[過去ログ] ☆魔法先生ネギま!☆213時間目 (66レス)
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7: 2007/09/01(土)16:19 ID:KAmJwbiB0(5/25) AAS
 黒装束の少女は何も答えずに、携帯の向こうで沈黙した仲間の返事をずっと待った。
 女子寮を救った少女たち。真相に最も近い少女たち。魔法に近づき過ぎた少女たち。そして、仲間を救おうとここに至った少女たち。
 魔力で操られた生徒たちは既に動かず、少女たちは何も言わない。
 ただ闇は静寂を好むのだろうか、色濃い闇がさらに深く黒装束を包んでいく。
 そして、返事は―――

「ひう……ふうう…ふうう…ふう……」
 占い研究会の部室は、喉を震わせたエヴァの呼吸音が聞こえるほど静かになった
 エヴァを床に倒しての平らな胸を踏み付け、弱々しく開かれた脚の間から生えているモップで、幼い少女と違わない淡い色の性器をごりごり抉っていた円は、訝しげに眉を寄せた。
「美砂の歌が止まった? もうネギ君を捕まえたのかな……でも、ちょっと早過ぎる……」
「ふううぅ……痛い…痛い…抜いて、くれ……」
省16
8: 2007/09/01(土)16:20 ID:KAmJwbiB0(6/25) AAS
「ゔあ゙っ、あ゙あ゙ぁ――――――――身体がぁ――――――っ!」
 口から涎を垂らし、目から涙を垂らし、頬を紅く染めながらエヴァが叫んだ。未成熟な胸は相変わらずだったが、淡い色の突起がピンと張り詰めてその存在感をアピールしていた。
「マスター! しっかりしてください!」
 従者の呼びかけは耳に届かなかった。乳房がドロドロした欲の塊に変わる。恥部からは血を洗い流すように愛液が染みだして濡れていき、男根に飢えたむず痒い悲鳴を上げてエヴァを苛ませる。
 全身が敏感になり、神経が研ぎ澄まされて性感に繋がっていく。狂っていく身体をどうする事もできないままエヴァはガクリと膝を折って床に崩れ落ち、自らの火照った身体を自分で抱き締めて悲鳴を上げた。
 しかし、焦点が狂いかけた目はまだ光を失っておらず、焼き尽くされようとする理性の最後の抵抗を思わせる。その必死な瞳が円の嗜虐心を増幅させた。
 円は陥落寸前のエヴァに跨って手首を縛って平らな胸を捏ねまわし、勃起した乳首を爪先でこりこりと弄んで反応を愉しんだ。
「はひぃ、ひっ、ひいぃ……や、めてぇ、頭、、変になる……ひっ……ひいい……」
 理性で我慢できる快楽の限界は超えていた。100年を超える時を生きていた闇の女王が、20年も生きていない少女に乳首を弄ばれるだけで無様な牝の声を上げ、股間を更に濡らしていく。
「んじゃあ、トドメをさしてあげる。ループ空間もだいぶ狭くなって時間もないし。これで最後、押し潰される前に……」
省21
9: 2007/09/01(土)16:21 ID:KAmJwbiB0(7/25) AAS
(サウザンド・マスター………お前とこのように交わりたかった―――)

