アメリカ軍がファンタジー世界に召喚されますたNo.14 (1000レス)
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41: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:23 ID:0WgIVZhA0(32/97) AAS
おはようございます。これよりSSを投下いたします。
>>37氏 その辺は本当にいたちごっこになっています。
ただ、防御力の高い魔法障壁を用いてもワイバーン隊の消耗率は酷い事になっていますから、
どの道、ワイバーン隊は苦戦しまくりですね……
>>38氏 ルメイさん辺りが何度か提案していますね。
今の所、ランフック大空襲のような、意図的な無差別爆撃は極力行わないようにしています。
ただ、アメリカさんの忍耐もそろそろ限界ですから、いずれは……
>>39氏 この世界なら縮小版のクラウドメーカーがありますから、それを使いそうですね。
また、大型爆弾での水平爆撃は、既に先のシホールアンル本土侵攻の前哨戦で実績がありますから
やれない事は無いでしょう。
省1
42: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:25 ID:0WgIVZhA0(33/97) AAS
第268話 燃ゆる大洋(前編)
1485年(1945年)12月7日 午前8時 レビリンイクル沖北北東250マイル地点
第5艦隊旗艦ミズーリの作戦室では、前日に引き続き、第5艦隊司令長官フランク・フレッチャー大将を始めとする司令部幕僚達が集まり、
机に広げられた地図を見ながら協議を行っていた。
「索敵線ですが、敵機動部隊の大元の位置が判明しておりますので、幾分範囲を狭めております。」
航空参謀のエルンスト・ヴォーリス中佐は、海図上のある範囲を指示棒の先で撫で回しながら、フレッチャーに説明する。
省16
43: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:26 ID:0WgIVZhA0(34/97) AAS
現在、脱落機のパイロットは、レビリンイクル沖北北東付近の散開線に布陣した、潜水艦アイレックスを始めとする10隻の潜水艦が救助活動を実施中である。
10隻中5隻はアイレックス級潜水艦であり、状況によっては、水上機を発艦させて捜索を行う事も考えられていた。
とはいえ、敵機動部隊との距離があと100マイルほど近ければ、脱落機の大半は無事、母艦に戻る事が出来たであろう。
「長官。本日発艦予定の第1次攻撃隊は、TG58.1、TG58.2、第2次攻撃隊はTG58.1、TG58.3の艦載機を主力にしております。
数は第1次攻撃隊が204機、第2次攻撃隊が340機となっております。」
「第2次攻撃隊の発艦は1次攻撃隊の何分後を予定している?」
「30分後を予定しております。」
フレッチャーの質問に答えつつ、ヴォーリス中佐は海図上の敵の駒に指示棒の先を当てた。
「第1次攻撃隊は、敵機動部隊上空に張り付く敵迎撃機の減殺と対空火力の排除を中心に行わせます。竜母や戦艦といった主力艦は狙いません。」
「レーミア沖海戦時の戦法をここでも使う訳だな。」
省13
44: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:27 ID:0WgIVZhA0(35/97) AAS
「攻撃隊の各機は、敵艦隊攻撃の際に必ずと言って良いほど、敵の対空砲火で損傷します。これまでの戦闘で明らかになった事ですが、損失数の30%以上は被弾によって
生じた燃料流出による燃料切れ。そして、そこから起こる洋上への不時着が原因です。また、厳冬期の航空作戦は、被弾機から脱出したパイロットの体力を短時間で奪って
しまいます。損傷機並びに、パイロットの生存率を上げる為には、出来る限り距離を詰めたい所です。」
「私も作戦参謀の言う通りだと思う。レーミア沖海戦でも、被弾機のパイロットが極低温の海水に長時間浸かった為に、救助が駆け付ける前に息絶えた者が少なく無かった
とも聞いている。だが……敵さんがどの辺りにいるかまでは我々が決める事は出来ん。状況次第では、最大進出距離ギリギリの所に敵機動部隊が居たとしても、攻撃を強行
しなければならん。母艦航空隊のパイロット達には酷な話だが……」
「昨日の夜間攻撃がそうでしたな。とは言え、やらねばならないでしょう。」
「そうだな。」
ブランチャード中佐に対し、フレッチャーは頷きながら返す。
「長官。少しばかり提案があるのですが、宜しいでしょうか?」
省13
45: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:28 ID:0WgIVZhA0(36/97) AAS
「……しかし、レビリンイクル列島の敵飛行隊は、昨日来襲して来た飛行隊だけではないかもしれない。敵信班は魔法通信傍受器を使って敵情の分析に当たっているようだが、
