[過去ログ] 酒の肴に小説を。 (1000レス)
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19: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:03 ID:dcl(19/44) AAS
昼近くに起き出した僕は屋敷のダイニングで執事にブランチを頼んだ。
昨日の醜態を晒したせいか執事の態度は素っ気ない。
「かしこまりました。」
その一言で顔も録に見ずに出ていく。
暫くしてからメイドが僕のブランチを乗せた、銀色のカートを押しながらやって来た。
省25
20: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:04 ID:dcl(20/44) AAS
ブランチを食べて僕は屋敷の外に出た。
酒場に行くのは早い時間で、僕は当てどなくブラつく。
小麦畑の稜線が眼下に広がる。
さらさらと風が流れる。
長閑だ。
僕は取り敢えず酒場の有る市場の方に足を向ける。
ガヤガヤと喧騒に包まれた市場で一人の少年に出会う。
市場をキョロキョロと辺りを見回しながら少年は歩いていた。
僕は迷子だと思い声を掛ける。
省22
21: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:05 ID:dcl(21/44) AAS
オープンテラスの飯屋のテラス席に腰掛け僕と少年は向き合って座っていた。
まだおくびが止まらない少年は他の客から注目されていた。
僕は気まずい。
「なんでも食べてね」
少年はメニューを読めなかった。
僕はウエイトレスをを呼び、この店のお薦めとコーヒーを注文する。
省13
22: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:07 ID:dcl(22/44) AAS
少年の食事が終わり、少年は僕に小さく
「ありがとう」
と呟いた。
何から聞いて言いか解らない僕は当たり障りのない質問から始める。
「名前は?」
省23
23: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:07 ID:dcl(23/44) AAS
最後はやはり聞き取れない。
前言撤回。僕に憲兵は無理だ。
泣き出すデュークに飯屋の他の客から注目を浴びて僕は座りが悪い。
しかし話を聞かない訳にはいかなかった。
意を決して僕はデュークに問う。
省4
24: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:08 ID:dcl(24/44) AAS
一通り説明を受けて大筋は理解した。
デュークには父親が居ない事。
デュークの母親は男の家に入り浸ってる事。
母親はパンを置いて行ったので一昨日はそれを食べた事。
昨日からは何も食べて居なかった事。
省5
25: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:08 ID:dcl(25/44) AAS
デュークは説明の中で母親に何日間も置いて行かれ、それでも母親に対して愚痴1つ言わなかった。
デュークは続ける。
「僕が悪かったんだ。
言い付け破って外に出たから、ママはまた帰って来なくなっちゃったんだ………
もう帰って来ないのかな……」
ウエイトレスがアイスクリームを持ってやって来た。
デュークの前にそっとアイスクリームを置く。
省11
26: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:09 ID:dcl(26/44) AAS
おくびが止まらないデュークに、僕はアイスクリームを薦める。
スプーンでアイスクリームを震える手で掬うデュークを僕は黙って見ていた。
通りの方から派手な格好の女が視界に入った。
女は真っ直ぐ僕達のテーブルに近づいてくる。
女は僕達のテーブルまでやって来て頭を下げる。
「すみません。
うちの子が"白い鳩"さんにとんだ迷惑をお掛けしまして。
私もデュークを探しておりまして、困っていた所だったんです。」
省7
27: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:10 ID:dcl(27/44) AAS
女は派手な格好に遜色ないくらいの派手なバッグに財布を出すのだろう。バッグに手をかける。
「探していらっしゃったんですか?
