[過去ログ] (井の中の蛙・V30)法務局58匹目(人工知能・AI) (895レス)
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840: 2021/12/20(月)20:30 AAS
基本的な考え方 1 公用文作成の在り方
(1)読み手とのコミュニケーションとしての公用文作成
ア 読み手に理解され、信頼され、行動の指針とされる文書を作成する
国の府省庁による行政は、主に文書によって実施される。国民の生活に影響するルールや指針を示 し、また、それに伴う必要な行為を要請するのも、文書によることが多い。そして、そういった文書 の目的や意義をより親しみやすく伝えるために、解説や広報などの文書が別に示される場合もある。
これら府省庁において職務上作成される文書の全体を指すのが「公用文」である。公用文は、読み 手に過不足なく理解され、また、信頼され、それによって必要な行動を起こすきっかけとされるべき である。文書をどのように作成するかは、そのまま行政への信頼の度合いにつながるとも言える。
公用文は、伝えたいことを一方的に書き連ねるものではない。文書を受け取って読む相手がいるこ とを意識し、読み手が何を知りたいと考えているのかを想像しながら作成する必要がある。一方向の 情報発信であっても、書き言葉によるコミュニケーションとして捉えるとよい。
イ 多様化する読み手に対応する
読み手となる人々は、かつては想定されなかったほどに多様化している。これからは、例えば、ふ だん文書に触れることの少ない人などへの配慮が、ますます重要になると考えられる。書き手は読み 手の理解力に頼りがちになる傾向がある。特に広く一般の人たちに向けた解説や広報においては、義 務教育で学ぶ範囲の知識で理解できるように書くよう努める。
ウ 地方公共団体や民間の組織によって活用されることを意識する
国が示す公用文は、地方公共団体や民間の組織等によって、広く子供から高齢者まで読む文書に、 更には日本語を母語としない人々などに向けた平易で親しみやすい日本語に、書き直されることも多 い。そのことを意識して、あらかじめ読みやすいものにしておくことが重要である。
841: 2021/12/20(月)20:31 AAS
エ 解説・広報等では、より親しみやすい表記を用いてもよい
法令や告示・通知等では、公用文表記の原則に従う必要がある。ただし、広く一般に向けた解説や 広報など、文書の目的や対象となる読み手によっては、国の府省庁等が作成する文書であっても、公 用文表記の原則とは異なる表記を用いる方が効果的な場合がある。例えば、常用漢字であっても使用 を控えたり、あえて振り仮名等を付けたりするなどの工夫ができる。ただし、一つの文書の中で、同 じ用語に幾つもの表記が混在することのないようにする(引用部分を除く。)とともに、個人の判断に 頼らず、各部署で表記に関する考え方を共有しておく。
オ 有効な手段・媒体を選択する
近年、国の府省庁での情報発信は、ウェブサイトを中心に行われる傾向がある。しかし、インター ネットで広く公開すれば十分というわけではない。対象となる読み手にとっての利便性に配慮し、無 理なく情報を受け取ることができる手段・媒体を選択するよう努める。また、どのような手段・媒体 を用いる場合にも、書き手の立場や文書で取り上げる施策等を所管する機関や部局を明示し、責任の 所在を明らかにしておきたい。
842: 2021/12/20(月)20:31 AAS
(2)公用文の分類
ア 公用文の分類例
「公用文」とされるものの範囲は、これまで厳密に定められてきたわけではない。各府省庁におい て業務上作成される文書類の全てを指して使われることもあれば、法令をはじめ、内外に対して一定 の拘束力や影響を及ぼす告示や訓令、法令に基づいた通知等のことに限っていう場合も見られる。
