SSスレ(萌え)8 (188レス)
SSスレ(萌え)8 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/
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117: 41です [] ちょっと思いついたので、久々に投稿します。お気に召しますか……。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/117
118: 41です [] 「帝国の龍神様」サイドストーリー 「は? あの、それはどういう意味なのでしょうか……」 「そんな顔をするだろうと思っていたがね、事実なのだよ。悲しい男の性というべきか」 竜州から東京に一時帰国した足で海軍省へ顔を出した俺、真田博之少佐は、面白くてたまらないといった表情の堀中将から聞かされた話に絶句してしまった。そんな俺の様子に、同道していた撫子は不思議そうに眉根を寄せる。 「別におかしくはないであろうが。好きなだけ女を抱ける土地に行きたいと思わぬ男のほうが異常じゃぞ。それとも、この世界には男が好きな男が多いのか?」 「いや撫子、それは激しく誤解だ――し、しかし閣下、彼らは本気なのですか? 帝国に忠誠を誓うふりをして、実際は破壊工作員とかスパイなのでは……」 「まあ、そんな連中もいるだろうが、大部分は本当に竜州行きを熱望しているらしい。男と生まれたからには男の天国で暮らしたいと断言する連中が押し寄せて、外務省などは頭を抱えているよ。いったん情報が洩れたら、収拾がつかなくなってしまった」 しまいには愚痴になった堀中将の話とは、世界各国で「自分も竜州に行きたい」と志願する者が日本の在外公館などに殺到しているという事実であった。 例によって防諜意識皆無の日本政府内部から「竜州には性奴隷になりたがる最高の美女がたくさんいる」という情報――事実なのだから否定しようがない――をキャッチした各国政府は、真っ青になって隠し通そうとした。そんな話が知られたら、男性国民の相当部分が「自分たちも行きたい」と思い立つのが目に見えていたからだ。その懸念は無理もなかったが、これほどの情報を隠せるはずがないのもまた当然の話で。戦争という重苦しい現実に押さえつけられていた世界は、一気に釜のふたが吹き飛んでしまった状況なのだ。 「各国にある日本の出先機関は、竜州への入国許可を求める現地の男たちで十重二十重に囲まれて身動きできない状況だ。慌てて政府は『竜州はまだ開拓初期段階で、派遣しているのは軍隊だけである』との公式声明を出してすべて断っているが、日本は竜州を他国も自由に行き来できるようにせよとの主張が各国の新聞雑誌にあふれ返っている有様だ。しかも竜州に行けるのなら、日本軍の傭兵になっても構わないと迫る者が続出しているとか」 「うむ、男として、しごくまっとうな反応じゃの」 頼むから黙っていてくれ、この馬鹿竜。世界各国で(日本を含めて)どれほどの人間が頭を抱えているか、想像もできないのだろう。いままで日本政府だけが脳髄を絞っていたのが、いまや世界中の首脳が苦悩する破目になってしまったのだ。 「先日、米国議会に『日本に竜州の門戸開放を求める』決議案が出されたよ。もっともホワイトハウスが、本当に門戸開放されたらどうなるかという『まともな』反対意見で議員を説得したおかげで棚上げになったがね。それに、あの国では女権拡張論者も強いから、そんな決議に賛成した議員は次の選挙で落選しかねないからな。現にニューヨークの日本総領事館前では、竜州行きを求める男たちと、彼らを非難する女性のデモ隊がぶつかって大騒乱になっている」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/118