シホールアンル側は以前と違って、重要な情報には暗号らしき物を使って交信しているため、以前のように敵から情報を得る事は出来なくなったと聞いている。昨年の
第一次レビリンイクル沖海戦でも、敵航空戦力の数を見誤った事でTF37が壊滅的打撃を受けているではないか。長官……」
デイビス少将はフレッチャーに顔を向ける。
「航空参謀と作戦参謀は反対しておりますが、私としてはやはり、レビリンイクルの敵飛行場は叩くべきかと。もし、艦載機発艦準備中にレビリンイクル方面から来襲されれば、
目も当てられません。確かに、我が艦隊には早期警戒機も配備され、絶えず警戒しておりますが、これも完全とは言えません。いつ、どこかで隙は生じます。そこを、敵に上手く
衝かれたら、機動部隊に被害が及ぶことも考えられます。」
「……ふむ。」
「一部の空母群をレビリンイクル攻撃に差し向け、あとは敵機動部隊への攻撃に集中する事で対応は可能です。私としては、TG58.5にレビリンイクル攻撃を行わせ、
TG58.4も含めた4個任務群で敵機動部隊を攻撃すれば対応できると考えますが……長官。」
省12
46: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:29 ID:0WgIVZhA0(37/97) AAS
それに対して、フレッチャーは首を横に振った。
「いや、空母群は差し向けない。レビリンイクル?そんな物は知らんさ。」
フレッチャーは、置いてあった指示棒を掴み、先を敵機動部隊の方向へ向けた。
「TF58は、戦闘可能な空母群を全て、敵機動部隊攻撃に投入する。昨日の攻撃で削ったとはいえ、第1時、第2次攻撃を終えても、敵には多数の竜母と
航空戦力が残るだろう。そうなれば、必然と追い討ちをかける必要がある。私としては、本日の夕方までに敵の竜母を10隻ほど撃沈破させたい。特に、
敵機動部隊の主力である正規竜母は全て撃沈するか、戦闘不能にして後退させる必要がある。そのためには、1機でも多くの攻撃機が必要になるだろう。」
「ですが司令官。レビリンイクル列島の航空基地には、昨日来襲して来た部隊とは別の部隊が配置されている可能性もあります。昨日の生き残りと共に
TF58へ攻撃隊を差し向ける可能性も考えなければ。」
「確かにそうかもしれん。だがな、参謀長……レビリンイクルの敵飛行隊がこちらが襲ってくることを見越して、迎撃機だらけの編成で待ち構えている事も
考えられんか?」
省13
47: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:30 ID:0WgIVZhA0(38/97) AAS
「となりますと、第3次攻撃隊は250〜300機前後の数で構成される事になりますな。」
ヴォーリスが頭の中で2個空母群の残存空母と搭載航空団の構成を思い出しながら、フレッチャーに言う。
「第2次攻撃隊がどれだけ敵の竜母を削れるか……上手く行けばよいが。」
フレッチャーは、心中で不安を感じながらそう呟いた。
そこに、通信士官が作戦室に入室して来た。
通信士官は、通信参謀のエイル・フリッカート中佐に一声かけてから、携えていた紙を手渡した。
「長官。TF58司令部より緊急信です。」
「読め。」
「ハッ!緊急、TG58.2所属のピケット艦が敵偵察騎をレーダーで探知せり。位置は艦隊の北北東130マイル、方位12度。飛行高度は約4000。
現在、哨戒中のCAPが敵騎と交戦を行っているようです。」
省11
48: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:30 ID:0WgIVZhA0(39/97) AAS
「ハッ!」
「偵察機が何も見つけられずに折り返し地点に到達し場合。TF58は全力で防衛に当たってもらう。その際、攻撃隊の艦爆、艦攻からは爆弾、魚雷を
速やかに取り外すと同時に、動員可能な戦闘機全てを上げ、敵編隊来襲に備えさせよう。」
午前8時20分 レビリンイクル沖北北東610マイル地点
第4機動艦隊司令官ワルジ・ムク大将は、旗艦であるホロウレイグの艦橋内で、険しい表情を浮かべながら幕僚達と協議を重ねていた。
「偵察機の情報から推測するとなると、敵機動部隊は撃墜されたと思しき位置から30〜40ゼルドに居るのは確かだろう。だが、その位置が南方よりなのか、
それとも東よりなのか……果ては西よりなのかはまだはっきりしていない。位置が正確にわからない以上は、無理に攻撃隊を発艦させるべきではない。急行している
偵察騎からの情報を待ってからでも遅くは無いだろう。」
ムク大将は、攻撃隊発進を促す幕僚達に対して慎重論を唱えた。
省15
49: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:31 ID:0WgIVZhA0(40/97) AAS
