アメリカ軍がファンタジー世界に召喚されますたNo.14 (1000レス)
アメリカ軍がファンタジー世界に召喚されますたNo.14 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/
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938: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] 事前に決められた作戦では、第1線陣地で敵に出血を強要した後、時期を見て第1戦陣地を放棄し、2キロ後方の第2戦陣地まで 後退する事になっている。 グレンキア軍は退路遮断のさい、南側に向けて8キロの縦深を確保しており、これを生かして敵反撃部隊の出血を強要し、敵の 解囲攻勢を防ぐ予定となっている。 昨日の戦闘では、第1線付近で激戦が展開され、陣地後退をするまでもなく敵を撃退したが、今回は昨日の戦闘で消耗が嵩んだ分、 前線の部隊が耐えられる時間が短いため、ポリースト中佐は敵をそこそこに叩いてから、速やかに第2戦陣地に部隊を移動させる事にした。 シホールアンル軍は、展開された煙幕に構うことなく、そのまま突っ込んできた。 まだハーフトラックに乗り込んでいない擲弾兵の一団は砲撃を受け、停車していたハーフトラックごと四散する。 また、あるキリラルブスは交代するハーフトラックに砲弾を撃ち込み、これを爆砕させることに成功した。 だが、この時点で部隊の大半は第2陣地に向かいつつあり、キリラルブス隊が第1陣地の散兵壕群に到達したときは、第1、第2大隊は 予備陣地へ移動を終えていた。 煙幕が晴れると、またもや後方の砲兵陣地から阻止砲撃が浴びせられ、再びキリラルブスが無数の爆炎と降りしきる土砂に包まれていく。 キリラルブス隊はそれでも前進を続け、憎き連合軍部隊との距離をまたもや詰め始める。 敵はますます損害を積み重ねつつあったが、この時、敵側の野砲も師団砲兵に砲撃を始めたため、前線に対する支援砲撃が期待できなくなった。 敵部隊はこれ幸いとばかりに、増速して一気に距離を詰め始めた。 10両のシャーマン戦車は、それぞれが用意した陣地にダックインし、砲塔部分を地面から覗かせる形でキリラルブスを迎撃していく。 足を吹き飛ばされたキリラルブスがへたり込み、前進ができなくなる。 本体部分に受けたキリラルブスが、搭載弾薬の誘爆を引き起こして派手に吹き飛んだ。 キリラルブス隊も撃ち返す。 1両のシャーマンが砲塔に敵弾を受け、爆炎と共に砲塔部分が吹き上がった。 キリラルブスは、ダックインしたシャーマンや、前面に展開した擲弾兵中隊に砲撃を繰り返しながら距離を詰めていく。 敵の先鋒が陣地まであと50メートルに達した時、キリラルブスの後方に追従している兵員輸送型キリラルブスが一斉に姿勢を低くするや、 搭乗していた歩兵が降り始めた。 擲弾兵中隊は、30口径機銃を乱射して、キリラルブスと共に迫る敵歩兵を次々になぎ倒していくが、数が多すぎるため、敵の接近を許してしまった。 たちまち白兵戦が始まった。 第2擲弾兵中隊第3小隊に属するリヘント・ラビクォス1等兵は、ガーランドライフルで迫りくるシホールアンル兵を1人、また1人と 撃ち倒していくが、銃本隊から金属音と共にクリップが飛ぶ。 「弾切れだ!装填する!」 ラビクォス1等兵は、隣の同僚にそう叫びながら、塹壕内に体を引っ込めて銃に弾を装填する。 その間、同僚は敵と撃ち合い、新たに敵兵1人を仕留めていた。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/938
939: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] 「装填完了!」 ラビクォス1等兵は弾を込め終え、姿勢を起こそうとしたが、唐突に同僚が仰け反り、仰向けの姿勢で塹壕内に倒れた。 「お……おい…」 ラビクォスは倒れた戦友に声をかけるが、この時、彼は絶句してしまった。 同僚は頭を撃ち抜かれており、その顔は無表情のまま凍り付いていた。 「クソ!」 ラビクォスは呪詛を吐きつつ、ガーランドライフルを再びシホールアンル兵に向けて撃ち始めた。 シホールアンル兵の一団が突撃を開始し、塹壕との距離を急速に詰めていく。 やや後ろにある30口径機銃が休みなく唸り、シホールアンル兵をばたばたとなぎ倒していくが、全部を仕留めるまでは行かなかった。 1人のシホールアンル兵がラビクォスのいる塹壕に突進してきた。 ラビクォスはその敵を討ち取ろうと、ガーランドライフルを放つ。 1発撃っただけで銃本隊から金属クリップが飛び出した。 「弾切れか!」 姿勢を落として、すぐに弾を補充しようとしたとき、塹壕にシホールアンル兵が飛び込んできた。 体当たりを受けたラビクォスは、倒れ間際に敵兵を引っ掴んで共に地面に倒れ込む。 シホールアンル兵が慌てて離れ、持っていた携行式魔道銃で射殺しようとするが、背後から別の同僚が現れ、スコップで敵兵の頭を叩き割った。 