イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」 (962レス)
イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/
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68: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/08(木) 02:57:48.74 ID:DJ44GQDx0 …食後・廊下… クィーン「先ほどは場をしずめて頂いて感謝しております…」 提督「いえ…私も巻き込まれるのは遠慮したいところでしたから」 クィーン「ふふふ…さてと、それでは食後にまたお話を聞かせてもらいましょうか……大広間は彼女たちが飲んでいますから、別の場所で」…そばに控えている軽巡「カヴェンディッシュ」級と一緒に階段を上るクィーンと提督… 提督「はい……っと…」ドレスの裾で足が隠れているせいか目算を誤り、石の段差にけつまずいてクィーンに腕を押さえてもらった提督…ぬるりとした氷のように冷たい手が腕をつかみ、思わず背筋に寒気が走る… クィーン「…貴女はずいぶんと熱いのですね…まるで焼けてしまいそうなぐらい……」 提督「ええ、イタリアの女は情熱的なのです…」ぞっとするほど感情のないクィーンの目を見て、慌てて冗談めかしたウィンクを投げる提督 クィーン「ふふ…さ、どうぞお入りなさい……下がってよろしい」 カヴェンディッシュ級「…では失礼します、陛下」 …クィーンの部屋… クィーン「…いかがですか、余の部屋は」 提督「ええ…大変豪華なお部屋でいらっしゃいます」…映画の幽霊船のようにホコリにまみれクモの巣が張っている部屋を想像していた提督だったが、岩をくりぬいたような部屋には立派な執務机、金の六分儀に宝石を散らしたサーベル、それにふっくらと柔らかそうな布団が敷いてある天蓋付きベッドが鎮座していた… クィーン「さようですか…さてと、それではお話を聞かせてもらいましょう……」灰色のマントを椅子にかけ、白骨のように真っ白な笏と宝石をちりばめたティアラ(宝冠)を所定の場所らしい台の上に置いた… 提督「えぇ…と、どのような話がよろしいですか?」 クィーン「何でも構いませんよ…イタリア王国海軍、地中海の暮らし……貴女のいる司令部の話でも…いずれにせよ、余が信じるにはそれなりの証拠が必要ですが」 提督「ふぅ…ここに連れて来られてからと言うもの、そうしたことは毎日のように説明している気がするのですが……とはいえ私も身体一つで来てしまったので、何か証拠になりそうな物を示すことが出来ないのがもどかしいです…」 クィーン「さようですか…ところで、この写真ですが……」提督があられもない姿になっている合成写真を卓上から取り上げた… 提督「…うわ///」 クィーン「…帰投してきた折にG級から、そなたの艦隊にいる「艦娘」とやらの話を聞きました……どうやら余、あるいは余の部下たちと同じように娘の姿をしていながら、そなたと夜も共にしているとか…どうも聞き違いでもなさそうですが、説明してもらえますか?」 提督「説明…と、言いますと?」 クィーン「つまり…それは指揮官に対する「信頼」と言う意味なのですか?」 提督「ええ、まぁ…それもあります///」 クィーン「それで寝床を共にする…あるいは情を交わす……どうも理解できかねます…」 提督「えぇと…それはつまり……」 …言い回しの難解なイギリス英語と、提督の言うことを信じようとしないクィーンの頑固な態度…まずい食事のせいもあってワインや高級なウィスキー、ブランディと言ったお酒を飲みすぎた提督は、クィーンの取り澄ましている貴族的な様子にいい加減飽き飽きしてカーッとなっていた… クィーン「…つまり、どういうことですか?」 提督「つまり……こういうことです…っ!」 クィーン「…んむっ!?」 提督「んっ、んんっ…ぷはっ……分かって頂けましたか?」クィーンの青ざめた冷たい唇に自分の唇を重ね、キスを済ませると手の甲で唇を拭った… クィーン「…なるほど…確かに余の時代にこんなことは滅多にありませんでした……」 提督「…やっと信じてもらえましたか」 クィーン「ええ…それにしてもなかなか大胆ですね……捕虜が敵国のクィーンたる余の唇を奪うとは」かすかに笑みを浮かべて見せるクィーン… 提督「ここまでしないと信じて下さらないのですから…仕方ありません」 クィーン「…とはいえ、貴女は捕虜の身でありながら余の唇を奪ったのです……それ相応の罰を与えねばなりませんね」 提督「あっ…」(罰ね……きっとマストに吊るしたりするつもりなのね…ごめんなさい、ライモン…もう会えないかもしれないわ……) クィーン「では、刑を申し渡します……もう一度口づけしてみて下さい。どういうものなのか一瞬では理解できかねましたので」 提督「…え?」 クィーン「聞こえませんでしたか?」 提督「いえ、よく聞こえましたが……本気で…?」 クィーン「余に二度も繰り返させるつもりなのですか、アドミラル?…イタリア人は色恋の戦術には優れていると聞きますが、それも敵国向けの宣伝ですか?」 提督「…いいえ、イタリア人は恋も海戦も一流です♪」ちゅっ、ちゅぅっ…♪ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/68
69: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/10(土) 02:05:20.17 ID:3w0OVfKG0 …しばらくして… クィーン「ん…んちゅぅ……ちゅぅぅ…ん///」蒼白な舌から唾液を垂らし、さっきまでの冷たい表情も崩れて目をとろんとさせている… 提督「はぁ、はぁ……どう、なかなか気持ちいいものでしょう…?」(味は…痛みかけた貝類みたい……さっきのイギリス料理といい勝負ね…) クィーン「いいえ…今が大戦中でない事は信じてもよろしいですが、余が捕虜の小娘ごときにいいようにされるようでは艦隊に示しがつきませんので……そちらこそあきらめて「お得意の」降伏をなさったらいかが?」 提督「あら、そうですか……それなら私も女としての意地をかけて、クィーンがはしたなく喘ぐまでやってあげます…っ♪」 …カビたシルク生地が傷んでいて、あちこちに擦れもある古いドレスの胸元を引っつかむと力いっぱい引き裂く提督…ビリッ…ビビィィ…ッ……と音を立てて生地が破れると、「たゆん…っ♪」と白いもっちりした乳房が弾んだ… クィーン「…何をなさるつもり……?」 提督「…私の愛がこもった乳房に包まれたら、その皮肉で冷たい態度もどうにかなるかと思いまして…っ!」むにっ…♪ クィーン「んぷっ…んむっ、むぅ……」提督の谷間に顔を埋めさせられ、後頭部を押さえられているクィーン… 提督「はぁぁ…お酒のせいで身体が火照っていたのだけど、冷たい顔が当たって気持ちいいわ……それで、私の谷間はいかが?」 クィーン「…んぅ……むぅ…っ!」頭を押さえつけていた提督の手を振り切り、提督をじっと凝視する… 提督「…で、ご感想は?」 クィーン「……がした」 提督「んっ?」 クィーン「…あ、アップルティーのような甘い香りがしました……余が忘れていた感覚を思い起こさせるような…///」 提督「そう…よかった♪」 クィーン「よくありません…こんな気持ちは国王陛下に仕える者には不要…むしろ判断を鈍らせ、雑念を招きます……こんな感情は一体どうすればよいと言うのです…///」ふいっ…と提督から目をそむけた途端、卓上に置いてあった提督の合成写真が視界に入り、また視線を動かした… 提督「んー…それなら一度、思い切り発散してみたらいかがですか?」 クィーン「そしてそれを「艦隊中に知られてしまえ」と…?」 提督「うふふっ……でしたら私とならいかが?」 クィーン「……物好きにもほどがあるようですが」 提督「いいえ…えっちの事になると急におどおどしているクィーンを見るの……結構愉しいですから♪」 クィーン「…余をおもちゃにしようと言うか……面白い。海戦であろうと夜伽であろうと余は「クィーン・エリザベス」…小娘、そこまで言うならイタリア女らしく余を愉しませてくれるのでしょうね…?」固いコルセットのようになっているドレス、あるいは「殻」を脱ぐと、ぬるりと粘っこい糸を引いた真っ白な身体が出てくる… 提督「…ええ、きっとクィーンがアレクサンドリアでなったように、腰が砕けてベッドに着底することでしょう♪」 クィーン「あとでその言葉を思い出させてあげましょう…!」提督を引きずり、布団に押し倒すクィーン… ……… …数時間後… クィーン「あふっ、ひぐっ……こんな………はぁぁぁっ…」ギシッ…キシィ……ギィ… 提督「ふふっ……クィーンの指ったら冷たくって、私の花芯もきゅうきゅう疼きました…♪」クィーンの身体をすみずみまでこねくり回し、ぬらぬらした身体をいじくり倒す提督…傷んでいるベッドをきしませながら、甘ったるい笑みを浮かべてクィーンにまたがっている… クィーン「余は…余はクィーン・エリザベスです……レナウンたちに見つかったら、あなたは八つ裂きにされてもおかしくないのですよ?」 提督「あー…クィーンの隣に座っていた深海棲艦は「レナウン」でしたか…「アーク・ロイヤル」はいました?」 クィーン「余の右側にいた背の高い…んんっ、余の話している時に……」 提督「ふふ…だってクィーンの胸が話すたびにふるふる揺れて……先端は青っぽいのね♪」いたずらっぽい笑みを浮かべ、固い先端を指でピンッ…と弾く提督 クィーン「んんっ…どうして……余がこんな、マカロニの提督ごときに…///」 提督「うふふっ…イギリス海軍はいつも不意打ちには弱いようですから……ね、クィーン♪」にちゅっ…ぐちゅ、ぐちゅ…っ…♪ クィーン「あっ…あ゛あ゛ぁぁっ!」 提督「んふふっ、ほら…腰が砕けてベッドに着底するって言ったでしょう♪」 クィーン「んはぁ、はぁ、はぁ、はぁ…ふぅ、はぁ……」 ……… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/69
