アメリカ軍がファンタジー世界に召喚されますたNo.14 (1000レス)
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432: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/23(土)02:47 ID:7t1XkOo60(1) AAS
皆様お久しぶりです。長期間お待たせして申し訳ありませんでした……
ただ今、ようやく執筆可能な心境になりましたので、来週火曜日の投稿を目指して執筆中です。

もうしばらくだけお待ち下さい。
433: 2015/05/23(土)19:25 ID:JubdIp2g0(1) AAS
投下待ってます!
434: 2015/05/23(土)20:17 ID:tuAmAx1o0(1/4) AAS
楽しみにしておりますが、ご自愛下さい。
435: 2015/05/26(火)03:05 ID:9R7ffzTs0(8/29) AAS
待っています。
今のうち復習しておかないと!
436: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:16 ID:nTL/qsO20(1/27) AAS
こんにちは~。これよりSSを投下いたします。
437: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:17 ID:nTL/qsO20(2/27) AAS
第273話 栄光と絶望

1485年(1945年)12月8日 午後4時 シホールアンル帝国ウェルバンル

首都ウェルバンル中枢にある海軍総司令部の中では、いつもと同じように、司令部内に努める職員や士官達が忙しなく働いていた。
そんな中、リリスティ・モルクンレル大将は、1人だけ休憩室で僅かばかりの休息を取っていた。
ここ数日の激務で、彼女の表情には疲労が滲んでおり、軍服も着崩れている。

「……」

5階建ての4階部分に位置する休憩室の窓際からは、晴れている日なら司令部周辺の風景が見られる筈だが、この日は運悪く雪が降っており、
周囲の視界はいまいちな状態となっている。
彼女は、無言のまま外の風景を見つめつつ、淹れたての香茶を啜った。
省10
438: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:18 ID:nTL/qsO20(3/27) AAS
「本当。あんたのマイペースぶりには感心するわね……まぁ、私としては“そうしたい”ようにしか見えないけどね。」
「はは……流石は歴戦のリリィ。」

ヴィルリエ・フレギル大佐は、自らの内心を見透かしたリリスティに、やれやれとばかりに首を横に振った。

「まぁ、あたしも思ったさ。本当、絵に描いたような最悪な状況だよね、今は。」
「ええ。しかも、その最悪の状況は、海から陸にと続いている訳。」

リリスティはため息交じりに言いながら、カップの香茶を啜る。

「……少し早いけど、作戦室に戻りますかね。」
「え?あたし、まだこれを1口も飲んでいないんだけど……」
省10
439: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:20 ID:nTL/qsO20(4/27) AAS
「お疲れ様です、次官。」
「ああ……貴方達は休憩は取らないの?」
「休憩は私も取ろうと思ったのだがね……残念ながら、そう言う気分ではなくなってしまったよ。」

リリスティは、背後から聞こえて来る掠れ声を聞くや、やや眉を顰めながら振り向いた。
海軍総司令官であるレンス元帥が、濃い疲労で皺の多くなった顔を俯かせながら、1枚の紙をリリスティに手渡した。

「たった今、シェルフィクル工業地帯を守備する陸軍部隊から届いた通信だ。」
「拝見致します……」

リリスティは渡された紙に書かれた文面を見るや、表情が硬くなった。

「シェルフィクル……敵艦載機に攻撃さる……我防戦に努めるも、工場地帯の被害発生しつつあり……」
「シェルフィクルは、朝方から昼にかけて天候が悪化していたため、敵の空襲は無かった筈だが、15分前に……陸軍からこの魔法通信が送られて来た。」
省12
440: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:21 ID:nTL/qsO20(5/27) AAS
「つまり、シェルフィクルは生命線であり、心臓部という事だ。そこに、アメリカ軍の機動部隊が迫り、猛攻を加えている。」

レンスは、自らの胸元を指さす。

「つまり、我々は今、この帝国の心臓部を敵に串刺しにされようとしているのだ。」

彼は、淡々とした口調でそう言い放った。

「……抵抗する術を失った我々には、もはやどうする事も出来ん。出来るのは、ただこうやって、シェルフィクル工業地帯が破壊されて
いく様子を確認するだけだ。」
省15
441: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:22 ID:nTL/qsO20(6/27) AAS
レンスの苦痛めいた独語が室内に響いて行く。それに対して、リリスティは口を開く。

「閣下。主力部隊が壊滅した事は……私自身、信じられぬ気持ちで一杯であります。しかし、戦争は終わった訳ではありません。
過去の事を後悔し続けるより、今は、そのあとの事を考えましょう。」
「……次官の言う通りではあるな。」

レンスは、掠れた声で返しながら、ゆっくりと頷く。

「して……今後、我が帝国海軍はどのように動けば良いと思うかね。次官?」
「まずは、こちらから打って出ず、敵重爆撃機が定期的に港へ投下する機雷の除去に力を注ぐべきでしょう。」
「海上輸送路の確保ですか。しかし、本土西部沿岸の制海権は、先の海戦の結果、もはや連合国軍に奪われたも同然です。」

