マルチジャンルバトルロワイアルpart20 (683レス)
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211: ◆Wott.eaRjU 2012/11/25(日)21:56 ID:IzQMJNzm(1/9) AAS
沙都子、グラハム投下します
212: Sの選択/仲間はきっとそこに居る ◆Wott.eaRjU 2012/11/25(日)21:57 ID:IzQMJNzm(2/9) AAS
闇の中で青い人影がゆらめいている。
スプレーを吹きつけたように染まった青色が嫌でも目につく。
これまた目立つ金髪と合わさり、その存在感をこれでもかと醸し出していた。
そう。非常に鬱陶しいくらいに。

「悲しい……悲しい話をしよう」

青色の作業服を着た男、グラハム・スペクターがぼそりと呟く。
同時に、横に居た小さな少女が頭を抱えるような仕草を見せた。
少女の名は北条沙都子という。
彼女の顔には『また始まった』といわんばかりの表情がはりついている。
グラハムと過ごした時間は未だあまり多くないにも関わらず、彼女にはわかっている。
省19
215: Sの選択/仲間はきっとそこに居る ◆Wott.eaRjU 2012/11/25(日)22:00 ID:IzQMJNzm(3/9) AAS
『私達はE-6に向かいます』

竜宮レナによって書かれた一枚の紙は数分前、彼女の命を受けた一羽の鳩により沙都子とグラハムに届けられた。
書かれた内容は簡素であるが、沙都子とグラハムを大いに惑わせた。
何故なら二人は消防署を経由し、モール沿いに合流地点であるB-4の民家を目指していた。
合流地点はB-4の民家であると、途中で合流したライダーに教えられていたためだ。

「ライダーさんが私達にウソをついたとは考えにくいですわ。大体、ライダーさんにウソをつく理由はありませんですの」
「そうだな……。あのおっさんでもそれはないだろう」

そう。ライダーは嘘をついたわけではない。
ライダーはレナ、チョッパー、ウルフウッド、梨花――『○同盟』の仲間との取り決めを、二人に伝え損なっていた。
別の参加者に情報が漏れることを防ぐために、決められたルール。
省21
216: Sの選択/仲間はきっとそこに居る ◆Wott.eaRjU 2012/11/25(日)22:01 ID:IzQMJNzm(4/9) AAS
沙都子とグラハムの目的地は決まっていた。
レナ達の事情はわからないが、E-6に向かうと書かれている以上、二人もE-6に向かわないわけにはいかない。
ただ、合流地の変更を知らないライダー達とどこで合流するかを考える必要がある。
二人がライダーと別れた地点はG-5であり、ライダーは北へ向かった。
ライダーはアルルゥを保護した後、そのまま中央エリアを通り、E-6に向かうかもしれない。

ちなみに二人が現在居る場所はH-5であり、会場のループを利用すればすぐにB-2に着くことが出来る。
あらかじめB-4でライダー達を待ち、その後全員でE-6に向かうというのも手だ。
もしくはライダーが持っている探知機を当てにし、こちらから再びライダー達と合流し、E-6に向かうという手もあるだろう。

「……おっさんとアルルゥとはさっさと合流したいが場所がわからないとお手上げだ。
悲しい話しだが、この世界は広い……この会場も広い……。
省9
217: Sの選択/仲間はきっとそこに居る ◆Wott.eaRjU 2012/11/25(日)22:02 ID:IzQMJNzm(5/9) AAS
「あの、グラハムさん――」

B-4でライダーとアルルゥを待つという方針を決めて数十分後、沙都子が口を開いた。
その声を背中で受けて、グラハムがぐるりと首を後ろへ回した。
相変わらずその瞳はドブ川に沈んだように暗かった。
見慣れた光景に構わず沙都子は続ける。

「クリスさんは…その、どんな人だったんでしょうか?」

沙都子が呼ぶクリスとはクリストファー・シャルドレードの事である。
クリストファーはホムンクルスと呼ばれる、一種の人造人間であり、沙都子にとってこの殺し合いで最初に出会った人物だ。
そして第三回放送の前で、ゼロの手によりこの殺し合いから脱落してしまった。
だが、沙都子はクリストファーがあまり自分のことを話さなかったこともあり、彼について知っていることはあまり多くはない。
省22
218: Sの選択/仲間はきっとそこに居る ◆Wott.eaRjU 2012/11/25(日)22:03 ID:IzQMJNzm(6/9) AAS
「でも、時々どうしても思いますの。
私にはクリスさんやグラハムさん、ライダーさんのような力はありません。
何も力がない私が、本当に誰かを守ることが出来るのかと……」

俯きながら沙都子が思い出していたのは先刻の出来事だ。
沙都子の傍にいたアルルゥがミュウツーによりさらわれてしまった。
ポケモンを駆使しても、ミュウツーを止めることは出来なかった。
『ねーねー!』と叫びながら連れ去られていったアルルゥの姿を思い浮かべる度に、沙都子は自らの非力さを呪っていた。

自分は只の小学生で、際立った力はないのだから仕方ない。
だが、沙都子はクリストファーに託され、アルルゥに誓ったのだ。
アルルゥのねーねーとして彼女を守ってみせると。
省22
220: Sの選択/仲間はきっとそこに居る ◆Wott.eaRjU 2012/11/25(日)22:04 ID:IzQMJNzm(7/9) AAS
「沙都子、お前はあいつの仲間なんだろう。命の恩人Aは自分に力がないなんて泣きごとは言わなかった。
そんな命の恩人Aの友人だから、俺はお前を守ると誓った。
だったら、お前も言うな。俺を迷わせるな。俺を失望させるな。お前は命の恩人Aの友人なのだから、自信を持っていろ。
大体、力がなくてもいいだろう。ゼロやギラーミンの相手はこの俺だ。
要するにだ。つまり――」

一呼吸を置くグラハム。
好き勝手に己の理論を展開していく、グラハムだが結局は次の一言に彼の感情は詰まっている。
グラハムの中で存在し続ける、数少ない『ルール』はどんなものにも邪魔はされない。

「――『壊す』のは俺にやらせろ」

『殺す』のではなく『壊す』。
省27
221: Sの選択/仲間はきっとそこに居る ◆Wott.eaRjU 2012/11/25(日)22:05 ID:IzQMJNzm(8/9) AAS
AA省
223: ◆Wott.eaRjU 2012/11/25(日)22:07 ID:IzQMJNzm(9/9) AAS
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