70: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/10(土) 02:55:34.38 ID:3w0OVfKG0 …しばらくして… クィーン「…余も明日の執務があります。そろそろ部屋に戻りなさい…それと、このことは口外しない事……よろしいですね?」 提督「はい、クィーン…それと、こちらの約束もお忘れなく♪」ぱちりとウィンクをして、びりびりに破いたドレスを取り繕いながら着る提督… クィーン「余は約束したことは守ります…さぁ、行きなさい」 提督「ええ、それでは…グッドナイト♪」 …廊下… カヴェンディッシュ級「……部屋に戻るのだな?」 提督「ええ…♪」 カヴェンディッシュ級「…それで」 提督「なぁに?」 カヴェンディッシュ級「……その、陛下があんなになるとは…「情を交わす」とはそんなにいいものなのか…」(陛下があんな獣のような声を…それに何ともみだらな光景だった……) 提督「もう…「下がれ」って言われていたはずでしょう?それなのにのぞいていたの?」 カヴェンディッシュ級「バカを言うな。ただ、陛下のただならぬお声が廊下に聞こえてきて……それで、陛下の身を案じて…」 提督「非力な人間の提督が深海棲艦のあなたたちにかなう訳ないじゃない…それなのにのぞくなんて」 カヴェンディッシュ級「し、仕方あるまい…軽巡は索敵が任務の一つなのだ……」 提督「…キスだけでよかったら」 カヴェンディッシュ級「なに?」 提督「私も疲れたし…キスだけでよかったら、してみる……?」 カヴェンディッシュ級「……では」 提督「了解、それじゃあ…んっ…んっ、んっ……んちゅっ///」 カヴェンディッシュ級「んんっ!?……ん、んんぅ…んはぁ」 提督「どうだった…?」 カヴェンディッシュ級「…お、おかしい……私は地中海艦隊の一隻として、それに「エリザベサン」級ともされるこの級名に恥じぬよう陛下にお仕えし、大英帝国の勝利の日まで任を全うすることこそが本義のはず……なのに…」 提督「愛は任務なんかよりもずっと大事よ?…それじゃあ、着替えて寝るから……ドレスは片づけてもらえる?」 カヴェンディッシュ級「ああ、承知した…」(…今までこの女が着ていたドレスか……) ……… …翌朝?… 提督「うぅ…ん…」妙に肌寒い気がした提督は眠気にあらがって薄眼を開けた…と、なぜか寝巻き代わりに渡されたはずのキャミソールと湿ったブランケットが引きはがされている……その上、数人の深海棲艦が周囲を取り囲むようにして立ち、提督の裸体を食い入るように見つめている… 提督「…え!?」慌てて跳ね起きると毛布で身体を隠した… 駆逐艦クラス「!?」 軽巡クラス「…!」 提督「…ちょっと、どういうつもりなの?」 軽巡「ふん、少しイタ公の身体を眺めてみたくなったのだ…安心しろ、別に取って食ったりはしない……」 提督「ねぇ…もしかしてこの間私の身体がねとねとだったのもそういう訳なの?」立ち上がると腰に手を当てて問い詰めた… 軽巡「…捕虜に答えてやる義務はない」 提督「私とクィーンでお話しする機会はまだまだありそうだけど…今度は何を話題にしようかしら♪」 軽巡「あ、あれは私ではない…駆逐艦の数隻が……だいたい、あの宣伝写真のせいなのだから、そちらにも責任の一端はあるのだ…」 提督「え…あれをみんなで見たの……?」 軽巡「ウェ…ル(えーと…)」 駆逐艦「まぁね…出撃がない時は手持無沙汰だし、ここの酒保には大して買えるものもないから……触ったりした連中はいたってことよ…」 提督「あー、もう…信じられないわ///」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/70
71: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/11(日) 02:30:11.42 ID:5DDzoYWB0 …朝食… 提督「それはそうと…」周囲にそっと視線を走らせる… …連れてこられた時は敵意を持った視線や「マカロニの捕虜」に対する冷笑をひしひしと感じていた提督…が、この数日は深海棲艦同士で回して見たらしい「例の写真」やクィーンとの「交流」があったせいか、食卓に並んでいる深海棲艦たちの視線が心なしか欲情したような、どこかぎらぎらしたものに変わっている……時折胸やふとももに向けられた視線を感じて、別な意味で危険を感じている提督…… G級「…なにか?」 提督「…いえ」あきらめて食卓に視線を戻す提督…相変わらず縁がチリチリになったハムと、ゴムそこのけに固くなった卵で出来たハムエッグス……そこについている焼きすぎのトーストに煮込みすぎて形もないベイクドビーンズ……おまけに卓上には黒い樹脂のようなものが鎮座している… ケント級「…あむっ…むしゃむしゃ……」あまり空腹を感じないらしい深海棲艦たちは数日に一度の食事で済むらしく、今朝は三人の重巡「カウンティ」級とC級軽巡グループでも「ケープタウン」級に属する「カイロ」、パース級軽巡「シドニー」、大型の駆逐艦「トライバル」級が数人座っている… 軽巡シドニー「カイロ、それを取ってくんなよ」 C級軽巡「どうぞ」 シドニー「おーし、やっぱり『ベジマイト』がないと始まらないってもんよ…ずずずぅ…」マナーもへったくれもない様子で片脚を上げたまま「ベジマイト」を塗りたくったパンをがつがつと胃に放り込み、イギリス海軍伝統のホットココアで流し込む… (※ベジマイト…野菜と酵母を発酵させて作るオーストラリア特産のスプレッド。ビタミンが多いらしいが味は「オーストラリア人専用」とのこと……) 提督「………」 G級「…早く食べないと冷めるわよ、アドミラル?」 提督「…ええ」 ……… …昼食… クィーン「今日はインド風昼食ですか、カイロ…見ているだけで「タージ・マハール」が目に浮かぶようです」 カイロ「ありがたきお言葉…どうですか、本場で仕込んでイギリス風にアレンジしたカリーは美味しいでしょう…」 提督「え、ええ……」辛さも今一つで水っぽく、風味もピンとこない不味いカレーを前にげんなりしている提督…仕方なしに濃いストレートティーを飲みながら黙々と食べる… デリー(D級軽巡)「美味しい、これこそ故郷の味ね…」 クィーン「ふぅ…美味でしたよ、カイロ」 カイロ「恐縮です、陛下…」 ……… …夕食… ロンドン「…さて、我々の捕虜とはいえせっかくの機会ですから…アドミラルには世界の中心地、ロンドンの味を食べてもらわないと」 提督「…」目の前にドシンと置かれた大皿には、種類も選ばずぶつ切りにして焦げそうなほどガリガリに揚げた数種類の魚と、油っぽいポテトフライが載っている… 提督「えーと…これは「フィッシュ・アンド・チップス」でいいのかしら?」 ロンドン「いかにも…高尚な食べ物ではないが、ホワイトホール(イギリス海軍省)に行くまでの小腹ふさぎにと、若手の士官たちもつまんでいたものよ」 提督「…い、いただきます」ひくひくと口もとを引きつらせながら、魚のフライに取りかかる… ロンドン「どうだ、ロンドンっ子の力の源は?」 提督「…あの、この魚ってウナギ?」ぶつ切りにされたウナギをぬめりも取らずに衣をつけ、すっかり固くなるまで揚げてある…… ロンドン「知らん。とにかく魚を揚げればいいのだからな」 提督「……ちょっといいかしら」 G級「何?」 提督「ここにも厨房とか食料庫はあるのよね?…明日必ずそこに連れて行きなさい。いいわね?」 G級「わ、分かったわよ…ずいぶんな剣幕だこと……」 提督「…ごちそうさまでした、もういいわ……」 ロンドン「そうか、なら私が……んぐ…何だこの魚は、えらくマズイな……」 提督「あー…きっとそう言う魚なんでしょうね…」(…ウナギを「フィッシュ・アンド・チップス」に使うからでしょうが…やっぱりイギリスの深海棲艦はセンスもイギリス流なのね…きっと永遠に分かり合えないわ……) ……… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/71
72: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/12(月) 02:29:44.84 ID:K8G9/ZQi0 …翌日… 提督「それじゃあ昨日言った通り、厨房に案内してもらうわね」 G級「全く、捕虜のくせにいちいち面倒な事を……せっかくクィーンが許可してくれたのだから、脱走を試みたりしないことね…」 提督「はいはい…どのみち出口の場所も知らないのに脱走も何もないわ」肩をすくめて案内されるままに廊下を進む提督… G級「ほら、ここよ…」 提督「えーと…なにこれ……」 G級「厨房よ。私たちはそんなにお腹もへらないし、これだけあれば充分なの…」 …洞窟の一角にある「厨房」の天井には煙突のような空気穴が抜けていて、提督の目の前で数人が何かを作っている……が、置いてある厨房用具は岩の張りだしの上に置いてあるまな板らしい板切れとナイフ数本、明らかに拾い物のアルミ鍋とフライパンがいくつか…水道代わりにちょろちょろと流れている水をためている隅っこのドラム缶、それに海岸から流れてきた…あるいは捨てられたものを拾ったかしたキャンプ用のグリル台と、暖炉のような直火の調理台だけしかない… 提督「…」 G級「で…ご感想は?」 提督「とりあえず使える道具の種類は分かったわ…今度は食料庫に案内して?」 G級「はぁ、面倒ね……出来上がったら私にも分けるのよ?」 提督「ええ、これは相当頑張らないといけないわね…」 …食料庫… G級「で、こっちはどう?