[過去ログ] 【腐女子カプ厨】巨雑6438【なんでもあり】 [無断転載禁止]©2ch.net (651レス)
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609: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:07 d AAS
 ため息をつきながらエレンはミカサが組み立てた積み木の上に最後のひとつを乗せる。
 三角形の積み木を乗せれば家のような形が出来上がった。
 ミカサはその周りに小さなぬいぐるみを並べる。どうやら積み木の建物が彼らの家らしい。
「どれがお父さん?」
「クマさん。それでウサギさんがお母さん」
 並べたぬいぐるみを一つひとつ指さしながらミカサはエレンに家族たちを紹介していく。
 それを眺めながらエレンはミカサに相槌を打っていた。
「ワンちゃんがお兄ちゃんでネコちゃんが妹」
「そうか、たくさんいるな」
「うん、みんなが寂しくないように。家族は沢山いたほうがいいから」
省9
610: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:07 d AAS
「……エレン?」
 先ほどよりも強く、きつく抱きしめる彼の腕にミカサは困惑を示す。
 はっ、と我に返りエレンは慌てて腕の力を緩めた。
 身体を離すことはなく、腕の中にミカサを閉じ込めたままエレンは彼女の顔を覗き込む。
「そうだよな、こうやっていれば寂しくなんてないもんな」
 やはりミカサだけはエレンにとって特別だった。
 どうしても構ってやりたくなってしまうし、他人事として見られない。
 出来ればずっと傍にいてやりたいと思う。
 この保育所から巣立った後も、自分がもしもこの子と一緒に暮らせればきっと寂しい想いなんてさせない。
 彼女とこうして迎えが来るまでの時間を二人きりで過ごしている間、何度もそういった想いが過っている。
省8
611: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:07 d AAS
 がらっ、と扉が開く音がする。
 エレンとミカサ、二人揃ってそちらのほうを見やれば一人の男がそこに立っていた。
 今日は額には汗は浮かんではいない。チェックのマフラーを巻きグレーのスーツを着た男は彼らの姿を見て鋭い瞳をほんの少し和らげた。
 どきり、と心臓が大きく高鳴った。ミカサよりも彼のほうへと視線が釘付けになり、外せなくなってしまう。
 穏やかに見つめる視線は自分に向けられたものじゃないことは知っている。
 それでも今は勘違いもしてしまいそうになる。
 いや、実際してしまっていた。彼がそんな眼差しで自分を見つめているものだと思うと胸がさらに苦しくなる。
「お父さん」
 ミカサは彼に向かってそう叫ぶ。その声にエレンは現実に引き戻された。
気付いた時にはミカサはぬいぐるみを手放していた。
省14
612: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:08 d AAS
 エレンがいつも最後まで残ってミカサの相手をしていることはリヴァイも知っていた。
 この時間帯に残っているのは大抵エレンしかいない。
はじめはあまり話すこともなかったが、機会が増えれば自然と会話も増える。
 しかもエレンは女性ではなく男性だったから余計に距離も縮まったのかもしれない。
 子供を放っておいて仕事に行くなんて、という女性からの視点ではなく同じ男性として同情をしてくれるエレンにリヴァイはいくらか救われているのだというは話をリヴァイ本人から直接聞いたこともあった。
 付き合いが深くなれば連絡先も交換をするし、対応に関しても贔屓とまではいかないが少し甘くもなってしまう。
 リヴァイは仕事が終わってから急いで保育所までやって来てはくれるが、それでも最終の預かりの時間を過ぎてしまうことも何度かあった。
 そういった時もエレンは文句も言わずにミカサの相手をしている。
 事前にリヴァイから連絡を貰えば彼女と一緒に夕飯まで食べることさえもたまにあった。
 本当は公私混同なんてしてはいけないことなのだが、エレンはリヴァイに対して甘かった。彼だけは特別だ。
省15
613: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:08 d AAS
 同時に抱くのはやはりミカサに対しての罪悪感だった。
 彼女の父親のことを父親として見ることをしていない。
 一人の男として意識をしている。
 その為にミカサのことも多少なりとも利用していた。
 悪いとも思うしいけないことだともちろん自覚はしている。
 でもそれを止められない自分がいることもまた事実だ。人として最悪だ、エレンは彼らの姿を見送る度に自分を蔑んだ。
 幼いミカサは恐らく気付いてはいないはずだ。