 崩れ去る寸前のエヴァの意識が、わずかに震える。

 あの男。
 もう会えない。話せない。いっしょにいる喜びも、安心感も、あの胸が高鳴る想いも、もう二度と戻ってこない。
 帰ってきてくれるって、言ったのに。

 どれだけ絶望したか。その当時は毎晩のように枕を涙で濡らしていた。
 何が残った……? 何も残らなかった!
 どうして、どうして私を置いて死んでしまったのだ―――
 帰ってきてくれるって言ったのに!
 帰ってきてくれるって言ったのに…
省19
10: 2007/09/01(土)16:21 ID:KAmJwbiB0(8/25) AAS
 茶々丸は何も言わず、泣くエヴァの姿を眺めながら、最早無駄な抵抗に近い結界解除作業を続けていた。従者のすぐ前で主人は淫らな声を上げて絶頂に向っていく。
「は、ああぁ………!」
 絶頂に達したエヴァの肉体がビクン! と震えた。その顔に真祖の面影は一片もなく、ただ性的な欲望に満たされた幸せな、そして哀れな少女の微笑みがそこにあった。
 巨根が限界に達し、エヴァの蜜壷にどくどくと大量の精液を注ぎ込んだ。エヴァは抵抗もすることなく、まるで締めているようにその行為が終わるのを待っていた。
「な、なんか調子狂うなー」
 円は逆に興醒めしたようで、エヴァをぽい、と乱暴に茶々丸の方に投げた。茶々丸はそれを受けとめるとハンカチを出してエヴァの股間を拭き、そして懐から試験管を出してエヴァに飲ませる。
「………うう」
 解毒作用がある薬のようで、エヴァの理性が少しづつ戻り始める。それを確認すると茶々丸は、その事に関しては何も言わずに陵辱された主人の脇に控える。
「忠実だねー。茶々丸さん」
 嗤う円が立っている場所を、ループ結界の境界線が透り抜けていく。
省23
11: 2007/09/01(土)16:22 ID:KAmJwbiB0(9/25) AAS
「………え? あれ……?」
 円も呆然として、ループ結界を易々と解除して立っているエヴァと茶々丸を見ている。
「どうやら、学園の結界が切られました」
「うむ、そのようだ……何かのトラブルか? まあいい」
 エヴァはばさりと蝙蝠で編んだマントを纏って裸体を隠し、どこか残念そうに「ふふふ」と笑った。
 結界の消失―――
 エヴァの魔力を極限まで押さえている結界、それが消えた。
 和泉亜子に大半を奪われて、残り僅かな魔力。それは普通の魔法使いレベルの力しかないが、しかし、結界がなくなった事でその力を存分に使える状態になったのである。

「え、えぇ!? なんで?」
 訳も分からないまま、エヴァと茶々丸に気圧された円がバットを構える。
省28
12: 2007/09/01(土)16:23 ID:KAmJwbiB0(10/25) AAS
 今、麻帆良学園を襲っている現象は、近づく者や関わる者を否応無しに巻き込み、拡大する混迷の渦である。その忌々しい渦を生んだのは真祖と呼ばれる吸血鬼の少女だった。
 その渦巻きに最悪の形で巻き込まれたのが、吸血鬼に変質し戻れなくなった一人の少女であるならば、以下に挙げる二人はさながら渦巻きに呑まれず、台風でいう目の位置に立っていたと言えるだろう。

 一人は見習い剣士、名は桜咲刹那。
 古都京都に本拠地を持った掛値なしの戦闘集団「神鳴流」の一員。魔法剣士。気を込めた剣は一振りで岩を砕いて魔を切り裂き、跳べばワイヤーアクションのように壁を越えるその能力は、常人を遥かに凌駕している。
 肌は白く端整な顔、目は刃物のように鋭い。背は小さいが四肢は鍛えられ引き締まっている。肉体はまだ熟れてはいないものの、硝子のような強さと脆さを内包した美しさに、男たちは思わず足を止めるだろう。

 もう一人は何も知らされずに育てられた才能、名は近衛木乃香。
 祖父は関東魔法協会の長、父は関西呪術協会の長。日本魔法界の中核「近衛家」、その血に秘められた強大な魔力を受け継ぐ令嬢である。その才能は関東を滅ぼせるとさえ謳われており、千の呪文の男をも超える。
 おっとりとした性格の大和撫子であり、長い黒髪が美しい。幼さが残る美顔からこぼれる笑みはホットケーキのように場を和ませる不思議な雰囲気を放っており、これも一種の彼女の才能だろう。