119: 41です [] ダレス氏が届けてきたという米国の新聞を眺めながら、俺はもはや何も言う気力もうせた。一面にはプラカードを掲げた男女の集団が、棒で殴り合ったり投石している写真が大きく掲載されている。そのプラカードに書かれた内容といえば……。 「われわれは竜州の女を求める!」 「西部に続いて竜州の開拓こそ、アメリカ人のフロンティア!」 「ジャップが竜州の女を独占するのは独占禁止法違反だ!」 「竜州の女性解放こそ文明の責任!」 「アメリカの男を竜州に流出させるな!」 「竜州に男を行かせるくらいなら欧州戦争に参戦せよ!」 ……どこか激しく間違っていると思うのは俺だけだろうか。 「しかし、こうなると米国が竜州欲しさに対日宣戦布告をしてくる恐れもあるのでは」 「それはないだろう。現状ハワイの竜を何とかしなくては、対日戦争などできまい。撫子様の話では、ハワイの竜は簡単に米軍に負けるようなタマではないようだし」 「当然じゃ。あやつを大人しくさせられるなら、わらわも竜会議など提案せんぞ」 口を挟むな。いばって言う話ではないだろうが、この馬鹿竜が! 「馬鹿竜ではないのじゃ! そもそも竜州に日本人しか来たがらないはずがなかろうが。すべての国が領土や植民地を欲していると、教えてくれたのは博之であろう」 「それはそうだが――各国と言われましたが、具体的には」 「現在、大戦のただ中にある欧州各国はもちろん、米国や南米、その植民地であるインドや東南アジア、さらに南米やアラブでもだ。満州や北樺太では、士官級を含めてソ連軍からの投降者が激増している。連中は口を揃えて、もう国には帰れないから安心して暮らすために竜州へやってくれと要求しているらしい。部隊が丸ごと投降とかもあったそうで、先日、上京した満州国軍の辻大佐が、数が増えすぎて面倒見切れないから何とかしてくれと参謀本部に泣きついたそうだ」 「あの辻が泣きついてきた……」 「陸軍から回ってきた報告書を読んだが、投降者の供述によればドイツとの戦争と秘密警察による粛清の恐怖が蔓延しているソ連軍内部では、竜州はある種の夢の国、異世界の楽園のように語られているらしい。おまけに辻大佐の足元の満州国軍でも、現地人兵士から竜州駐留を求める声が強くなって、日本人士官たちも抑えかねているようだ」 俺は初めて辻に、陸軍に同情を覚えた。今まで散々やりたいようにやってきた奴が、今度はヤリたい連中を必死になだめなくてはならないのだから。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/119
120: 41です [] 「それにしても、竜州には怪獣のような巨大な蟲がうようよしているとか、現地の国同士で戦争が起こっているとの情報は知られていないのですか?」 「いや、ここまできたらと山本が海相や陸相と協議して、竜州軍が襲われて大損害を出した事実も含めて公表した。すぐその話も流れたが、竜州行きを求める声は一向におさまる気配がない。戦争で死ぬのも怪物と戦うのも同じ。ならばいっそ……というわけらしい」 その点は、貧乏百姓の小せがれだった俺にもわからないでもない。基本的に兵士や労働者になるのは中下層階級の男たちであり、裕福さと縁がない彼らは戦争に行かされたりきつい労働に従事するよりも、好きなだけ女を抱けるなら多少危険でも竜州のほうがマシと考えるだろう。しかし、彼らがごっそりいなくなってしまえば、特に戦争中の欧州各国は国として存続できなくなり、権力や体制が崩壊してしまう。だからこそ各国は当初、必死で情報を隠したのだろうが。 「しかも、竜州行きの志願者が一番多い土地はどこだと思うかね?」 「はあ、女好きならイタリアあたりでしょうか。それとも南米かインド……」 「いや、朝鮮と中国だ」 「え、でも朝鮮は植民地ですが独立運動は今も根強いと聞きますし、中国からも撤兵したとはいえ、反日機運は激しいものがあるはずでは……」 「独立も反日も、女を好き放題にできるという甘い餌の前では雲散霧消してしまうようだな。朝鮮総督府や満州国駐在大使館などには、日本軍に入隊するにはどうしたらよいかという現地人からの問い合わせが殺到しているそうだ。辻大佐によれば満州で反日活動をしていたソ連系の朝鮮人共産ゲリラ幹部が、竜州行きを条件に投降と情報提供を打診してきたとか。日本国内に住んでいる朝鮮人たちも、各地の基地に入隊志願に来て困っていると東条内相が話していたぞ。内心はともかく表向きとはいえ朝鮮人たちが『天皇陛下に忠義を尽くすために兵士になりたい』と言うのを無碍にはできないしな」 愛国心とか反日運動よりも自分たちの欲望を優先するとは、朝鮮人や中国人の実利第一主義を褒めるべきか。いくら頭が切れる山本軍令部総長も、どうしたよいか決断しかねているのだろう。その愚痴が堀中将を通じて俺たちに伝わっているわけか。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/120
