[過去ログ] 大西武文(平成退屈男)のねずみ講にご注意 (542レス)
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405: 2014/08/17(日)12:18 ID:idEaQTKA0.net(2/2) AAS
聞いていたイクナシオンは、
「きさまあ!俺を騙したな!」
「男は針の穴のチャンスに賭けるのだ!」
バルバスが喚くと同時に、地球軍艦隊の後方で、突然、数隻の潜水艦が姿を現した。
「総統、敵の潜水艦です!」
イクナシオンの司令室が騒ぎ始める。振り向きざま、通信を切った。それと同時に、数十発の魚雷が旗艦に向かって飛んできた。
「しまった!」
一発が旗艦の戦艦に命中する。
ディアナ軍のバルバスの旗艦では、「敵の旗艦に命中!」と、報告があった。
「よし、戦闘機、全機発艦!空母を叩け!」
省10
406: 2014/08/24(日)01:24 ID:usCpQtSH0.net(1) AAS
「深追いするな!イオン砲の届くところまでにしろ!艦隊は動くな!哨戒機、敵の被害状況を調べて報告せよ!」
数百の煙を吐きながら、地球連邦軍艦隊は、地球へ向かって帰投をしていく。
やがて、哨戒機の部隊から連絡が入った。それを印刷して手に取り、バルバスは読み上げた。
「旗艦戦艦中破、空母二隻撃沈・八隻大破、十三隻被弾、戦艦七隻大破・・・」
読み上げると、
「よし、戦闘機を帰艦させよ。月に帰投する!」
のちに「第一次宇宙海戦」と呼ばれた戦闘は、ディアナ軍の圧勝で終った。
407: 2014/10/06(月)00:58 ID:HPfkqg020.net(1) AAS
月の空軍基地の門で、エミリは待っていた。手には携帯電話を持っていた。そのメールをまた見てみた。
「数日間の休暇が出た。十三月三日、基地の門で待っていてくれ」
それを見て、また、「うふふ」と、一人で笑う。
やがて、基地から軍人たちが、ぞろぞろと出てきた。エミリは集団の中を探した。
「おい、おい・・・」
手を振って走り寄ってきたのは、「中尉」の階級章を付けた若者だった。
「ウルコフ!」
叫ぶと、相手の男に飛び上がって抱きついた。
「やっと休暇が取れた。何か食べに行こう!」
ウルコフが誘う。駐車場に行き、自動車に乗って、エンジンをかけると、車体が少し浮いて、車輪が格納された。車は発進する。レストランに行った。二人で入る。
省28
408: 2014/10/27(月)23:09 ID:jo0KnOGa0.net(1) AAS
エミリを家まで送ると、ウルコフは自宅に戻った。母・マチアが待っていた。
「やあ、母さん、数日だけ戻れたよ」
母は嬉しそうに、
「ますます父さんに似てきたよ。さあ、入りな」
ウルコフは靴を脱いで入った。そして仏壇に行って、父の位牌に手を合わせた。軍服姿の写真が飾ってあった。
「食事にするかい」
台所から母が声をかけた。
「ああ」
二人で、食卓についた。母が食事を用意して、一緒に食べ始めた。母が話しかける。
「前の戦争に、出てたんだろ」
省15
409: 2014/11/06(木)00:27 ID:v1MvVrGs0.net(1) AAS
その頃、ディアナ連合軍・作戦会議室。
バルバス提督を中心に、ディアナ軍の軍幹部が集まっていた。テーブルには、地球の首都・ニューヨークの画面が映っていた。参謀の一人が指揮棒で説明する。
「特殊部隊に偵察させたところ、このような物体が造られていました」
バルバスが聞く。
「なんだこのピラミッドのようなものは?」
「はい。エネルギーレベルを計測させたところ、我々の使用している液化水素燃料の一億倍以上のレベルを計測しました」
「一億・・・なら、核融合だな。やつらは開発に成功したのか」
「そうらしいのです。ここから、プラズマを放出して、すべての兵器の動力源としているところまで、突き止めました」