…マカロニの提督ならきっとすごいものが作れるわよね」 提督「ええ、そうね…」相変わらず皮肉な言い方は変わらないG級をよそに、提督は箱や缶詰の間にしゃがみこんで周囲をごそごそとかき回している……まず拾い上げたのは難破した貨物船あたりから回収したのか、外箱がすっかり壊れているスパゲッティの青い袋… 提督「これでとりあえずパスタが作れるわね、後は…んー……あ、トマト缶♪」賞味期限は明らかに数年前ながら「まだどうにかなりそう…」と、拾い上げて小脇に抱える… G級「持っててあげるわよ…」 提督「ありがと♪……それに…わ、アンチョビがあるわ♪」しゃがみこんでアンチョビの缶を拾い上げる… G級「ふぅん…艦隊指揮はからっきしなのに、イタリア人って言うのは料理の事になると手際がいいのね」 提督「かも知れないわね…あとは……」G級のイヤミに生返事をしながら缶詰や瓶詰を選び取る… 提督「…うん、これでどうにかなりそうね♪」 G級「あらそう、よかったわね…」 提督「ええ、ようやく人間の食べるものが食べられるわ…♪」途端にきゅぅ…とお腹が鳴る…… 提督「もう、私のお腹ったら素直だこと…///」 …厨房… 提督「さてと…♪」与えられたよれよれのキャミソールを着ている提督は手を洗うと、深海棲艦に鍋を借りた……漂着物の拾い物らしい鍋は「取っ手が取れる」が売りのフランス製でもないのに柄が行方不明で、おまけにあちこちへこんでいる… 提督「…まぁいいわ、とにかくお湯を沸かしましょう♪」…久しぶりにまともな料理が食べられそうとあって、うきうきした様子の提督…深鍋にお湯を沸かしつつ、塩を小さじ二つほど入れる… 提督「それから…と♪」 …これもずいぶんゆがんでいるフライパンにオリーヴオイルを注ぎ、赤唐辛子と刻んだニンニクひとかけを入れて温める……赤唐辛子の辛さは油に溶け出すので焦げやすいニンニクよりも先に入れ、じっくりと風味を出していく…しばらくしてニンニクがカリカリといい音を立てはじめたら、食料庫にあったアンチョビの缶詰に黒オリーヴの輪切り、ケイパーの塩漬けを入れて木べらでほぐしていく… 深海棲艦「…ふんふん」冷たい表情は相変わらずながら、興味深そうに香りを嗅ぐ数人… 提督「んー…いい香り♪」 …ほど良くほぐれたアンチョビと黒オリーヴの所にトマト缶を空け、焦がさないよう注意しながら濃い赤が鮮やかな柿色になるまで火にかける……最後に茹で上がったスパゲッティを絡めて黒胡椒を振ると、恍惚の表情を浮かべながら香りを胸いっぱいに吸い込み、さっと大皿に盛りつけた… G級「へぇ…それで、この料理の名前は?」 提督「スパゲッティ・アッラ・プッタネスカ(娼婦のスパゲッティ)…「水商売のお姉さんが活力を付けるために作った」とか、そう言うお姉さんたちと同じで「たまにならいいけど毎日だと飽きるから」とか言われるナポリの味よ……あぁ、空腹にはたまらない香りね♪」 G級「椅子ならここにあるわよ…」古いオレンジの木箱を持ちだしてきた… 提督「ありがとう。それじゃあさっそくいただくわね……んーっ、美味しい♪」身もだえしながらスパゲッティを口に運ぶ提督… G級「…ごくっ」 深海棲艦「…」 ……… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/72
73: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/13(火) 01:59:32.89 ID:FWz1EF2O0 …そのころ・提督の実家… チェザーレ「うむ、了解…大佐どの、改めてカンピオーニからもお礼を贈らせていただきます……それでは」受話器を置くと肩を回した… ライモン「…チェザーレさん、まだ提督の行方について手がかりはなしですか?」 チェザーレ「うむ…提督の手帳にあった名前からラ・スペツィア、ナポリ、サルデーニャ島のカリアリ…シチリア島のアウグスタとメッシーナ…イオニア海管区のレッジョ・ディ・カラーブリア、タラント……もしかしたらアドリア海方面に誘拐されたかもしれぬからブリンディシとヴェネツィアにも電話はかけた……後はパレルモ航空隊のアントネッリ中佐は提督の「親しいお友達」なのでな、色々調べてくれたぞ」 ライモン「なのにかいもく見当がつかないなんて…いったいどこにさらわれてしまったのか……うぅ、きっと今頃深海棲艦に取り囲まれてあれこれと厳しい尋問を受けているに違いありません…」 チェザーレ「まぁ落ち着け、ライモンド…提督はなかなか頭の回転が速い。きっと脱走の機会をうかがうか、さもなければここに返してくれるように深海の連中に掛け合っているはずだ……それにあの提督に限って愛しい女性を悲しませるような事をする訳があるまい。違うか?」 ライモン「…そ、それはそうですが///」 チェザーレ「そうであろう?……それにさっきムツィオが手伝っていたからな、そろそろあのナポリ鎮守府のカント水偵が離水できるはずだ…行ってその目で捜索してくるといい」 ライモン「はい。それでは留守をお願いします」 チェザーレ「任せておけ。…必要ならこのチェザーレが賄賂だろうが何だろうが用意してみせるから、後ろにローマ軍団が付いているつもりでいればいい」ポンと肩を叩き、口元に笑みを浮かべて見せた… クラウディア「…必要なものがあったら何でも言ってね?」 シルヴィア「もし銃がいるようならいくらでも出してあげるから、そう言いなさい…あと、これ」装填済みのベレッタ・M1938短機関銃を渡した… ライモン「これは?」 シルヴィア「お守り代わりに一応……「ウサギの脚」よりは効果があるでしょうし」 ライモン「ありがとうございます…それでは、しばらく上空から探してみます」 アッテンドーロ「姉さん、水偵の準備が出来たって」 ライモン「分かったわ…それでは、上空から捜索してみます」…ライモンは短機関銃を肩にかけると岸辺に着水している三発エンジンのフロート機、カントZ506「アイローネ」(※Airone…アオサギ)の後部席に乗り込み、しばらくするとカント水偵は浜辺に砂と波を巻き上げて離水していった…… チェザーレ「…提督、もし戻ってこなかったらライモンドに代わってチェザーレが怒るぞ……?」 ……… …一方・深海棲艦の洞窟… G級「…んむ……んむっ…まぁ美味しいんじゃないの?」提督にパスタを分けてもらうと勢いよく食べ、口の端にトマトの汚れまで付けていながら辛口の評価を下す… ケント級重巡「ふむ、なかなか美味い…」一方の重巡「ケント」級はさすがの貫録で、無表情ながら一応感心したような声を上げた…そのうちにいい匂いに誘われたのか、次々と厨房に姿を見せる大小の深海棲艦たち…… 提督「ふぅ…まさかせっかくの夏季休暇を深海棲艦の司厨長として過ごすになるとは思ってもみなかったわ……」次々と顔を出してくる深海棲艦たちに汗だくで「スパゲッティ・アッラ・プッタネスカ」をごちそうする羽目になっている提督… クィーン「…何事ですか」 C級軽巡「…陛下、このような場所にまでお越しになるとは……お気遣い、痛み入ります」 クィーン「余はあらゆるものに目を通さなければなりませんから。で、何をしているのですか…アドミラル?」 提督「えぇ…と、料理を作っておりました……良かったらいかがですか、クィーン♪」 レナウン(巡洋戦艦)「陛下に対してそのような口を利くなんて失礼よ…?」 クィーン「よいのです、レナウン…イタリア人の捕虜なのですから、礼儀を知らずとも致し方ないでしょう……?」さりげなく失礼なことを言うクィーン… 提督「む……クィーン、これは『娼婦のスパゲッティ』などと申す一品で、はなはだお口汚しかと思いますが…よろしければお召し上がりになられますか?」 クィーン「…そうですね、それでは味見程度に頂戴いたしましょう……」さっと用意された椅子に軽く腰掛け、ほんの少しだけパスタを巻きとって口に運んだ… 提督「…」 クィーン「……なかなか美味しいではありませんか」 提督「感謝します、クィーン」 クィーン「いいえ…ところでアドミラル」 提督「はい」 クィーン「あとで話がありますから、余の部屋へお越しいただければと思います……それでは…」しゃなりしゃなりと優雅な歩みで出ていくクィーン… 提督「…分かりました」(…まさか「『娼婦のスパゲッティ』なんて言うものを食べさせて、無礼だから処刑する」とかじゃないわよね……) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/73
74: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/13(火) 02:45:06.18 ID:FWz1EF2O0 …しばらくして・クィーンの部屋… G級「連れて参りました、陛下」 クィーン「ご苦労様です…下がってよろしい……」 提督「…それで、私にどのようなご用でしょうか?」 クィーン「ええ…実を言いますと、そろそろアドミラルにはお帰りになって頂きたいと思っているのです……」 提督「そうですか」(ふぅぅ…これでようやくライモンに会えるし、深海棲艦の作るイギリス料理ともおさらば出来るわね♪) クィーン「はい……この一週間ばかりアドミラルを「捕虜」とはいえ我が方でもてなしておりましたが、あまりアドミラルにいられると余の部下たちに悪影響があると考えているのです…したがって、余はアドミラルを数日中に潜水艦に乗せてお返しするつもりです……」 提督「悪影響ですか…「あまり美味しいイタリア料理を食べさせるな」という訳ですね♪」 クィーン「ふふ……それもありますが、アドミラルもお気づきでしょう…彼女たちの態度を」 提督「…と、言いますと?」 クィーン「アドミラルの写真を回しては色欲を覚えている者たちがいるのですよ…なかなか刺激的な写真ですから……」 提督「あ、あれは…その…///」(もうあちこち触られたりしているけど…) クィーン「…存じております。とにかく余は地中海での勝利のために戦っているのですから、イタリア料理や数枚の写真のせいで戦意を失ったり、集中を乱されては困ります……それに、なかなかあのG級を手厚くもてなしてくれたそうですから、その礼として解放することに決めました……ついてはこれを」一枚の便せんとペンを差しだした 提督「…これは?」 クィーン「受け渡しに際して余の部下を攻撃しないようアドミラルの艦隊に伝えるのです…さぁ、お書きなさい」 提督「はい……これでよろしいですか?」 クィーン「よろしい…余に嘘をついていればわかりますから。では、どうぞお戻りなさい……」 提督「はい、クィーン」(…あぁ、やっと太陽の下に戻れるのね♪) クィーン「それと言っておきますが、ここにも日の当たる場所はありますよ…」 提督「…え?」 クィーン「…聞かれませんでしたから余も言いませんでしたが、廊下の石段を登って行けば見張り台があります……」 提督「…では後で日光浴をさせてもらいます」 クィーン「ええ、ご自由に…」 ……… …その日の夜・カンピオーニ家の海岸… ライモン「…ふぅ」青っぽい明るい月を眺めながらため息をついているライモン…横には提督にもらった豪奢なナイトガウンを羽織ったチェザーレが立っている…… チェザーレ「ライモンド、今日はもう疲れたろう…もう休むことだ」 ライモン「ええ……ですが提督もどこかであの月を見ているかもしれないと思うと、なかなか戻れなくて…」 チェザーレ「うむ、気持ちは分かるが……ん?」ふと視線を落とし、波打ち際に揺れている瓶を見つけたチェザーレ ライモン「どうしました?…あ、瓶ですね……中に何か入っています…」 チェザーレ「うむ、手紙のようだが……ちょっと待て、ライモンド。この字は提督のものではないか?」 ライモン「!?」慌てて瓶の外から見える字を月明かりにかざす… チェザーレ「どうだ?」 ライモン「…はいっ、間違いありません!……ムツィオ、クラウディアさん、シルヴィアさん!」瓶をしっかり抱えると、家に通じる小道を駆け上がっていく… チェザーレ「…ふふ。それにしても、さすがチェザーレたちの提督よ…「瓶に入った手紙」とはなかなかロマンティックではないか……ライモンド、そう慌てると転んでしまうぞ?」ライモンの後を追って小道を上るチェザーレ… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/74