 エレンが自分の父親のリヴァイに恋情を抱いていることを、まだ彼女は知らない。

 エレンはゲイだ。

 いつから、という明確な時期はない。
省11
614: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:08 d AAS
 むしろさらに愛おしいと思う。友人たちが可愛い女性に欲情するように、エレンも好きになった男に同じように欲情をした。その頃辺りからだろうか。
 周囲のことをそれほど気にすることがなくなったのは。さすがに自分の性癖を簡単に打ち明けることは出来なかったが、昔よりはまだマシだ。
 自分は男が好きだ。男しか好きになれないとはっきりと受け入れてしまうとこれまで悩んでいたことが少し馬鹿らしくも思えた。
 だからエレンは生まれてから一度も女性を抱いたことはない。
 これから先も間違ってもそんな気は起らない。だから結婚もしないし子供を授かることもないだろう。
 両親には申し訳ないと思うが自分の気持ちも変えられない。
でも子供は好きだったからなるべく彼らと接することが出来る職業に就きたいと思った。
 そしてエレンは保育士を志し晴れてその夢を叶えることが出来て今に至っている。
 やりがいのある仕事だし飽きも来ない。そして何よりも子供たちと過ごす毎日は楽しく、自分が後ろめたさを感じながら生きていることを忘れさせてくれた。
 ちょうど社会人になってから恋人とは上手くいかないようになっていた。新しい恋人が出来て短い付き合いばかりだ。
省12
615: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:08 d AAS
「おはよう、エレン」
「だからエレン先生だって。あと『おはよう』じゃなくて『おはようございます』だろ?ほら、ちゃんと言って」
 昨日は許してくれたが今朝はそうはいかなかった。
 ちゃんと言えるまでここを通さないと仁王立ちをして立ちふさがる。
 腕を組んでわざと怖い顔をするエレンに、さすがのミカサも怖気づいてしまう。
 「う」と声を漏らして思わずリヴァイの手を強く握った。
「どうしよう」とリヴァイに助けを求めたが彼もエレンと同じような顔をしていた。
 残念ながらミカサを助けることはなくただ首を振るだけだ。
「おはようございます。エレン、先生。」
「よし、えらいぞ。よく出来ました」
省18
616: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:09 d AAS
 今朝のリヴァイは黒いコートを羽織っていた。
 それと同色の手袋をしながらミカサと同じようにマフラーに顔を埋めている。恐らくミカサもああやって寒さをしのいでいたのは、リヴァイの格好を真似ているからだろう。
親子で似た仕草をしている彼らを微笑ましく思い口元が緩んでしまう。
「偉いのはお前のほうだろう。よくもまあチビをあんな簡単に手なずけるな」
 リヴァイは感心した様子で息をつく。吐き出した吐息は白くふわりと舞った。
「それが仕事ですから。でもミカサはすごく楽なほうですよ。ちゃんと良い子にしてくれますから」
「……そうか、ならよかった」
 ほっ、としたのだろう。瞬間、表情を綻ばせたリヴァイにエレンは目ざとく気が付いてしまった。
                                        
 「あ、」と思った時にはもう遅かった。彼の表情から目を離すことが出来なくなってしまう。
省6
617: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:09 d AAS
 今朝のリヴァイは黒いコートを羽織っていた。
 それと同色の手袋をしながらミカサと同じようにマフラーに顔を埋めている。
 恐らくミカサもああやって寒さをしのいでいたのは、リヴァイの格好を真似ているからだろう。
親子で似た仕草をしている彼らを微笑ましく思い口元が緩んでしまう。
「偉いのはお前のほうだろう。よくもまあチビをあんな簡単に手なずけるな」
 リヴァイは感心した様子で息をつく。吐き出した吐息は白くふわりと舞った。
「それが仕事ですから。でもミカサはすごく楽なほうですよ。ちゃんと良い子にしてくれますから」
「……そうか、ならよかった」
 ほっ、としたのだろう。
 瞬間、表情を綻ばせたリヴァイにエレンは目ざとく気が付いてしまった。
省9
618: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:09 d AAS
 そして何を思ったのか、リヴァイは唐突にエレンへ向けて手を伸ばしてきた。
 手袋をしたままの黒い手がずい、と急に近づいてくる。
「うわっ、」
 思わずエレンは声をあげて目を閉じる。殴られる、と咄嗟に身構えたがそんなことはなかった。
 むしろ感じられたのは柔らかくて温かな感触だった。但し布越しではあったが。