「そうか・・・では、これを破壊すれば、敵は動力源を失う訳だ」
「もちろん、予備として液化水素は持っているでしょうが、核融合を武器にした兵器は使用できなくなります」
省18
410: 2014/11/14(金)23:12 ID:C37R+rh00.net(1) AAS
ウルコフは翌日は、朝からエミリとディズニーランドに行った。エミリは思いっきりはしゃいでいた。
ベンチに座ると、
「ねえ、私たち、そろそろ結婚しない?」
ウルコフは驚いて、
「軽いノリだな。そんな大事な事を・・・」
「あら?それとも他に誰かさんがいらっしゃるのかしら??」
顔を覗き込んできた。ウルコフは顔を背けて、
「いねえよ・・・」
そう答えると、エミリは、
「じゃあ、迷うのは、なぜかしら??」
省13
411: 2014/12/02(火)22:12 ID:KTH143560.net(1) AAS
「諸君、休暇中にご苦労。地球を攻撃する作戦が決まった」
皆は緊張して聞いている。
「ここに集められたのは、我がディアナ軍の宇宙戦闘機パイロットでも、最も優秀な兵士だ。誇りを持て。そして、簡潔に話すが、今度の作戦で、必ず戦死する任務に就くパイロットが、必要になった。人数は、三十人だ。いいか・・・」
皆は提督を凝視した。
「必ず戦死する。従って、この任務は、志願者だけにする。一日だけ考える時間を与える。志願するものは、明後日、午後十三時、再びこの部屋に集まれ。
そして、もうその者は、二度と家に帰る事は無い。これは命令ではない。志願である。志願した者だけに、作戦を伝える。そして、すぐに、任務に就いてもらう。
家族と別れ、遺書を書き、思い残す事のないようにしてから、ここに戻ってこい。なお、これは極秘であるから、志願しなくとも、記録として残らない。まったくの諸君らの自由意志である。以上」
「起立!」
「敬礼!」
「解散!」
省7
412: 2014/12/21(日)03:52 ID:esiAHA3c0.net(1) AAS
「どこに行きたい?」
神妙な顔で聞く。
「どこでも」
ウルコフは、
「一番、行きたいところは、どこだ?」
と、念を押した。
「何よ・・・変な奴・・・じゃ、海!」
「よし」
車を発進させて、海岸に向かった。砂浜で、並んで座った。空には、青い地球が浮かんでいた。それを見上げながら、
「エミリ・・・」
省21
413: 2014/12/24(水)21:22 ID:pybFwX7G0.net(1) AAS
「行かないで・・・」
ウルコフは、泣き出した。
「分らない・・・でも、それが俺の運命のような気がする」
エミリも、泣き出した。
「自分から死を選ぶのが、なぜ運命なの?」
「理屈じゃない」
「私は・・・許さないからね!」
立ち上がった。エミリは、車の方に歩いていく。ウルコフも立ち上がって、追いかけた。
「エミリ!おまえを愛している。だから、真実を話している。でも、母にだけは、志願したとは、言って欲しくない。頼む!」
両手でエミリの肩を掴んだ。
省10
414: 2014/12/29(月)20:19 ID:vv771Dj80.net(1) AAS
その夜は、眠れなかった。しかし、遺書は、書かなかった。
翌朝、またエミリが家までやってきた。
ウルコフは支度すると、
「じゃ、母さん、デートしてくる」
明るく笑って、出かけた。
エミリは、
「教会に行きたい」
と、言った。
「分った」
車を走らせ、町の教会に入った。エミリは、
省12
415: 悲痛痔 2015/01/04(日)19:22 ID:3ex4rwON0.net(1) AAS
前からおんぶ
416: 2015/01/05(月)02:39 ID:1v20ia7W0.net(1) AAS