75: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/13(火) 11:14:23.51 ID:FWz1EF2O0 …居間… アッテンドーロ「…それじゃあ姉さん、内容を読んでよ」 ライモン「ええ……「愛しのみんなへ…」もう、こんな時にまでこういうことを言うなんて提督らしいですね///」 シルヴィア「ふふ、それだけ愛されているのよ」 ライモン「///」 アッテンドーロ「で、続きは?」 ライモン「ちょっと待って…「今、深海棲艦たちの巣窟の中でこれを書いています。ずっと太陽の見えない場所にいたので何日経っているのかもわかりませんが、とりあえず身体に問題はありません…どうやら深海側は、以前の作戦で鎮守府が「捕虜」にした「G」級の扱いに感謝し、お礼を言いたかったようです」…と書いてあります」 チェザーレ「全く。深海棲艦の奴ばら、いらぬところで律儀な真似を…心配で夜も眠れなかったというのに……」 ライモン「えーと…「とりあえず数日中に帰してくれるそうなので、私を乗せた深海棲艦を攻撃したりしないよう手はずを整えておいてください。搭乗するのはおそらく深海側の潜水艦「T」級になるはずです…」ですって!」 クラウディア「まぁまぁ…フランカが無事でよかった、うんとごちそうを用意しないと♪」 アッテンドーロ「じゃああのふざけた連中を沈めたりしないように準備しないとね…チェザーレ、また電話することになりそうですね?」 チェザーレ「提督が無事に帰って来るなら電話くらいお安いものだ…他には何か書いてあるか?」 ライモン「はい…「みんなにうんと心配をかけた分、休暇の残りは好きなだけわがままを聞いてあげるつもりでいます…とにかく無事にみんなに会うこと、それと温かいお風呂、美味しい食事が待ち遠しくてなりません」…だそうです」 クラウディア「ふふ、そうだろうと思ったわ♪」 シルヴィア「ふぅ…これでようやく安心して過ごせるわね」提督のいない間寂しげに鳴いていたルチアの頭を優しく撫でる… ルチア「クゥーン…?」 ……… …数日後・深海棲艦の洞窟… クィーン「…数日前に申し上げた通り、準備していた捕虜返還の手続きが整ったので…本日をもってアドミラル・カンピオーニをイタリア側に返還することとなりました……」 タリスマン「それは残念だ…せっかく捕虜にしたのに」提督の側に座っている「タリスマン」がぼやく… トーベイ「仕方あるまい……まぁまた捕虜にすれば良いではないか。わが軍はこれまでもイタリアの将官など網ですくえるほど捕えているのだから」 提督「…陸軍はともかく、海軍は別よ?」 クィーン「皆、静かに。それでは乾杯するとしましょう……アドミラル」 提督「あぁ、はい」グラスを持って立ち上がった… 提督「えーと…なにはともあれ、イギリス地中海艦隊のもてなしに感謝しております。少なくとも今回は砲弾ではなくウィスキーでしたから」提督の冗談にそこそこ笑いらしいものが漏れる 提督「それでは、お互いに武運長久を願って…げほっ、ごほっ!?」グラスを持ち上げ透明な液体を一気に流し込んだ提督…と、カッとするような味が喉を焼いた…… ベルファスト「…へへっ、うまくいった」数人が底意地の悪い笑みを浮かべている… 提督「…なに、これ……!?」 クィーン「…三倍量(トレブル)のジンに純アルコールを数滴……そうでしょう?」 ベルファスト「ええ、クィーン…どう、アドミラル。ダイナマイトでしょう…?」小さいハープを片手にイェーツの詩か何かを口ずさんでいる… 提督「うぇぇ…ひどい味……」顔をしかめている間にも意識がぼんやりして、目の前が揺らぎ始める提督 クィーン「…余も出口の場所を見られるのは好ましくありませんので……許しなさい、アドミラル…」今度はいきなり背後から目隠しをされ、ひょいと誰かに持ち上げられた… 提督「えっ、もう出発ですか…?」 クィーン「いかにも…それでは、よい航海を……」 提督「うぅ…ん」…急に持ち上げられたりしたせいでアルコールが回り、ふっ…と意識を失くした提督 クィーン「それでは頼みましたよ…」 トーベイ「了解…トーベイ、出撃します」 ……… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/75
76: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/15(木) 01:17:59.12 ID:8UcHvThF0 …数日後・深夜… ライモン「それにしても…深海棲艦たちは本当に約束を守ってくれるでしょうか?」ざぁぁ…っ、と波音だけが響く浜辺に立って合図の懐中電灯を持ち、不安げな表情のライモン…… チェザーレ「…ブリタニアの二枚舌が信用できないか、ライモンド?」 ライモン「ええ…いきなり提督をさらっていくような相手ですし」 アッテンドーロ「まぁね、姉さんの言うことも分かるわ。でもわざわざ瓶入りの手紙まで送りつけておいて「嘘でした」って言うことはないんじゃない?」 ライモン「うん…わたしもそう思うけど……」 アッテンドーロ「じゃあ姉さん、合理的に考えてみましょうよ…私たちに提督を返すふりをすることで、あちらさんが何か得をすることがある?」 ライモン「うーん……わたしたちがショックを受けるとか」 アッテンドーロ「それだけならこんな回りくどいことなんてしないわよ…ね?」 ライモン「そう言われてみればそうかも…でも提督が戻って来るまでは安心できないわ」 アッテンドーロ「まぁね……って姉さん、あれ!」…沖合に浮上した潜水艦のぼんやりしたシルエットが霞んで見え、豆電球のようなぽっちりした明かりが点滅した チェザーレ「合図で間違いないようだ…ライモンド」 ライモン「は、はいっ…!」懐中電灯を点滅させ、合図を返す… チェザーレ「…さて、どこから来るのやら」 ライモン「そうですね……あ!」浮上した潜水艦とは別の方向から一隻のゴムボートが近づいてきて、砂浜に乗り上げると誰かが降りてきた… タリスマン「……捕虜の返還に来た」 ライモン「…提督、提督っ!」 提督「…」くしゃくしゃで染みだらけになったナイトガウンを羽織り、タリスマンに担がれてきた提督… アッテンドーロ「…提督におかしな真似はしていないでしょうね?」 タリスマン「ああ…少し気を失っているだけだ、すぐ回復する……それと…」 チェザーレ「何だ?」 タリスマン「陛下からのアドミラル宛ての親書がある…後で渡してもらいたい」 チェザーレ「うむ、なら受け取っておく…これでよいな?」 タリスマン「結構だ……では失礼する、次に見るのは照準器越しだろうな…」 アッテンドーロ「それはこっちの台詞よ…もう用はないからとっとと海の底にでも帰りなさい」 タリスマン「言われなくとも……それでは…」ゴムボートを押して浜から出すとひらりと乗り込み、そのまま沖合に消えて行った… チェザーレ「なかなか素早かったな…ところで提督は?」 ライモン「いま起こしています……提督、提督っ!」 アッテンドーロ「ちょっと、本当に無事なんでしょうね……」 提督「…う、うぅん……」 ライモン「提督…っ!」抱きついて砂浜に押し倒し、あたり構わず身体中にキスを見舞いつつ涙をこぼした… 提督「…ただいま、ライモン……泣かないで、ちゃんと私は戻ってきたわ…ん、ちゅ…っ……」提督は綿のように疲れ切っていたが、それでもライモンにキスを返し、アッテンドーロとチェザーレにもうなずいた… ライモン「あぁ、よかった……本当に心配で心配で…わたし、どうにかなっちゃいそうでした……」 アッテンドーロ「本当よ、まったく…姉さんったら自分を責めるわ、艦隊のみんなに電話をかけようとしたりで、もう大変だったんだから」 チェザーレ「まぁ、何はともあれ「終わりよければすべてよし」と…しかし、よく返してもらえたものだな?」 提督「あー…うん。それがどうも、私が料理を作ったり現代の事を色々教えたりしたら「戦意高揚の邪魔」になるって思ったみたい」 チェザーレ「なるほど…確かに美味い物を食って、恋だの愛だのを知ったら深海暮らしなどやってられんだろうからな……」 提督「ええ、そう言うことだったみたい……ライモン、んーっ♪」 ライモン「はいっ…ちゅぅぅっ……んっ?」 提督「…どうかしたの?」 ライモン「…何だか今日の提督は変な味がします……もしかして深海棲艦ともしたんですか?」 チェザーレ「あー…ところで提督よ、ひどく磯臭いな……クラウディアが風呂を沸かしているはずだから、汚れを落としてさっぱりしたらどうか?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/76
