[過去ログ] 【伝奇】東京ブリーチャーズ【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (285レス)
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260: 多甫 祈 ◆MJjxToab/g 2017/02/14(火)00:00 ID:87guBi3q(1/2) AAS
(賢い……)
完全に閉じ込められた形だった。
外に出ようとすれば粘液が飛んでくる。仮に上手く粘液を躱して外に出られたとしても、
先程のように上から大量の粘液を降らされたらどうしようもない。
また、この足場では十分な速度を出すことはできないだろうし、
ハッカイに接近し攻撃に転じるのすら一か八かの賭けになる。
祈が近づいて攻撃するしかできないこと、そして粘液に触れれば死に直結するダメージを負うことを、
十二分に分かった上での行動だった。
そもそも、祈は決定打に欠けている。
なんとかハッカイの手足を千切り飛ばすことはできても、
省43
261: 多甫 祈 ◆MJjxToab/g 2017/02/14(火)00:46 ID:87guBi3q(2/2) AAS
コトリバコの呪詛の源は、
その狭い細工の中に押し込められた子ども達の魂の嘆き、憎しみや恨み。
即ち『負の感情』である。
恐らくコトリバコには、その呪詛を効果的に発揮させるために、
内側に閉じ込めた子供たちの魂に働きかける呪いのような何かが施されているのだろう。
その何かが、強制的に子ども達から憎悪等の負の感情を引き出しているのだ。
そう考えれば、両の足がなくなり、満身創痍の状態なっても執拗にノエルを追い続けたことや、
移動する力すら失い、左腕がもげた状態でも祈への攻撃を続けたこと。その異常な攻撃性に説明がつく。
ハッカイともなれば、それこそ無尽蔵の呪詛を吐き出せるだけの力があっただろうから
そのような呪いが働いていてもなんとかなったに違いない。
省48
262: 御幸 乃恵瑠 ◆4fQkd8JTfc 2017/02/15(水)21:52 ID:U+Xmh4YZ(1/6) AAS
>「……へ?」
祈の視線が突き刺さるのを感じつつ、ノエルは走る。
やーめーてー、そんな目で見ないで!? そもそも僕は(言動が)格好いいキャラじゃないんだからな!?
等と思いつつ向かう先には道路標識を振りかざした黒雄が控えている。
右手だけで標識を持っているのは「死にかけの奴にとどめを刺すぐらい右手だけで十分だぜ!」ということか、とノエルは解釈した。
>「よっしゃあああ!これで勝つるっ!!」
「へっへーん、当然!」
隅で解説要員と化していたムジナに思わずガッツポーズを返してからおっと、自分こいつと仲悪いんだった!と思う。
黒雄なら自分が仕留め損ねたハッカイを問答無用で粉砕してくれる――ここまで想定のうちだ。
だがしかし。
省19
263: 御幸 乃恵瑠 ◆4fQkd8JTfc 2017/02/15(水)21:54 ID:U+Xmh4YZ(2/6) AAS
気が遠くなりそうになりながら、ノエルは自問自答する。
そもそもなんでこんな事になったのかというと、柄でもなく真面目に戦いすぎたのがいけない。
特にエターナルフォースブリザード(通称)は終幕を飾る一撃必殺を想定した大規模術式であり
あんなものを一時の足止めのために使っては後が続かないに決まっている。
大体隙あらば安全地帯でサボタージュしたり背景でおやつ食べ始めたりとやる気なさげに戦うのが自分の芸風ではなかったか。
敵味方双方から「ふざけてんのか!?」とツッコミが入ったことも一度や二度ではないが
「あいつ余裕ぶっこいてるし実は滅茶苦茶強いんじゃね!?」と相手に無駄にプレッシャーをかける思わぬ利点があるぞ!
ともあれ、普段そんな感じなので今のこの状況を見てもアイツまたふざけてるよ!としか思われないであろう。
それでいい、むしろそうでないと困る。嘘でも、虚像でも、余裕ぶっこいた底知れない奴でいなければ。
一瞬後ろを振り返ってみれば、すでにハッカイは自壊を始めており、右腕がもげている。
省17
264: 御幸 乃恵瑠 ◆4fQkd8JTfc 2017/02/15(水)21:57 ID:U+Xmh4YZ(3/6) AAS
祈ならハッカイが崩壊するまで逃げ切るのは楽勝のはず。そう思ってそのまま送り出した。
祈にはこの言い方では正しく意図が伝わらなかった訳だが、どちらにせよ祈はそれを良しとしなかったことだろう。
ノエルを安全地帯に退避させるという祈の行動はドンピシャリの正解で、それだけにドキリとした。
見抜かれた――!?と。祈ちゃん、君はどこまで見抜いている……!?