121: 41です [] 「あと、これは極秘情報だが、満州国皇帝陛下から黒長耳続の女を後宮に迎えたいとの意向が伝えられてきた。ほかに満州国政府の中国人高官からも、関東軍司令官に同じ要請があった。こちらの一存では断れず、撫子様に話しておくと返事したが……」 「満州国皇帝が? しかし一国の宮廷に異世界の女を招き入れるなど」 「日本に移ってきた黒長耳族の女性たちが、大陸で出征部隊にすごい慰安をしただろう。そこにいた対日協力者の中国人から情報が伝わったらしい。国内でもいくつかの有力華族様から、何とかならないかと及川や山本に言ってきている」 海軍を女衒のように使うとは。お偉いさん方に猛烈に腹が立ってきたが、意外にも堀中将は大して怒っていないようだった。 「この先、欧米の権力者や王侯貴族、富豪たちからも同様の話が来るのは確実だぞ。英国のフレミング氏など、世界の有力者に竜州の女を愛妾として差し出せば、日本の国際的地位は保証されると力説していた。英国をはじめとする欧州各国の王室には、本物の娼婦が王の愛妾として迎えられた例は珍しくないそうだから、今度も歴史は繰り返すという程度にしか思ってないようだ。何でもルーズベルト大統領は女性についてまだまだ現役だから、来日の際に味を覚えさせれば日米戦争はなくなると断言したよ。山本が呆気にとられた顔を見たのは久しぶりだったな」 「はあ……彼は英国の工作員として、日米戦争を起こさせるのが任務だったのでは?」 「間もなく東京竜会議が開催される。これを機に日本を通じて撫子様をはじめとする竜と友好関係を結ぶことで、英国の立場を強化しようとしているというのが吉田大使の見立てだ。ドイツもシチリアやアイスランドの竜と誼を通じようと必死になっているから、そうさせてなるものかというわけだ。実際に世界の有力者に竜州の女が愛妾として提供されたら、骨を折ったのはわが英国ですと一言ささやけばいいからな」 はい、ドロドロな国際外交の裏面解説をありがとうございました。撫子と付き合ってからこの手の話はしょっちゅう聞くが、どうしても慣れない。俺がまだ、健全な精神の持ち主だからと信じたいが……しかし、ルーズベルトにダークエルフの女を提供したら、彼女たち欲しさに対日戦争を仕掛けてくるのではと思えてしまう。そのときはメイヴさんに頼もうか。彼女ならルーズベルトを親日派にしてくれることぐらい、できるのではないか。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/121
122: 41です [] 「うむ、メイヴならルーズベルトの相手をしても大丈夫じゃろう。この手のことならアニスのほうが熟練しておるが、そなたたちの言葉でいえば日本にとって政治的な信頼度が低いからの――どうしたのじゃ、博之? ぽかんとわらわを見おって」 「いや、馬鹿竜から信じられないセリフを聞いたような気がして」 「馬鹿竜ではないと言っておろうが! とにかく、わらわとしては日本人以外の人間が竜州に来ようと構わぬぞ。広い未開地があるのじゃから、いくらでも受け入れたらよかろう。アメリカ人もロシア人も朝鮮人も中国人も、みな日本に忠誠を誓ってくれると言っとるのに、何を遠慮することがあるのじゃ?」 「そんなに簡単にいくか。小磯首相は竜州を新たな日本領と宣言して、最終的には二千万人規模の移民を送り込む計画だ。そこに大量の外国人を入植させるとなると、国民感情が納得しない。それに口では何とでも言えるが、連中が竜州に入ってから故国の命令で日本に反逆したら手が付けられないだろうが」 「心配ない。もし反逆なぞしおったら、全員に女体化の秘薬を投与してやればよかろう。それで二度と元に戻さないで、他の男たちに分け与えてやれば終わりじゃ。違うか?」 ……あのー撫子さん、とっても凶悪かつ無慈悲なセリフを笑顔で言われると、ものすごく心臓に悪いのですけど。堀中将も固まっているではありませんか。 「初めて会ったときじゃったか、辻が人を殺すのはそれなりに重労働なので、それを簡単にできるわらわを陸軍に引っ張りたいと言いおったの。人間は戦争で殺しあっているくせに、実際に殺すのは苦手らしいと、わらわも気付いておったぞ。だから殺さずにすむ方法を教えてやったのに、それを凶悪だの無慈悲だのとはけしからんではないか!」 いや確かに殺さなくてすむけれど、あまりといえばあまりにエグいやり方でしょうが。