77: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/15(木) 01:58:20.73 ID:8UcHvThF0 ライモン「むぅ…チェザーレさん、わざとですか?」 チェザーレ「何がだ、ライモンド?…とにかく提督を家まで運ぶのが先決ではないのか?」 ライモン「あっ、そうでした…提督、わたしにつかまって下さい」 提督「うん、ありがとう……よいしょ…」むにゅ…と提督の柔らかい乳房が背中に当たり、頬を赤らめながら肩を貸すライモン…… …カンピオーニ家・玄関… ライモン「よいしょ…ここまでくればもう大丈夫ですね?」 提督「ええ、チェザーレも、ムツィオもありがとう…ちゅっ♪」 チェザーレ「…なに、愛しい提督のためならこのくらい構わぬよ♪」 アッテンドーロ「ええ…姉さんにばっかりキスしてるから、私たちの事は忘れているのかと思ったわ」 提督「ふふ、そんな訳ないでしょう…」と、玄関先にシルヴィアとクラウディアが立っていて、足下に寄り添うようにルチアも座っていた…… クラウディア「…フランカ!」 提督「ただいま、お母さ…んむっ!」いきなり抱きつかれ、甘い匂いのする胸元に顔を押し付けられる提督… クラウディア「もう、無事でよかったわ…怪我はない?…お腹が減ったでしょう。お風呂も準備してあるわ…それより一晩寝たいかしら?」 提督「んー…んーっ……」 シルヴィア「いいけど、とりあえず放してあげたら?…フランカが窒息するわよ」 クラウディア「あら、いけない///」 提督「ぷはぁ……改めて迷惑をかけてごめんなさい、お母さま、シルヴィアおばさま…でもどうにか無事で済んだわ」 シルヴィア「いいのよ、ちょっとぐらい迷惑をかけるぐらい……クラウディア、これでようやく安眠できるわね?」 クラウディア「ええ。ところでシルヴィア…私、安心したら人肌が恋しくなっちゃったわ……///」 シルヴィア「はいはい、まずはフランカの面倒を見てからね」 ルチア「ワンワンワンッ…!」尻尾をちぎれそうな勢いで振り、提督に飛びつくルチア… 提督「あー、よしよし…ごめんね、ずっと心配させて」 ルチア「ワフワフッ…♪」 …しばらくして・浴室… 提督「…あいたた」洞窟の中で過ごしていたせいか、あちこちに擦り傷やちょっとした切り傷を作っていた提督…後ろからライモンに洗ってもらいながら、痛みに顔をしかめている… ライモン「大丈夫ですか?…深海棲艦たちに拷問とか、ひどい目に合わされたりしませんでしたか?」 提督「拷問はなかったけれど、ひどい目にはたびたびあったわね…」 ライモン「一体どういう目にあったんですか、提督?…今度深海棲艦を捕まえたら同じ目にあってもらいますから」 提督「ありがとう、ライモン…気持ちは嬉しいけど、イギリス料理じゃ深海棲艦には効果ないでしょうね」 ライモン「えっ?…あー、イギリス料理を食べさせられたのですか……」 提督「ええ、出来るものなら二度と経験したくない味だったわ…あっ、そこ気持ちいい……あふっ♪」優しく谷間を撫でるライモンの手に甘い吐息をもらす… ライモン「も、もう…あんまり甘い声を出さないで下さい……提督?」 提督「すぅ…すぅ……」 ライモン「あ、寝ちゃいましたか……仕方ありませんね…」そっと残りの部分を洗うと優しくタオルで拭き、寝室のベッドまでお姫様抱っこで運ぶ… 提督「…んぅ、ライモン……」 ライモン「はい、わたしはここですよ…///」そっと服を脱ぐとベッドにもぐりこみ、お風呂上がりでまだ暖かい提督の身体にぴったりと寄り添った… 提督「んふふ……すぅ…」 ……… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/77
78: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/15(木) 03:32:14.30 ID:8UcHvThF0 …思っていたよりずっと時間がかかってしまいましたが、これで「提督が深海棲艦に捕まる」ネタは完了ですね… …ちなみに深海棲艦たちのモデルになった艦はそれぞれ…… 戦艦…クィーン・エリザベス級 第一次大戦時の最新鋭高速戦艦。四隻の計画であったが英領マレーからの献金で建造された「マレーヤ」を含む五隻に。第一次大戦時には史上最大の海戦「ジュットランド海戦」などに参加し奮戦。 第二次大戦に際しては「長門」型のような舷側副砲を廃止して4.5インチ(11.4センチ)連装高角砲の搭載など近接対空火力増強の改修、一本煙突化による甲板の有効利用、ウォーラス水偵の格納庫を増設するなど航空艤装の強化を受け、ノルウェイ、地中海、インド洋と転戦。特に「ウォースパイト」の活躍が有名 巡洋戦艦…リパルス(レパルス)級 第一次大戦時の第一海軍卿(海軍司令長官)フィッシャー海軍卿の肝いりで建造された巡洋戦艦の一つ。 帝政ドイツ海軍の巡洋艦を捕捉・撃破できる火力と29ノットと言う高速を求めた分装甲は薄かった…が、ジュットランド海戦では戦艦隊到着までのつなぎ、あるいは高速戦艦の扱いを受けてドイツ主力艦隊と交戦。数隻が火薬庫の引火で轟沈するなど防御面の不足が目立ち、第二次大戦前に舷側装甲や航空艤装の追加など数々の近代化改修を受けている。 リパルスは極東艦隊の一隻としてマレー沖海戦に参加、「プリンス・オヴ・ウェールズ」と共に一式陸攻や九六陸攻の猛攻を受け戦没したが、その優れた指揮と高速で多くの魚雷をかわしてみせた。一方、二番艦の「リナウン」は本国艦隊や地中海艦隊などを歴任し無事に退役。 重巡…「カウンティ」(州)級 ワシントン条約の範囲内で七隻を建造した「ケント」級、その改良型で四隻建造の「ロンドン」級、最終型として二隻建造された「ノーフォーク」級と、「ロンドン」をのぞいていずれもイギリスの州から名前を取っている8インチ(20.3センチ)砲重巡。 広大な植民地警備のため安くて小型の軽巡を多数整備したイギリスながら、敵の軽巡や仮装巡洋艦を撃破するため8インチ砲を搭載し、長い航続距離を持つ重巡として整備したクラス。 通商ルート保護のための遠距離航海が多くなることを想定していたため居住性や航続距離はよかったが、予算や隻数の都合で「一万トン以内」に押さえようとしたことから防御を削り、重巡でありながら舷側装甲が25ミリという弱体な艦に…第二次大戦前にそれぞれ対空火器や装甲の増設を行っているが、どの艦もバランスが悪かったり、後発組だった日米独伊などの重巡に比べて能力が劣るので評価自体はあまり良くない スピットヘッド観艦式で日本の「足柄」と比較され、「客船」などと言われたのもこのクラス 軽巡…「C」級 第一次大戦から似たような艦を連続して建造していたイギリス「C」級軽巡のうち、第二次大戦に投入された「カレドン」級四隻に「シアリーズ」級五隻、「ケープタウン」級五隻。 4000トン余りの小ぶりな艦に6インチ(15.2センチ)単装砲をおおよそ5基、21インチ(53.3センチ)連装魚雷発射管4基と言った火器を搭載していた…が、第二次大戦時には旧式化していたため、当時は珍しい防空軽巡として改装、各国海軍の注目を浴びた。特に陸が近く空襲の激しい地中海方面に投入されて多くが戦没している 軽巡…「カヴェンディッシュ」(改バーミンガム)級 第一次大戦にイギリス海軍を振り回した仮装巡洋艦や通商破壊任務を帯びた艦を捕捉・撃破するために整備された巡洋艦。一万トン近い大柄な艦形に敵艦をアウトレンジ出来る7.5インチ(19.1センチ)砲を7基搭載し、速度も30ノットに届こうという強力な「軽巡」……だったが、第一次大戦後の海軍軍縮条約で「6インチ砲以上の艦」と言うことで「重巡」扱いを受けたり、大型の船型から何かと実験に使われ、ネームシップの「カヴェンディッシュ」が一時期空母「ヴィンディクティブ」になったりと忙しかった…第二次大戦では対空火器を増強して船団護衛などで活躍 クラス名もネームシップから「カヴェンディッシュ」級、二番艦から「ホーキンズ」級、軽巡「バーミンガム」級の改型と言うことで「改バーミンガム」級、エリザベス一世時代の提督名から来ていることから「エリザベサン」級などとさまざま… 軽巡…「エディンバラ」級 町の名前を冠した戦前の新型軽巡「タウン」級の最終グループで、「エディンバラ」と「ベルファスト」の二隻。 竣工が1939年と第二次大戦勃発時には最新鋭艦で、三連装6インチ砲を四基搭載した一万トンクラスの堂々とした軽巡。公称32ノットと言う速度に甲板防御、舷側防御を増した船体はマルタ島を救援する輸送船団の護衛役として最適だった。ネームシップ「エディンバラ」は戦没したが、「ベルファスト」は戦後も生き延び、テムズ川で記念艦になっている ちなみに深海棲艦「ベルファスト」が竪琴を持っているのは1586年に「アイルランドのシンボル」としてエリザベス一世が選んだ「ブライアン・ボル・ハープ」という竪琴から…モデルの竪琴はダブリンの「トリニティ大学博物館」にあるということで、アイルランド生まれのビール「ギネス」にも描かれている… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/78
79: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage] 2018/02/15(木) 17:20:11.82 ID:P/qRRQWGo 乙 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/79