「司令官!第3群司令部より意見具申!直ちに攻撃隊発艦の要ありと認む。以上です。」
「……まさか、エルファルフが急かして来るとはな。」
ムク大将は、意外そうな口調でそう呟いた。
第4機動艦隊第3群は、竜母クリヴェライカに司令部を置いており、指揮官であるクリンレ・エルファルフ少将は物静かな青年提督として知られている。
だが、そのエルファルフ少将が攻撃隊の発艦を促すとは全く予想しておらず、誰もが意外に思っていた。
「ですが、エルファルフ提督の気持ちも理解できます。大まかとは言え、位置はほぼ特定しておるのです。あとは、周辺海域に急行中の索敵騎の情報を待ちながら攻撃隊を
発艦させても良いでしょう。」
「ううむ………」
ウークレシュ少将の言葉がムク大将の耳に入るが、ムクは尚も悩んでいた。
「司令官。決断して頂きます。」
省9
50: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:32 ID:0WgIVZhA0(41/97) AAS
「遂にか。」
やや興奮気味なフリッカート中佐とは対照的に、フレッチャーは平静な表情のまま報告を受ける。
「敵は我が艦隊より北北西約370マイル付近を時速28ノットの速度で南下しているとの事です。それから、敵機動部隊からは、ワイバーンが
大挙発艦中との事です。」
「先ほどの偵察騎撃墜の報告に反応したようですな。」
デイビス少将がポツリと言う。
「となると、こちらの正確な位置は掴んでいない可能性があるな。とは言え、我が艦隊には別の敵偵察騎が接近しつつあるだろう。こちらの位置が
敵に掴まれるのも時間の問題だな。航空参謀!」
「ハッ!」
省13
51: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:33 ID:0WgIVZhA0(42/97) AAS
艦長の号令が下るや、艦橋上の赤いランプが青に切り替わった。
甲板要員が顔の前に掲げていたフラッグを大きく振りかぶった後、各母艦の1番機が轟音を発しながら滑走していった。
第1次攻撃隊204機の発艦作業は、午前9時に終了した。
その後、大急ぎで第2次攻撃隊340機の発艦準備が始まり、各母艦の兵器員や整備員、甲板要員達は、体の疲労感を感じさせぬ動きで作業を進めていった。
午前10時15分 レビリンイクル沖北北東300マイル地点
アメリカ、シホールアンル軍双方が攻撃隊を飛ばしてからほぼ2時間後。
最初に攻撃位置に付いたのは、シホールアンル側であった。
シホールアンル陸軍第45戦闘飛行団の指揮官を務めるフェンクル・クレゴート少佐は、眼前に広がる多数の機影を前にして身震いした。
「なんて数だ……あんな大群に襲われて、果たして無事に敵艦隊へ辿り着けるのか……」
省12
52: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:33 ID:0WgIVZhA0(43/97) AAS
その第4機動艦隊側の指揮官騎から、先ほど、敵戦闘機の触接を受けるという報告が入っていた。
今頃は、ワイバーン隊の眼前にも多数の米戦闘機が迫りつつあるのであろう。
とはいえ、眼前の敵機の数は、少なめに見積もっても150機以上は居る。
対して、第45戦闘飛行団はケルフェラク56機。ワイバーン隊は出撃騎102騎のうち、戦闘ワイバーンは64騎のみ。
計108機で、第54攻撃飛行団のケルフェラク54機、第411空中騎士隊の攻撃ワイバーン48騎を守り抜かればならなかった。
「指揮官騎より各騎へ。敵迎撃機が接近!ケルフェラク隊、戦闘ワイバーン隊は一部の護衛を残し、敵の迎撃部隊を殲滅せよ!」
攻撃隊指揮官を務める第411空中騎士隊の指揮官が命令を伝えて来た。
クレゴート少佐は、コクピットの右側にある四角の箱に向けて了解と返しながら、頭の中でどの隊を敵編隊にあてるか、瞬時に考えていく。
「……こちら指揮官機。各機に告ぐ。聞いての通りだ。これより、敵さんを迎え撃つ。第1、第2中隊は編隊より離れ、敵に向かう。第3中隊は攻撃隊の護衛に当たれ。
本部小隊は俺と共に敵機狩りだ!」
省14
53: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:34 ID:0WgIVZhA0(44/97) AAS
クレゴート少佐は、ある敵戦闘機に狙いを付ける。
(あの小柄な形……あれが、噂のベアキャットと言う奴か。)
彼は、眼前の敵戦闘機の形を見るなり、心中でそう思った。
クレゴート少佐は、今では貴重種と揶揄されているケルフェラク隊初陣時から前線に居る古強者であり、過去に幾度か、アメリカ海軍の戦闘機ともやりあっている。
これまでの経験上、ヘルキャットやコルセアは無骨さを感じさせる姿をしていた。
だが、目の前の敵戦闘機は、ヘルキャットやコルセアと違って、機体が小さく、動きが良さそうな感じがした。
(今日初めて戦う事になるが……貴様の力、見せて貰うぞ!)