ヒトラーやスターリンでも絶対に引くぞ。石原参謀長は……まあ、大笑いして「いい考えだ」と頷くところが想像できてしまう。満州国を造ったほどの人間は、アトランティスを海に沈めた竜と意気投合できる部分が多いのか。 「それに、わらわの眷属を各国の有力者に愛妾として差し出すのも悪くない考えじゃな。もともとダークエルフは男に抱かれるのが大好きじゃし、あらかじめメイヴに教育させておけば、どんな男も寝かせずに狂わせるほどの技術を身に付けられるぞ。それで日本も竜も得をするなら、誰も損をせぬではないか」 確かにそうだろうが、「日本は女のアソコで国際的地位を買った」などと、どこぞの国の歴史教科書に書かれるだろうなと思えてしまう俺は、まともな思考を保っているのか。 「のう博之、このまま世界中から竜州に女が欲しい男どもを受け入れていけば、世界は平和になるぞ。どの国も戦争したくてもできなくなるからの。しかも今、この地と竜州をつなげられるのはわらわだけじゃ。そもそも女体化の秘薬を投与しなくとも、女が欲しい連中など向こうで問題を起こした者は即刻強制送還すると釘を刺しておけば静かになるであろうし、逆に英国や米国でもドイツでもソ連でも、日本以外が竜州に軍隊を送り込めないのじゃぞ。アンナとナタリーが本国から逃れておるのと逆に、竜州に来た者どもは本国から隔離しようと思えばできるのじゃ。そうなればスパイも本国からの指示を受けられず、情報も送れぬであろうが。わらわの言うことが間違っておるか?」 さてこの話、どういう結末を迎えるのか――。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/122
123: 41です [] 実は上の話は複数のエンディングを考えたのですが、どれを書いてもぴったりこなかったのでボカしました。皆さんで考えてみてください。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/123
124: F世界逝き [F世界逝き] F世界逝き http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/124
125: 龍神様の中の人 ◆NdgHDvOgik [] 遅くなりましたがあけましておめでとうございます。 今年もアリのように歩みは遅いですが『帝国の龍神様』をどうかよろしくお願いします。 で、久々のレス返し。 >>国共内戦 地味に帝国に影響を与えている大陸情勢。 国民党の瓦解とその再起は帝国に甚大な影響を与えることになります。 >>黛大佐 陸上巡洋艦や陸上戦艦にてお仕事が回ってくるかもしれない。 多分、陸軍との話し合いの結果だけど、 陸上戦艦二隻と陸上巡洋艦一隻(陸軍も金を出して巨砲が欲しいね案) 陸上戦艦一隻と陸上巡洋艦三隻(陸軍も金を出しての妥協案) 陸上巡洋艦五隻(陸軍も金を出して数が欲しいね案) 陸上巡洋艦三隻(海軍予算のみ) もちろん、陸軍が金を出す想定戦場は満ソ国境からシベリア。 海軍が想定する戦場は大西洋から欧州上陸という同床異夢。 >>101-102 入ってきてすんなり落ち着きそうなのが、シベリアやアラスカの大森林地帯。 ただ、この二つだと後の列強の植民地獲得戦争に巻き込まれる諸刃の剣。 魔法の概念がインディアンに伝わって、そりゃもう楽しい事に。 >>陸士長さん 投下乙です。 これは防ぐの難しいよなぁ‥‥‥ このあたりを独逸が出してこれるのならば、某パンツじゃないアニメのウィッチ達がそろそろ欧州の空を舞ってもいいかもしれない。 アメちゃんが対独宣戦した時にお出迎えするのが彼女たちとか少し胸熱。 >>41ですさん 投下乙です。 大いに笑わせてもらいました。 博奕打ちの借金のカタで取り上げた極上娼婦『でしかない』サキュバス(ダークエルフ上位種)ディアドラが竜会議でお披露目が決定。 ネタ作ってそのまま放置が多いけど、こう言う感じで再利用できるものは修正して再利用しようと。 では。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/125