祈は橘音とは違う意味で、真実を見抜いてしまう面がある。
頭脳明晰で知識と経験を兼ね備えた橘音が気付かない類の真実だ。それは先入観に囚われない子どもだからこそか。
自分が本当はみんなが思っている程強くなんかなくて、脆くて弱くてふわっふわなのが全てお見通しなのか――?
ノエルが普段やる気無さげにしか戦わないのには単純明快な理由があり、今のように妖力切れを起こさないためだ。
それだとすぐに役立たずになるが、ノエルは自然界からパワーを取り込む謎システムを搭載しており
消費と同ペースで回復させることによって無尽蔵を装う事ができるのだ。
省26
265: 御幸 乃恵瑠 ◆4fQkd8JTfc 2017/02/15(水)22:01 ID:U+Xmh4YZ(4/6) AAS
>「あんなの喰らったら、ボクみたいに華奢なコは一発でミンチですよ!」
黒雄はコトリバコ三体を一人で相手にしているが、それでもどちらかを選ぶなら支援に行くべきは橘音の方だろう。
彼は敵の攻撃をいなすことは出来ても直接攻撃する手段は無いのだから。
そう決断し、テントの上から飛び降りる。ゴホウの居場所は結局分からずじまいだ。
チッポウが何か小さなものを橘音に投げるが、あれぐらいなら軽くいなせ――なかった。
>「……な……!?しまった!」
>「う……うああああああああああああああああああ――――――ッ!!!」
チッポウが投げたのは、なんとゴホウの本体。
混戦の中で小さな寄木細工に戻られたら居場所が分からなくなるのは当然だ。
問題は……ゴホウに組み付かれた橘音が断末魔の絶叫をあげていることである。
省19
266: 御幸 乃恵瑠 ◆4fQkd8JTfc 2017/02/15(水)22:03 ID:U+Xmh4YZ(5/6) AAS
相変わらずイントネーションを間違えた禹歩の発音で、橘音のいい漢っぷりを称賛するノエル。
ちなみに子ども(精神年齢)は新しく覚えた言葉をとりあえず使ってみたがる性質があるので、うっかり変な言葉を教えると大変なことになるのだ。
みんなも気を付けよう!
ノエルが腕を一閃すると、劣勢を察し慌てて合体し直そうとするミニゴホウに、雪玉がぶつかったかと思うと崩壊して足元を埋め、瞬時に凍り付いて手足を地面に縫い付ける。
「せっかく大勢になったんだから急いでリュニオン(再結合)しちゃ勿体ない!
忙しい橘音くんの代わりに遊んであげるよ! 雪合戦だ! 一人でも僕にタッチできたら君達の勝ちな!」
例によって攻勢ターンに入った瞬間にあからさまに分かりやすく元気になったノエルがゴホウ達を挑発する。
もしゴホウ達が日本語を喋れたら、「いや、”勝ちな!”ってドヤ顔で言ってるけどアンタ男だろ!」「見た目だけはやたら綺麗だけど男……だよな!?」
「でも雪"女”だから呪いワンチャンいけるんじゃね!?」「あれ? なんか焦点を後ろに合わせると変な映像が見える気が……」
「しかし我らのプライドにかけてあんな変態を女枠に入れてはいけない……!」
省21
267: 御幸 乃恵瑠 ◆4fQkd8JTfc 2017/02/15(水)22:08 ID:U+Xmh4YZ(6/6) AAS
「ほらほら、こっちだ、来てみろよ!」
その痛みを悟られぬよう表向きは変わらぬ調子で挑発しつつ。
雪玉をぶつけて牽制しながら、大きく位置を動こうとしないチッポウの周囲を円状に駆ける。
敵の攻撃に当たらないように相手の周囲をぐるぐる回りつつ自分は遠距離攻撃を加える
アクションRPGのボス戦でありがちな立ち回りだ。
そして一周回ったところで相手の方に向き直り、地面に手を付いた。
「――アイスプリズン!」
チッポウがいる地点の四方を囲うように、氷の壁がせり上がる。
ゴホウ達を凍りつかせた地点もその範囲内に入っている。
とはいえ、このままではいずれ溶解液で脱出されてしまうのだが――
省14
268: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2017/02/16(木)23:22 ID:zIU5WpN+(1/4) AAS
最初に人を殺したのは、苦痛から逃れる為であった。
