魔王「にゃ〜ん」 (25レス)
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1: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/09(日)20:50 ID:CRava8dn0(1/11) AAS
魔王城最深部
スタ……スタ
勇者「ついに、ついにたどり着いた」ハアハア
勇者「私は負けない。散っていった仲間たちのためにも」
ゴゴゴゴゴ
省11
2: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/09(日)20:52 ID:CRava8dn0(2/11) AAS
勇者「……ん?」
魔王「にゃおーん」
魔王「うにゃーあーん」
勇者「なっ、なんだその気の抜けた声は。バカにしてるのか!」
魔王「ふぅるるる……」
省8
3: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/09(日)20:53 ID:CRava8dn0(3/11) AAS
勇者「! これは……魔王の絵が描かれた板!?」
勇者「では本物の魔王はどこに──」
ふにゃああ〜ん
勇者「? 玉座の裏からだ」スッ
魔王(猫)「ふにゃああーん」
省4
4: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/09(日)20:54 ID:CRava8dn0(4/11) AAS
勇者(白くてちっちゃいフワフワがうずくまって、私をじっと見つめている……。
あっ、そんな目で見るな! 理性がはじけ飛ぶ!)バッ
フラ……フラ
勇者「か、可愛すぎる……なんだこの異次元の可愛さは……」
ハッ
勇者「まさかこれこそが魔王のワナなのか? 私がかわいいものに目がないと知って……?」
省6
5: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/09(日)20:55 ID:CRava8dn0(5/11) AAS
勇者「(あーびっくりした……)そのメイドがなんの用だ」ドキドキ
メイド「魔王様はどこへ行ったのか、世にも可愛い生き物がなんなのか……。いろいろ疑問に思うことがあるでしょう。
ですが説明の前に、勇者様にやっていただきたいことがございます」
勇者「それは?」ソワソワ
フッ
メイド「指が小刻みに動いてらっしゃいますが、どうかなさいましたか」
省7
6: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/09(日)20:56 ID:CRava8dn0(6/11) AAS
……ソッ
勇者「ふわあああぁあああ、やわらかいよおおぉおおおお!」
フワフワ
魔王(猫)「……うるるる……」
勇者「!? こ、この鳴き声の意味は? 嫌がってるのかっ?」
省12
7: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/09(日)21:18 ID:CRava8dn0(7/11) AAS
勇者「!」
メイド「そして息を吸って、吐いて、吸って……」
スーハー スーハー スーハー
勇者「……」
メイド「いかがですか」
省6
8: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/09(日)21:19 ID:CRava8dn0(8/11) AAS
勇者「……」
メイド「堪能されたようで」
勇者「今は亡き父と母が、小麦畑の中で手を振っていた……」ポヤーン
メイド「この生物のお腹は冥界と繋がっているのです」
勇者「そうなのか!?」
省6
9: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/09(日)21:20 ID:CRava8dn0(9/11) AAS
メイド「はい。サーベルキャットやアイアンタイガーはご存知ですね?
あれらの近縁種と思われます」
勇者「確かにどことなく面影はあるが……全く別物だぞ? こっちは可愛さが4千倍くらいある」
メイド「実はその子……ネコは、異世界から送られてきたのです。
……魔王様と引き換えに」
勇者「どういうことだ?」
ペラリ
省3
10: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/09(日)21:21 ID:CRava8dn0(10/11) AAS
──
勇者へ。
こんなことになって本当にすまない。
わしが玉座にいなくてさぞガッカリしたことだろう。
実は勇者を迎え撃つ準備をしていたのだが、誤って絶対に組み合わせてはいけない魔法陣を描いてしまってな。
気がついたら異世界に飛ばされていた。
こちらは夏真っ盛りだ。スイカ、と呼ばれる作物の畑を手伝っている。
久方ぶりの肉体労働のなんと心地良いことよ……──
省4
11: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/09(日)21:22 ID:CRava8dn0(11/11) AAS
──
さて、どうやらわしの代わりに「ネコ」という生物たちがそちらに送り込まれてしまったらしい。
しかも、魔王の資格もネコに移されてしまったようでな。
申し訳ないが、魔法陣の効力が切れてわしがそちらに戻る一年後まで、対決を延期してもらえぬだろうか。すまんな。
追伸 この世界のビールは神のごとき味だ!
──
メイド「というわけです」
省10
12: 2020/08/10(月)06:12 ID:pyKkrEKK0(1) AAS
もう魔王いらないね
13: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/10(月)12:07 ID:m2K/kePy0(1/9) AAS
メイド「どうやら親猫が一匹、子猫が四匹の計五匹送り込まれたようです」
勇者「……」
メイド「勇者様?」
勇者「……」
メイド「気絶している……失礼いたします」スッ
省5
14: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/10(月)12:08 ID:m2K/kePy0(2/9) AAS
メイド「お気持ちはわかります。可愛いですよね」
子猫たち「ふにゃー」
勇者「はぁ〜ん……」
メイド「五匹に少しずつ魔王の資格が移っております。
つまり全て葬れば、その時点で勇者様の勝利となりますが」
勇者「……」
省8
15: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/10(月)12:09 ID:m2K/kePy0(3/9) AAS
──
子猫「みー……」フミフミ
勇者「はうっ……この仕草は?」
メイド「ふむ、この様子だとお腹が空いているようです。親猫のところへ連れていきましょう」
勇者「うう、離れがたいが……ご飯の時間だぞ」ヒョイ
省11
16: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/10(月)12:10 ID:m2K/kePy0(4/9) AAS
──
ポンポンポン
メイド「もっと強く、リズミカルに」
勇者「こ、こうか」ポンポン
メイド「そう。尻尾の付け根、そこが猫のエクスタシーポイントです」
省10
17: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/10(月)12:11 ID:m2K/kePy0(5/9) AAS
魔王「……どうしたというのだ」
メイド「可愛がっていたネコたちが、魔王様と引き換えに去ってしまったので……」
勇者「ぐうっ、ふぐうっ!」ギロッ
魔王「な、なんかすまん……」
魔王「気休めになるかわからんが、わしが滞在した農家の住人は素晴らしい人々だった。
きっとネコたちを可愛がってくれるはずだ」
省4
18: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/10(月)12:12 ID:m2K/kePy0(6/9) AAS
勇者の部屋
勇者「……」
勇者「……」スッ
勇者(ベッドが広い。
今朝まであった温もりがないだけで、こんなに心が空っぽになるんだな)
勇者「そうか、私は……。
省1
19: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/10(月)12:13 ID:m2K/kePy0(7/9) AAS
──
メイド「そろそろお休みになられては」
魔王「明日の決戦の準備があるからな。もう少しかかりそうだ」
メイド「また異世界への扉を開かれませんように」クスッ
魔王「はは、さすがに二回目は笑えんからな。
明日も早いのだろう。先に休むがいい」
省8
20: ◆AhbsYJYbSg [saga] 2020/08/10(月)12:14 ID:m2K/kePy0(8/9) AAS
次の日
パンパン!
勇者「よし、気合を入れよう。いよいよ決戦だ」
勇者(ネコたちの思い出がある分、私は前より強くなったし物事に動じなくなった。
なにしろ世界一可愛い存在と一年も過ごしたのだからな。
ネコ以上に可愛い生物など、例え異世界にも存在するはずがない!)フフン
省12
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