126: 41です [] 「帝国の龍神様」サイドストーリー掌編 その夜、大原伯爵邸へ戻った俺は、先に帰宅していた綾子に堀中将の話を――するわけがない! 聞いたら最後、目を三角にして強烈な怒気を発しながらの説教フルコースが待ち受けているのだから。しかし、「どんなに痛い目に遭っても三歩歩いたら忘れてしまう」鳥頭の馬鹿竜に注意しておくのを忘れたため、俺が伯爵に呼ばれて話し込んでいた間に撫子が「あかれんがとかで面白い話を聞いたのじゃ」と、得々と喋ってしまったのだ。 応接間に戻った俺は、綾子の爛々と輝く両の目にすべてを察した。ああ、また二時間も怒声を浴びながら正座させられるのかと頭がくらっとなりかけたが、意外にも綾子は「それがどうかしましたか?」とのたまわったのだ。 「おい綾子、怒らないのか?」 「今さら何を。お兄様と一緒に竜州まで行った者なら、その程度で怒っていては生活する時間がありません。少なくとも撫子さんがこちらの世界に来られてからの経験で、男とは救いようもなく愚かなけだものであると思い知りましたから」 冷たい笑いを貼り付けた綾子の眼差しに冷や汗を流しながら、俺は猛烈な時化の海で駆逐艦に乗っているような気分だった。怒っているじゃないか! 深く静かに、底の底まで、ブリザードのような絶望が吹き荒れる怒りに凍りついてしまいそうだ。うはあ、さっき伯爵が「綾子は戻ってきてから目つきがすっかり変わってしまった。あちらで何かあったのかね」と聞いていたが、こういうわけだったのか……。ようやく撫子も察したのか、テレパスで(ひろゆき〜、こわいのじゃ〜)と告げながら、ぶるぶると震えて後ずさってやがる。遅いんだよ、この馬鹿竜が! かくしてその夜は、予想通りの綾子の怒髪天説教フルコース――にはならなかった。目は全然笑っていない綾子に、能面のような笑みを浮かべて「お兄様、撫子さん、前々から考えていたことがあるのですが」と言われて断れるわけがないだろう。 「実は私、地球規模のクーデター計画を練っておりますの。このくだらない戦争を一刻も早く終わらせて、全世界を平和にするための……」 「撫子さんが言われたように、男という名の愚かなけだものは残らず竜州へ送り込んでしまうのです。彼らは竜州で好きなだけ戦争をやればいい。そして地球は、平和を愛する女性だけの世界にする。どうでしょう……」 「手始めにルーズベルトだけでなく、チャーチルもヒトラーもムッソリーニもローマ教皇も蒋介石も小磯総理も、自分たちが世界の指導者だと思い込んでいる愚かなけだものどもすべてを、ダークエルフで骨抜きにして何でも言うことを聞かせてしまうのです。反対する連中は、フクジョウシとやらにしてやればよろしいでしょう。撫子さんのお話では、そのくらいわけないのではありませんか。彼らも幸福な最後をとげられるなら、殺人などではないでしょう……」 「もうこれ以上、愚かなけだものどもに政治や戦争を任せてはおけません。それでも愚昧な男たちがいいという女も竜州にやってしまえば、人類の理想である平和と正義が実現するではありませんか。そして撫子さん、あなたがた竜は、その新世界の神となるのです。何とも魅力的な構想ではありませんか……」 当然のように正座させられ、延々と酔ったような綾子の言葉を聴かされるのは説教よりも精神に響いた。ああ、あの純真で清楚な綾子はどこに行ってしまったのか。最後のほうは気が遠くなりながら、ナチス親衛隊の黒い制服をまとって地球を踏みつけ、男たちに鞭をふるう綾子の姿を幻視していた。 (うう、ひろゆき〜、綾子はわらわなど足元にも及ばぬ悪の暗黒女帝なのじゃ〜) (全部お前のせいだ! 少しは懲りやがれ、この馬鹿竜が!) (馬鹿竜ではない……いや、これほど綾子を怒らせたわらわは確かに馬鹿竜なのじゃ。アンナとナタリーが戻ってきたときのことを、すっかり忘れてしまっておったから……) すごいぞ綾子、撫子が反省している! それだけでもお前は、コイツの調教師として最高の技術を誇っていい。しかし綾子の奴、「腹上死」の意味を知ってて使っているのかは疑問だが。 「お兄様、何かおっしゃりたいのですか?」 「イイエ、マッタクナニモゴザイマセンデス」綾子もテレパスなのか――。 あとから思えば、こんなのは実にほほえましく楽しい平和な時代だったわけだ。やがて開催された東京竜会議と世界列強首脳会議の裏側で、俺も撫子も綾子も想像もしていなかった人外どもが暗躍する影の世界の暗闘に巻き込まれることになったのだから。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/126