 しかしリヴァイの手のひらの温もりであったり、ある程度の感触はなんとなくそれでも伝わってくる。
 エレンの前髪を少しあげてリヴァイは彼の額に自分の手を置いていた。
「熱があるってわけでもないみたいだな」
「あ、ありませんよ、そんなの!!」
 少し声を荒げながらリヴァイの手をエレンは振り払った。
省9
619: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:09 d AAS
「そりゃあミカサは寂しがるでしょうね。オレによく懐いていますから」
「まあ、そうだな。あいつもそう思うだろうしそれに俺も寂しいと思うんだがな」
 ほら、そうやってまた好き勝手に振り回して。
 こちらがどんな気持ちを抱いているかなんて知らない癖に。
 毎晩貴方のことを思ってベッドに寝転がった後に、どんなことをしているかなんてことも、全部、全部知らない癖によくもまあそういうことを言うものだ。
 呆れるところではあるが、リヴァイを手前にした以上浮かび上がっている感情はやはり彼への好意とこれからの関係の期待だった。
 しかしいずれの感情にせよ、愛情は結ばれることはないし関係が発展しないことなんて目に見えて分かっているのだが。
「冗談言わないで下さいよ。オレに会わなかったら寂しいだなんて」
 本気にしてしまいたくない。
 いちいち真に捉えていたら自分の身も心も持たないなんてことはよく分かっている。
省10
620: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:10 d AAS
「お前はミカサだけじゃなくて俺の話もよく聞いてくれるからな。助かっているんだ、お前がいると。癒し系ってやつだな」
「っ、……それ、褒めてますか?」
「褒めているだろう?嫌っていうくらいに」
 リヴァイは肩を竦めて首を傾げる。なんて性質の悪い人なんだろうか。これを無自覚で行っているのだから怖い。
 前の奥さんも自分と同じようにこうやって彼の無自覚に惹かれて好きになったんだろうか。はああ、とエレンは大きくため息をついて頭を抱えていた。
 リヴァイはエレンを気にすることなく、腕時計で時間を確認している。そういえば今日はいつもよりも長話をしているが仕事には間に合うのだろうか。
 帰りが遅い分リヴァイとミカサは時間に余裕を持ってやってくる。エレンが門の前で出迎えれば今のように少し話をしてから出社することもあるが、今日はそれがやけに長いように感じた。
「それじゃあ、今日もミカサをよろしく」
 やはりタイムリミットは来てしまったらしい。残念だがここまでだ。これ以上心臓を押し潰されなくても済むと分かり、エレンは胸を撫でおろした。
「分かりました。気を付けて、こちらは気にしないでください」
省10
621: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:10 d AAS
 リヴァイと顔を合わせたのは次の月曜日だった。
「おはよう、エレン」
「おはようございます」
 なんとなく気まずくて目を逸らしそうにもなる。無理矢理浮かべた笑顔がぎこちない。しかし首を傾げたのはミカサだけでリヴァイは特に気にしている様子もなかった。
「今日も寒いな」
「ええ、本当に」
 白い息を吐きながら思わず空を仰ぐ。冷え切った空気と分厚い雲が流れる空に嫌でも冬の気配を感じてしまう。
 今日はもしかしたら雪が降るかもしれない。朝の天気予報ではそんなことも言っていた。
 リヴァイの格好は普段と変わりはなかった。マフラーを首元に巻いて口元は少し隠れている。
「風邪を引くなよ」
省20
622: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:11 d AAS
 便乗して気持ちを伝えるとリヴァイは「俺のほうこそ大丈夫だ」と言って肩を竦めて笑う。
「俺が倒れたらミカサの面倒を誰が見るんだ?」
「その時はもちろんオレが、」
 そこまで口にして慌ててエレンは口を閉じた。厚かましい態度を取ってしまった自分を彼は恥じる。羞恥で顔が赤くなってしまい、それを隠す様にエレンは俯いた。
「何もそこまでしなくたっていいんだぞ。自分のプライベートくらい大事にしろ」
 リヴァイも気に障ったのだろうか。心なしか口調が強くなって叱られている心持になる。
「……でも、」
「本当に大丈夫だ。絶対にそんなことはないから」
 ちらりと視線を上げるとリヴァイはマフラーを上げて口元を隠していた。
「……でも、何かあったら連絡してくださいね」
省7
623: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:11 d AAS
 デジタル時計が表示している時間はそこまで悠長に構えていられる程の時間ではないように思える。
「いいんだ。今日は少しのんびりできるから」