無精髭を生やした敵兵は、殴られた瞬間姿勢をピンと伸ばしたと思いきや、目を上向かせながら仰向けに倒れ、頭から出血しながら息絶える。 「大丈夫か!?」 「あ、ああ!」 同僚の兵士に声をかけられたラビクォスは、震えた声で答えつつ、ライフルに弾を補充した。 誰かが「手榴弾!!」と叫び、走り寄ってくる敵兵の一団に投げ込む。 爆発音と共に、2、3人の敵兵が吹き飛ばされるが、残りは伏せの態勢で破片を回避し、持っていた携行型魔道銃をグレンキア兵に向けて乱射した。 3人のグレンキア兵が撃ち倒される。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/939
940: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] シホールアンル兵は起き上がるや、そのままの勢いで塹壕内に暴れ込んだ。 赤ら顔の髭を生やしたシホールアンル兵が、魔道銃を棍棒替わりに振り回し、グレンキア兵を1人、2人、3人と殴り倒していく。 4人目の腹に銃床を叩き込み、体を折らせる。 「南大陸の蛮族ごときが!」 敵兵は侮蔑の言葉を発しながら、その後頭部を魔道銃で思い切り殴りつけようとするが、その直前に、別のグレンキア兵に側面から頭を 撃ち抜かれ、夥しい血とその他諸々を吹き出しながら戦死した。 キリラルブスが、塹壕で暴れる味方を掩護すべく、同軸銃でグレンキア兵を撃つが、混戦となっているため、シホールアンル兵までもが まき添えを受けてたちまち射殺される。 「馬鹿野郎!味方ごと撃つ奴があるか!この間抜け!!」 指揮を執っていたある軍曹が、下手糞な援護射撃を行うキリラルブスを口汚く罵った。 そのキリラルブスに、グレンキア兵が放ったバズーカ砲のロケット弾が突き刺さり、本体前面部が爆炎と黒煙に覆われた。 「ざまあみろ!」 バズーカ砲を撃ったグレンキア兵は喝采を叫ぶと、相棒に弾込めをするように言い、相棒は慌ただしくロケット弾を詰め込む。 装填が完了すると、相棒は射手のヘルメットを2度叩いた。 装填完了の合図を受けた射手は、新たなキリラルブスに向けてロケット弾を撃ち放つ。 空気の抜けるような発射音が鳴り、発射煙と火薬の匂いが2人の体を包み込む。 ロケット弾はキリラルブスの後ろの右脚部に命中し、行動不能に陥らせた。 「2丁上がり!よし、次を狙うぞ!」 射手は勢いに乗って、3台目を狙おうとするが、ここで別のキリラルブスから砲撃を浴び、2人は体をバラバラにされて即死した。 あるシホールアンル兵3人組は、塹壕に飛び込もうとしたところで、大柄のグレンキア兵と出くわした。 顔の下半分が髭で覆われ、体格はがっしりとしている。 その威圧感を放つ1人の敵兵に、シホールアンル兵3人組はたじろくが、1人が勇敢にも立ち向かった。 携行式魔道銃を至近距離で放ったが、その時には、グレンキア兵は瞬く間に距離を詰めており、銃口を掴んであらぬ方向に向ける。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/940
941: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] 「やめろ!離せ!!」 シホールアンル兵は怯える声でそう叫ぶが、グレンキア兵は持っていたトミーガンで彼を射殺した。 「野郎!」 「八つ裂きにしてしまえ!!」 残った2人が仲間をやられた怒りに駆られ、魔道銃を向けようとするが、グレンキア兵はトミーガンを向け直して2人に発砲した。 2人のうち、1人が体を撃ち抜かれ、悲鳴を上げながら倒れるが、トミーガンは早々に弾切れを起こし、もう1人は撃たれずに済む。 距離が近い事もあり、グレンキア兵はすぐに走り寄って、最後の1人を弾切れになったトミーガンで殴り倒そうとした。 振り上げられたサブマシンガンの打撃を、最後の1人は魔道銃を掲げて受け止めた。 余りにも重い衝撃に、シホールアンル兵は両腕が痺れたが、何とか耐えた。 しかし、安堵する暇もなく、シホールアンル兵はグレンキア兵に膝で腹を蹴られる。 一瞬、息が止まったシホールアンル兵は思わず姿勢を崩した。 それを見逃さなかったグレンキア兵は、持っていたナイフを敵兵の延髄に突き刺し、抉ってから引き抜いた。 グレンキア兵は急いで塹壕に隠れようとしたが、そこにキリラルブスから放たれた砲弾が炸裂する。 グレンキア兵は至近距離から砲弾の爆風と破片をもろに浴び、一瞬のうちに息絶えた。 第3戦車中隊は、塹壕付近にいるキリラルブスに砲弾を撃ち続け、次々と撃破していくが、敵もダックインしたシャーマン戦車に反撃し、 新たに2両の戦車が撃破された。 シホールアンル兵は遮二無二攻撃を続け、ある者は持っていた長剣でグレンキア兵を斬殺する。 またある者は、分隊支援用の重たい魔道銃を担ぎ、グレンキア兵5、6人に光弾の嵐を浴びせて射殺した。 勢いに乗ろうとするシホールアンル兵に対して、グレンキア兵も負けじと踏みとどまり、各所で白兵戦を展開する。 