80: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/16(金) 01:47:49.79 ID:wqApxChN0 …翌朝… 提督「…ん、んんぅ……朝の光が眩しいわね」一週間近くもの間、ずっと洞窟のような場所にいたせいか日差しが目を射る……目を細めてサングラスを探す提督…と、ベッドで寝息を立てている可愛らしいライモンの姿が目に留まった… 提督「…♪」いたずらっぽい笑みを浮かべると化粧台をから何かを取りあげてライモンに近づき、それから下の階に下りて行った…… …食堂… 提督「おはよう。お母さま、おばさま…それにチェザーレ♪」ちゅっ…と頬にキスをすると、食卓についてコーヒーと新聞を取った… チェザーレ「うむ、おはよう…この何日かはチェザーレはなかなか寝つかれなくてな、昨夜は泥のように眠らせてもらった……アッテンドーロもまだぐっすり眠っているぞ♪」 提督「ごめんね…心配をかけたわ」 クラウディア「いいのよ、フランカが無事に戻って来ただけで充分…はい、朝ご飯よ♪」 提督「ありがと、お母さま♪」 シルヴィア「ま、いい刺激になったわね…」 提督「ふふっ…おばさまったら♪」 ライモン「…ふわぁぁ……提督、こちらでしたか…おはようございます♪」珍しく寝ぼけまなこで下りてきたライモンは、左右の頬にキスをしてから食卓につこうとする… チェザーレ「ほう…なかなか大胆だな♪」 クラウディア「あらあら…うふふっ♪」 シルヴィア「へぇ…」 提督「…くすっ♪」 ライモン「あの……わたしの顔に何かついてます?」 チェザーレ「ふふふ、鏡を見てみるといい…♪」手鏡を差しだすチェザーレ ライモン「…鏡ですか…って、あぁっ///」ほっぺたに濃い紅のルージュでキスマークが付けられている… 提督「くっ…ふふっ、あははっ♪」 チェザーレ「ははははっ、傑作だ♪」 ライモン「も、もう…提督がさらわれてからというもの、わたしが寝ずに頑張っていたのにこのいたずらですかっ……///」 チェザーレ「と、口で言う割にはにやけているな…♪」 クラウディア「もう、フランカったら……ほら、ライモンちゃん。メイク落としを貸してあげるから…」 ライモン「…そ、そうですね……でも少しもったいないような///」 シルヴィア「ふぅ…朝から甘いわね……」 …食後… 提督「はぁぁ…美味しかったぁ……幸せ…♪」 クラウディア「うふふ、お昼にはフランカの好きなものをいっぱい作ってあげるから…ね♪」 チェザーレ「うむ、無事に戻ってきたお祝いという訳だな…ところで……」名前が並んでいる紙を渡される… 提督「なぁに、これ…みんな私の知り合いばっかりだけど?」 チェザーレ「いかにも…このリストに書いてあるのは提督が連れ去られてから情報を聞き出したり、「損傷を与えた敵潜の撃沈確認」と言う名目で手を借りた軍のお知り合い方だ」 提督「こんなに聞いて回ってくれたの……本当にありがとう…///」 チェザーレ「うむ…が、間違っても公にすることも出来ぬ事ゆえこの方々には本当の事情は伏せておき、その上で「提督からの個人的な頼み」と言うことにして聞き出したのだ……つまり、「見返り」が必要という訳だな」 提督「…え、ちょっと待って」 チェザーレ「…夏季休暇の残り数日はプレゼントの購入とお礼の電話にかかりきりになってもらうのでな、よろしく頼むぞ…♪」 提督「…うぇぇ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/80
81: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/18(日) 01:46:25.00 ID:JBRTlGme0 …夏季休暇最終日… 提督「はぁ…ふぅ……ひぃ…」暑い夏の最中にランチアと自宅を往復する提督…隣にはシルヴィアのオープンクーペ、綺麗なイタリアンレッドの「アルファロメオ・ジュリエッタ」が停まっていて、クラウディアもリボンやおしゃれな包み紙に包まれた贈り物をトランクから降ろしている…… チェザーレ「やれやれ…これでようやく全部用意できたな」 アッテンドーロ「私たちに心配をかけたんだから、そのくらいはしてもらわないとね」 提督「それにしたって…お礼の電話と礼状、それにプレゼントのお買いもの…まったく、これじゃあちっとも夏季休暇にならないわ……」 ライモン「まぁまぁ、またお世話になることもあるかも知れませんし…ね?」 提督「ええ、そうね…はぁぁ……」 クラウディア「うふふっ、お疲れさま…それじゃあこれは宅配便にお願いしておくから、宛て名とあなたの任地だけ書いておいてね♪」 提督「はぁーい……お母さま、おばさま…買い物につき合ってくれてありがとう」 クラウディア「いいのよ、お買いものするの楽しかったもの♪」 シルヴィア「それにしても時間がかかったけれどね…ま、たまには「ジュリエッタ」も走らせてあげないといけないし」 提督「車を出してくれて本当に助かったわ、シルヴィアおばさま」 シルヴィア「別にいいわよ…さ、お昼にしましょう?」 提督「はぁい♪」 …翌朝… 提督「それじゃあ忘れ物はなーい?」抜けるような快晴の空の下、すっきりしたサマーワンピースとサングラス姿の提督 ライモン「はい、大丈夫です」 アッテンドーロ「同じく、ばっちり準備したわ」 ルチア「ワフッ…♪」後部座席の床に寝そべり、ムツィオに頭をかいてもらっている… チェザーレ「うむ…それに忘れていることに気づいたら忘れ物ではあるまい」 提督「そういうことを言わないの…それじゃあ、お母さま、おばさま……また冬の休暇の時にでも戻ってくるわ。あと、秋の初めに基地祭があるから、よかったら来てね♪」 シルヴィア「そうね、その時にはお邪魔するわ…」 クラウディア「ええ…あ、そう言えば♪」 提督「なぁに、お母さま?」 クラウディア「よかったらこれを持って行って?」口にテープを貼って閉じてある大きな紙袋を渡した… 提督「これ、なあに?」 クラウディア「ふふっ、それ?お母さまから可愛いフランカへ悪ふざ……フランカが艦娘の女の子たちと親睦を深めるのに使えるように用意したの♪」 提督「今、「悪ふざけ」って聞こえた気がしたのだけど…」 クラウディア「ふふっ、そんな訳ないじゃない♪…それじゃあ、タラントについたら電話をちょうだいね?」…ちゅっ♪ 提督「ええ、そうするわ…それじゃあ、行ってくるわね」 シルヴィア「行ってらっしゃい…♪」 提督「ええ、行ってきます♪」運転席から手を出してクラウディアとシルヴィアに手を振ると席に座り、滑らかにアクセルを踏み込んだ… ライモン「おかげで忙しい夏休みでしたが、なかなか刺激的でしたね…?」 提督「ええ、それにしても刺激的すぎたけど……さ、タラントまで飛ばして行きましょう♪」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/81
82: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/18(日) 02:23:29.99 ID:JBRTlGme0 …鎮守府… 提督「はぁぁ…着いたわね」電動ゲートに暗証番号を入れて門を開けると、ランチアを鎮守府の道に乗り入れる… ライモン「ふふ、なんだか懐かしいですね♪」 アッテンドーロ「あーあ、これで夏休みも終わりなのね…改めて実感しているわ……」 チェザーレ「そう言うな、ここでもたいていはゆっくり出来るではないか♪」 アッテンドーロ「まぁね…それより、施設の掃除とか電源の立ち上げとかしないといけないんでしょ……提督、私も手伝いましょうか?」 提督「お願いできる?」 アッテンドーロ「いいわよ…それに電気と水道なしじゃ困るのはこっちだもの」 提督「ありがと♪」 …そう言っている間にも提督のランチアは入り口側に建っている「事務棟」こと、無機質なコンクリート二階建ての建物を回り込み、一変して花の咲いている前庭と建物の明るい黄色が陽光に映える、両翼の広い別荘風の「本館」前に車を停めた……提督は三人と一匹に降りてもらうと横手の車庫にランチアを入れ、入り口の石段に荷物を降ろすと、大きな観音開きの玄関を開けた……途端にむっとした空気が押し寄せてくる… ライモン「うわ…!」 チェザーレ「むむむ……」 アッテンドーロ「ちょっと、ひどく空気が蒸れているわね…」 提督「本当ね…それじゃあ手分けして全部の窓を開けましょう、ルチアはゆっくりしてて良いわよ♪」 ルチア「ワンッ♪」提督の足下にまとわりついて尻尾を振る… 提督「あらそぉ?それなら一緒に行きましょうねぇ♪」 チェザーレ「相変わらずルチアと一緒になると甘ったるい話し方になるのだな…」 ライモン「…全くです」 …しばらくして… ライモン「ふぅぅ…全部の窓を開けてきました……やっぱり海風が入ってくると涼しいですね♪」 提督「そうね。それじゃあ次は蛇口を開けて水を流して、あと建物のブレーカーを入れないと」 アッテンドーロ「電源ってレーダーは別なのよね?」 提督「ええ、あれは別に電源があるし、通信室と冷蔵・冷凍室はいつも稼働状態だから…あくまでもみんなの部屋の分ね」 アッテンドーロ「だったらなおの事ね…とっとと入れて来るわ」 提督「あ、電源は私がやるから水道をお願い♪」 アッテンドーロ「了解…はぁ、みんなにも早く戻ってきてほしいわね」 提督「あら、誰に会いたいの?」 アッテンドーロ「そういうのじゃなくて、色々やることが多いからよ…とりあえず、水道の栓を開きっぱなしにすればいいのね?」 提督「ええ。…それと、手伝ってくれたムツィオたちには私の特製パスタをごちそうしてあげる♪」 アッテンドーロ「ならいいけど……格別美味しいのを頼むわよ?」 提督「はいはい♪」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/82