 二人は最初、お互いに大切な友達だった。立場も、家も、身分も関係ない、純白のティッシュペーパーのような関係である。しかしすぐに友達は護衛に変わり、また友達はお嬢様に変わっていった。
 時間は溝に、絆は闇に、願いは影に、想いは力に、
省21
13: 2007/09/01(土)16:24 ID:KAmJwbiB0(11/25) AAS
「あ、あ……?」
 よろよろと木乃香が刹那に近づいていく。まだ思考は正常に戻っていない。刹那はそんな木乃香に、やはりにっこりと微笑みながらどろりと口から液体を垂れ流し、そして倒れた。
「き…きゃああああああああああああ――――――! せっちゃん!」
 木乃香が刹那に慌てて駆け寄る。素人目から見ても、刹那の傷は決して浅くない。早く回復魔法をかけなくては命に関わりかねない。
 木乃香は倒れた刹那の傷に手を置き、回復魔法を唱え始める。溢れる液体で指や爪がべたべたになったが気にしてはいられない。
 しかし刹那は突然目を開くと、刀を握っていた手で木乃香の手を掴み、もう片方に握っていた呪符を全て発動させた状態で木乃香の身体の、胸の辺りに押し付けた。
「きゃっ!? せ、せっちゃん、何するん?」
 木乃香の障壁と刹那の呪符がバチバチと反発し火花を散らした。どうやら呪符は攻撃用の代物らしい。それと連動して刹那の身体にも負荷がかかるのか、傷が広がりプシャ! と液体が勢いよく吹いた。
「せ、せっちゃん………」
 木乃香を捕えた刹那は蒼白な顔で、「えへへ」と邪気のない笑みを浮かべた。
省15
14: 2007/09/01(土)16:25 ID:KAmJwbiB0(12/25) AAS
「果たして木乃香さんはどの程度消耗しているでしょうか?」
「枯れ果ててくれていると楽だがな」
 濃厚な闇の気配が辺りに満ち満ち、その中からぬるりと人影が屋上に現れる。
 生きた蝙蝠で編まれた漆黒のマントを纏うブロンドの少女と、巨大な銃を装備したメイド服のロボット―――従者二人を退けて「主人」の元に辿り着いたエヴァンジェリンと茶々丸である。
 二人の前では一糸纏わぬ姿の刹那と木乃香が絡み合うように抱き合い、冷たいコンクリに転がっていた。周囲にはどす黒い染みが飛び散り、少し離れた場所には汚れた刀が転がっている。
「せ、っちゃん……」
 ゆらりと立ちあがった木乃香が、闇にその身体を預けるような無防備な姿でぽつりと呟いた。刹那は安らかな顔で眠っており、微かに上下する乳房が呼吸をしている事を示している。
「ごめんな…ひくっ、ひっく、こんな辛い目に遭わせてもうて……油断しとったなんて、言い訳にはならへんよね……ごめん。ほんまにごめん……」
 ぼろぼろと零れ落ちる涙は、広がったドス黒い染みに吸い込まれるように消えていく。木乃香の乳房は真っ赤に腫れあがり、腹部は刹那から溢れた液でべとべとに汚れ、憔悴した顔は目だけがぎらぎら輝いている。
「あんたらか、せっちゃんに、変なことをしたんは」
省25
15: 2007/09/01(土)16:25 ID:KAmJwbiB0(13/25) AAS
「ついでに流れた血を少し舐めてみたが……血は不味かったな」
「せっちゃんの、血を……? ウチがずっと飲むのを我慢していたのに……?」
 呆然とする木乃香が、すやすやと眠る刹那を見る。
「マスター、なぜそのような嘘を」
「少し怒らせて魔法を乱発させる。もう少し消耗させないと今の状態では勝負になら―――」
 小声で会話するエヴァと茶々丸。その時、屋上は猛烈な光に包まれて闇を照らした。