文書の目的や想定される読み手などを基準に、公用文を便宜的に分類する場合の例を示したのが次 に示す表「公用文の分類例」である。本来公用文は、日本で日本語を用いて生活している人であれば、 誰でも読めて理解できるものとすべきである。そのことを踏まえた上で、ここではあえて、それぞれ の文書を実際に読み活用する機会が多いと考えられる人を「想定される読み手」として整理した。
なお、法令も広い意味では公用文の一部であり、法令と公用文においては、表記の一致が図られ てきた。ただし、本報告では法令を直接の対象とはしないため、別枠として扱っている。
表)公用文の分類例
大 別 具体例 想定される読み手 手段・媒体の例
法令
法律、政令、省令、 規則
専門的な知識が ある人
省30
843: 2021/12/20(月)20:32 AAS
イ 分類の考え方
表に示した公用文の分類例は、便宜的なものであり、必ずしも明確に区分できるものではない。そ の点に留意しつつ、大別した文書類のそれぞれについて説明する。
【告示・通知等】
法令を除く公用文のうち、法令に準ずるような告示や訓令等は、内外に対して一定の拘束力や実 効性を持つものである。したがって、作成に当たっては、法令と表記を一致させるなど、法令に準 じて扱う。
また同様に、一定の拘束力や実効性を持つ通知や通達等においては、法令で用いる語をそのまま 使うことによって、正確さを保証すべきものがある。これらも公用文表記の原則に従って書く。各 府省庁が文書番号を付して発出するような文書は、おおむねここに分類される。
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基本的な考え方>1 公用文作成の在り方 (2)公用文の分類
【記録・公開資料等】
記録・公開資料等の例としては、議事録・会見録、統計資料、報道発表資料、白書が挙げられる。 これらにおいては、過去から将来にわたり、情報の正確さを保つことが重要である。したがって、 公用文表記の原則に従うことを基本として作成すべきであろう。
ただし、内容や目的によっては、専門的な知識を持たない読み手を意識し、分かりやすい書き方 が求められる場合がある。特に報道発表資料や白書では、必要に応じて法令に特有の用語をかみ砕 いた表現に直すなど、専門的な知識は持たなくとも関心のある人々にどのように伝えるかを工夫し たい。話し言葉を書き言葉に直して保存する議事録や会見録では、元の内容を正しく保ちながら、 簡潔に分かりやすくまとめるよう努める。
省2
844: 2021/12/20(月)20:32 AAS
ウ 公用文の分類を意識することの意義
現在、各府省庁で作成される文書類は多様である。上記の分類例で見たように、国民の生活に直接 的な影響を及ぼすルール等が告示・通知等によって示されることをはじめ、各府省庁の取組とその内 容を広く公開するための記録・公開資料等も日々作成されている。さらに、政策・施策の内容をより 親しみやすく伝える解説・広報等の活動も盛んであり、今日では、SNS(ソーシャル・ネットワー キング・サービス)による発信に力を入れているところも多い。これからの時代においては、文書等 を受け取る相手や伝達の手段・方法が更に多様になっていくことが予想される。
告示・通知等、法令に準ずるような文書では、特に正確さを重視し、今後も従来どおり、法令と一 致した表記を用いることをはじめ、公用文の書き表し方の原則に従っていくべきであろう。
一方、各府省庁では、主に広報などの分野で、多様な文書類それぞれの性格に応じた書き表し方の 工夫が既に行われてきている。今後は、そういった考え方をあらかじめ共有していくことが望ましい。 そのためにも、政府全体で又は府省庁等ごとに、公用文を作成する際に参照できる表記例集や用語例 集を整え、共有するなどの工夫が望まれる。公用文の書き表し方の原則を理解した上で、読み手に応 じた工夫の仕方を考えたい。