83: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/19(月) 01:37:05.14 ID:jYbvcxdU0 …お昼時… 提督「それにしても三人ともごめんなさいね、私と一緒だと一日は休暇が短くなっちゃうのをすっかり失念していたわ…」 チェザーレ「なに、構わぬよ。提督と一緒だとなかなか愉快であるからな」 ライモン「ええ…それに、提督と一緒にいられるならどこだって嬉しいです///」 提督「まぁ…ライモンったら///」 アッテンドーロ「へぇ、姉さんもやっと愛の言葉を言えるようになってきたわね♪」 ライモン「もう、からかわないで///」 提督「うふふ…それじゃあ愛情たっぷりのお昼にしましょうね♪」 チェザーレ「うむ、チェザーレも手伝おう」 …厨房… 提督「さーてと…何があるかしらー……と」ごそごそと冷蔵庫と奥の食料庫を探し回る提督… 提督「…あ、パルメジャーノ・レッジァーノがあるわ♪」奥の冷蔵室に入っていたパルメジャーノ・レッジァーノ(パルメザン)チーズの塊を見つけ、ニンニク一個と唐辛子数本を一緒にカゴに入れ、意気揚々と厨房に戻ってくる… ライモン「何かありました?」 提督「ええ、チーズにニンニク、唐辛子、冷凍の海老とイカが少し……菜園のトマトとバジルはまだ残っているかしら?」 ライモン「わたしが見てきます…ムツィオ、一緒に行きましょう?」 ムツィオ「ええ、姉さん♪」 提督「お願いね、その間に準備しておくから♪」 …冷凍になっていたシーフードをビニール袋ごと水につけて解凍しながら、手際よくニンニクを刻み、唐辛子を輪切りにする……すでに大きなパスタ鍋にはお湯がかけてあり、フライパンも準備してある……と、厨房の片隅でカサコソ言う音が聞こえる… 提督「…?」材料を刻むと音のする方に視線を向け、途端に固まった提督…… 提督「チェザーレ…来て!」 チェザーレ「提督、どうしたのだ?」 提督「えーと…厨房の床に……私、あれだけはどうも苦手で…」イタリアやスペインで言うところの「ラ・クカラーチャ」を見て引け腰の提督… チェザーレ「どれ…あー、確かにいるな……少し待っておれ」食堂の片隅に置いてあったローマ風の長剣を持ってくると鞘ばしる音もさせずに抜き放ち、猛烈な突きを放った… チェザーレ「…えいっ!」 提督「…ど、どう?」 チェザーレ「うむ、仕留めた…ほれ」 提督「あー、わざわざ見せなくていいから捨ててきて……後で殺虫剤でも撒かないと」 チェザーレ「…提督、捨ててきたぞ。それにしてもあれが苦手とはな、よく森の中にもいるではないか」 提督「森の中なら別にいいの…でも屋内にいるのは勘弁してほしいわ」 チェザーレ「細かいのだな…ところでな、パスタの湯が噴きこぼれそうだぞ?」 提督「わ…いけない!」 ライモン「提督、トマトをもいできましたよ。…どうしたんです、チェザーレさん?抜き身の剣なんか持って?」 アッテンドーロ「ネズミでもいたの?」 チェザーレ「あぁ、近いな…実はさっきそこに……」 提督「…ライモン、そのトマトをちょうだい」 ライモン「あっ、はい」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/83
84: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/19(月) 02:23:28.25 ID:jYbvcxdU0 提督「それで…と」 …解凍された海老とイカは鎮守府の厨房を取り仕切る「ディアナ」が下ごしらえをした上で冷凍しておいてくれたものだったので、海老の背わたも取ってあった……それをさっとレモンと胡椒で揉んで、生臭さを取る……ニンニクと唐辛子の香りが空腹を誘うフライパンにイカと海老を入れて白ワインを注ぎ、軽く火を通すと一旦どけて、今度はもいできたばかりのトマトを刻んで入れ、形が無くなるまで煮詰めるようにしていく……ほとんどトマトの形が無くなったところにイカと海老を戻し、塩と粗挽き胡椒、オレガノで軽く風味をつける… 提督「はい、フェデリーニのペスカトーレ完成♪」くるりと巻くように大皿に盛りつけ、可愛らしくバジリコの葉っぱを上に載せる… ライモン「わぁ、美味しそうですね♪」 アッテンドーロ「いい匂いね…たまらないわ」 提督「ふふっ…待っててね、もう一品作るから♪」 …今度はトマトのヘタを落とし串を刺すと、お尻の部分から皮に軽く十字の切り込みを入れ、湯剥きにする……極細のカッペリーニを茹でて軽く冷水で締めると、同時に作っていたトマトとニンニクだけのあっさりしたソースに軽く絡める。できたパスタをガラスの大皿に盛ったところへ氷水で冷やした湯剥きトマトを載せ、上からチーズおろしでパルメジャーノをかけると、すっきりした「トマトの冷製パスタ」が出来上がった… チェザーレ「おぉ、なかなか洒落た一品ではないか」 アッテンドーロ「さすが、「パスタ大好き提督さん」ね…それじゃ、頂くとしますか♪」 提督「ふふっ…遠慮せずにどうぞ、ルチアには茹でたパスタに白茹でのお肉を乗せたのがあるからね♪」 ルチア「ワフッ…フガフガ……」 チェザーレ「ん、美味いな…カッペリーニはあっさりしていて、トマトの酸味がよく効いているな」 アッテンドーロ「こっちのペスカトーレも…んむ、美味しいわ」 ライモン「うーんっ…おいしいです♪」 提督「そう、よかった♪」 アッテンドーロ「それにしてもこれだけ広い場所に四人と一匹って言うのは少し静かすぎるわね…みんな戻ってこないかしら」 チェザーレ「うむ、ローマ観光に行ったガリバルディたちの土産話も聞きたいものだな」 ライモン「そうですね、みんなが帰ってきたら色々お土産も渡してあげないと」 提督「ふふ、そうね…♪」 ルチア「ワフッ」 ……… …その頃・どこかの薄暗い部屋… 渋い男「…これが今回の目標だ」きっちりした姿の中年男が一冊のファイルを渡し、低い声で言った 女「なるほど……しかし、それほどの人物には見えませんが」女の方はきっちりとまとめた髪に眼鏡姿で、服にはチリ一つ付いていない…ファイルに記載された顔写真や経歴を読み進め、時々手元の手帳に何やら書き留める……最後にファイルを閉じて男に返すと切り捨てるように言った… 男「見た目から判断するな。一見穏やかそうだが、これまでに担当した三人が使い物にならなくなっている」 女「それで…開始はいつですか?」 男「ああ、今度の週明けからだ…うまくやれ」 女「了解」 ……… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/84
85: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2018/02/20(火) 14:08:48.83 ID:uAodHy1O0 …翌日… ライモン「あ、ナポリからのバスが来ました…みんな元気そうですね」門の前で海軍の借りたバスから降りると、両手いっぱいに荷物を持って入ってくる艦娘たち…中の数人は出迎えの提督たちに向けて大きく手を振っている 提督「休暇中何もなかったようでよかったわ…おかえりー♪」提督が手を振りかえすと、スーツケースを後ろに引き、手にも紙袋や箱を抱えているリットリオが真っ先に近寄ってくる リットリオ「ただいまです、提督っ!……んちゅ、んふ…ちゅっ……じゅるっ…♪」荷物を地面に置くと提督に抱きつき、うなじに両手を回して押さえつけると、熱い口づけを交わす… 提督「んぅ、んちゅ…んふぅ……もう、リットリオったら…こんな熱いキスは…お昼にするものじゃないわ……♪」 リットリオ「だって、提督とキスしたかったんです……ふふ、あまーい味がしますね♪」 提督「ええ、ドルチェにカスタードのロールケーキを食べたから…お帰りなさい、リットリオ」 リットリオ「はいっ…♪」 エマニュエレ・フィリベルト・デュカ・ダオスタ(アオスタ)「提督。軽巡アオスタ、ただいま戻りました」 提督「お帰りなさい、アオスタ…ナポリはどうだった、楽しかった?」ちゅっ…と左右の頬にキスをして、いたずらっぽくウィンクをする アオスタ「ええ。途中でコレオーニがはぐれそうになったり、お店で勘定を間違えられそうになったりしましたが…こうしてちゃんと戻ってきました」 提督「ふふ、何はともあれ楽しそうでよかったわ♪」 アオスタ「それはもう…予算もオーバーしませんでしたし、提督へのお土産もちゃんと買えましたから」…戦後賠償艦としてソ連に引き渡されたせいもあってか理詰めの委員長気質で、何にせよきっちりした性格のアオスタ 提督「ありがと…あ、ローマからのバスも戻ってきたわ♪」楽しげに談笑しながらバスから降りてくる数人…と、カヴールが同行していた軽巡ガリバルディに荷物を預けてやってきた… カヴール「…提督っ!…深海棲艦に誘拐されたと聞きましたが大丈夫でした?…身体に不調はありませんか?」 提督「心配させてごめんなさいね…大丈夫よ……ちゅっ♪」提督より大柄なカヴールの頭をつま先立ちして撫でると、キスを交わす… カヴール「よかった…チェザーレから電話で聞いた時は心臓が止まるかと思いました……私を心配させるいけない提督にはお仕置きです♪」…さわっ♪ 提督「きゃあっ♪…もう、いきなりどこを撫でているのっ……///」そう言いつつもちっとも嫌がっている様子はない提督… カヴール「うふふっ♪…それはもう、提督のむっちりしたヒップを……また一段とむちむちになりましたね♪」 提督「もう…カヴールのえっち♪」 ガリバルディ「ねぇカヴール、よかったら私にも触らせてくれる?」 カヴール「あぁ、はいはい……ふふっ、独り占めはいけませんものね♪」 ガリバルディ「そう言うこと…提督は相変わらずいい手触りね♪」むにっ…♪ 提督「あんっ、もう…♪」 ロモロ「…ねぇ提督、私たちのことを忘れてない?」 レモ「ほんとだよ、レモだってローマのお土産を買ってきてあげたんだからねー?」狼の乳で育ちローマを建国したと言う伝説上の双子を名前に取った「R」級大型輸送潜水艦、「ロモロ」と「レモ」が潜水艦とは思えない巨乳を提督に押し付ける… 提督「大丈夫、忘れてないわ…お帰り、ローマは相変わらずだったでしょう?」 ロモロ「そうね、むしろずいぶん立派になってて驚いたかも……うん、久しぶりの提督はいいねぇ…♪」ふとももを撫で回すロモロ… レモ「でも車が多くてほこりっぽかったなぁ……物の値段も高くて、レモびっくり」 提督「うんうん…さ、荷物を置いて着替えていらっしゃい♪」 ロモロ「了解♪」 レモ「はぁーい♪」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/85