あるグレンキア兵は、弾が切れた所に、襲い掛かってきたシホールアンル兵をナイフで刺殺し、持っていた魔道銃を奪い、それを シホールアンル兵に向けて撃ち放った。 別の所では、互いに馬乗りになって殴り合った末、上乗りになったグレンキア兵が若いシホールアンル兵の首をあらん限りの力を振り絞って圧迫する。 そのシホールアンル兵は女性兵であったが、グレンキア兵はそれに構うことなく、遂には絞め殺した。 戦況は混沌していたが、やがて、シホールアンル側の損害が大きくなり始めた。 戦力が消耗しすぎ、突破が不可能と判断したシホールアンル側の前線指揮官は、すぐさま後退を叫び始めた。 塹壕や陣地手前でやり合っていたシホールアンル兵は、後退命令を聞くや、大慌てで接近した兵員輸送型キリラルブスに乗り組み、残存の キリラルブスの援護の元、前線から離れ始めた。 これに第3戦車中隊が追い討ちをかけたが、敵側の砲兵弾幕が落下し始めたため、追撃は断念せざるを得なかった。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/941
942: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] 午後1時15分 第12装甲擲弾兵師団戦区 ポリースト中佐は、陣地の向こう側から現れ始めたシホールアンル軍部隊を見据えながら、罵声を放っていた。 「あのクソッたれ共!懲りずにまた来やがったか!」 第12装甲擲弾兵師団は、午前8時よりシホールアンル軍の解囲攻勢を2度受けており、2度とも撃退に成功したが、グレンキア軍の損害も少なくない。 ポリースト中佐の指揮する第32装甲擲弾兵連隊は、既に損耗率が33%を超えており、特に第1大隊は通常編成の半数しか戦力が残っていない。 連隊を支えてくれていたシャーマン戦車中隊も、今では6両を残すのみとなっている。 師団全体の損耗率も35%に達しており、このままでは敵の攻勢を受け止められぬ可能性も大いにある。 連隊の将兵は、口にこそは出さないものの、明らかに疲れ切っており、その表情は暗く、興奮と緊張で強張っていた。 連隊がこの攻勢に耐えきれぬ場合、決死の反撃が水泡に帰す可能性もないとは言い切れない。 (そうなったら、俺達は海兵軍団と共に逆包囲され、殲滅される。何としてでも食い止めやるぞ!) ポリースト中佐は覚悟を決め、指揮下の部隊に指示を飛ばしていく。 「各大隊、射撃準備用意!敵が300グレル(600メートル)まで迫ったら撃ちまくれ!」 無線機から指揮下の隊が了解と応じる。 各隊とも損害が大きく、特に第1大隊では大隊長が戦死し、第1中隊長が指揮を継承しているが、士気は旺盛のようだ。 ポリースト中佐は空に目を向けた。 空は相変わらず、鉛色の雲に覆われているように見えるが、心なしか、雲は薄く見え、所々には青空すら見えている。 降りしきる雪も、時折降らなくなりつつあり、天候が徐々に回復しつつあることがわかる。 「とはいえ、航空支援ができる環境とは言いにくい。来たとしても、航空隊が上手くやってくれるかどうか、だな」 ポリーストは期待していないと言わんばかりの口調で呟く。 敵は連隊規模の軍を押し立てて前進中だ。 師団砲兵が敵に対して砲撃を浴びせるが、弾着の数は少ない。 第12装甲擲弾兵師団の砲戦力を担う砲兵連隊は、アメリカ製のM7プリースト自走砲を装備しており、作戦開始当初からよく師団を支えてきた。 しかし、自走砲連隊の損害も大きく、今では連隊の装備車両は半数以下にまで激減していた。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/942
943: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] 「……畜生め!」 ポリーストは、敵部隊を見つめ続けているうちに、その後方に別の連隊規模の敵集団が続いていることに気づき、無意識に罵声を放った。 「2個連隊投入してきやがったか……あいつら、持てるだけの戦力を叩きつけて戦線を突破するつもりだ!」 シホールアンル軍は、第12師団の戦区にあるだけの戦力を動員したようだ。 敵戦力は約2個連隊であり、前方の戦闘集団の背後1マイルほどの所に、別の戦闘集団が後続している。 戦闘用キリラルブスの数は40台程と、思いのほか少ない。 度重なる戦闘で払底し、残っていた予備を合わせているのだろう。 そして、その背後を行く兵員輸送型キリラルブスはかなり多く、先の戦闘の損害なぞ知らぬとばかりに、雪原を驀進し続けている。 師団砲兵は尚も阻止砲火を浴びせ続けるが、敵の勢いは止まらない。 敵の砲兵は、グレンキア軍砲兵隊との撃ち合いで壊滅したらしく、グレンキア軍陣地に野砲弾が降り注ぐ事はなかった。 第32装甲擲弾兵連隊の将兵は、陣地内の塹壕や、付近に擱座したキリラルブスの残骸の裏に隠れて、射撃開始の時をじっと待つ。 