【ゆるゆりSS】ふたりの距離 (33レス)
【ゆるゆりSS】ふたりの距離 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1694089135/
上
下
前
次
1-
新
通常表示
512バイト分割
レス栞
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga] 2023/09/07(木) 21:42:09.04 ID:I2AyKHWk0 花子は、今も薄暗い部屋で勉強を続ける櫻子のことを思いながら、向日葵の言葉に耳を傾けた。 ずっと見えてこなかった向日葵の思惑が、ずっと不思議に思っていた櫻子のすべての行動が、腑に落ちていくような気がした。 今のこの状況が、なるべくしてなったどうしようもない現実だということが、やっとわかった。 「だから私は決めましたわ。あの子のしたいようにさせてあげようって」 「……」 「受験結果の出るそのときまで、あの子が自分を律するためにとる方法がそれなのだとしたら……そのとおりにしてあげたいって、思ったんです」 櫻子の気持ちを尊重する。 あの子のために、なるべく静かにしていよう。 あの子の邪魔にならないように、遠くから遠くから配慮してあげよう。 向日葵が今も櫻子から距離を取り続けている理由は、それだった。 「そうこうしていたら、いつの間にか三年生になって……とうとうクラスまで別になってしまって。でもよかったのかもしれませんわ。あの子の歩くスピードは落ちていないようですから……きっとそれが答えなんでしょう」 「……そうかもしれないし」 「ごめんなさいね……花子ちゃんからしてみれば……私のことはずっと、冷たく映っていましたわよね」 「っ……」 「櫻子になるべく関わらないようにしなきゃって……そのためには、花子ちゃんに会ったりするのも控えなきゃって、思ってました。本当にごめんなさい」 「……いいんだし、そんなことは」 「でも私は……本当は今もずっと、あの子のことばかり考えてしまっているんですわ」 「わかってる……」 「ふふっ。ばかみたいに思うかもしれませんけど……本当に、あの子のことばかり」 花子の髪を優しく撫でながら、向日葵は自虐気味に笑った。 やっぱり向日葵は、いつまでも自分の知っている向日葵だった。花子は向日葵の左肩にぽすんと体重を預けた。 ――ああ、この人は本当に櫻子のことが好きなんだ。 櫻子のことが大切で仕方なくて、いつだって櫻子のことを想ってくれていて。 こんなに距離をとっているように見せかけても、本当は気になって気になって仕方ないんだ。 「退会届については、正式に受理してませんわ。だからあの子は今でも、うちの生徒会の一員です」 「えっ……」 「もともとあの子がいなくても、普通に回ってるような組織ですし。それにあの子のぶんの仕事をしていると、私もなんだか落ち着くんですわ。櫻子のためにしてあげられることが、まだあるんだって思えて」 放課後の生徒会室は、今は自分にとっての仕事部屋兼、勉強部屋兼、「櫻子との帰宅時間をずらすための待合室」。 そしてあの部屋が一番、櫻子のことをこっそりと感じていられる場所だった。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1694089135/19
上
下
前
次
1-
新
書
関
写
板
覧
索
設
栞
歴
あと 14 レスあります
スレ情報
赤レス抽出
画像レス抽出
歴の未読スレ
AAサムネイル
Google検索
Wikipedia
ぬこの手
ぬこTOP
0.002s