127: 41です [] ※「例の話を聞いた綾子」というアイデアが浮かんだので、素早くまとめました。「綾子のライト化」どうでしょうか。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/127
128: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 二次創作なのにどうして上から目線なのでしょうか? そこが気になります。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/128
129: 名無し三等陸士@F世界 [] ここには読みに何度も足を運んでいるんだが シェアードワールド型の創作をする場所じゃないん? Wikiより >シェアード・ワールドにおける各作品は原則として完全に同じ世界上の出来事とされ、歴史の流れもまた相互に尊重される。 >>127の綾子のライト化とかダメっしょ・・・・ もしやるのなら二次創作っていうのを宣言してからやって欲しい (本音言うなら、ここからも外れてやって欲しい。けど、SSスレ(萌え)ってスレで建前上は独占の場所じゃないから言えん) http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/129
130: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 41による原作蹂躙がはじまるのか……過疎化が進むね http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/130
131: 名無し三等陸士@F世界 [sage] >>130 ますます、寂れるね。 正直他所でやって欲しい気がする。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/131
132: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 中の人基準でおもしろければ採用するんだし、ティンとこなければ採用しないんだからいちいち突っかからなくてもいいじゃないか。 自分の考えと違うんだから無視しとこうぜ。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/132
133: 名無し三等陸士@F世界 [] そう http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/133
134: 竜神様の中の人 [sage] 久しぶりにバイオな竜神様投稿。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/134
135: 竜神様の中の人 [sage] ナブレスの沖に錨を下ろす二隻の帝国艦船にナブレスの住民は釘付けとななった。 皆の視線を集めているのが軽巡洋艦大井。 その大きさから、後ろにいる測量艦筑紫はそれゆえに目立ってはいないが、筑紫もナブレスに停泊する木造帆船に比べればはるかに大きいのだが。 大淀の会議室で神堂辰馬は何気なく思う。 「陸軍の神堂大尉です」 「海軍陸戦隊の谷浦大尉と申します」 「大淀艦長。富岡大佐だ」 「筑紫特務艦長。山高大佐」 今の帝国を端的に表しているなと辰馬が思うのは、それぞれの後ろに異世界人がついているあたり。 辰馬の後ろに犬耳族のリールがメイド姿で、海軍連中の後ろには黒長耳族が巫女服姿で佇んでいる。 「今回は海軍の実験に便乗させてもらい、感謝しております」 「いや、こちらもナブレスに拠点があるのとないのではおおいに違う。 協力に感謝する」 異世界において陸海軍の行動が円滑に進められているのは、彼女たち異世界娘達のおかげである。 アンナとナタリーからメイヴ経由で海軍に話が行った以上、断れる訳もなく。 ましてや、陸軍というより辰馬が主導権(何しろ森のピクニック)を早々に放棄していた事もあって、その最初の打ち合わせは実に穏やかに進んでいたのだった。 なお、ナブレスと近郊情報はリールからテレパスで既に後ろ二人の黒長耳巫女に伝えられている。 「こちらが砦の航空写真になります。 ナブレスの町および近隣の地図はこちらになります。 