「こちら第3戦車中隊、いつでも行けますぜ!」 保有戦車が16両から6両にまで激減した戦車中隊の指揮官であるカイム大尉が、依然、やる気のある口調で無線機越しに報告してくる。 「こんな地獄に巻き込んですまんな」 「なーに、硝煙と血の匂いの混じった空間には慣れっこです。それに……地獄にも終わりはあります。前向きに行きましょうぜ」 カイム大尉は、相変わらず陽気な口ぶりでポリーストに返答した。 擲弾兵連隊の戦区内には、敵味方の死体が散乱し、そこから流れ出た血が、雪を赤く染め上げている。 方々には吹き飛んだ手足や臓物等が散乱し、擱座したキリラルブスの中には、まだ黒煙を上げて燃えている物もあり、そこから流れ出る 悪臭は吐き気を催すほどだ。 しかし、部下達は、戦場の凄惨な様相に顔を顰めつつも、それに耐えながら敵を待ち構えていた。 (どいつもこいつも感覚が麻痺してやがる。本当は、人間はこの地獄に慣れちゃいかんのだろうが……そうでもなければ、戦争なぞ できもしない……か) 彼は、鼻の奥をつく悪臭に顔を歪めつつも、迫りくる敵部隊を睨みつけた。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/943
944: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] 「友軍であるアメリカ軍も、北側から敵の攻勢を弾き続けていると聞く。異界から来た戦友達も頑張っているんだ……例え死んでも、 貴様らは絶対に通さん!」 ポリーストは、時折入る報告を思い出しながら、覚悟を決める。 アメリカ海兵軍団の戦区にも、シホールアンル軍はありったけの部隊を動員して猛攻を仕掛けているという。 アメリカ海兵隊2個師団と、包囲網から救出されたアメリカ軍部隊は損害を出しつつも、これを撃退し続けているようだ。 先の戦闘では、ポリースト中佐の指揮車両も戦闘に加入し、彼自身が車載機銃を乱射して敵の進撃を阻んでいる。 防戦に次ぐ防戦で、ボロボロになった擲弾兵連隊がどこまでやれるかは分からないが、異界の戦友の為にも、自らの命を差し出す覚悟はできていた。 「敵戦闘集団、400グレルまで接近!」 「さて、もうすぐで狩りの時間だ」 ポリーストは据わった眼付きで前方を睨みつつ、マイクのスイッチを入れようとした。 「……こちらは海兵隊航空隊の航空支援部隊だ。このあたりの指揮官は居るか!」 その声が響いたとき、最初はそれが幻聴であると、ポリーストは確信していた。 アメリカ第1海兵航空団所属のVMF-214に属している48機のF4Uコルセアは、航空基地から緊急発進して、約1時間半後に現地に到達した。 「こちらは海兵隊航空隊、航空支援部隊だ。地上部隊の指揮官、聞こえているか!?」 VMF-214指揮官であるグレゴリー・ボイントン中佐は、半ば荒々しい口調で地上部隊に呼びかけたが、返事が無い。 「もう1度繰り返す!航空支援に来た!聞こえているのなら返事を請う!!」 ボイントン中佐は声をやや張り上げて、地上部隊に応答を促す。 「すまない、返事が遅れてしまった!」 「おう、やっと返事をくれたか」 相手側は慌てて応答し、ボイントンは少しばかり安堵した。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/944
945: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] 「私はグレンキア軍第12装甲擲弾兵師団、第32装甲擲弾兵連隊を指揮するウェロース・ポリースト中佐だ」 「OK。俺は海兵隊航空隊のボイントン中佐だ。ポリースト中佐、今から航空支援を行うから、目標を指定してくれ」 「了解!」 地上部隊の指揮官との会話が一旦途切れた。 グレゴリー・ボイントン中佐は1934年の海兵隊入隊時から、長らく海兵隊航空隊の戦闘機パイロットを務めてきたベテランパイロットである。 太平洋戦線に参加し始めたのは1943年1月下旬からであり、この戦争で長らく指揮官を務めるVMF-214と、当時は母艦航空隊への採用を 一時見送られ、落ちこぼれとなったF4Uコルセアと巡り合えたのもこの時からだ。 海兵隊現役パイロットの中でも最古参の戦闘機パイロットである彼は、部下達から「親父」というあだ名を頂戴している。 そして、その「親父」は、着任当初は未熟であったVMF-214のパイロットをめきめきと鍛え上げ、2月下旬にカレアント領上空で行われた 空戦で敵ワイバーン2騎を撃墜してから、彼と、「ブラックシープ」の活躍は始まった。 以降、ボイントン中佐とVMF-214「ブラックシープ」の面々は、戦線が北上するにしたがって所属する第1海兵航空団と共に転戦を続け、 45年11月にはヒーレリ領の新造された飛行場に配備されている。 この間、ボイントンは、45年1月にレーミア湾上空で撃墜された際、治療のために一時本国に帰国した期間を除けば、ほぼ前線で活躍しており、 撃墜スコアは41機と、海兵隊パイロットの中ではトップとなっている。 