「光の精霊173柱。集い来たりて敵を射て。『魔法の射手・連弾・173矢』―――」
「何―――っ!?」
 屋上から発射された魔法は、まるで光のシャワーが夜空に降り注いでいるような幻想的な光景を作りながら、麻帆良学園上空の闇を一気に塗り潰した。
「くっ、この化物めっ! くだらん呪文をどこで覚えた?」
省25
16: 2007/09/01(土)16:26 ID:KAmJwbiB0(14/25) AAS
 積まれた本は最新兵器の図鑑、刃物の写真集、式神術の教本、魔法アイテムの書物など。どうやらハルナがアーティファクトを使う時の資料にしたものらしい。そして、
「理科の教科書? こんなものがどうしてここに―――」
 それは少女たちが使っていた中学理科の教科書だった。
 その時、外がまるで昼のように明るくなり、爆発音が何回も響いてきた。校舎がガタガタと揺れて窓ガラスが割れて落ちていく。
「どうやら始まったようでござるが……いや、すごい」
 窓枠に残ったガラスを丁寧に取り除いてから、黒装束は窓から顔を出した。
「どれぐらいすごいんだ?」
「音と光のショーを見ているようでござる」
「遊園地かよ」
「ははは」
省30
17: 2007/09/01(土)16:27 ID:KAmJwbiB0(15/25) AAS
「来たれ氷精、闇の精。闇に従え吹けよ常夜の氷雪。『闇の吹雪』―――!」
「くっ! せっちゃんを狙わんとウチを狙え―――っ!」
 刹那の元に木乃香が駆け寄っていく。同時に屋上を突き破って、木乃香を追いかけるように闇のエネルギーの奔流が渦を巻いて殺到した。下の階からエヴァが攻撃魔法を放ったのである。
 刹那は穏やかな顔で眠ったままだった。木乃香は背中に迫る魔法の力を感じながら、刹那の身体を庇うように抱き締めて着物で覆う。そしてこれからくる苦痛に耐えようと、ぎゅっと目を閉じた。
「せっちゃんは、ウチが守る―――」
 攻撃魔法が木乃香の背中に押し寄せ、そのまま呑み込んだ。鈍い爆発音が響いて屋上の3分の1が吹き飛び、宙に二人の少女が投げ出される。
 刹那は無傷で眠ったまま、まるで葉が風で舞っているように穏やかに虚空に投げ出された。木乃香は裂けてボロ雑巾のようになった着物を纏いながら、刹那を目で追い続けていた。
「せ、っちゃ、ん」
 木乃香が明らかに重力以外の外力を使って空中を移動し、そのまま刹那をがっしりと抱き締めた。そして屋上にいたエヴァと茶々丸に向けて何かを叫ぶ。
「――――――――――――――――っ!」
省14
18: 2007/09/01(土)16:28 ID:KAmJwbiB0(16/25) AAS
 両者が渾身の力で呪文を放ち、両者はそのまま相手の呪文で吹き飛ばされた。エヴァは地面を転がっていき、倒れた木乃香の着物は限界を超えて呪符に戻っていった。
「う、ぐううう……後、少しというところで………」
 苦しそうに呻き声を上げるエヴァの前で、木乃香がずりずりと地面を這っていく。その先には着物の懐から落ちた仮契約カードの束が転がっていた。
「させるか……うぅ……」
 エヴァは攻撃魔法を使う魔力が残っておらず、木乃香が仮契約カードに近づくのを阻止できない。
 と、その時、
 パチパチパチと拍手しながら、
 その黒装束は現れた。

