[過去ログ] 勇者「王様が魔王との戦争の準備をしている?」 (970レス)
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1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:07 ID:yFuxTM2h0(1/67) AAS
道具屋「あくまで噂だけどな。ウチにも聖水や満月草の注文が大量に入った。信憑性はある」

道具屋「兄ちゃんも、下手に旅なんかするよりは、兵士として雇ってもらったほうがいいかもな。はっはっは!」

道具屋「で、薬草と毒消し草だ。ほら」

勇者「ありがとうございます」

道具屋「このご時世に二人旅とは大変だな。しかも、随分と別嬪さんじゃないか」
省11
2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:09 ID:yFuxTM2h0(2/67) AAS
 二人は魔王討伐の旅のさなかであった。

勇者「疲れた……」ハァハァ

狩人「いつも思うけど、どうしてそんな遅いの」

勇者「お前が健脚すぎるんだよ、ったく」

狩人「けんきゃく……?」
省9
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:09 ID:yFuxTM2h0(3/67) AAS
勇者「だってさ。どうする?」

狩人「どうする、と言われても。ここ以外にないなら、ここしかない」

勇者「もっと嫌がるかと思ったけど」

狩人「野宿よりはましだし」

狩人「一年半も旅してれば、気にならない」
省10
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:10 ID:yFuxTM2h0(4/67) AAS
狩人「……」ジー

勇者「わかった、わかったよ。俺が寝るよ」

狩人「一緒に寝る?」

勇者「冗談だろ?」

狩人「……」ジー
省9
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:11 ID:yFuxTM2h0(5/67) AAS
狩人「怖いのか? 死ぬことが」

勇者「殺して、殺されて、なんぼだろ。理解はしてる。ただ、死ぬのは悲しいからな」

狩人「勇者」

勇者「ん?」

狩人「よしよし」ナデナデ
省9
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:12 ID:yFuxTM2h0(6/67) AAS
狩人「だいたい勇者のほうがふらふらしてた。来るとき」

勇者「俺は回復が早いからな」

狩人「ベッドあるぞ。休まなくて平気か」

勇者「だいじょうぶだよ」

狩人「添い寝もするか――あうっ」
省9
7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:13 ID:yFuxTM2h0(7/67) AAS
狩人「どこに行くの」

勇者「道具屋と、ギルドだな」

狩人「……」

勇者「どうした?」

狩人「え?」
省9
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:14 ID:yFuxTM2h0(8/67) AAS
 同類を[ピーーー]よりも人外を殺したほうが後腐れはない。それが両国の判断だった。どうせあちらは滅多に言葉すら解さないのだ。
 魔王軍はゆっくりと、だが着実に力を増してきている。隣国とも手を取り合って叩かねばならぬと、両国王がわかっていないとも思えない。

 だが、笑顔の裏には常に刃が隠されている。厚い厚い面の皮を破って、いつ刃が飛び出してくるか――誰もがびくびくしているのだ。

 輦轂の下にある道具屋のみならず、田舎にまで注文が来るということは、眉に唾をつける必要がない証左だ。
 そんなことをぼんやり考えながら勇者は歩を進める。
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:15 ID:yFuxTM2h0(9/67) AAS
狩人「どこに行くの?」

勇者「ギルドだ。二人よりも三人、三人よりも四人」

狩人「そっか。うん。わかった」

勇者「含みがあるな」

狩人「二人きりでもいいけど」
省4
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:16 ID:yFuxTM2h0(10/67) AAS
 勇者はギルドの扉を開いた。皮と、鉄と、汗のにおいが一気に流れてくる。
 五感の鋭い狩人がわずかに顔を顰めた。

 静かだが、それだけではない空間である。緊張が静電気となって二人の肌を焼く。
 こちらがあちらを値踏みするように、あちらもまたこちらを値踏みしている。

店主「いらっしゃい」
勇者「旅の仲間を探しているんですけど、二人ばかり」

 たむろしている男が、女が、勇者とマスターのやり取りに耳を傾けている。
 勇者はそれをあえて無視し、軽く店内を一瞥した。

店主「テーブルに、座っている奴らがいるだろう」
省7
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:18 ID:yFuxTM2h0(11/67) AAS
狩人「そんな言い方はよくない」

勇者「事実だろ」

狩人「二人とも、手練れ。だいぶ強い」

 狩人の人を見る目は悪くない。また、彼女自身が相当の手練れでもある。
 そんな彼女をして手練れと言わせしめる老婆と少女は、少なからず勇者の興味を引いた。

勇者「お前が言うならそうなんだろうな。ちょっと声をかけてみるか」
省7
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:19 ID:yFuxTM2h0(12/67) AAS
 ざわ、ざわ、ざわ。周りが騒ぎ出したのを察して、勇者は「厄介だな」と口元を隠す。
 着いてそうそう騒ぎを起こしては、この村に宿泊することも叶わなくなる。
 やたらに血気盛んな少女から視線を外さず、残った手で勇者は道具袋の煙玉をつかんだ。

 と、勇者の肩を叩く者があった。少女と一緒の席についていた老婆だ。

老婆「若いの、ちょっと場所を移さんか。ここは騒がしくていかん。年寄りには堪える」

勇者(いつの間に後ろに……?)

