[過去ログ] 刑法の勉強法■59 (1002レス)
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99: 2020/08/31(月)05:56 ID:Iofm+qsl(1/2) AAS
刑法設問3、(2項強盗殺人罪の成否)のたたき台

1 甲はAに対する債務500万円の返済を免れる目的でAを殺害しているため、これが不法利得(刑法236条2項)に当たるか問題となる。債権者を殺害する行為がすべて強盗殺人となるのは妥当ではないから、殺害行により債務の弁済を著しく困難にした場合に限り不法利得を認めるべきである。本件では、?Aに相続人はおらず、?本件債権を証明する資料もなく、?A、B以外に甲のことを知る者がいなかった。したがって、Aの殺害行為は甲の債務の弁済を著しく困難にしたものといえ、不法利得といえる。

2 甲はワインに混ぜた睡眠薬をAに飲ませて眠らせて殺害している(以下「第1行為」という。)が、刑法239条は昏睡強盗を規定しているため、昏睡させる行為は暴行(法236条1項)に当たらない。しかし、甲は現に殺意をもってAを死に至らせているのに強盗殺人罪でなく昏睡強盗罪と殺人既遂罪しか成立しないのでは著しく不均衡である。したがって、昏睡による殺人行為は強盗殺人罪に当たると解する。

3 本件において甲は第1行為の後、有毒ガスを発生させ(以下「第2行為」という。)Aを殺害する犯罪計画を有していた。したがって、第1行為時点で、甲に強盗殺人罪の実行の着手が認められるか問題となる。実行の着手(法43条)は、行為者の犯行計画に照らし、構成要件行為に密接し、かつ、客観的に構成要件結果発生の現実的危険性を有する行為を行った時点で認められる(実質的客観説)。本件においては、甲の犯罪計画に照らすと、?第1行為は第2行為のため必要不可欠な行為であり、?第1行為に成功した場合、第2行為を行うにつき支障はなく、?第1行為の後、直ちに第2行為を行う予定であったから、場所的・時間的近接性も認められる。したがって、第1行為は第2行為と密接した行為と認められる。そして、第1行為はAの特殊疾患をふまえると客観的に死の危険性を伴う行為であった。以上より、第1行為につき強盗殺人罪の実行の着手を認めることができる。
100: 2020/08/31(月)05:57 ID:Iofm+qsl(2/2) AAS
4 本件において第1行為によりAが死亡することは一般人も甲も認識していなかった。したがって、第1行為と死亡結果との間に因果関係(危険の現実化)が認められるか問題となる。実行行為時における客観的全事情が危険の現実化を認定する基礎事情に含まれると解する。したがって、Aの特殊疾患をふまえると第1行為は死の客観的危険性ある行為であったから、本件において因果関係(危険の現実化)は優に認められる。

5 本件において甲は第1行為時にAが死亡することについて認識しておらず、むしろ第2行為においてAを殺害する犯罪計画であった。したがって、第1行為時点で甲はAに対する故意(殺意)を留保していたのではないか、因果関係の錯誤が問題となる。この点、行為者の認識した因果経過と現実の因果経過との間に食い違いがあっても、危険の現実化が認められる範囲内において一致するならば、その食い違いは構成要件的に重要ではないから故意を阻却しない(法定的符合説)。本件においては、4で述べたとおり第1行為とAの死亡結果との間に危険の現実化が認められる。したがって、甲に第1行為の時点で強盗殺人罪の故意(殺意)が認められる。

6 以上により、甲に2項強盗殺人罪が成立する。
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