それはそれは御心配をお掛けして申し訳なかったです。
それに礼には及びませんよ。
この子は僕のコーヒーの相手をしていただけですから。
食指代は結構です。
愉しい一時でした。」
女の顔を見ながら僕は制止する。
「あらっ
そう言って頂けるるなら御言葉に甘えさせて頂きます。
省19
28: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:11 ID:dcl(28/44) AAS
その後僕は酒場行き地元の客と他愛のない話をしながら酒を呑んだ。
酔っ払って首領邸に帰宅後首領からふたたび、有難い進言を受けた。
「小麦の政府買い取り価格を2割減にしろとは政府のお役人達は、我々に…………」
お約束。
カンベンしてください。
僕は涙が溢れないように天井を見上げる。
29: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:11 ID:dcl(29/44) AAS
昼近くに起き出しダイニングで昨日のメイドから
ブランチの用意をしてもらう。
僕はメイドのプロフィールを聞き出す事に成功する。
メイドの名前はターニァ。
今年で9歳。
うん。
やはり後10年待つとしよう。
食事後は屋敷を出て市場の方に向かう。
省11
30: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:12 ID:dcl(30/44) AAS
翌日僕はデュークの家のドアの前に立っていた。
昼下がりで、風が気持ちのいい午後だった。
僕はデュークの家のドアを叩く。
反応がない。
一呼吸空けてからふたたびドアを叩く。
省8
31: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:13 ID:dcl(31/44) AAS
ララは市場の喧騒の中を歩いていた。
彼氏の家から3日ぶりに帰る途中だ。
息子は3日前に家に置いて来たきり会っていない。
あいつが居なければ今頃まだ彼氏の家に居れたのに………
パンは一日分だけ置いてきた。
省13
32: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:14 ID:dcl(32/44) AAS
市場を抜け人通りが少なくなった所でデュークが困った様な顔でララを見た。
「ごめんね。
僕。
また外に出ちゃったんだ………
お腹がね……空いたから…
ママを……探しにいこうおと思って………
ママに会いたいし………」
デュークは今に間も泣き出しそうだ。
ララは辺りを見回す。
人の影が無いことを確認してからデュークの頬を思いっきりぶった。
省11
33: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:15 ID:dcl(33/44) AAS
家に着いたララはデュークの脇腹を蹴った。
ララの派手な靴がデュークの脇腹に刺さる。
家の中にデュークが入ってすぐさまだった。
デュークは狭い家の中に転がる。
「ママ………
ママ…」
省13
34: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:15 ID:dcl(34/44) AAS
最初は子供が出来た事に喜びを覚えた。
妊娠したと告げると、父親だった男は逃げた。
シングルマザーも格好いかもと考えたのが運のつきだった。
ララの両親の反対を押しきりデュークを産んだ。
出産後に早くも後悔する。
周りの皆はまだまだ遊んで要るのに、またなんで自分ばっかり育児と仕事をしなくてはならないのか。
甚だ疑問だった。
省8
35: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:16 ID:dcl(35/44) AAS
デュークはドアの叩く音で目を覚ました。
意識を失ってどれ位経ったのかは解らなかった。
体が熱い。
下半身が硬くなったみたいに動かない。
声を上げようにも力が入らなかった。
ふたたびドアを叩く音が聞こえる。
その音を意識の片隅で聞きながらデュークは夢を見ていた。
優しい母親と逞しい父親と仲良く遊ぶ夢を。
父親の顔は靄が掛かりわからない。
母親のララに優しく抱きしめられた。
省1
36: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:17 ID:dcl(36/44) AAS
僕は首領邸から出発間近まで首領の有難い進言を頂戴していた。
解ったって。
無事に総合屯所のある港町まで無事に帰ったら報告書に書くって。
未来の恋人のターニァと愛想の悪い執事に別れを告げると僕は歩き出す。
眼下の稜線は今日も長閑だ。
風もさらさらと流れている
ヒバリが高い空で鳴いた。
僕は市場の方に歩みを進める。
デュークの家に寄ってから街を出ようと決めていたからだ。
省4
37: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:17 ID:dcl(37/44) AAS
ララはデュークを痛めつけた日から2日ぶりの朝に帰宅した。
仕事の道具を取りに行ったのだった。
ララは家のカギを空けてドアを開ける。
見慣れない大きな物がそこにあった。
ソレは窓から差し込む光を受けて鱗が銀色に輝く大きな物だった。
省12
38: 黒霧芋マスター 2015/03/31(火)14:18 ID:dcl(38/44) AAS
デュークの家の前は逃げ惑う人でごった返していた。
10m位の龍だろうか。
龍の口には派手な服を着た女が足を噛まれぶら下がっている。
女は何か叫びながらバタバタと暴れている。
デュークの家を見ると、壁が無惨にも穴が空き荒れた室内が目に入る。
龍が元は誰なのかを僕は理解する。
省10
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