杖から閃光がほど走り、増幅された魔力が逆流すれば、全身のタトゥーが灼熱の赤からコバルトブルーへと変化する。それはまるで、十分な酸素が与えられた炎。 そして彼女の望み、求めた最適解に呼応するように、肉体の各部から空中跳躍時に足場として魔力で形成されていた魔力の壁が次々と放出される。 反動により生まれるのは、空を自在に「飛ぶ」ための推進力。その身一つと杖一本で空を飛ぶ────それはまさしく、”人を超える所業”と言えるだろうか。 「驕りじゃないわ、不可能に見えるものをどう可能にするかを示す、それがTeacherの仕事だから」 灰色の空を切り裂く、蒼い閃光のように。 弾丸の射線をくぐり、よけきれないものは魔力の壁で弾き、推進力と高速化を合わせ、正しく音を超えたことによる衝撃波で弾き飛ばす。 そうして、比較的弾幕の薄いルートを見つけたならば、加速しながら空を駆け。 「驕っているのはどちらか、答え合わせよ」 巨大な要塞へ、全速でそのヒールを跳び蹴りの体勢で叩きこむ。 叩き込んだ後もそれを押すかのように、魔力壁は発生し続ける。今の眞子は、別の世界の発明品を用いて例えるならば「人間ロケットエンジン」とでも言うべき状態。 そして要塞はゆっくりと、彼と心臓の方向へ加速していくこととなるだろう。 彼女の力が尽きるのが先か、心臓と偉大な政治家へ、巨大な拳骨が叩きこまれるのが先か。 //覚醒がもしNGなようでしたら、おっしゃっていただければ書き直させていただきます http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/949
950: ◆95S72tfpdk [] 20/03/29(日)04:40:07 ID:1Qy >>949 「ああ、ここに居ては巻き込まれてしまうか」 岩倉は、ゆっくりと心臓から下りた。 自分が誘導するまでもなく、そちらへと向かってくれるのであれば、最早ここに立っている必要もない。 後はこれを“上手くやる”事だけだ。目的はその殆どを達成したと言っていい。言葉遊びは、ここで終わりだ。 「木っ端作家の生み出した、下らん怪物の、羽一つを破壊するのに」 この天変夜明要塞《黄金》自体を弾頭とする――――それは岩倉具視も思いすらしなかったことだ。 空を舞う《黄金》へと向かった時、岩倉は落胆した。それは“単独で破壊できる存在ではない”。 それは、彼女の今の行動を見て尚変わらぬ結論である。聳え立つ事実である。個人が兵器に勝利することが出来る事実など存在しない。 だからこそ、《黄金》は強大極まる天変の革命要塞であるのだから。 だが、岩倉は、考えが至った時、思わず感嘆の声を挙げかけた。何とも派手なやり方だ、と。 「この《黄金》を使わせてやるという贅沢を許可しよう。光栄に思え」 その巨大極まる要塞を破壊へと転換したのであれば、当然のことながら……左翼は破断される。 ただの、数メートルほどにしかならない機関を破壊するのには、余りにも過剰が過ぎる破壊である。 そして寸断された肉塊の翼は、動力を喪ったことで自己崩壊を行っていく――――それは正しく幻想として、最初から存在しなかったように。 「いやはや、《黄金》に殴りかかった時は、何とも愚かな女だと思ったが」 パチ、パチ、と拍手が響いた。間延びしたかのような、たった一人の手によるものだった。 崩壊した左翼機関、その空中に座している。無論、不可視の椅子などという、間抜けなものを使っているのではない。 それは数メートル単位にまで縮小変形させた『黄金』そのものだった――――そして正しく、岩倉具視はそこに坐する。 「よくやったと褒めてくれよう。それではさようなら。――――ああ、そうだ」 最後に男は、思い出したとばかりに、人差し指を立てた。 こればかりは最初から疑問だったのだ。それに何の意味があったのか。それとも彼女なりのユーモアであるのだろうか。 或いは、そういう“ファッション”の一部なのか。 「I don't think it's necessary to speak English to someone who understands Japanese. (日本語を理解できる相手に、英語を話す必要はないと思うんだが)」 排煙が烟る。それと共に、やがて男の姿は煙へと包まれる。 それを以て、この左翼機関での戦いは幕を閉じるだろう。 /それでは、こちらはこれで〆とします。お疲れさまでした http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/950