クレゴート少佐は敵戦闘機に心中で語り掛けながら、距離200グレルに迫った所で魔道銃の発射ボタンを押した。
ケルフェラクの主翼に搭載された4丁の魔道銃が光弾を吐き出す。
敵機を包み込むようにして吐き出された光弾の一部は、過たず敵新型戦闘機に突き刺さった。
省17
54: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:34 ID:0WgIVZhA0(45/97) AAS
だが、この2機のパイロットはまだ実戦経験が浅かった為か、ケルフェラクに後方200メートル以内に接近されるまで気付かなかったことが命取りとなった。
「遅い!!」
クレゴートは、愛機の姿勢を傾け、反応の鈍い敵戦闘機の未来位置に光弾を弾き出した。
ポリトヴ中尉もまた、クレゴートが狙った敵機目がけて魔道銃を放つ。
1機4丁、計8丁の魔道銃から放たれた光弾がベアキャットの未来位置に注がれ、敵機のパイロットが自らの失敗に気付いた時には、機首からコクピット上面部、
後部と、ほぼ満遍なく光弾が命中していた。
敵戦闘機はコクピットを鮮血に染め、左右の主翼から真っ白な煙を吐きながら墜落して行った。
(主翼部分にも7、8発は当たったはずだが、それでも火を噴かんとは。ナリは小さいが、防御力はヘルキャット並みか……畜生!)
クレゴートは心中で毒づきながらも、すぐに狙いを2番機に向ける。
2番機は僚機のあっけない最期に恐れを成したのか、急降下で戦域を離脱し始めた。
省14
55: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:35 ID:0WgIVZhA0(46/97) AAS
唐突に、受信機から声が響くと同時に、後方に付き纏っていたベアキャットがいきなり旋回を止めた。
そのベアキャットの上方から光弾の嵐が打ち下ろされた。
不意打ちを食らったベアキャットだが、避けるタイミングが早かった為か、光弾は1発も命中しなかった。
新手が現れた事で不利と悟ったのか、2機のベアキャットは旋回降下しながら空戦域から離脱していった。
「隊長!ご無事ですか!?」
聞きなれた声が響くと同時に、クレゴート機の右斜めに2機のケルフェラクが並走して来た。
「その声はヴェニか。そっちは大丈夫か?」
「うちらはなんとか大丈夫ですが、他の連中がかなり苦戦しています。」
クレゴートはヴェニから聞いた後、周囲を眺め回した。
省15
56: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:36 ID:0WgIVZhA0(47/97) AAS
攻撃隊についていた護衛のケルフェラクやワイバーンが挑みかかるが、拘束できたのはせいぜい14、5機ほどで、20機以上の戦闘機は迎撃を受ける事無く、
猛然と攻撃隊に殴り掛かった。
ベアキャットの両翼に付いている20ミリ機銃4丁が、重い魚雷や爆弾を抱いたケルフェラクの機体に突き刺さり、大穴を開けて飛行能力を削いでいく。
機首のエンジン部分に被弾したケルフェラクが、被弾箇所から煙を吐きながら急速に速度を落とし、編隊から落伍していく。
そのケルフェラクは、重傷を負った事も気にせぬまま味方に付いて行こうとするが、別のベアキャットがとどめの一撃を繰り出し、ケルフェラクの右主翼を
叩き折った。
攻撃用のケルフェラクは、ヘルダイバーやアベンジャーを見習って後部座席に旋回機銃が設けられており、後部座席の搭乗員はそれを必死に撃ちまくった。
ケルフェラクは、編隊ごとに弾幕をはって米戦闘機の攻撃を食い止めようとする。
運悪く、1機のベアキャットが集中射撃を食らってしまった。
ベアキャットは機首や主翼に多数の光弾を受けた後、エンジン部分と右主翼から真っ黒な黒煙を吐き出し、攻撃を行う間もなく離脱にかかっていく。
省13
57: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:36 ID:0WgIVZhA0(48/97) AAS
クレゴート少佐のケルフェラクが先に速度を上げ、次にポリトヴ中尉も後を追っていく。
彼の言葉に勇気付けられた2機のケルフェラクもそれに続き、尚も攻撃機隊を狙うベアキャットに挑んでいった。
午前10時45分 レビリンイクル沖北北東285マイル地点
「敵編隊、我が艦隊に尚も接近中!戦闘開始まであと5分!」