この日、飛行場で待機を続けていたVMF-214は、午後11時頃になって飛行場上空の天候が回復するや、同僚部隊であるVMF-222と共に、 敵と戦闘中の第5水陸両用軍団とグレンキア軍装甲軍団の航空支援に飛び立った。 VMF-214所属の各機は、第12装甲擲弾兵師団の後方から編隊を組んで飛行している。 鉛色の雲の下に見える逆ガル翼の機影を見た装甲擲弾兵は、誰もが歓声を上げた。 「おい!あれを見ろ!友軍機だ!」 「あの機体の形からして、アメリカ海兵隊のコルセアか」 「海兵隊……つまりカクタス航空隊の連中か!」 「いいタイミングで来てくれた……カクタスの連中が来たのなら、俺達はまだ生き残れそうだ!」 部下達は互いにはしゃぎ合ったり、顔を見合わせて上空を飛行するコルセア隊の事を話している中、迫撃砲が目印となる発煙弾をキリラルブスの 前に撃ち込んだ。 「こちらはポリースト中佐だ。今、黄色の発煙弾を焚いた。敵はそこから500メートルほど前方まで迫っている。急いでやってくれ!」 「OK!ありったけのブツを叩き込んでやるぜ」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/945
946: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] ボイントン中佐はそう返事するや、部下達に指示を飛ばしていく。 敵部隊は、第12装甲擲弾兵師団の戦区に広がるような形で展開している。このうち、ポリースト中佐の率いる第32装甲擲弾兵連隊の戦区には かなりの数の敵が迫っており、敵部隊が第32連隊を集中して叩いている事がよく分かる。 第12師団に所属している第35、第36装甲擲弾兵連隊の戦区にも敵は迫っていたが、数はせいぜい1個連隊程度かそれ以下でしかない。 その敵部隊は、主力部隊の攻撃をしやすくするための助攻役を担っているのだろう。 「敵はこの下の戦区に向けて兵力を集中している。全中隊は、目の前のシホット共を集中攻撃!シホット共のケツを吹き飛ばせ!」 「「了解!」」 レシーバー越しに威勢の良い返事が響く。 “親父”の命令を聞いた部下達は、これまでの鬱憤を晴らすために派手に暴れるつもりのようだ。 ボイントンは、直率する第1中隊を率いながら、暖降下しつつ、敵キリラルブスに向かった。 グロスシーブルー色に彩られたコルセアが、エンジンを全開にして突っ込んでいく。 速度計は600キロ近くにまで上がり、目標に定めたキリラルブスの姿が徐々に大きくなる。 距離700メートル程にまで迫った所で、ボイントンは両翼の12.7ミリ機銃を放った。 6丁の機銃が唸り、曳光弾混じりの鉄のシャワーがキリラルブスに注がれる。 300メートルまで迫ると、ボイントンは胴体に積んであった500ポンド爆弾を投下した。 猛速でキリラルブスの上空をフライパスすると、後方から爆風が吹き込み、機体が揺れる感触が伝わった。 敵前進部隊の随伴していた対空部隊が迎撃を始めたのか、高射砲の物と思しき爆煙や魔道銃の光弾が打ち上げられるのが見えた。 「今更対空射撃を始めても遅いぜ、シホット!」 ボイントンは無表情のまま、敵の対応の遅さを指摘しつつ、機を旋回させて地上の様子を見つめる。 黄色のスモークから500メートル程に迫っていたキリラルブスのうち、5、6台が既に炎上するか、至近弾を浴びて横転している。 そこに第2中隊のコルセアが容赦なく襲い掛かり、いまだ健在なキリラルブスが銃爆撃を浴びてのたうち回る。 敵の前進は完全に停止しており、後続の部隊に至っては慌てて引き返し始めている。 「ようし!次はロケット弾をぶち込んでやるぞ。野郎共、付いて来い!」 ボイントンは新たに、後退しようとしている1個中隊規模のキリラルブスを見つけるや、そこに機首を向けた。 一時、高度2000まで上がっていた機体は、再び下降し始める。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/946
947: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] ボイントン隊が戦場に到着してから15分ほどで、シホールアンル軍前進部隊は隊列が乱れ、バラバラの状態で後退し始めていた。 後続の1個連隊も、前進部隊の惨状を見て後退し始めたが、そこにもVMF-214のコルセア隊が殴りかかっている。 地上から、ブラックシープの暴れっぷりをじっと見つめていたポリーストは、敵の余りの惨状ぶりに喜ぶどころか、同情の念すら抱き始めていた。 「ここまで一方的になるとはな……アメリカ軍が敵でなくて良かったと思うばかりだ」 彼は、口を震わせながらそう独語する。 視線を陣地の近くに向ける。 つい先ほどまでは、師団砲兵の阻止砲火も無視しながら、着実に前進していたキリラルブスが、コルセアの銃爆撃を受けて多くが、その残骸を晒している。 残骸の周囲には、兵員の死体も散らばっており、ろくに攻撃が出来ぬ上に、空から一方的に叩かれた敵の無念さを如実に表している。 