エ 施策への関心を育む
より分かりやすくかつ親しみやすく伝えることは、施策に対する読み手の関心を引き出し、法令や 告示・通知等にまで触れるきっかけやもっと知りたいという意欲へとつながるものでもある。解説・ 広報等は、更に正確で専門的な知識を得るための入口ともなることを意識しておきたい。
【関係資料】
「公用文作成の要領」(昭和 27 年 内閣官房長官依命通知別紙)
845: 2021/12/20(月)20:33 AAS
2 読み手に伝わる公用文作成の条件
(1)正確に書く
ア 誤りのない正確な文書を作成する
正確に書くとは、必要な内容を誤りなくかつ過不足なく伝えることである。読み手に届けるべき情 報を、意図するとおりに、誤解なく伝えるよう努める。公用文の内容に誤りや不正確な情報があって はならない。公用文は、いつでも正確であるという前提で受け取られるものである。十分な注意を払 ったにもかかわらず誤りが見付かった場合には、経緯などの過剰な説明はせずに、率直に認めて直ち に訂正する。
イ 実効性のある告示・通知等では、公用文の書き表し方の原則に従う〔p.10~22参照〕 公用文の中でも、国民に対して一定の影響力を発揮する告示・通知等は、法令と同様に、何よりも 正確であることが求められる。したがって、従来の公用文の書き表し方を守り表記の揺れを防ぐとと
もに、誤読されたり複数の意味に解釈されたりするおそれのない書き方をするよう努める。 同じく、統計や調査等の結果を示す場合にも、第一に正確であることを期し、データやその示し方 に誤りがないように確認する。ただし、多くの人にとってなじみがないと思われるような表現を用い
る場合には、適宜、用語の説明や注記を付すなどの工夫を加える。
ウ 基となる情報の内容や意味を損なわない〔p.23参照〕 広報等を通じて、法令や告示・通知等の情報を広く一般の人たちに分かりやすく解説することは、
国の府省庁の大切な役割となっている。法令や公用文に用いられる表現や語句には、多くの人にとっ て難解なものが含まれやすい。法令や公用文に特有の表現等についてよく理解した上で、分かりやす く言い換える際にも正確さを保つことを意識し、基となる情報の内容や意味を損なわないようにする。
846: 2021/12/20(月)20:33 AAS
エ 関係法令等を適宜参照できるようにする
解説・広報等では、基になっている法令や告示・通知等の情報に関する資料を読み手が参照できる ようにする。ただし、記事の冒頭で法令等をそのまま提示することはむしろ読み手の負担になる場合 が多い。代わりに、別のページやリンク先へ案内するよう配慮し、必要とする人が適宜情報を得られ るようにしておく。
オ 厳密さを求めすぎない
専門家同士であれば、難しい用語や詳しいデータをそのまま用いることによって正確な伝え合い が可能となる。しかし、専門的な知識を特に持たない人に対してはそのままでは伝わらない。正確 さは厳密さと密接に関わるが、ただ厳密であればよいというものではないことに注意したい。伝え るべき内容は取捨選択し、文書の目的に照らして必要となる情報に絞って、その範囲を正確に書く よう努める
847: 2021/12/20(月)20:34 AAS
2)分かりやすく書く
ア 読み手が十分に理解できるように工夫する
公用文は、誰にとっても分かりやすいものであることが理想である。中でも、解説・広報等に当た る文書など、専門的な知識を特に持たない人々に向けた情報では、分かりやすさを重視する。分かり やすい文書とは、読み手が内容を十分に理解できるように、伝える内容を絞り、専門用語などは言い 換えたり具体例を用いたりするなど、表現を工夫して伝えるものである。文書が平易に書かれていた としても、読み手が欲しいと思っている情報が提供されていなければ、意味を成さない。発信者の視 点からではなく、読み手の求めていることが何であるのかに配慮した内容とするよう努める。