86: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/21(水) 01:41:48.91 ID:+xaI95PI0 ライモン「提督、ヴェネツィア組も帰ってきましたよ」 提督「そうみたいね…ずいぶんと肌が艶めいているようだけど……」 アミラーリオ・ディ・サイント・ボン「提督、サイント・ボン帰投いたしました」水中で2000トンを超える大型潜水艦、「カーニ」級大型潜の「サイント・ボン」がピシッと敬礼をする…と、「R」級と同じように潜水艦とは思えないわがままボディが「たゆん…っ♪」と揺れる… 提督「お帰りなさい、ヴェネツィア海軍博物館は面白かったかしら?」 サイント・ボン「ええ…色々と勉強になりましたし、案内の士官さんも丁寧でした」オーストリアに惨敗した「リッサ海戦」以降のイタリア王国海軍を復活・躍進させた偉大な海相の名前を取っただけあり、立っているだけで立派な存在感があるサイント・ボン… 提督「それはよかったわ…お帰りなさい、マルチェロ級のみんな。…その様子だとたっぷり休養できたみたいね♪」 ロレンツォ・マルチェロ「いかにも。なかなか刺激的でいい休暇になった…おっと、マルチェロ級大型潜マルチェロ、ただいま帰投!」 アゴスティーノ・バルバリゴ「同じくバルバリゴ、ただいま帰投…提督にも後で聞かせてあげよう♪」 アンジェロ・エモ「同じくエモ、帰投しました!……まったく、お姉ちゃんたちったらあんな騒ぎを起こして…」 エンリコ・ダンドロ「同じくダンドロ、帰投!相変わらず提督はしゃぶりつきたくなるような美人だな♪」 提督「うふふっ…もう♪」ヴェネツィア出身の中世の提督たちを艦名に取った「マルチェロ」級大型潜水艦たちが形のいい敬礼をする…提督はきりりと表情を引き締めて答礼すると、急に表情を崩して抱き寄せた…… フランチェスコ・モロシーニ「おい、抜け駆けとはずるいぞっ…!」 ラッツァロ・モチェニーゴ「待て待て、本官にも抱かせろ♪」 提督「大丈夫よ、逃げたりしないから…それより手を洗って来たらお茶にしましょうね♪」九人のマルチェロ級をやってくる順に次々と抱きしめる…と、今度は可愛らしい二人が荷物を抱えてやってきた… クィンティノ・セラ(セラ級駆逐艦)「…ならヴェネツィア土産のお菓子がありますから、一緒に食べましょう…ね、提督♪」 フランチェスコ・クリスピ「そうね」 提督「あ、セラにクリスピ…ちゃんとMTMは見学できた?」 …排水量955トンの小さな駆逐艦「セラ」級はセラとクリスピの二隻で、41年にはクレタ島に隠密接近し、乗員が体当たり直前に脱出する危険な爆装モーターボート「MTM」(爆装艇)6隻を発進させると、イギリス重巡「ヨーク」とタンカー、貨物船を大破・撃沈させている……いつもは人の少ない時間に大浴場で「MTM」のラジコンを走らせているが、今度もお土産に買ったらしい「MTM」艇のプラモデルが入っている箱を抱えている… 提督「あら、イタレリの爆装艇?」(※イタレリ…イタリアのプラモデルメーカー。日本のタミヤとも協力関係にある) セラ「そうなんです、おおきいスケールで見つけたので買っちゃいました…作るのはアヴィエーレに教えてもらおうと思って///」少し気恥ずかしそうにもじもじしている… 提督「いいじゃない、とりあえずそれは部屋に置いていらっしゃいね」 セラ「はい♪」 提督「ふふ、可愛いわね…お帰りなさい、ドリア、デュイリオ♪」 ドリア「戦艦ドリア、戻りました……んっ、ちゅぱ……ちゅぅ♪……もう、心配したんですからね?」 提督「んぅ、ぷはっ…ごめんなさい、心配をかけて♪」 デュイリオ「んふふっ♪…いいんですよ、提督……ちゅっ、じゅる…っ、んちゅ、れろっ…♪」 …1915年生まれの「おばあちゃん」ながら戦前の大改装で艦の6割を改造、新戦艦なみのぴちぴちな姿に一新されたお洒落なド級艦「カイオ・デュイリオ」と、やはり大改装を受けたむちむちの美魔女、1916年生まれの戦艦「アンドレア・ドリア」…どちらも提督には甘々で、その豊満な身体と燃料不足の影響で力を持て余していた戦前の記憶からか、むらむらと湧きあがる色欲を思う存分ぶつけてくる… 提督「んちゅぅ…もう、こんなところでは駄目よ……まずは荷物を置いて、着替えてからにしましょう?」 デュイリオ「はい…それでは、午後のお昼寝の時間にお邪魔します♪」 ドリア「…あら、私もお邪魔しようと思っていたのに」 デュイリオ「それなら二人一緒にお邪魔したらどうかしら…ね、ドリア♪」 ドリア「まぁまぁ、それも楽しそうね…ふふっ♪」 提督「…さっそく身体中の関節がきしむことになりそうね」 ライモン「そう言いながら顔がにやけていますよ、提督」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/86
87: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2018/02/21(水) 03:12:42.84 ID:+xaI95PI0 …しばらくして・食堂… ガリバルディ「スペイン広場は大変な人混みで…ジェラートの屋台も辺りを散らかすからって移動させられていたけど、私たちはカフェで食べてきたの」 提督「あら、そうだったの♪」美味しいコーヒーとお菓子を前に談笑する艦娘たちは、それぞれお土産や贈り物をあげたりもらったりしてはきゃあきゃあ言ってはしゃいでいる…と、チェザーレがいくつもラッピングされた包みを持って明るい大食堂を歩き回っている…… チェザーレ「おぉ、アヴィエーレ…ちょうどいい」 アヴィエーレ(ソルダティ級駆逐艦)「どうしたんだい、チェザーレ…私に用事かな?」艦名が「航空兵」だけにローマの航空ショーとガルダ湖畔の博物館で戦闘機尽くしの時間を過ごしてきたアヴィエーレ…相変わらずサングラスとオールバックの髪に、革のブーツで格好よく決めている… チェザーレ「うむ…実は、アヴィエーレにこれを渡したくてな…よかったら受け取ってもらえるか?」手に乗る程度の大きさをした、細長い包みを渡す… アヴィエーレ「もちろんさ、どうもありがとう…開けていいかい?」 チェザーレ「うむ、チェザーレなりに吟味したつもりなのでな…喜んでもらえると嬉しい」 アヴィエーレ「どれどれ…って、これは」包み紙を剥がすと、銀色の精密そうなピンセットのセットが入っていた… チェザーレ「うむ、模型用のピンセットなのだが…アヴィエーレはよく飛行機模型を作っているだろう?チェザーレの気持ちがこもったこれを手許に置いてもらえたら…そう思ってな」 アヴィエーレ「このピンセット、前から欲しいと思っていたんだ…嬉しいよ、チェザーレ///」 チェザーレ「うむ、愛用してもらえると嬉しいぞ…」 提督「……チェザーレ、最後の数日間ですごい額の買い物をしていたけど…まさかね」 チェザーレ「ディアナ、そなたに贈り物があるのだが…」 ディアナ「あら、ありがとうございます…何でしょうか?」優美なデザインで最大32ノットを出していた高速スループ「ディアナ」は重要物資の輸送任務が多かったが、鎮守府では食堂をきりもりしている…艦娘「ディアナ」はボリュームのある淡い金髪で「ディアナ様」だけに水色の瞳に水色の口紅を引いている… チェザーレ「うむ…これなのだが」 ディアナ「まぁ、ミラノ製の調理道具セット…わざわざ買ってきてくれたのですか」 チェザーレ「いや、他に思いつく物がなくてな……これでディアナが楽に調理できるようになれば嬉しいぞ」 ディアナ「ええ、大事に使わせてもらいます♪」 提督「…」 チェザーレ「…ポーラ、構わぬか?」 ポーラ(ザラ級重巡)「はぁ〜い、何でしょ〜♪」 …重防御と攻撃力、ほどほどの速力をバランスよくを兼ね備えた重巡ながら、淡いグレイの髪にえんじ色のフレアースカート、淡い灰色のブラウスとふんわりとした印象のポーラ……ワインや洋酒に関してはかなりの目利きで、食卓にのぼるワインやリキュールの発注や時々ある押収品の競売では競り落とし役なども任されている…また、姉妹のザラ、フィウメ、ゴリツィアたちとは「あの時」の悲惨な結末の反動もあって一緒に過ごせることが嬉しくてたまらず、昼夜問わずにかなりの姉妹愛を育んでいる。最近はザラ級の改修型で一人っ子の「ボルツァーノ」もその渦に巻き込まれつつある… チェザーレ「いや…ちょっとした贈り物なのだが……」 ポーラ「贈り物ですかぁ〜、嬉しいです〜♪」 チェザーレ「ふっ、中身を見たらもっと喜んでもらえるはずだ…さ、開けてみてくれ」 ポーラ「はぁ〜い……わぁぁ、五つ入りのグラスセットですねぇ♪」 チェザーレ「うむ…銀製でフィレンツェのアンティークなのだ。これなら落としても割れぬから、姉妹の愛と友情をずっと祝い続けてくれるだろう…それと五つ目は仲良くしてくれているボルツァーノのために、そう思ってな」 ポーラ「ポーラ、嬉しいですっ…♪」 チェザーレ「…なに、たまたまチェザーレの目に留まってな……姉妹でワインを傾けるときにでも使ってくれ」 ポーラ「ありがとうございます、チェザーレ♪」 提督「…道理でお財布がすっからかんな訳ね……」 チェザーレ「…トリチェリ、素敵な錬金術士に似合いそうなケープを欲しがっていたであろう……チェザーレの見立てなのだが、着てみてくれぬか?」 トリチェリ(ブリン級大型潜)「そんな、こんな高そうな……ふんわりと軽くて、とっても馴染みますね……ガリレイ先生、チェザーレさんからこんな立派なケープを頂いてしまいました♪」 …フランコのナショナリスタ側スペインに引き渡された先代に続く二代目の「トリチェリ」は浮上砲戦に追い込まれ駆逐艦三隻、スループ艦一隻と交戦しながらも乗員の脱出・自沈までに英駆逐艦一隻を撃沈、一隻を損傷させるなど勇敢な艦で、名前をガリレオの弟子で物理学者の「エヴァンジェリスタ・トリチェリ」から取ったことから鎮守府の「錬金術士」組として淡い桃色と水色のケープや、クリーム色とセージグリーンのマントなど、お洒落な格好をしていることがある… ガリレオ・ガリレイ「あら、よく似合ってる…チェザーレ、トリチェリに素敵なケープをありがとう♪」 チェザーレ「ふふ…ガリレイにはこれを使ってもらおうと思ってな」 ガリレイ「あ、素敵な帽子♪」 チェザーレ「…羽飾りがいかにも「錬金術士」らしいと思ってな。ぜひ使ってくれ♪」 ガリレイ「まぁ、嬉しい。しかも大きさもぴったり……今度、ぜひ「ガリレイのアトリエ」まで来て?…色々おもてなししてあげるから♪」 チェザーレ「そうか、では今度お邪魔させてもらおう…♪」 提督「…古代ローマのチェザーレは女たらしで有名だったって言うけれど……うちのチェザーレもいい勝負ね…」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514656546/87
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