951: 押井 眞子 ◆vplVQ5Q2UQHz [] 20/03/29(日)05:22:06 ID:fFP >>950 「Hmm.Perfectとは行かなかったわね……痛っ」 要塞を叩きこんだのち、適当な建物の屋上へと着地し、眞子の授業もとい過剰稼働は終了する。アドレナリンが切れたのか、無茶の反動か、疲労感と痛みが一気に襲い掛かる。 不審者と要塞、両方一度に片づけることは叶わなかった。今後の課題とするべきだろう。 並の戦艦なら沈没させうるだけの過剰火力、本体までダメージを与えられていれば御の字だが、それを今すぐ確かめるのは難しいか。 「誉めてくれてありがと。次は粋がらず年相応の振る舞いとして、自慢の墓石と一緒にお墓に戻ってくれたらもっとうれしいわ。Old punk(不良ジジイ)」 煙と共に去っていく彼に向ける言葉は、先日同盟を組んだ英国の名探偵のそれと比較すれば、些か直球のアメリカンスタイルといったところか。 「授業の一環よ。それにCool.これ以上Reasonなんて必要かしら」 問いかけに対しては、仕事を終えた後の一服とともに、大真面目にそう言ってのける。 実際およそ100年後、(恐らくは)別の世界にて眞子のような喋り方が一世を風靡することとなる。時代に対して早すぎるセンスは理解されずとも仕方ないだろう。 ……最もそれは「とある芸人のネタとして」という但し書き付きなのは、それこそ知る由はないことだ。 //遅くまでお付き合いいただきありがとうございました、お疲れ様でした http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/951
952: ◆95S72tfpdk [] 20/03/29(日)14:31:06 ID:1Qy 邪神戦艦の進行が止まった。 その巨体を動作させる機関構成が完全に破壊されたことで、その肉塊は完全な崩壊へと導かれる。 同時にばら撒かれた眷属達が、壊死していく。急速な停止と同時に、組織の崩壊。まるで灰にでも変化するように文字通り消滅していく。 そしてその巨体もまた、同様に。解けるように消え散っていく。 進行を続けていた両足が中程から圧し折れて、そこに崩折れる。 崩壊とともに轟音を鳴らし、中途から真っ二つに粉砕された。 邪神戦艦アル・アジフ。その中枢であるラヴクラフトの存在とともに、その形を保つことが出来ずに。 「さようなら、ラヴクラフト。さようなら、哀れな幻想作家」 自らが生み出した幻想とともに、無貌とも、白痴とも、それらと共に撹拌していく。 それを以て、ラヴクラフトは永遠の怪奇作家と成る。その男が書き連ねた怪奇はその死後、多くの人々に愛されていくことだろう。 そして、そこに残されたのは破壊の痕跡だ。道中にある施設を破壊し、眷属を以て死を振りまき続けた悍ましき戦火。 だが何より、それは勇気の証明と、その勝利でもあった。 「さて……警察も憲兵も動ける奴は全員動くぞ!! とにかく人数をかき集めて、人命救助を最優先! 大丈夫だとは思うが、眷属共に注意しろ! 拾える命は全部拾うんだ! 死体も含めてな!」 今の今まで、交戦を続けていた、血塗れの憲兵が声をかける。 警察、軍隊、彼等もまた同様に休むことなく、次の救助活動へと早急に行動を移していく。 「邪神戦艦は止められた。《Mの書》の防衛も果たした。こっちの勝利だ。間違いない。 さて――――こっからどう出るか。どうするかだ」 これにて、邪神事変は結末を迎える。 大いに被害を受けながらも、その進行は食い止められることになったとなれば――――戦いは、次の段階に移行する。 /それでは、これにてイベントを終了とします /皆様参加ありがとうございました。次回の開催も、よろしくお願いします。 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/952
953: 淡島豊雲野◆HnQRCeqIrM [] 20/03/29(日)21:13:09 ID:ifW 斯くして邪神の信仰は終端に至り、戦艦の侵攻による終末は免れた。 破壊の足跡、塵に溶けた幻想、一先ずの収束。数日も経てば最低限の始末が為され、生々しい犠牲の痕は見当たらない。 それでも噛み砕かれた瓦礫や踏み躙られた血痕は、未だ瘡蓋のようにじっとりと大地に張り付いていた。 「…………思ったより、何もないんだ」 規制を悠然と、尚且つ密に潜り抜けて。肉塊が瓦解した、鉄臭さの名残る場所に佇む。 確固とした理屈に基づいた行動ではなかったから、たかだか物見遊山だと指摘されれば成る程否定はできない。 しかし廃墟を眺める縞瑪瑙よりも複雑な虹彩は、深く沈溺した色を孕み。白髪に彩なす赤い房は追悼に流す血を思わせる。 夕鈍の空、雫が罅割れた道路を叩く。どうやら夕立の足音がすぐそこまで迫っているようだった。 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/953
954: ディ(以下略◆bKRvPQDCyg [] 20/03/29(日)21:55:59 ID:1Jb >>953 「思ったよりも酷えなこりゃ…ホント読み間違えなくて良かったぜ」 周囲を見回しながら頭や首や腕に包帯を巻いたジャージ姿の少年が瓦礫の間を行く。 「ん?」 騒動が起きた矢先に大階差機関へと向かった少年は外の状況をしらぬまま病院送り。 数日経った事もあり様子見がてらブラブラと無目的に歩いていた少年は淡島を見つけ立ち止まった。 「よぉ、こんな所で散歩かい?」 妙な所で人に会ったなあと、手を上げ挨拶する。 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/954