 煙玉が間に合うか。戦場では思考の時間が生死を隔てることもある。逡巡している暇はなかった。
 煙玉をつかんだ手を袋から抜出し、
省6
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:20 ID:yFuxTM2h0(13/67) AAS
 聞き返したつもりではなかったが、少女は耳聡いらしい。剥き出しの敵意で勇者を睨め付ける。

少女「は? おばあちゃんよ。アタシの」

勇者「孫と一緒に旅してるのか?」

 親子で冒険、という組に出会ったことはあったが、孫と祖母という組み合わせは初めてだった。

少女「ちょっとちょっと、アタシのおばあちゃん馬鹿にしないでよねっ」
省6
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:21 ID:yFuxTM2h0(14/67) AAS
勇者「機嫌を損ねたなら謝る。悪かった」

老婆「そういうことではない。お前ら、魔王を倒すために旅をしてるんじゃろう?」

勇者「なんでそのことを?」

老婆「ひゃひゃひゃ……伊達に歳を食ってるわけじゃないぞ」

老婆「なに、旅に加えてもらおうと思ってな」
省7
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:22 ID:yFuxTM2h0(15/67) AAS
少女「でも、こんなやつらだめだよっ。絶対弱いよ!」

勇者「なんだって?」

狩人「勇者。大人げない」

少女「おばあちゃんがいいって言っても、アタシはよくないっ」

少女「魔王を倒せるくらい強くないと、意味ないもんねっ!」
省4
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:23 ID:yFuxTM2h0(16/67) AAS
 勇者はその時ようやく、目の前の少女が背負っているものに気が付いた。
 雲のような鈍色をした金属。柄の先端と殴打面には金色の幾何学模様が描かれている。

 金槌。それも、少女と同じくらいの長さのある。

 ベルトを二か所外し、明らかに重量のあるそれを、少女は綿でできているかのように片手で振りぬいた。
 きっかけこそ不意ではなかったが、速度は余りあるほどの不意であった。しかし、勇者はそれを見ながらただため息をつくだけで、

 ぶちっ

少女「え?」
省3
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:24 ID:yFuxTM2h0(17/67) AAS
 砕かれた頭から、頸動脈から、血が噴出し往来を染め上げていく。

 遠くから聞こえる通行人の困惑と、叫び声。

エッ ヒト シンデナイ?
サツジン?
ウソデショ……

少女「ッ!?」

狩人「逃げます」
省4
18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:27 ID:yFuxTM2h0(18/67) AAS
――――――――――――――――
 勇者は夢を見ていた。
 いつも、死んでいる最中は夢を見る。
 大抵は地獄のような、彼を苛む夢であるが、時たま生まれ故郷の夢を見ることもある。

 今回は後者であった。

 生まれたのは魔王城を頂く山の麓にある町だ。
 治安は決してよくないけれど、それゆえに守りも手厚く、目立った人死にが出ることもない。そんなところ。

 幼いころから、剣の素養も魔法の素養もあった。
 器用なのか器用貧乏なのか、それはともかく、支配領域を強めている魔王に対抗すべく出発するのは、まったく不自然ではなかった。

 誰しも口にこそしなかったが、彼の双肩には期待がかかっていたのだ。
省1
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:28 ID:yFuxTM2h0(19/67) AAS
 旅は熾烈を極めた。最寄のギルドに行くのすら、山を下りなければいけない。
 魔王を倒す仲間を集めることすら難しい。
 一週間もたたず殺された。どこにでもいるようなゴブリンが相手だった。

 意識が朦朧とする中、光に包まれた女性が目の前に立っているのを見た。
彼は、彼女に何者なのかを問うた。

『あなたの嘗ての先祖に、高名な冒険者がいました。彼は仲間とともに、魔王を打ち破ったのです』
『血に刻まれた加護が、魔王を倒す力をあなたに与えている』
『魔王を倒すまで、あなたにとって、死は休息であり終焉ではない』
『古の加護。自動蘇生。その名はコンティニュー』

 夕方、木の根元で目を覚ました。
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/11(水)18:29 ID:yFuxTM2h0(20/67) AAS
 とりあえず仲間を探すところから始めた。
 魔物を殺しながら経験を積み、山を下り、王都に向かった。
 煌びやかな装飾。聳え立つ煉瓦造りの教会。煙を吐き出す煙突。

 故郷と比べてはるかに偉大な土地を、ひっきりなしに兵士が動いていた。
 魔王の軍勢が各地で活動し、その対応に追われているのだと、武器屋の主が教えてくれた。

 最初に旅をしたのは、そこで見つけた三人の仲間とである。
 青い瞳の柔和な僧侶。
 故郷に錦を飾るのが夢の武闘家。
 国境警備軍を辞めてやってきた騎士。

 いい仲間だった。
省1
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