作戦参謀がリリスティに言うが、彼の声音にも若干、覇気が欠けているように感じられた。
省12
442: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:23 ID:nTL/qsO20(7/27) AAS
ヴィルリエがそう言うと、リリスティを除く司令部の幕僚達が一様に目を剥く。

「現在、シェルフィクルが攻撃を受けている最悪の事態を、我が帝国は迎えています。ですが、先の海戦で消耗したのはアメリカ軍と言えど同じで、
シェルフィクル攻撃が終了してしばらくの間は、西部沿岸に主力部隊を置く事も無いでしょう。その間、未だに保持しているヒーレリ領北西部の
住民避難や物資輸送を行うのです。」
「……それは希望的観測に過ぎないのではないか?」

レンス元帥がそう批判するが、

「情報参謀の言われる通りかと思われます。」

リリスティが助け舟を出した。
省15
443: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:24 ID:nTL/qsO20(8/27) AAS
頼りにしていた主力部隊が壊滅に陥ったのだから、致し方の無い事であろうが……

「……敵機動部隊は、本当に沿岸部から離れそうかね?」
「いかな強大な敵と言えど、弾が無ければ戦えません。沿岸部の空白は必ず生まれます。どうか、ご決断を……」
「次官がそこまで言うのなら……よろしい。許可しよう。」
「!?か、閣下!」

異論を述べようとした作戦参謀だが、レンス元帥は片手をあげて制した。

「まぁ待て。確かに、貴官のいう事も最もだ。だが、事は急を要する……私は、次官と情報参謀に賭けてみようと思う。」
「では……」

ヴィルリエが俯きがちだった顔を上げる。
省12
444: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:25 ID:nTL/qsO20(9/27) AAS
「シギアル港には第6艦隊の戦艦7隻初めとする最後の主力艦隊が居るが……作戦参謀の言う通りだな。」

レンス元帥はそう言ってから、右手で後頭部を一際激しく掻いた。

「……ゼイルファルンザ級やジュンレーザ級で、敵のアイオワ級やサウスダコタ級に立ち向かう等……自殺せよと命じるに等しいだろうな。」
「サウスダコタ級は愚か、格下のアラスカ級……いや、例の新型巡洋艦、デ・モイン級ですら敵うかどうか……ですね。」

レンス元帥と、リリスティの冷めたい一言に、作戦参謀がムッとなる。

「司令官閣下のみならず……次官まで……!それでは……第6艦隊がアメリカ艦隊に対して、一方的に打ち負かされるとでも仰りたいのですか!?」
「作戦参謀は、地の利を生かせばアメリカ軍の新鋭戦艦相手に戦えるとでも言いたいのかね?」
「無論であります!」
省13
445: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:26 ID:nTL/qsO20(10/27) AAS
「どんなに絶望的になろうとも、戦力を注ぎ込んで帝国の勝利に貢献しなければならん筈です!それなのに……レビリンイクル沖の英雄とも謳われた
次官からそのような言葉を聞くとは……私は失望しましたぞ……!」
「それはこちらのセリフだね。現実を見ない参謀なぞ、使えない。」
「な……!?何を世迷言を……」

彼はそう言いながら、徐々に目を吊り上げていく。

「世迷言では無い。貴方は本当に使えない……えぇ、本当につっかえない。この役職を辞めたら?」
「ふざけないで頂きたい!!」

激怒し、リリスティに一気に詰め寄る作戦参謀。誰もが、作戦参謀がリリスティに殴り掛かると思い、慌てて後ろから羽交い絞めにしようとした……が。

「それは……」
省12
446: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:26 ID:nTL/qsO20(11/27) AAS
「名誉ある戦い……ね。」

彼女はそう言った後、右手のみならず、左手も使って彼の胸ぐらを掴んだ。

「それが、先程の戦訓を無視した提案なのか!?だから使えないって言ってるんだ!!ここから放り出して前線に送り込んでやる……!」
「モルクンレル次官!もうやめろ!!」

見かねたレンス元帥が2人の間に割って入り、リリスティと作戦参謀を引き剥がした。

「こんな非常時に何たる様だ!ここは喧嘩場ではないぞ!!」
「……は。お見苦しい所をお見せして申し訳ありません。」
省14
447: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:27 ID:nTL/qsO20(12/27) AAS
先程、命令を伝えに行ったヴィルリエが紙片を持ちながらレンス元帥の所まで歩み寄った。
紙を手渡されたレンス元帥は、一通り目を通すや否や、険しい表情のまま額を抑えた。