呪具として改造された魂は、製作者の意図に従い動かねば、耐えがたい苦痛が与えられるからだ。
次に人を殺したのは、苦痛を味わいたくないが故であった。
呪具に刻まれた呪いの通りに人を殺せば、自分は痛くないからだ。
更に人を殺したのは、母の温もりを求めたが故であった。
標的(オカアサン)の胎内(ナカ)に戻れば、幸せに生まれ直す事が出来ると思ったからだ。
尚も人を殺したのは、自分が知らない幸せを持つ人間を憎むが故であった。
誰かが自分と同じ様に苦しんで死ねば、少しだけ気持ちが晴れる気がしたからだ。
そうして、次も、次も、次も。
省25
269: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2017/02/16(木)23:23 ID:zIU5WpN+(2/4) AAS
そのまま絶え間なく暴力は続いていったが……やがて、土煙で尾弐の姿が見えなくなった頃。
コトリバコ達は唐突にその手を休めた。
疲労?慈悲?……否。
彼等は自身が振るった暴力の結果を確認する為に、コトリバコ達はその拳を止めたのである。
彼等が脳裏に浮かべる土煙の向こう光景は、まるで挽肉の様にグズグズになり、力なく絶命している尾弐の姿。
あれだけの呪詛の酸を、暴力を、蹂躙を受けたのだ。丈夫な玩具と言えども壊れない筈が無い。
釣りあがる口元を隠す事も無く揃って、三つ子の子供の様に楽しげに嗤うコトリバコ。
そうして、土煙は晴れる。
向けられる視線。そこには……瓦礫に上半身が半ば埋もれ、力なく首を垂れる尾弐の姿があった。
瓦礫からはみ出た左腕は切り刻まれたかの様に血まみれで、一部の傷は肉の先。白い骨を露見させている。
省34
270: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2017/02/16(木)23:23 ID:zIU5WpN+(3/4) AAS
「逃げてくれんなよ、怪物共。俺のこの姿は連中に……特に、那須野の奴には見せる訳にはいかねぇんだからな」
退く事の出来なくなったコトリバコは、迫る尾弐に対し暫くの間混乱した様子を見せ……結局、彼等は己の力に縋る事となった。
状況を打開する為に、他者を理不尽に蹂躙する事の出来ていた己の力を信じ、反撃を試みたのである。
先ず行われたのは、『ニホウ』による溶解液の噴射。それは、あらゆるモノを溶かす呪詛の毒である。
「毒で俺を殺りたきゃ――――神さんから貰った酒に盛って飲ませるなりしやがれ」
だが、それは今の尾弐に対しては僅かに皮膚を焼く程度の効果しか齎す事は出来ず……まるで用を成さなかった。
当然である。呪詛は上位の呪詛で塗りつぶせる。ならば、呪詛で出来た溶解性の毒液が、『今の』尾弐に通用する筈が無いのだ。
そのまま尾弐が右手で溶解液を噴き出し続けるニホウの頭を叩くと……まるで巨大な鉄槌でも振り下ろされたかの様に
ニホウの頭は潰れ、地面にめり込んでしまった。
省21
271: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2017/02/16(木)23:23 ID:zIU5WpN+(4/4) AAS
尾弐が取り出したその木箱は、他のコトリバコ達のものとは違い、核となる嬰児の魂と呪詛が融合してしまったかの様に変形してしまっている。
まるで心臓の様に脈打ち、色はどす黒く変色しているコトリバコ。
己の体から取り出された其れを、『シッポウ』のコトリバコは必死になって取り戻そうと腕を伸ばすが……その手が届く前に
尾弐の右手は、小箱を握りつぶした。
箱が潰れるのと同時に苦痛の叫び声を上げながらドロドロに溶解し消滅する、コトリバコの異形の赤子としての姿。
だが尾弐は、その悲鳴すらも気にする事は無く、『ニホウ』『サンポウ』と、順々に小箱を破砕していく。
コトリバコの体液に塗れながら、無表情に淡々とその作業をこなしていく尾弐の様子は、
ある意味ではコトリバコよりも余程怪物じみていた。
そうして、3つのコトリバコを破壊した尾弐は……そのまま、ドサリと瓦礫へと座り込んだ。