イ 伝えることを絞る
分かりやすさが重視される文書では、優先して伝えるべき情報を絞り込んでおく。文章量が増える と、分かりやすさは失われる。過不足や誤りがないよう十分に留意した上で、読み手のうちの多くが 共通して必要とする事柄を優先して提示するよう工夫する。正確に誤りなく書こうという意識が強い と、持っている詳細な情報までを全て詰め込もうとしてしまいがちである。まずは伝える情報を厳選 するよう心掛け、副次的な情報は、別のページで対応するとよい。
ウ 遠回しな書き方は避ける
伝えるべき重要なことは、はっきりと述べる。読み手にとって負担となるような事柄を伝える場合 であったとしても、周辺にある事柄や、例外的なものから説明することは避ける。主旨をできるだけ 明確に示すようにし、読み手に察してもらわないと伝わらないような書き方はしない。
848: 2021/12/20(月)20:34 AAS
エ 専門用語や外来語をむやみに用いない〔p.23~26参照〕 公用文では、法令に関する専門用語や、行政に特有の言い回しなどがよく用いられる。また、多く
の人にとっては理解しにくい外来語も現れやすい。これらが文書を分かりにくくする原因となる場合 がある。必要に応じて別の言葉に言い換えたり、説明や注を付けたりするなど、読み手に分かりやす く通じるよう工夫する。
オ 図表等によって視覚的な効果を活用する〔p.22参照〕 言葉だけでは分かりにくい場合など、必要に応じて、図表やイラスト、ピクトグラム(絵記号)等
を用いて視覚的な効果を活用する。また、文書のレイアウトを工夫するとともに、使用する文字のデ ザイン、太さ、色などを適切に選択する。
カ 正確さとのバランスをとる
理想としては「分かりやすく正確な文書を作成する」ことを目指したい。ただし、読み手にとって 分かりやすく書こうとすることと正確さを保つこととは、自然に両立すると言えない面がある。例え ば、分かりやすくしようとする余り、誤解を招きやすいたとえや比喩を用いるなどした結果、正確さ が損なわれてしまう場合がある。誇張された情報がないか、必要な情報までを省いていないか等、十 分点検する。
849: 2021/12/20(月)20:35 AAS
(3)気持ちに配慮して書く
ア 文書の目的や種類、読み手にふさわしい書き方をする〔p.29参照〕 公用文には多くの種類があり、告示、公告、通達、通知などに加え、伺い、願い、届け、申請、照 会、回答、報告など、往復文書の類もある。また、広報であれば、親しみやすく政策などを知らせる ことが求められる。それぞれの文書の目的や種類に合った書き方を工夫したい。所属組織内や府省庁 間の文書では、法令用語や行政特有の言葉をそのまま用いる方が効率的であるが、外部の人に向けら れる文書ではそうとは言えない。公用文の読み手は、今後ますます多様になっていくと考えられるた め、読み手が誰であるのかを常に考えながら書くことが必要となる。むしろ、読み手が限定されない
場合の方が多いと考え、広く通用する言葉を使う意識を持っておくとよい。
イ 読み手が違和感を抱かないように書く〔p.30参照〕 年齢差、性差、地域や国籍の違いなどに関連して、型にはまった考え方に基づいた記述がないか、
常に注意する。例えば「年配の方でも簡単に申請できます。」という言い方には「高齢者は申請が苦手 である」という考え方が隠れている。受け取る人によっては、気を悪くするおそれもある。
また、本来は問題のない言葉であっても、使用する際に注意が必要になる場合がある。例えば「帰 国子女」という用語の「子女」は「息子と娘」の意味であり、本来は何ら問題のない言葉であるが、 字面から女性に限定した言い方であるとの誤解を受ける場合もある。広く一般の人に読んでもらう解 説・広報等では、「帰国学生」「帰国児童」などと言い換えておくなどの配慮もできる。