視線を遠くに向けると、これまた多数の兵員輸送型キリラルブスが擱座しており、炎上して煙を上げている物も少なくない。 制空権を失った軍隊の悲惨さを表す光景が、ポリーストの目の前で広がっていた。 そのまま5分ほどが過ぎた時、無線機にボイントン中佐の声が響いた。 「こちら航空支援部隊、弾薬を使い果たしたのでこれより帰投する」 「ポリースト中佐だ。貴方達のお陰で助かった。連隊の指揮官として礼を言う」 ポリーストは心の底から、ボイントンに感謝していた。 「カクタス(海兵隊航空隊の別称)の支援が無ければ、今頃は酷い目に遭っていただろう」 「礼には及ばんさ。俺達はやるべき事をやったまでだ。それに、充分に敵を叩けたわけではないからな」 ボイントンは謙遜気味にポリーストに返答する。 「ひとまず、俺たちの仕事はこれで終わりだ。この後、同じ航空団の支援部隊がそこに向かうだろうから、目標への誘導をお願いしたい」 「無論だ。誘導は任せてくれ」 ポリーストは、口調に危機を脱した喜びを交えながらそう返答した。 「それでは、君らの幸運を祈る」 コルセア隊指揮官との会話はそこで終わり、VMF-214の各機は、来た時と同じように編隊を組みながら上空を飛び去って行く。 陣地を守る装甲擲弾兵や、戦車中隊の乗員が手を振って見送る。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/947
948: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] それを見たのか、上空を行くF4Uの中には幾度かバンクしながら飛び去ったり、顔が見えるほどの超低空で部隊の上を通過し、パイロットが ガッツポーズをする姿も見受けられた。 48機のコルセアが、潮が引くように去ってからさほど間を置かぬうちに、無線機に新たな連絡が入った。 「こちら第1海兵航空団VMB-117のハリントン少佐だ。地上部隊の指揮官、聞こえるか?」 「……こちら第12装甲擲弾兵師団、第32装甲擲弾兵連隊のポリースト中佐だ。航空支援に来てくれたのか?」 「ああ、そうだ。今、そちらの陣地から高度3000付近の上空に居る。恐らく、陣地の前で逃走している地上部隊が居るようだが、それが敵か?」 「ああ、そうだ」 ポリースト中佐は会話を交わしつつ、上空に顔を向けた。 空は先ほどよりも晴れ渡っており、鉛色の雲は少なく、青空が多くなっている。 その雲の近くに、一群の航空機が飛行しているのが見える。 どうやら、その航空機の一群が、新しい航空支援部隊のようだ。 「念のため、新しいスモークを焚く。色は黄色だ」 「了解。すぐにやってくれ」 ポリーストは要請に応じ、新しいスモークを焚かせた。 「こちらポリースト中佐。今煙を焚いた。そちらから見えるか?」 「……OK、視認した」 「目標は煙から南に居る。今も必死で後退しているから、思う存分叩いてくれ」 「了解!少し早いが、連中にクリスマスプレゼントを与えてやろう。誘導感謝する!」 新しい航空支援部隊の指揮官は、そこで会話を終え、しばらくは上空に爆音が響くだけとなった。 会話を終えてから2分ほどたつと、唐突に、上空に甲高い轟音が鳴り始めた。 「おいおい……何だこの音は?」 「偉く不吉そうな音ですね。神話に出てくる巨鳥の叫び声か何かですか?」 共に、この不思議な音を聞いていた部下が怪訝な表情を浮かべながら言う。 「さあな。お、あそこを見てみろ」 ポリーストは、後退している敵部隊の上空を指差した。 雲の間から、何機もの航空機が機首を下にして急降下しつつある。 ポリーストは今まで知らなかったが、その航空機は、アメリカ海軍の空母機動部隊も有しているSB2Cヘルダイバーであり、 VMB-117は、保有する52機全てを投入して、シホールアンル軍部隊に向けて急降下爆撃を敢行していたのであった。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/948
949: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] 12月12日 午後8時 第1親衛石甲軍司令部 シホールアンル軍第1親衛石甲軍の指揮官であるルイクス・エルファルフ大将は、司令部天幕の中で、机に広げた地図を見据えながら 状況報告を聞いていた。 「閣下……我が第1親衛石甲軍は今日一日の空襲により、かなりの損害を受けました。解囲攻勢に出ていた第3親衛軍団の損害は特に深刻で、 第5、第6親衛石甲師団共に、稼働するキリラルブスは僅か。兵員の損耗も限界を超えております」 参謀長のウリィンキ・ヴェフル少将は、平静さを装っていたが、その口調は震えているようにも思える。 「第20石甲軍の第56軍団も同様であり、解囲攻勢の失敗は明らかとなりました」 「……分断された第20石甲軍との連絡も確保できず、挙句の果てに、包囲網からの突破も失敗……か」 エルファルフ大将は、柔和な顔つきに影を落としながら、地図の一点を指差した。 