女が土の中に埋まってた (118レス)
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96: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:48:45 ID:NgK 車を走らせると、ソーマが振り絞るような声で語りかけてきた。 「私、結局自分のこと思い出せないままだったけど、 短い間だったけど、幸せだったよ… あなたのこと、悪魔のようだなんて、思ったこともあったけど、 放っておけなかったの。何だか昔の自分を見ているようで… 記憶が無いはずなのに、おかしいよね?」 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/96
97: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:49:18 ID:NgK 「 無理しなくていい。喋るな。そんなこと… まるで、死ぬみたいじゃないか。」 フゴーはもう涙を抑えようともせずに、 ぐしゃぐしゃの顔で言った。 「死ぬのかな?死んだらもう会えなくなっちゃう。 あなたに朝ごはんも作ってあげられない。 あなたのスケジュールも組んであげられない。」 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/97
98: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:49:45 ID:NgK 「 もういいから!頼むから、そんな悲しいことは言わないでくれ。」 フゴーは悔しかった。 目的を見失った人生で、ようやく見つけた生きる理由は、 目の前で無慈悲にも消えようとしていた。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/98
99: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:50:18 ID:NgK 「不老不死じゃなかったのかよ!ちくしょう! なんで大切な人はみんな奪われるんだ。」 ハンドルを叩きながらフゴーは叫んだ。 そして、自分が不老不死を求めた理由を思い出した。 母が死にゆく日に、不条理に奪われる命の儚さを呪い、 母が永遠に生きることを強く祈ったのだ。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/99
100: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:50:42 ID:NgK 「永遠に生き続けたら、きっと人は孤独よ。」 彼女の顔色はフゴーが見る度に白さを増していった。 フゴーは彼女を励ますために手を握っていたが、 握り返す力の弱さが彼女の終わりが近いことを告げていた。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/100
101: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:51:05 ID:NgK 「どうせなら、朝日が見たいな。」 力なく彼女が呟くと、フゴーも観念した。 病院に向かうのをやめ、フゴーは車を海岸へと走らせた。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/101
102: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:51:50 ID:NgK 助手席を海岸線に向けて車を停めると、 フゴーは運転席を降りて外からソーマの乗る助手席のドアを開けてやった。 水平線の向こうでは、空が紫色に輝き出していた。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/102
103: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:52:12 ID:NgK 「私ね、あなたに言っていなかったことがあるの。 初めて私たちがあった日のこと覚えている?」 「そう言えば君は土まみれでお腹を空かせていたっけ…」 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/103
104: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:52:42 ID:NgK 「それに裸足で…でも、あなたは私を受け入れてくれた。 あの日ね、私ここの海岸にいたの。だからなのかな。 最後はここに帰らなければいけない気がする。」 フゴーはソーマの言っていることがよく理解できなかったが、 彼女が望むことなら何だって叶えようと思った。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/104
105: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:53:07 ID:NgK 「だからね、私が死んだらここに埋めて欲しいの。 もし、生まれ変われたら、また会いに行けるように、服と靴も一緒に…」 フゴーは最後まで彼女が本気で言っているのか分からなかった。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/105
106: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:53:35 ID:NgK しかし、彼女に残された時間の少なさから、 自分の思いを伝えなければいけないと考えた。 「君が望むのならどんな願いだって叶えよう。君は俺の生きる理由だ。」 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/106
107: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:54:08 ID:NgK それを聞くとソーマは満足そうに小さく笑い、 フゴーの肩越しに射し込む朝日に眩しそうに目を細めると、 そのままゆっくりと瞼を降ろした。 降ろした瞼は彼女の膝に雫を垂らし、 それっきり動かなかった。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/107
108: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:54:36 ID:NgK それ以来、フゴーは金のためではなく、 何が大切なのかを考えながら仕事をするようになった。 きっと、ソーマがいたら、そうするように言われる気がしたからだ。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/108
109: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:54:55 ID:NgK 気づくと彼の周りには、大切な人が増えていった。 「(これもソーマのおかげだな。)」 彼がソーマのことを忘れることはなかった。 フゴーは遂に誰とも結婚をしなかった。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/109
110: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:55:27 ID:NgK 月日は流れ、退職したフゴーは隠居生活を満喫していた。 毎日の日課通り、花壇に水をやり終えると、 ハンモックに揺られながら読書を始めた。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/110
111: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:55:57 ID:NgK いつもなら本に集中できるはずが、昨日のスポーツ中継のせいか、 どうにも眠くなった彼は、開いた本を顔に被せ、昼寝をすることにした。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/111
112: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:56:33 ID:NgK 女は目を開いたが、目の前の景色は相変わらず真っ暗だった。 口の中に広がる土の味で自分が土の中にいると知った。 何とかもがいて地上に出ると、一面に海が広がった。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/112
113: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:57:10 ID:NgK 夕日の中で自分の体を見ると、服を着ていないことに気づいたが、 それ以上にお腹にある親指くらいの大きさの 三つの穴のほうが彼女の関心を引いた。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/113
114: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:57:30 ID:NgK 掘り起こした土の中には、袋を被せた服と土と地図が入っていた。 女は服と靴を身につけると地図を頼りにふらふらと歩いて行った。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/114
115: 名無しさん@おーぷん [] 2014/12/14(日)03:57:45 ID:NgK フゴーはふと寒さを感じて目を覚ました。 「こんな時間まで、寝てしまったか。」 本をたたみ、辺りを見回した。 http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/bun/1418492994/115
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