「いやいや、両者いい勝負でござった」
 携帯を肩と首に挟んで穏やかな微笑を浮かべながら、長瀬楓は闇の中から溶け出すように現れた。その細い目に木乃香とエヴァを交互に映し、にやりと口を三日月に歪める。
省20
19: 2007/09/01(土)16:29 ID:KAmJwbiB0(17/25) AAS
 千本鳥居の奥、満開の桜の海に聳える関西呪術協会総本山―――
 木乃香の祖父や父、何十人もの巫女が並ぶ大広間に一人の女が運ばれてきた。手足を魔法で
拘束され、無地の地味な着物を纏っている。彼女は麻帆良学園女子寮で捕えられた反乱分子で
ある。対策会議で関西に来ていた学園長は、この女の尋問に同席する事になったのだ。
「天ヶ崎千草の意識が戻りました―――」
 近衛家の重鎮たちの前に女を運んできた巫女たちが、礼をして離れていく。
「ふむ、では聞かせてもらおうかのぉ。あの夜、女子寮で何が起こったのか」
 殺気を含んだ老人の声が響く。しかし千草はそれに反応を示さず、ぽつりと呟いた。
「このかお嬢様はお元気なんか?」
「それが分かっていたら、苦労はせぬ」
省18
20: 2007/09/01(土)16:30 ID:KAmJwbiB0(18/25) AAS
 どん! と立ち昇った三本の光の柱から現れたのは三人の従者たちだった。椎名桜子、早乙女
ハルナ、宮崎のどかは危険な光を眼に宿らせながら堂々と、そして異様な殺気を放ちながら学園
に降り立つ。桜子は手に巨大なピコピコハンマ、のどかは手に一冊の本、ハルナは手にスケッチ
ブックを持っている。翼をリュックサックのように背負ったハルナが、素早く木乃香を救出した。
「ちっ、しくじったか―――」
 苦無を構えながらじりじりと距離を広げていく楓、流石の楓といえども三人の従者と同時に戦う
気にはなれない。魔力で強化されている上に強力なアーティファクトを持った強敵である。
 逃げる楓を見てハルナがにっこりと嗤い、スケッチブックから一冊の本を創りのどかに与えた。黒
いブックカバーで覆われた薄い本、手帳サイズの大きさでありページには何も書かれていない。

「ふふふ、のどか、せっかくだから楓ちゃんで、この本の威力を試してみなよ」
省27
21: 2007/09/01(土)16:31 ID:KAmJwbiB0(19/25) AAS
「試作アイテム『ブラックリスト』―――ふふん、なかなかのモノだね」
 のどかの黒い本をアーティファクトで創ったハルナが、まるで自分の子供を誇る母親のような笑
みを浮かべて、誇らしげにそう言った。
 のどかの黒い本、美砂や円には恐怖と畏敬の念を込められて「アレ」とだけ呼ばれるその物体
は、ハルナが非戦闘員ののどかの為に創り与えた広域攻撃兵器だった。
 モデルにしたのはのどかのアーティファクト「魔法の日記帳」である。有効射程範囲は本から20
0メートル。その範囲内にいる対象の名前を唱えれば、ブラックリストは自動的に対象の脳内情報
を読み込み保存する。そこで対象の名前を墨で塗り潰すと、対象の意識は墨に染まったように暗
転して停止し、そのままのどかの命令を聞く傀儡に成り果てる。解除するには、ブラックリストから
該当するページを破り取らなければならない。
省37
22: 2007/09/01(土)16:32 ID:KAmJwbiB0(20/25) AAS
 それは、燃え盛る巨大な隕石だった。
 エヴァはその隕石に見覚えがあった。それはエヴァたちが使っていた中学理科の教科書の、天
体分野の資料としてカラーで載っている小惑星のイラストである。教科書の改訂が行われてもそ
のイラストは削除されなかったのだ。その太陽や地球や月のオマケである紙上の小惑星を、ハル
ナはスケッチブックに書き写し、武器として使用してきたのだ。
「作品名―――『メテオ(大)』」
 ハルナの声が遠くから聞こえたような気がした。隕石の熱気がエヴァを包む。逃げられない。防
げない。どうしようもない。障壁も発生させられない今のエヴァに、何ができるだろうか。
「………ふふっ。首を洗って待っていろ! サウザンドマスタ――――――っ!」
 赤い炎が目の前に広がり、エヴァの意識はそのまま消えた。
省33
23: 2007/09/01(土)16:32 ID:KAmJwbiB0(21/25) AAS
「さあ、お祭りの開始だよ―――!」
 人を狂わす歌が広がる。兵隊が増える。武器が撒かれる。黒い本を持った一団は、壊れたテー
プレコーダのようにリストの名前を繰り返し唱えながら前進する。群衆が武器を構える。銃器に剣
に魔法アイテム。ピコピコハンマを持った桜子と、釘バットを持った円が群衆を率いる。歌う美砂。
木乃香の傍に付くのどか。
「もうちょっと味方を補強しとこうか」
 ハルナが次に創り出したのは、巨大な蜘蛛だった。式神術の教本に載っていた「鬼蜘蛛」と呼ば
れる式神である。固いボディに8つの黒い目、強力な牙に脚力、糸を吐く能力を持った怪物。何十
も量産されたその怪物の軍勢は、群衆の軍勢を守るように先行して敵を探す。
「みょおおぉぉぉぉ―――――」
省34
24: 2007/09/01(土)16:33 ID:KAmJwbiB0(22/25) AAS
「夢の妖精、女王メイヴよ、扉を開き夢へといざなえ―――」