955: 淡島豊雲野◆HnQRCeqIrM [] 20/03/29(日)22:18:32 ID:ifW >>954 声をかけられてから振り返るまでの時間は、実に緩慢としたものだった。 こんな時でも制服で出歩いている彼女は、一応は同学年であるからその顔と名前に心当たりがあるかもしれないが。 「……うん。あれからどうなったのか、少し興味があったからね 」 彼女の方は特段何かしらの反応を見せはせず。惨状の跡形を目の当たりにしていても、その面持ちは無表情であった。 蒼紅の瞳が、あちこちに負傷の証を残す身体をじっと見て。 「きみこそ、こんな所を彷徨いていいの?その怪我、入院していてもおかしくないでしょ」 安静を謳い、無用な外出を咎める声色ではなかった。それにしては平坦が過ぎる調子だったからだ。 故に揶揄っているようでもなく。総じて言えば、何を考えているのか非常に分かりづらい言動だった。 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/955
956: ディ(以下略◆bKRvPQDCyg [] 20/03/29(日)22:28:23 ID:1Jb >>955 「淡島、だっけ?そっか、まあ気になるよな?」 相手の顔と名前くらいには心当たりがあった。 交流らしい交流はこれが初めてになるだろう。 なるほど、自分だって様子が気になって出てきたのだから何もおかしくはないと。 「ん?今は俺よりベッドが必要そうなのがいっぱいいるからな。 ちょっと気を利かせてコッチから自主的に退院してやったんだ」 身体を鉈で削がれ、銃弾で穿たれ、更には激しい動きまでして。 通常であれば数日程度で如何にかなるような怪我ではないのだが少年は出歩ける。 「そっちは怪我とかしてねえか?結構酷かったんだろ、騒ぎ」 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/956
957: 淡島豊雲野◆HnQRCeqIrM [] 20/03/29(日)22:48:05 ID:ifW >>956 「そうだね……本当は花でも持って来ればよかったんだろうけれど」 一度沈黙を挟み何度か瞬きをして、結局何事もなかったかのように言葉を続ける。顔は見知っているけれど、名前は思い出せない時のそれに近かった。 視線をまた虚空、邪神戦艦の通り道だった瓦礫の空白にやったのも、それに拍車をかけているような。 「ふうん……抜け出したんだね、いけないんだ。本当に平気なの?」 迂遠な言い回しを明快に解釈して、包帯の巻いてある腕に手を伸ばせば怪我の具合を確かめるべく皮膚を摘もうと。 本人は無自覚にやっているが薄皮を抓る、無傷でも普通に痛いやつである。 「うん、わたしは大丈夫。反対側にいたからね。困ったのは、騒がしくて眠れなかったくらいかな」 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/957
958: ディ(以下略◆bKRvPQDCyg [] 20/03/29(日)22:55:44 ID:1Jb >>957 「花か、その発想はなかったな…やっぱり人の在り様には程遠いな」 少々難しい顔になる少年。 何か思うところがあったらしく。 「ちょ、ま、それ普通に痛あだだだだだ!」 ぺしぺしぺしと指先が触れるか触れないかぐらいのスイングを繰り返し 皮膚を掴む指に抗議を繰り出す少年。 「ああ、寝れなくとも部屋で大人しくしてるほうが正解だったろうな。 下手に出歩いたせいで此の様だもんよ。我ながら馬鹿なことやっちまったよなあ」 丁度いい瓦礫があったのでそこに腰を下ろす少年。 流石に未だ体力が本調子ではない。 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/958
959: メアリー・シェリー◆95S72tfpdk [] 20/03/29(日)23:01:27 ID:1Qy 夜の帳下りきった真夜中、瓦礫の山を歩く少女が一人。 短いブロンドの髪に、赤と青のオッドアイ。小柄な身体に、英国陸軍の真っ赤な軍服をきっちり着込んでいた。 その手には何かを持つでもない。ただ、破壊された家屋の瓦礫を、その素手で掴んでは、放っていた。 そしてそれを幾度か繰り返した後、その中から人一人程度の大きさの、動かない物を抱えて、被害の少ない表へと並べる。 動揺の手段で並べられた死体が、そこには幾つも並んでいた。 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/959
