ラテン語スレ [無断転載禁止]©2ch.net (719レス)
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153: Nemo (オイコラミネオ MMa3-LwLC) 2018/06/09(土)10:03 ID:CoFwAnmnM(1/3) AAS
>>145
Fiat lux!
>2。p.200 でアオリストという相への言及があるのですが、よくわかりません。
> 動詞幹から完了幹を作るときに問題が発生するのでしょうか。
> アオリストにも過去、現在、未来はあるのでしょうか。
このような、印欧語学に関わる問題は、ラテン語の知識だけでは足りない。同時にギリシャ語もやらないと理解は難しい。
古代ギリシャ語の動詞時制を見れば分かるように、過去時制は大体インペルフェクト、アオリスト、ペルフェクトに大別できる:
α) インペルフェクトは過去における動詞の継続、反復など、動作の完了に言及しない時に用いる
β) アオリストは過去における動作の実行にだけ言及したい時に用いる
γ) ペルフェクトは過去における動作の完了に言及したい時に用いる
省5
154: Nemo (オイコラミネオ MMa3-LwLC) 2018/06/09(土)10:17 ID:CoFwAnmnM(2/3) AAS
>>145
インペルフェクト(未完了過去)は、アスペクトとしては継続性を表すが故に、動詞の現在時制とはその語幹に関連性があり、現在語幹を流用して形成され、又形態的には不規則性は殆どない。
他方、完了語幹は現在語幹と、印欧祖語における形成法は大きく異なる。
例えばギリシャ語 λειπω(leipō)は語頭音(この場合 le-)を重ね、更に本体の語根母音は母音交替(アプラウト)を起こして規則的に λελοιπα(leloipa)となる。
これを名付けて、畳音と呼ぶ。
これはギリシャ語的には非常に規則的な形態であるが、大半の印欧語話者には不規則的に感じられた。(勿論、古代ラテン人も例外ではない)
ラテン語にはこの畳音によるペルフェクトは cano「歌う」のそれ cecini など極僅かしか残っていない。
ギリシャ語を勉強したことのないラテン語学習者が、アオリストと聞いて混乱するのは、大体こんなところに原因がある。
155: Nemo (オイコラミネオ MMa3-LwLC) 2018/06/09(土)10:42 ID:CoFwAnmnM(3/3) AAS
アオリストは過去時制には間違いないが、そのアオリスト語幹は他の時制にも流用される。
その場合、動作の完遂というニュアンスを強く帯びることになる。
例えば前出ギリシャ語 leipō「残す」の命令法を現在語幹から造って leipe! と言えば、「(例えば食事を食べ切れないなら)残しとけば?」といったニュアンスの柔らかい表現になるのに対し、
アオリスト形 elipon「私は残した」の語幹を流用して、アオリスト命令形 lipe! と言えば、
「(何があろうとも)絶対残しとけよ」という強い表現になる
尚、ラテン語では、印欧祖語のペルフェクトがアオリストを吸収して、単なる完了過去時制として再編された為、本来のペルフェクト(現在完了)が持つ、現在における動作の完了を表す時制を失ってしまった。
その代わりに迂言的な言い回し、つまり librum lectum habeo「私は読まれた本を持っている」が新たな現在完了形として、後期ラテン語において発達した。
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