「クロートンカを奪われ、退路を断たれなければ、我が軍は後退して態勢を立て直せたはずなのだが」 「第76軍が敵に蹴散らされていなければ、このような事にはならなかったのです!それなのに……」 ヴェフル参謀長は顔を赤くしながら喚いた。 更に罵声を放とうとする参謀長を、エルファルフが止める。 「やめないか、参謀長」 「し、しかし……」 「やめろ、と言っているんだ」 彼に睨みつけられたヴェフル参謀長は、複雑な表情を浮かべつつも、頭を下げながら口を閉じた。 「軍集団司令部からは、新たな指示は入っておりません」 魔道参謀のクローヴァス・エスフォレウヲ大佐がエルファルフに伝える。 「新たな指示が入ったとしても、答えは2つに1つ」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/949
950: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] エルファルフは、冷めたい口調で参謀たちに言う。 「戦って死ぬか……敵に降伏するか……だな」 「ライバスツ閣下はどのように判断されますかな」 エスフォレウヲ大佐の問いに、エルファルフは首を振って答える。 「俺にもわからんが……どちらにせよ、命令に従うまでさ」 「現時点で、我が軍集団は各軍共に、損耗が大きすぎます。敵が航空支援を受けられる状態となった今、包囲網の突破も不可能となっています」 この日、第1親衛石甲軍を始めとする第34軍集団の各軍は、天候が回復し始めた正午頃から、連合国軍航空部隊の猛烈な空襲を受けた。 最初に空襲を受けたのは、解囲攻勢を行っていた第3親衛軍団と第49軍団で、アメリカ海兵隊航空部隊の空襲を皮切りに、実に8波、 2000機もの航空機が各軍に襲い掛かった。 これにより、損害を積み重ねつつも、曲がりなりにも余力を残していた第34軍集団は、この一連の大空襲によって予備の石甲戦力、 並びに歩兵戦力に大打撃を被り、包囲網突破を図っていた第3親衛軍団、第49軍団は攻勢に必要な戦力を瞬く間に消失し、米第15、第29軍の 猛攻を受け、包囲されていた第20石甲軍も同様に防衛戦力を粉砕され、全滅か、降伏かの瀬戸際に追い込まれていた。 シホールアンル軍の航空部隊は、敵の大空襲をただ黙って見過ごしていた訳ではなく、ありったけのワイバーン部隊やケルフェラクを動員して 果敢な迎撃戦闘を行ったが、圧倒的な敵空軍部隊の前には衆寡敵せず、逆に270騎のワイバーン、ケルフェラクを失う有様であった。 第34軍集団司令官であるムラウク・ライバスツ大将は、移動司令部で逐一戦況報告を聞き、各軍に対して防戦に徹せよ、という命令を発した 以降は、何ら命令を出していない。 「ライバスツ閣下にご決断して頂きたいところですが」 「それは私も同感だが……4個軍中3個軍、総計30万名以上が包囲され、脱出不可となってしまった現状……ライバスツ閣下も相当応えていそうだ」 それも、軍の最精鋭とも言える部隊丸ごとだからな。 エルファルフは心中で、その一文を付け加える。 この時、一際大きな爆発音が外で鳴り響いた。 第1親衛石甲軍は、米第15軍の部隊と今も戦火を交えているため、外から聞こえる砲声や爆発音は時間が経つにつれて、徐々に近づきつつある。 各隊とも、不利なこの状況でよく戦っているが、その頑張りも、そう長くは持たない。 何かしらの事情があるにせよ、一刻でも早い決断を下してほしい。 エルファルフは常に、その思いで胸がいっぱいであった。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/950
951: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] 「司令官、軍集団司令部より魔法通信が入りました」 「内容は?」 「は……少々お待ちを」 エスフォレウヲ大佐は、部下の通信員が魔法通信を受信し、その内容を書き記すのを待つが、途中で、通信員の筆が止まった。 その魔導士は一瞬、目を大きく見開いたが、気を取り直して内容を書き記していく。 どういう訳か、その魔導士は目に涙を浮かべていた。 通信員は目を赤く腫らしたまま、紙をエスフォレウヲ大佐に渡す。 「閣下。軍集団司令部より命令です…………」 「どうした?内容を読んでくれ」 「………第76軍を除く第34軍集団所属の各軍は、直ちに連合軍との交戦を取りやめ、降伏するべし。全責任は、本職が取る…… 第34軍集団司令官 ムラウク・ライバスツ大将」 「そうか……」 エルファルフは、何故か安堵していた。 「閣下!徹底抗戦です!」 ヴェフル参謀長が唐突に叫び始めた。 「我が軍は確かに大損害を受けました。ですが、武器も兵員も丸ごと全滅したわけではありません。ここは、最後の一兵まで戦い、 1日でも長く敵軍を拘束し……1人でも多くの敵兵を倒すべきです!」 ヴェフルは机の上の地図を右手で叩いた。 「敵は帝国本土まで、指呼の間ともいえる距離まで近づいています。その敵の進軍を1日でも遅らせ、例え本土への侵入を許そうにも、 幾らかでも時間を稼ぐべきです!」 「いや……参謀長」 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/951