家に帰ると、ウルコフは、マチアに、「母さん、明日の朝は、おはぎとしるこにしてくれ」と頼んで、その夜はぐっすり眠った。
朝起きると、おはぎとしるこが作ってあった。
「うまい、うまい」
バクバク食べる。
母は微笑んでいた。
「じゃあ、今度はいつ帰れるか、分らない」と、車に乗り込んだ。
母は見送って、「いつでも戻ってきな」と、手を振った。
「ああ」
それが、最後の母への言葉だった。
運転しながら、胸ポケットから、写真を取り出した。
省12
417: 2015/01/11(日)01:14 ID:rx3BUvTF0.net(1) AAS
「このピラミッドは、核融合原子炉だ。エネルギーレベルは、液化水素の数億倍ある。もしこのエネルギーで兵器を造られたら、月を丸ごと破壊するほどの核兵器が出来てしまう。
また、この原子炉を破壊すれば、敵の兵器のすべての動力源を止める事ができる。そこで、破壊する方法だが・・・」
皆を見回してから、
「ピラミッドの四辺に、四つの排気孔がある。直径は十メートル、長さは数キロメートルで、直線である。ここに、正確な角度で、しかもブレが無い方法で、ミサイルを撃ち込むしかない。
しかし、ミサイルは必ずブレを生じる。たとえ穴に命中させても、数キロの通路を飛んでいるうちに、摩擦で爆発してしまう。そこで、・・・」
と、また、皆を見渡してから、
「一つの方法を考えた。宇宙戦闘機・デリアスなら、胴体直径は宇宙戦闘機の中で最も細い。即ち、爆弾を胴体の内部に詰め込み、機体ごと、排気孔に突入させる。
マッハ以上で、正確な角度で突入すれば、翼が吹き飛んで、胴体だけ原子炉まで、一気に滑り落ちる。分るか?脱出する方法は、無い」
パイロットの一人が質問した。
「胴体が原子炉に当たれば、原子炉は爆発するのですか?」
省10
418: 2015/01/21(水)22:47 ID:xW7KkPYa0.net(1) AAS
十三月下旬、ディアナ始まって以来の、戦争が開始されようとしていた。地球軍も、先の第一次宇宙海戦での損害を立て直して、真っ向から挑んできた。
ディアナ軍旗艦「ライファー」の艦橋では、突撃隊の「別れの水杯」が、行なわれていた。隊員たちは、自分たちの部隊を、「カミカゼ」と呼んでいた。
三十名の隊員は、横一列に並んで、一人ずつ、バルバス提督の杯を受け取って飲み干した。バルバスは、
「この決戦の勝敗は、諸君の成功如何にかかっている。頼むぞ!」
と、訓示した。全員、「敬礼」をすると、小型船に乗り移り、空母に向かった。バルバスは、司令室に入る。
「カミカゼが発進し次第、総攻撃を開始する!」
全軍に通達した。カミカゼ隊は、空母に移動すると、赤く塗られた機体の「デリアス」に、各々搭乗した。その中にウルコフも居た。彼は「十三号機」であった。ヘルメットから、交信が聞こえる。
「一号機、発進準備よし」
「二号機、準備よし」
「三号機、準備よし」
省8
419: 2015/01/28(水)23:28 ID:vWV6/bN70.net(1) AAS
旗艦・ライファーでは、
「カミカゼ、発艦しました」
と、報告があった。バルバスは、
「よし、全艦隊突撃、戦闘機は全機発進、駆逐艦は突進せよ」
戦闘命令を出した。
地球からは、星のような数の無数の大艦隊が向かってくる。
「敵戦闘機接近。味方戦闘機と交戦します」
通信員が報告する。
「敵の旗艦はまだ見つからんか?」
「索敵中です」
省17
420: 2015/01/31(土)22:50 ID:MbqWJd0F0.net(1) AAS
一番機をレーダーで見ていると、敵の潜水艦にまっしぐらに向かっていた。
(まさか・・・)
見ていると、やはり、自爆する態勢である。やがて、衝撃波が観測されて、潜水艦も一番機も、信号を消した。ウルコフは「合掌」をする。
「こちら二番、敵潜水艦沈没、これより指揮を取る」
「了解」