「諸君、ヒーレリ戦線の続報だが……」

レンスは咳払いをしてから言葉を続ける。

「たった今届けられた情報によると、本日午後2時50分、ロプトンヌ方面でアメリカ軍機械化師団の猛攻を受けていた陸軍部隊は決死の抵抗を
試みるも、先程、敵に戦線を突破されたようだ。」
「ロプトンヌが……突破されたですと!?」

作戦参謀が思わず声を裏返してしまった。
彼のみならず、作戦室に居る幕僚達は、誰もが驚きを現していた。
省16
448: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:28 ID:nTL/qsO20(13/27) AAS
1485年(1945年)12月8日午後11時15分 カリフォルニア州サンディエゴ

アメリカ太平洋艦隊司令長官であるチェスター・ニミッツ大将は、太平洋艦隊司令部内にある作戦室で、淹れたてのコーヒーを飲んでいる所に、
情報参謀のロシュフォート大佐から報告を受け取った。

「長官。第5艦隊司令部より入電であります。」
「来たか……読んでくれ。」

ニミッツはカップをテーブルに置き、腕を組んでロシュフォートの説明に聞き入った。

「我、水上部隊を用いてシェルフィクル工業地帯の艦砲射撃を敢行。本日0305時をもって工業地帯の砲撃を終了せり。敵工業地帯は
昼間の空襲並びに、水上部隊の砲撃によって完全破壊された物と確認せり。第5艦隊は作戦を終了し、今より帰投する物なり。0315……」
「そうか……遂にやったか……彼らは困難な任務をよくぞこなしてくれた。本当に……良くやってくれた。」
省14
449: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:30 ID:nTL/qsO20(14/27) AAS
午後10時40分。TG58.7は、昨夜の海戦で戦列に留まった、戦艦ケンタッキーを始めとした戦力でもって艦砲射撃を開始した。
アイオワ級戦艦3隻、サウスダコタ級戦艦1隻を始めとする砲撃部隊は、工場の沿岸部は勿論の事、20キロ程の内陸部まで片端から叩きまくった。
空襲を受けつつも、何とか健在であった工場はともかく、ほぼ無傷であった内陸部の工場も、無数に飛来する大口径砲弾や、重巡、軽巡、駆逐艦群の
砲弾に隙間なく耕され、生産したばかりの物や破壊された残骸も分け隔てなく吹き飛ばされ、微塵に粉砕されていった。
シホールアンル帝国の心臓部でもあるシェルフィクル工業地帯は、150年前から発展を続け、今日までこの大帝国を支え続けていた。
だが、戦艦部隊は機械的に砲弾を送り続け、歴史ある建造物の数々を吹き飛ばし続けた。
砲撃開始から3時間20分が経った午前3時5分には、観測機から敷地内全域に大規模な火災が発生中との知らせを受けた事で、第5艦隊司令部は
シェルフィクル工場地帯の完全破壊成功を確信し、砲撃を終了した。
ここにして、第5艦隊は任務を全うした訳だが……犠牲も少なくなかった。

「第5艦隊はシホールアンル海軍の主力部隊を撃滅しましたが、引き換えに戦艦、空母各1、巡洋艦1、駆逐艦7を喪失し、中破以上の損傷艦が35隻。
省14
450: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:30 ID:nTL/qsO20(15/27) AAS
「水上艦同士の戦闘でも、我が方の個艦性能が優っていたため、敵水上部隊の撃滅も果たせています。特に、改アイオワ級戦艦である
モンタナ、イリノイ、ケンタッキーは相当の損害を負ったようですが、前期型と比べて戦訓を反映させた改良を施したおかげで損失には
繋がりませんでした。また、唯一、マサチューセッツが撃沈された事が痛手でしたが、サウスダコタ級も新式の50口径16インチ砲を搭載したお蔭で、
2隻のネグリスレイ級戦艦相手に互角以上に戦い、2隻とも大破、航行不能に陥れています。そして……巡洋艦、駆逐艦部隊もほぼ同様で、
我が方のデ・モイン級重巡やギアリング級駆逐艦は、期待に違わぬ活躍を見せてくれました。」
「ふむ……つまり、我が艦隊の総合力が敵を上回った事が、今回の大勝利を呼び込んだという事だな。」
「そうなりますな。」
「陸軍の方でも、反撃は順調に推移しており、既に敵侵攻部隊は連合国軍によって包囲されたようです。」

ロシュフォート大佐がそう言ってから、ニミッツは彼に視線を向ける。

「反撃には確か、海兵隊も参加していたな。」
省13
451: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:31 ID:nTL/qsO20(16/27) AAS
1485年(1945年)12月9日 午前2時 シギアル沖北東360マイル沖

目が覚めた時、そこはいつもの狭い艦長室の中であった。

「……ん……今何時だ?」

彼はすぐ側にある電球の明かりをつけて時間を確認する。時刻は午前2時を過ぎたばかりだ。

「2時か……予定の時刻まであと2時間はあるな。」
省17
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