850: 2021/12/20(月)20:35 AAS
敬意を表す 〔p.29 参照〕 公用文は、不特定多数の読み手に向けられることが多いため、誰に対しても敬意が伝わるよう敬語
を適切に用いて書く。例えば「利用者の方々」と「利用される皆さん」という言い方があるとき、前 者は「方々」によって、後者は「利用する」を尊敬語にすることで敬意を表している。この場合、後 者の方が敬意を一人一人に差し向けようとする面がある。一方、敬語は丁寧度の高い言葉を多用すれ ばよいものではなく、かえってよそよそしい響きで読み手を遠ざけてしまう面もある。広報等では敬 体(です・ます体)を基本としながら、簡潔な表現で敬意を表すよう意識するとよい。相手を立てよ うとする気持ちから過度の敬語を用いると、伝えるべき内容が分かりにくくなることがある。
エ 親しさを伝える〔p.31参照〕 敬語の用い方に注意を払うだけでなく、文書を親しみあるものにするよう意識する必要がある。人
間関係に遠近があるように、言葉にも相手との距離を表す機能があり、敬意と親しさのバランスをと るよう考えながら書くことで適度な距離感になる。傾向として、和語より漢語、動詞的表現より名詞 的表現で、対象が客観化されて距離感が大きくなりやすい。反対に、和語的な言い換えを添えたり、 動詞的に表すようにしたりすることで、親しさの印象を増すこともできる。
例)「災害による住宅の全壊など、生活基盤への甚大な損害が生じた被災世帯への支援金支給」 →「災害で住宅が全壊するなど、暮らしの基盤を大きく損なう被害を受けた世帯の方へ、支援金
が支払われます。」
【関係資料】
「分かり合うための言語コミュニケーション」(平成 30 年 文化審議会国語分科会報告)
851: 2021/12/20(月)20:36 AAS
I 表記の原則 I-1 漢字の使い方
(1)漢字使用の原則
ア 常用漢字表にある字種(漢字)や音訓を用いる
漢字の使用は、「公用文における漢字使用等について」(平成 22 年内閣訓令第 1 号)に基づき、「常 用漢字表」(平成 22 年内閣告示第 2 号)の本表及び付表(表の見方及び使い方を含む。)による。常 用漢字表に使える漢字がある語は、例外〔p.13 参照〕を除き、その漢字を使って書き表す。常用漢字
表にない漢字(表外漢字)や漢字が表にあっても採用されていない音訓は、原則として用いない。 きずな い
例)絆(表にない漢字)→きずな、 絆 活かす(表にない訓)→生かす、活かす
イ 字体は常用漢字表に示された通用字体を用いる
(ア)特別な事情のない限り常用漢字表に示された通用字体を用いる。 例)隠蔽、補塡、進捗、頰、剝離 等 (「蔽、填、捗、頬、剥」等は用いない。)
謙遜、食餌療法 等 (「遜、遡、謎、餌、餅」は許容字体であるが、できれば用いない。) (イ) 字体・字形に関する印刷文字における習慣や印刷文字と手書き文字との関係等については、 常用漢字表の「(付)字体についての解説」及び「常用漢字表の字体・字形に関する指針」(平成
28 年 文化審議会国語分科会報告)による。 (ウ)常用漢字表にない漢字を使う必要が生じた場合には、特別な事情のない限り「表外漢字字体
省1
852: 2021/12/20(月)20:36 AAS
ウ 固有名詞(地名・人名)には常用漢字表にない漢字も使うことができる
(ア)固有名詞は、常用漢字表の適用対象ではない。したがって、地名は通用している書き方を用 いる。また、人名は、原則として、本人の意思に基づいた表記を用いる。ただし、必要に応じて 振り仮名を用いる。
(イ)特に差し支えのない場合には、固有名詞についても、常用漢字表の通用字体を用い、また、 常用漢字表にない漢字については、表外漢字字体表の印刷標準字体を用いることが望ましい。