 エレンに聞かれる前にリヴァイは彼の抱いた疑問の答えを提示した。
「そうなんですか?」
「たまにはこういう日もあるんだよ」
「それならもっと家でくつろいでから来てもいいんですよ?」
 一応園内では登校の時間帯というのは決まっている。 
 でも場合によってはその時間を過ぎての登校も認められているしリヴァイとミカサにも何度かそういったことはあった。
 ミカサだって出来る限りリヴァイと一緒に過ごしていたいと思っているはずだ。
 しかしリヴァイは首を振った。
省25
624: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:11 d AAS
 こんな時に呼び方を変えるなんてずるい。動揺して口ごもってしまう。
 駅に向かい立ち去ってしまったリヴァイの後ろ姿をエレンは見ることが出来なかった。
 どきどきと心臓が五月蠅い。彼と一緒にいるといつもこんな調子だ。
 ここまで心臓が早く動きっぱなしだったら、きっと自分は早死にしてしまうんじゃないんだろうか。
 それよりも再来週はどんな服を着ていけばいいのだろう。
 とりあえずミカサに会ったら他の子に言わないように口止めしないと。頭の中はぐちゃぐちゃになって混乱している。
 
リヴァイがいなくなった後も、他の園児たちが登校していたはずだったのだがそれ以降の記憶はあまり鮮明に残ることはなかった。
*****

 二週間後の土曜日なんてすぐにやって来てしまった。
省14
625: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:12 d AAS
 これが二度目の逢瀬だ。明日はリヴァイとの約束の日だったが、その前に無性に人肌が恋しくなってしまって彼を呼んでしまった。
 彼との相性は特別悪くはない。
 どちらかといえば良いほうだが完璧という程でもない。溺れない程度に良い。
 それくらいの相性のほうが身体だけの関係を続けるにはちょうどよかった。
 彼の左手の薬指に指輪が嵌められていることに気付いたのは今日が初めてだった。
 確か初めて出会った時には付けていなかったはずだ。
 恐らくエレンがそこまで深い付き合いを求めてはいないと分かったから、開き直って堂々と既婚者であることを曝け出しているのだろう。
「一つ聞いてもいいか?」
「どうぞ?」
 男はベッドの中で両手を広げる。
省19
626: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:12 d AAS
「でも君だって同じようなものだろう?本命がいるのに俺を利用するなんて」
 うっかり片思いの相手がいることを話さなければよかった。
 それにこんなやつと同類なんて思われたくはない。舌打ちを一つして顰め面を浮かべたが、エレンは言葉で否定をすることが出来なかった。
「悪い男だと思うか?」
 上目遣いで彼を見上げる。自分よりも体格がいい男はこうされることが好きだというのはエレンの経験上分かっていることだ。
 彼もそうだった。甘えているのだと勘違いをして気を良くしている。顔を近づけられてもエレンは拒まなかった。
 瞼を閉じて彼からの口づけを受ける。舌を差し込んだ後、すぐに引っ込めて唇を開けば男の舌が口内にねじ込まれた。音を立てて舌を絡ませながらエレンは男の首に腕を回す。
 体勢を変えて自分の身体の上に跨ってきた男の単純さにキスをしながら呆れてしまった。
「いや?むしろ魅力的だね、君のような男は」
 キスを終えて男はエレンの顔の間近で厭らしく笑った。色っぽさなんて感じない。
省12
627: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:12 d AAS
 男はなんて単純な生き物なんだろうか――自分を含めてだが。
 エレンは呆れながらもわざとらしく声をあげて善がって見せた。こういう時くらい楽しまないと。
「んっ、あっ……なあ、もっと……もっと強くしろよ」
 年下の癖に生意気だと言われかねないが彼は別だ。
 煽るような言い方をしたほうが彼は燃えるらしい。
 お望みだといわんばかりにきつく吸い上げ、根元を擦る彼の愛撫にエレンはまた甲高い声をあげてシーツを掴む。
 同類だとは言っていたがやはり彼は自分とは違った人間のようにしか思えなかった。
 自分は彼のことだけを見つめることが出来ない。セックスにだって集中出来やしない。
 どれだけ愛されてもその向こうにいるリヴァイのことしかエレンは考えられなかった。
 歪む視界の向こうで自分を見下ろすリヴァイを想像しながらエレンは男の口の中で果てた。
省2
628: (ワッチョイ 53a2-G+K4) 2016/04/06(水)14:13 0 AAS
つべのライオンホンマかわええ見飽きん
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