[過去ログ] 刑法の勉強法■59 (1002レス)
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228: 元ヴェテ参上 2021/01/02(土)10:06 ID:GNKAodn9(1) AAS
「製造物責任と過失不作為犯」
(山中敬一「刑事製造物責任論における作為義務の根拠」関法60巻5号1頁に依拠、
法科大学院レベル)

製造物責任は、当初は、製造物の製造・販売における過失責任を意味していたが、最近問題
になっているのは、すでに販売され流通している製造物に後に重大な欠陥が見つかったため
それらを販売停止にし、またはそれらを回収して危険の実現を防止する義務を怠った過失で
ある(製造物過失)
判例としては「三菱自動車ハブ脱落事故」(平成24年2月8日)がある。最高裁は、被告人らの
職責から予見可能性と結果回避可能性を認め、さらに、予見義務違反と結果回避義務違反
を認定した。そして、結論として、義務違反にもとづく危険が現実化したとして、危険現実化論
を採って、因果関係を肯定した。
ところで、製造物過失事故は、すでに販売・流通している欠陥製品を販売停止にし、回収しな
いことによって行われるのであるから、「過失不作為犯」が問題になるはずである。そうすると、
被告人が保障人的地位に立つか、作為義務ないし作為可能性があるかが論じられなければ
ならない。しかし、上記判例は、そのような検討は行っていない。
被告人の地位・職責・義務がこのような作為義務を根拠づけるので、判例においても、その点
に言及がないわけではないが、それは、不作為犯固有の要件としてではなく、過失犯としての
予見義務や回避義務の要件の中で行われている。製造物過失における「組織過失」は、それ
自体で、組織形成責任を問うものではないが、その販売停止・回収措置の不作為が、組織の
構造に由来する場合には、欠陥製品を流通させながら回収しない組織の責任者の過失犯の
罪責が問われることになる。
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