エ 読み手への配慮に基づき、原則と異なる書き方をすることもできる 新 解説・広報等においては、児童・生徒や日本語を母語としない人など、常用漢字に十分に通じてい ない人を対象に文書を作成することもある。また、常用漢字を使った用語が、全て平易というわけで はない。場合によっては、分かりやすさや読み手への配慮を優先し、常用漢字表の字種・音訓を用い
た語であっても、必要に応じて振り仮名等を用いたり仮名で書いたりするなどの工夫をする。
い
例) 語彙→語彙、語い
若しくは→もしくは
ちょく
進捗→進 捗 、進ちょく
省3
853: 2021/12/20(月)20:37 AAS
(2)常用漢字表の字種・音訓で書き表せない場合
(※ ×印は表にない漢字、△印は表にない音訓) 常用漢字表の字種・音訓で書き表せない語は次のように書く。
ア 仮名で書く
(ア)訓による語は平仮名で書く。 △△×△
例)敢えて→あえて 予め→あらかじめ 或いは→あるいは 未だ→いまだ ××△△
謳う→うたう 嬉しい→うれしい 概ね→おおむね 自ずから→おのずから ××△△△
叶う→かなう 叩く→たたく 止める・留める→とどめる 経つ→たつ △△△△
為す→なす 則る→のっとる 捗る→はかどる 以て→もって △△△××
依る・拠る→よる 宜しく→よろしく 坩堝→るつぼ
(イ)音による語でも、漢字を用いないで意味の通るものは、そのまま平仮名で書く。 ×××××
省5
854: 2021/12/20(月)20:38 AAS
イ 音訓が同じで、意味の通じる常用漢字を用いて書く
(ア)常用漢字表中の同じ訓を持つ漢字を用いて書く。 △××△×△△
例)活かす→生かす 威す、嚇す→脅す 伐る、剪る→切る 口惜しい→悔しい ×△△△△×
歎く→嘆く 脱ける→抜ける 拓く→開く 解る、判る→分かる 仇→敵 △△△△
手許→手元 想い→思い 哀しい→悲しい 真に→誠に
(イ)常用漢字表中の、同じ音を持ち、意味の通じる漢字を用いて書く。 △××××
例)吉方→恵方 恰好→格好 確乎→確固 義捐金→義援金 醵出金→拠出金 ××××××
沙漠→砂漠 車輌→車両 穿鑿→詮索 洗滌→洗浄 煽動→扇動 ×××××
碇泊→停泊 顛覆→転覆 杜絶→途絶 日蝕→日食 脳裡→脳裏 ××××
編輯→編集 抛棄→放棄 聯合→連合 煉乳→練乳 ウ 常用漢字を用いた別の言葉で言い換える
省13
855: 2021/12/20(月)20:38 AAS
エ 表にない漢字だけを仮名書きにする、又は、振り仮名を付ける
他に良い言い換えがない、又は、言い換えをしては不都合なものは、常用漢字表にない漢字だけを 平仮名書きにする、又は、その漢字をそのまま用いてこれに振り仮名を付ける。
(ウに例示した語でも、文書の目的や想定される読み手の在り方に合わせて、この方法を用いるこ
とができる。)
× ざん
× きずな
絆→ 絆 、きずな
× けん 牽引→牽引、けん引
× へい 招聘→招聘、招へい
例)改竄→改竄、改ざん × こう
省17
856: 2021/12/20(月)20:39 AAS
3) 常用漢字表に使える漢字があっても仮名で書く場合
(※ ×印は表にない漢字、△印は表にない音訓)
書き表そうとする語に使える漢字とその音訓が常用漢字表にある場合には、その漢字を用いて書く のが原則である。ただし、例外として仮名で書くものがある。
ア 仮名で書く
助詞
例)位→くらい(程度) 程→ほど(程度)
助動詞
△ 等→など(例示。「等」は「とう」と読むときに用いる。)
I 表記の原則>1 漢字の使い方(3)常用漢字表に使える漢字があっても仮名で書く場合 II 表記の原則>1 漢字の使い方>(2)常用漢字表に使える漢字があっても、仮名で書くもの
例)~の様だ→~のようだ (やむを得)無い→ない
省12
857: 2021/12/20(月)20:39 AAS
漢字の持つ実質的な意味が薄くなっているもの
例)有難う→ありがとう(ただし「有り難い」は漢字で書く。) お早う→おはよう 今日は→こんにちは 逆様→逆さま