第58任務部隊第2任務群の司令官であるマイルズ・ブローニング少将は、群旗艦である空母レンジャーⅡのCICで管制員の
口から飛び出た言葉を聞くなり、思わず眉をひそめる。
「投入可能の戦闘機420機を投入したのにもかかわらず、なお250騎以上の敵がこっちに迫っているか。」
「敵攻撃隊の3分の2近くは我が任務群に向かっております。迎撃隊は奮闘してくれましたが、やはり、数が多いと撃ち漏らしも多くなりますな。」
省16
58: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:37 ID:0WgIVZhA0(49/97) AAS
「ここからは、艦隊自身が頑張るしかないな……」
ブローニングはしわがれた声でそう呟きながら、過去に経験した幾つもの海空戦を思い出す。
「これまでにも、母艦の戦闘機隊は敵の完全阻止を狙ってきたが、その度に押し通されて来た。だが、今日こそはそれも果たせると思っていた物だが……
やはり、一度に出す数には限度がある上に、一時に700機以上の敵編隊に襲われては、航空管制も飽和状態になる。正攻法で行く以上、敵編隊の
完全阻止は無理な話かもしれんな。」
「護衛艦の奮闘に期待するしかありませんが……せめて、ウースター級があと4隻あれば……」
「無い物ねだりしても始まらんさ、航空参謀。」
暗い表情で呟くグリント中佐に、ブローニングは苦笑しながら言う。
「それ以前に、TF58の主力を構成する5個空母群のうち、TG58.3とTG58.5には戦艦がいない。戦艦がいないとなると、使える対空火力も
ぐんと減る。この2個任務群は、戦艦がいない穴を埋めるために、4隻しかないウースター級を均等に配置して貰っている訳だ。戦艦が配属されている
省13
59: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:38 ID:0WgIVZhA0(50/97) AAS
空母アンティータム艦長、エモンド・グローヴス大佐は、艦橋で駆逐艦群の対空射撃を浴びながら前進しつつある敵ワイバーン群を双眼鏡で確認する。
「左舷方向に7、80騎。右舷方向にほぼ同数と言った所か。いつものサンドイッチ戦法でTG58.2を押し潰すようだな。」
彼がそう呟いた時、5インチ砲弾の弾幕に絡め取られた1騎のワイバーンが急速に高度を落としていく。
ついで、もう1騎が高角砲弾の黒煙を突っ切る直前に新たな砲弾の炸裂を受け、体を一瞬のけ反らせてから海面に墜落していく。
犠牲を出しながらも、敵編隊は前進を続けていく。
対空射撃は、高度4000付近を飛んでいる敵編隊に注がれているが、それとは別に低空侵入の敵ワイバーン群に対しても、駆逐艦群は砲撃を続けている。
射撃を行っているのは、輪形陣外輪部の駆逐艦群だけではなく、やや内側を航行する巡洋艦群や戦艦も射撃に加わっている。
重巡洋艦ノーザンプトンⅡは、陣形の左側に陣取る戦艦アラバマと軽巡洋艦フレモントと共に敵編隊と交戦していた。
「左舷上方の敵騎、さらに1騎撃墜!」
ノーザンプトンの艦橋前に配置された5インチ連装両用砲を指揮するヤン・ハートレット少尉は、両用砲の後部にある観測口から身を乗り出し、
省11
60: ヨークタウン◆vpdKySpD2. 2013/11/18(月)09:38 ID:0WgIVZhA0(51/97) AAS
ハートレット少尉がそう呟いた直後、高空の敵編隊は予想通りの動きを見せた。
総計で2、30騎ほどの敵編隊は幾つかの小編隊に別れると、すぐさま急降下に移った。
その中の一部は、ノーザンプトンに向けて突進しつつあった。
「敵の一部がこっちに向かっている!目標変更!左舷上方より接近しつつある敵5機!」
砲術長の指示が、耳元のヘッドホンから響く。
「目標変更!左舷20度!全力射撃!!」
ハートレット少尉の指示が発せられるや、砲塔が僅かに動き、砲身が急降下しつつある敵機に向けられる。
目標を捉えた5インチ砲がすぐさま発砲を開始した。
敵機の前面でVT信管付きの砲弾が炸裂するが、その瞬間、魔法障壁が発動した光が発せられる。
至近弾を受けたワイバーンは何事もなく爆煙を突っ切って来たが、矢継ぎ早に放たれた別の砲弾が、またもや至近で爆発する。
省14
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