バートン大公領の資料はここに」 「助かる。 表敬訪問なんてものをしないといけない身だとな。 要約しておいてくれ」 富岡大佐が辰馬から手渡された資料を後ろにいる黒長耳族の娘に手渡す。 もちろん、同じものは山高大佐と谷浦大尉にも渡す予定だ。 大淀艦長である富岡定俊大佐は、海大を首席卒業した切れ者で軍令部や海軍省の要職を順にこなしていたエリートである。 同時に対米強硬派の一人でもあり、対米戦が竜神様によって非戦となった結果、竜州に島流しという形でこんな所に来ていたりするのをメイヴからアンナとナタリー経由で辰馬は知っていた。 とはいえ、本人は腐っている訳でもなく、 「尉官時代の陽の当たらない配置に比べれば、一国一城の主。 何を腐る事があろうか」 と本人の言葉。 島流しだろうと、自分の仕事はちゃんと弁えている人らしい。 大航海時代前のこの世界において富岡大佐は一つ男爵位を持つ華族という武器を有しており、これがある種の交易船の側面を持つ異世界交易においてかなり重宝しているとか。 事実、バートン大公への表敬訪問のあとの晩餐会において、バートン大公の紹介でロムルス国家連合の元老院議員と会う段取りだとか。 本土は外務省が太平洋宣言から竜会議という外交環境の大激変で竜州にまで手が回らず、引きこもり政策をするならば付き合いは最低限でいいよねとまるで維新前の幕府のような、やっている事はペリーの黒船そのままの政策をとっている帝国にとって、島流しどころか適材適所になっているあたりいろいろとダメな感じ漂うがこの際置いておく。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/135
136: 竜神様の中の人 [sage] 「では、こちらは測量を始めます。 神堂大尉。測量班はナブレスの屋敷に滞在させてもらって問題ありませんか?」 「大丈夫です。山高大佐」 測量艦筑紫特務艦長である山高松次郎大佐は、ずっと現場一本の海の男である。 しかも軍艦だけでなく今回の筑紫みたいな軍艦以外の船の経歴も長く、前職は給炭艦(病院設備つき)室戸だったりするので仕事がはやい。 後で聞いた話だが、今回の航海において治癒魔法が使えるからと軽視していた黒長耳族を叱りつけて、大淀に医者と看護婦を載せたのは山高大佐の功績だとか。 で、大淀艦長である富岡大佐との関係が悪くなっていないあたりで山高大佐の才能はわかろうというもの。 「谷浦大尉。 竜州軍製90式四脚歩行砲試作二型の具体的な実験は?」 陸戦隊を率いる谷浦英男大尉は、辰馬の言葉に顔を横に背けた。 あ、なんか地雷を踏んだ。 なお、この実験そのものが実は陸軍考案の兵器に黒長耳族を抱える海軍が食いついたというもので、これの代償というかたちで森のピクニックはこうやって助けの手を差し伸べられたとかなんとか。 「考案者の前田繁治整備兵と操縦者のベルカが大淀に乗って最終調整をしているのですが‥‥‥」 「ですが・・・・・・?」 「酔うそうです。派手に。 それに、戦車と比べたら遅い」 当たり前である。 四足で歩くということは、安定性が増すが同時に移動時の縦横の揺れが激しくなる事を意味する。 もちろん、魔法でなんとかなるにはなるのだが、当たり前のように制御を魔法で行っている90式四脚歩行砲試作二型においてそれに魔法を振り分けたら他の所が足りなくなる事もある訳で。 ならば、何で持ってきたかというと、バートン大公領にはったりかますのにちょうどいいものであったという裏事情が。が。 「地図と航空写真を見る限りでは、運用に適しているとは言い難いが、使わないといけないのだろう?」 「ご推察の通りで。 とりあえずあれならば、オークの棍棒で殴られても凹むだけで済みますから。 陸戦隊はナブレスの邸宅に?」 「そこに合同司令部を置きたいがよろしいか?」 「結構です」 かくして、陸海軍双方がナブレスに揃った翌日、物資輸送に携わっていた九七式飛行艇が砦から攻撃を受けて消息を断つという報告が飛び込むまでつかの間の休息を楽しむ事になる。 帝国の竜神様 バイオハザードなネタ話 10 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1335097928/136
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