いわゆる当て字や熟字訓(常用漢字表の付表にある語を除く。)
例)何時→いつ 如何→いかん 思惑→思わく 流石→さすが 素晴らしい→すばらしい 煙草→たばこ 一寸→ちょっと 普段→ふだん 滅多→めった
(「明後日(あさって)」「十八番(おはこ)」など、熟字訓が付表に採られていないものは、 音読み(「みょうごにち」「じゅうはちばん」)でのみ用いる。訓読みする場合には仮名で書く か振り仮名等を付ける。)
その他
例)共→とも(「...するとともに」等。ただし「彼と共に...」などは漢字で書く。)
イ 仮名書きを基本とするが一部のものは漢字で書く
接続詞
例)さらに(副詞の「更に」「更なる」は漢字で書く。) しかし しかしながら - 13 -
省12
858: 2021/12/20(月)20:40 AAS
ウ 動詞、副詞、形容詞は漢字で書くことを基本とするが一部のものは仮名で書く
動詞のうち仮名で書くもの
例)居る→いる 出来る→できる(「利用ができる」 。ただし、「出来が良い」などは漢字で書く。) 成る→なる(「1万円になる」。 ただし、「歩が金に成る」「本表と付表から成る」などは漢字で 書く。)
副詞のうち仮名で書くもの
△△
例)色々→いろいろ 概ね→おおむね 自ずから→おのずから いかに いずれ
かなり ここに 沢山→たくさん 丁度→ちょうど とても やがて 余程→よほど わざと わざわざ
ある(動詞)・ない(形容詞)
有る・在る→ある、無い→ない(「問題がある」「欠点がない」などは仮名で書く。「有無」の 対照、「所在・存在」の意を強調するときは、「財産が有る」「有り・無し」「在り方」「在りし 日」「日本はアジアの東に在る」など、漢字で書く。)
エ 常用漢字表にあっても法令に倣い仮名で書く
省10
859: 2021/12/20(月)20:41 AAS
I-2 送り仮名の付け方
ア 送り仮名は「送り仮名の付け方」による
送り仮名は漢字に添えて読み誤りを防ぎ、意味を明確にする効果がある。原則として「送り仮名の 付け方」(昭和 48 年内閣告示第2号)の「本則」と「例外」に従って送る。これは、義務教育で学ぶ 送り仮名の付け方と一致する。
イ 読み間違えるおそれのない複合の語の名詞(186語)は、送り仮名を省く
公用文では、活用のない複合の語 186 語に関しては、「許容」とされている表記(誤読等のおそれ がない場合は送り仮名を省く)をあえて用いることとなっている。告示・通知等の文書では、法令 と公用文における表記を一致させる考え方に基づき、活用がない複合語について「送り仮名の付け 方」通則6の「許容」(読み間違えるおそれがないものについては送り仮名を省くことができる)を 適用する。該当するのは、「公用文における漢字使用等について」に示された、以下の名詞である。
明渡し 預り金 言渡し 入替え 植付け 魚釣用具 受入れ 受皿 受持ち 受渡し 渦巻 打合せ 打合せ会 打切り 内払 移替え 埋立て 売上げ 売惜しみ 売出し 売場 売払い 売渡し 売行き 縁組 追越し 置場 贈物 帯留 折詰 買上げ 買入れ 買受け 買換え 買占め 買取り 買戻し 買物 書換え 格付 掛金 貸切り 貸金 貸越し 貸倒れ 貸出し 貸付け 借入れ 借受け 借換え 刈取り 缶切 期限付 切上げ 切替え 切下げ 切捨て 切土 切取り 切離し 靴下留 組合せ 組入れ 組替え 組立て くみ取便所 繰上げ 繰入れ 繰替え 繰越し 繰下げ 繰延べ 繰戻し 差押え 差止め 差引き 差戻し 砂糖漬 下請 締切り 条件付 仕分 据置き 据付け 捨場 座込み 栓抜 備置き 備付け 染物 田植 立会い 立入り 立替え 立札 月掛 付添い 月払 積卸し 積替え 積込み 積出し 積立て 積付け
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