「あー、痛ぇ……年甲斐も無く気張り過ぎたかねぇ」
省9
272(1): 2017/02/20(月)21:57 ID:iQSeyJh3(1) AAS
35:54
↓
10:40
動画リンク[YouTube]
動画リンク[YouTube]
273: 2017/02/20(月)23:07 ID:id/JqesG(1) AAS
>>272
失せろや糞マルチ
ハゲ
274: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/02/21(火)15:18 ID:nF0h8BIm(1/3) AAS
ずだだだだ、と不格好なガニ股走りでロッポウから逃げる品岡。
無論敵から目を背けて無防備を晒しているわけではない。ちゃんと背中に目を生やしている。
追って飛んでくる粘液を目視し、ジグザグに動いて躱しながら疾走する。
「あかん息切れてきた……!煙草やめよっかなもう……!」
タールに塗れた肺が酸素を求めて律動し、水際の金魚のようにパクパクと喘ぐ。
肉体疲労とは無縁の妖怪と言えど、今日は朝から色々妖術を使いすぎた。
元々そこまで妖力の残高に自信のあるほうでない品岡は露骨に足運びの精彩を欠く。
ロッポウの足音がすぐ背後まで迫ってくる……!
>「――スリップ」
横合いから鈴の鳴るような声がしたが早いか路面が突如凍りつき、疾走していたロッポウが足を取られた。
省30
275: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/02/21(火)15:19 ID:nF0h8BIm(2/3) AAS
刹那、品岡の姿がロッポウの視界から消えた。
十歩ほど離れたアスファルトが擦れる音、一瞬だけ現れた品岡が更にブレて消える。
品岡の姿を捉えたロッポウが粘液を吐く頃には最早的はそこにない。
形状変化で足の骨を強力なバネに変え、鞠のように跳ね回っているのだ。
「っつおらぁ!」
バネの加速そのままに、横合いからハンマーがロッポウの顔面を捉えた。
氷の棘が赤子の表皮を一瞬で凍結させ、次いで打撃がそれを砕く。
そうして二度、三度と少しづつではあるが、確実にコトリバコの体積を削いでいく。
「修復する隙なんぞやるかいな」
祈ほどの強烈な速力はないが、ロッポウの反応速度を超えられればそれで十分。
省33
276: 2017/02/21(火)15:20 ID:nF0h8BIm(3/3) AAS
【次スレに続く】
【伝奇】東京ブリーチャーズ・弐【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net
2chスレ:mitemite
277: 2017/02/24(金)05:35 ID:J7kwTUW9(1) AAS
期待してるよ!
278: 2017/06/08(木)08:51 ID:yUN74uNw(1) AAS
この板はめいいっぱいまで書き込まないとスレが倉庫に落ちないのである
279: 第壱話ダイジェスト 2017/06/08(木)21:48 ID:UXL9Bb/x(1/2) AAS
都内の某雑居ビルに事務所を構える高校生探偵の那須野橘音、
その正体は三尾の狐であり、妖壊漂白チーム東京ブリーチャーズのリーダーだ。
橘音のもとに、今日も上司の玉藻前から指令が下る。今回の討伐以来は八尺様。
橘音が所属メンバーに電話をかけまくった結果、
橘音の探偵事務所の助手でもあるターボババアの孫の太甫祈と
橘音と同じ雑居ビルでかき氷喫茶店をしている雪女(イケメン)の御幸乃恵瑠が作戦に参加することとなった。
祈が男子小学生に変装し、橘音が結界を張った公園に誘い込むべく囮となる。
祈は見事な機転で八尺様を公園に誘い込むことに成功し、戦闘が始まる。
最初は互角に戦っていたものの次第に追い詰められていくノエルと祈。
絶体絶命のピンチに陥った時、葬儀屋を営む鬼の尾弐黒雄が駆けつけ、事なきを得る。
省20
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