960: シャーロック・ホームズ◆KZ.unZS3k2 [sage] 20/03/29(日)23:09:52 ID:pro >>959 治療といっても応急処置ではあったが、怪我の手当を終えたシャーロックは街道を歩いていた。 思案すべきことは沢山あれど、そもそも知らぬ存ぜぬ場所で事態が進んでいるという様相。 せめて、暴き立てた黎明術式をより完璧な形に仕上げる論理組立でもしよう───等と耽っていたら。 瓦礫の散乱する街道で見知った顔を見かけたものだから、取り敢えずは声をかけるのだ。 「やあやあ────存外、元気そうじゃないか」 悲惨な光景ではあるが────シャーロックにとっては故郷で一度経験したものであり、だからこそ表層的に平静と。 普段通りの微笑みを浮かべながら、かつて自分の命を狙った相手に碧眼を向けるのだった。 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/960
961: 淡島豊雲野◆HnQRCeqIrM [] 20/03/29(日)23:15:21 ID:ifW >>958 何かを考えこむ苦い顔を伺いながら、気を遣っている様子は更々なく。 しかれどそれに対する疑問を口にする事はなかったから、慮ってはいるのかもしれなかった。 「やっぱり痛むんでしょ。勝手をやって悪化しても知らないよ」 どう考えても彼女の抓み方に問題があるのだが、しれっと訓戒する態度はごくごく平然としていて。 確信犯、とまではいかないが。案じているのと楽しんでいるのが、半々でもおかしくはない。 そも、それらを読み取るには表情が欠如しているのだが。温い風を送る抗議が掠める前に、すいと手を離した。 「その馬鹿な事のお陰で、被害が抑えられたんじゃないの」 「噂で聞いたよ。憲兵や軍隊の他に、一般人も色々と活躍したらしいね」 それに対して、やはりなんらかの感情を抱いているようには見えないが。 少なくともその行為を愚行と断ずる気はないと、遠回しに伝えるつもりか。 厚雲の向こう、水平線に迫る太陽に視線をやって。指で己の長い髪を梳いた。 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/961
962: ディ(以下略◆bKRvPQDCyg [] 20/03/29(日)23:22:42 ID:1Jb >>961 「自己管理は出来る方だ、本当にやばかったら大人しく寝てるって」 痛むのはオメーのせいだよ!と吠えない辺り未だ本調子ではない。 どうにもこの手合いは知り合いを彷彿とさせるので然程気にもならないのではあるが。 「あー、何か頑張ってたらしいな? 俺は巻き込まれて怪我しただけだからホントに馬鹿やっただけだよ」 自分は何もしていない。あの日の事はそう言うことにした少年。 事実、目の前に広がっている惨状の痕は少年が大階差機関内部で体験した事とは無関係。 俺も頑張って大事なものを守ったんだぜ!と言える実感すらない。 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/962
963: 深山比良太◆fnkquv7jY2 [sage] 20/03/29(日)23:34:27 ID:CtJ >>959 「……あの悪夢も終わったんだな」 眷属の襲撃にあった街、復興が済んだとは言えない瓦礫の山の前で茫然と立ち尽くして一言つぶやく。 眷属によって命を奪われた無辜の人々のために彼が今、出来る事は祈る事だけであった http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/963
964: 深山比良太◆fnkquv7jY2 [sage] 20/03/29(日)23:34:51 ID:CtJ (しまった、安価消し忘れた) http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/964
965: メアリー・シェリー◆95S72tfpdk [] 20/03/29(日)23:37:11 ID:1Qy >>960 暗澹たる空の下、その作業に没頭していたのは贖罪のつもりだろうか。とにかく、自分が出来ることをしたかった。 避難指示を下されると、そのために取り付けられた義手義足を使って病院を飛び出して、こうして外側に飛び出してきた。 邪神戦艦に対して大きな戦果を挙げるようなことはなかった。避難誘導と、眷属に対する指示で手一杯。 後はずっと、外でこうしている。昼間は建物の影で体を休めて、軍や警察の作業が終わる夜にこうして外で同じことをする。 それを繰り返していたのだが。 「――――シャーロック・ホームズ……!」 火事場泥棒にやってくる不届き者もそこには存在する。 そういう輩を追い払うのは手慣れたもの。然しそこに立っているのは、見知った顔ではないか。忘れるはずもない。 丹碧の瞳が揺れる。敵意はないが、果たして動揺の色が強かった。 こうして、まさか、こんなところで出会うなど、露ほども思っていなかった。心構えもできていなかった。 ……無論、いつかその目前に立たなければいけない相手だと、思ってはいたのだが。 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1583587415/965
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