952: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] エルファルフは、彼の言葉を心底残念そうな心境で聞き、そして、彼の言葉を否定した。 「君の認識は間違っているな」 「な……何故です!?」 「君は忘れたのか?首都ウェルバンルが、その敵に侵入を許してしまったことを」 「あ……あ……ぁ」 「帝国東海岸の制海権は、アメリカ海軍に奪われた。例え、君の言うとおりにここで敵を拘束しても……アメリカ軍はそれを尻目に、 首都の近くに上陸作戦を行う事もできる」 エルファルフは、俯きがちだった顔を上げ、ヴェフル参謀長を真っ直ぐ見据えた。 「包囲までされた上に、戦力の多くを消耗した我々には、敵を拘束する事すらできん。徹底抗戦などは無意味だよ」 「閣下………閣下………私は……ぐっ!」 参謀長は両手の拳を力の限り握り、やがて、机に前のめりに覆い被さって号泣し始めた。 12月12日 午後8時30分 シホールアンル軍第34軍集団に属する3個軍は、軍集団命令に従い、連合国軍に対して降伏を申し入れた。 第1親衛石甲軍の一部の部隊は、命令に服従せず、そのまま森林地帯に逃走してゲリラ化したが、大半の部隊は命令に従い、連合軍へ降伏した。 こうして、シホールアンル軍の起死回生の大反撃作戦は失敗に終わり、最精鋭の機動集団は包囲殲滅された。 その5日後、東方より進撃していたパットン第3軍は、帝国本土領に侵攻。 西方より進撃中であった米第6軍と合流し、シホールアンル南部と本土領への繋ぎ目を抑えた。 ここにして、帝国本土南部領に駐留するシホールアンル軍は11個軍、150万の将兵を連合軍によって包囲されたのであった。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/952
953: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] カイトロスク攻防戦両軍死傷者 シホールアンル軍(第34軍集団) 戦死者51820人、捕虜・負傷者259087人 アメリカ軍(第2軍集団・戦略予備軍並びに別動隊) 戦死者21822人、負傷者49433人、捕虜48227人 グレンキア軍(第19装甲軍団) 戦死者6790人、負傷者21834人 ミスリアル軍(第4軍団) 戦死者5877人、負傷者19827人 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/953
954: ヨークタウン ◆.EC28/54Ag [sage] SS投下終了です http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/954
955: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 乙です、 あれ・・シホールアンル側は首都とシギアル港が大被害を受けたってのを知らないのか? なおかつシギアル港は港が軍港含めて壊滅的被害で海軍はほぼ全滅に等しいってのを知ってれば反抗作戦はすぐ諦めて降伏しただろうに http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/955
956: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 久々の地上戦投下乙でした。 もう一度前の話を読み直さないと忘れていた名前や設定などが色々… http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/956
957: 名無し三等陸士@F世界 [sage] 更新お疲れ様です。 ・・・これでもはやまともな一線級部隊は消えてしまったかな…。 精鋭部隊も消え、頼みの決戦兵器も消え、安全な後方地帯も消え…。 今まで武器の質や数ともに劣りながらも頑強に粘っていた帝国陸軍ですが、それもとうとうなくなってしまったんですね。 もはや前線指揮官、本部司令部要員、帝都住民でさえ敗戦のときが近いことを感じましたが、皇帝はどこまで頑張れるのだろうか。 もしかしてこれが帝国初めての敗戦になるのかな…。 ともかく次回をキッチンとトイレに爆弾積めながら期待してます! http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/movie/4152/1380813462/957
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