 エヴァとの戦闘でボロボロになった木乃香と全裸の刹那が手を繋ぎ、額に同じ呪符を貼り眠ってい
る。木乃香の横ではエヴァと楓がいっしょに、魔法で木乃香の夢を覗いていた。
「―――ぐ、ダメだ。魔力の限界だ」
 エヴァと楓は木乃香の夢から帰ってくる。それは時間にして一秒にも満たない旅だったが、木乃香
が紡いだ麻帆良の未来の一つは膨大なイメージとなってエヴァや楓の脳に焼き付いた。
「やれやれ、これは厄介なことになったぞ―――ジジイの孫め。くだらん命令を残しよって」
 木乃香の近くに落ちていたハルナの仮契約カードを睨みながら、ぽつりとエヴァが呟いた。
「近衛の姫が覚醒し本気になれば、関東は滅ぶ―――関西のバカどもの妄想だと思っていたが……」
 楓は微動だにせず、後悔に彩られた瞳を虚空にさ迷わせている。
省31
25: 2007/09/01(土)16:34 ID:KAmJwbiB0(23/25) AAS
 エヴァが舌打ちをして木乃香に近づく。刹那が悲鳴に近い声を上げて木乃香に迫る。楓は訳が
分からないままその場に立ち尽くしていた。
 三人の目の前で、半分になったハルナのカードが爆発するような光を放った。
 従者の召喚は失敗した。
 しかし、命令は送り込まれた。

 滅せよ。処刑せよ。沈黙させよ。排除せよ。滅殺せよ。全殺せよ。
 エヴァンジェリン、茶々丸、長瀬楓、近衛家、関東魔法協会。
 敵を滅ぼせ。討て。焼け。崩せ。壊せ。切れ。解け。
 そして、せっちゃんと二人きりの楽園を、天国を、夢を、世界を―――
 主人の最後の命令を、
省25
26: 2007/09/01(土)16:35 ID:KAmJwbiB0(24/25) AAS
「遅れて申し訳ありません、このかお嬢様。今、闇からお救いいたします!」
 燃える麻帆良学園都市を背景に、白い巫女姿で軍勢の前に現れた刹那は宣戦布告すると、そ
のまま剣を群衆に向けて駆け出した。群衆の中から、背中に翼を背負ったハルナが上空に飛び
出して刹那を睨み、下にいる美砂に手で合図をした。
「ふん、たった一人で何ができるのかなあ―――?」
 美砂の歌に導かれて群衆は左右に分かれ、刹那を凹字の形で取り囲むようにぞろぞろと動き始
める。手に持っているのは刀剣の類の他に、銃器を持っている者も少なくない。
「私たちに、貴女一人で勝てると思っているんですかー? 桜咲さん」
 のどかが黒い本を持ってジャンプし、群衆の前線に軽やかに着地する。楓を壊した黒い本がぱ
らぱらと風に捲られた。刹那が射程距離に入るまで数十メートルである。
省34
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