旗艦・ライファーで、バルバスは怒鳴っていた。
「弾幕を脹れ!カミカゼはどうだ?」
「十一号機、敵潜水艦に突入し自爆、潜水艦は沈没!」
「他は?」
「残り二十九機、予定通り侵入中、まもなく大気圏に突入します!」
省28
421: 2015/02/01(日)23:48 ID:WX6rCxuN0.net(1) AAS
ウルコフも、機を急降下させた。敵の基地からは、物凄い弾幕だった。次々にカミカゼが一機、二機と、空中爆発する。
「こちらカミカゼ十三号機、排気孔を確認した!」
ウルコフが叫ぶ。排気孔の角度を計測して、同じ角度で弾道飛行をセットした。もう、「ブレ」は許されない。
「エミリ・・・母さん・・・」
母の写真を右手に取って、左手で操縦桿を握り締める。排気孔が見えてきた。
「エミリー!!」
ドーン、と、機体が穴に突っ込んで、翼が吹き飛ぶ。そして、胴体だけ、通路を突進していった。
やがて、大音響と共に、「きのこ雲」が、巻き上がった。核爆発である。上空の潜水艦たちも、すべて巻き込まれた。

「地球で振動を確認!」
通信員が叫ぶと、
省12
422: 2015/02/12(木)00:24 ID:qI94KP0v0.net(1) AAS
「宇宙大戦」が始まってから、エミリは、マチアの家に泊まり込んで、ウルコフの部屋を使っていた。
テレビで「ディアナの勝利とイクナシオン総統の戦死」を聞くと、マチアは大変に歓んだ。エミリは本心を隠し、一緒になって歓んだ。
しかし、数日後、一人の軍人が、家を訪ねてきた。二人が玄関で迎えると、その軍人は、帽子を脱ぎ、一礼して、こう言った。
「ご報告申し上げます。ご子息、ウルコフ=バスリンク中尉は、名誉の戦死をされました。
提督より、ぜひとも、ゴールドイーグル勲章を、授与したいとの事ですので、明日、戦勝式典において、ご出席を願います」
マチアは、それを聞くと、崩れ落ちた。エミリとその軍人が抱きかかえる。
「お母さん、しっかりなさって下さい」
エミリが必死に庇う。軍人は、
「無念です。優秀なパイロットでした。ぜひとも、明日の式典には、ご出席下さい」
マチアは、嗚咽して、返事ができなかった。代りにエミリが返事をした。
省8
423: 2015/02/17(火)01:49 ID:0leMgD2J0.net(1) AAS
翌日、盛大な戦勝式典が執り行われた。マチアはバルバス提督から、軍人最高の勲章を授与された。
大観衆の中、居並ぶ軍人と、戦死した兵士の家族が並び、「月の歌」を斉唱した。

 月影の 至らぬ里は 無けれども

 眺むる人の 心にぞ澄む

マチアは、勲章を首に掛けていたが、旗を見る事は無く、背を丸めて、ただただ、俯いていた。
エミリは常にマチアに寄り添っていた。胸を張って、旗を見上げ、小声で斉唱した。涙が溢れて止まらなかった。

夜、海に一人で行った。エミリは、星を眺めていた。
「どの星だろう・・・」
ウルコフの星を探した。そのとき、一筋の流れ星が走った。
「あ・・・」
省7
424: 2015/02/18(水)22:45 ID:BzDfFyyD0.net(1) AAS
小説「故郷への凱旋」
故郷への凱旋

・・・私はこの作品を、すべてのハンセン病患者に捧げる・・・

昭和十七年春、十八歳の小宮山浩作は、家で母・オキナと食事をしていた。
「きっと戦闘機乗りになる」
息子が言うと、母は、
「戦闘機は危ないよ。偵察機とか、そういう安全な飛行機にしな」
しかし息子は、
「男なら、零戦(れいせん)だよ。敵をバッタバッタと、撃ち落すんだ」
「零戦はそんなに凄いのかい?」
省15
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