アメリカ軍がファンタジー世界に召喚されますたNo.14 (1000レス)
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444: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:25 ID:nTL/qsO20(9/27) AAS
「シギアル港には第6艦隊の戦艦7隻初めとする最後の主力艦隊が居るが……作戦参謀の言う通りだな。」
レンス元帥はそう言ってから、右手で後頭部を一際激しく掻いた。
「……ゼイルファルンザ級やジュンレーザ級で、敵のアイオワ級やサウスダコタ級に立ち向かう等……自殺せよと命じるに等しいだろうな。」
「サウスダコタ級は愚か、格下のアラスカ級……いや、例の新型巡洋艦、デ・モイン級ですら敵うかどうか……ですね。」
レンス元帥と、リリスティの冷めたい一言に、作戦参謀がムッとなる。
「司令官閣下のみならず……次官まで……!それでは……第6艦隊がアメリカ艦隊に対して、一方的に打ち負かされるとでも仰りたいのですか!?」
「作戦参謀は、地の利を生かせばアメリカ軍の新鋭戦艦相手に戦えるとでも言いたいのかね?」
「無論であります!」
省13
445: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:26 ID:nTL/qsO20(10/27) AAS
「どんなに絶望的になろうとも、戦力を注ぎ込んで帝国の勝利に貢献しなければならん筈です!それなのに……レビリンイクル沖の英雄とも謳われた
次官からそのような言葉を聞くとは……私は失望しましたぞ……!」
「それはこちらのセリフだね。現実を見ない参謀なぞ、使えない。」
「な……!?何を世迷言を……」
彼はそう言いながら、徐々に目を吊り上げていく。
「世迷言では無い。貴方は本当に使えない……えぇ、本当につっかえない。この役職を辞めたら?」
「ふざけないで頂きたい!!」
激怒し、リリスティに一気に詰め寄る作戦参謀。誰もが、作戦参謀がリリスティに殴り掛かると思い、慌てて後ろから羽交い絞めにしようとした……が。
「それは……」
省12
446: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:26 ID:nTL/qsO20(11/27) AAS
「名誉ある戦い……ね。」
彼女はそう言った後、右手のみならず、左手も使って彼の胸ぐらを掴んだ。
「それが、先程の戦訓を無視した提案なのか!?だから使えないって言ってるんだ!!ここから放り出して前線に送り込んでやる……!」
「モルクンレル次官!もうやめろ!!」
見かねたレンス元帥が2人の間に割って入り、リリスティと作戦参謀を引き剥がした。
「こんな非常時に何たる様だ!ここは喧嘩場ではないぞ!!」
「……は。お見苦しい所をお見せして申し訳ありません。」
省14
447: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:27 ID:nTL/qsO20(12/27) AAS
先程、命令を伝えに行ったヴィルリエが紙片を持ちながらレンス元帥の所まで歩み寄った。
紙を手渡されたレンス元帥は、一通り目を通すや否や、険しい表情のまま額を抑えた。
「諸君、ヒーレリ戦線の続報だが……」
レンスは咳払いをしてから言葉を続ける。
「たった今届けられた情報によると、本日午後2時50分、ロプトンヌ方面でアメリカ軍機械化師団の猛攻を受けていた陸軍部隊は決死の抵抗を
試みるも、先程、敵に戦線を突破されたようだ。」
「ロプトンヌが……突破されたですと!?」
作戦参謀が思わず声を裏返してしまった。
彼のみならず、作戦室に居る幕僚達は、誰もが驚きを現していた。
省16
448: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:28 ID:nTL/qsO20(13/27) AAS
1485年(1945年)12月8日午後11時15分 カリフォルニア州サンディエゴ
アメリカ太平洋艦隊司令長官であるチェスター・ニミッツ大将は、太平洋艦隊司令部内にある作戦室で、淹れたてのコーヒーを飲んでいる所に、
情報参謀のロシュフォート大佐から報告を受け取った。
「長官。第5艦隊司令部より入電であります。」
「来たか……読んでくれ。」
ニミッツはカップをテーブルに置き、腕を組んでロシュフォートの説明に聞き入った。
「我、水上部隊を用いてシェルフィクル工業地帯の艦砲射撃を敢行。本日0305時をもって工業地帯の砲撃を終了せり。敵工業地帯は
昼間の空襲並びに、水上部隊の砲撃によって完全破壊された物と確認せり。第5艦隊は作戦を終了し、今より帰投する物なり。0315……」
「そうか……遂にやったか……彼らは困難な任務をよくぞこなしてくれた。本当に……良くやってくれた。」
省14
449: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:30 ID:nTL/qsO20(14/27) AAS
午後10時40分。TG58.7は、昨夜の海戦で戦列に留まった、戦艦ケンタッキーを始めとした戦力でもって艦砲射撃を開始した。
アイオワ級戦艦3隻、サウスダコタ級戦艦1隻を始めとする砲撃部隊は、工場の沿岸部は勿論の事、20キロ程の内陸部まで片端から叩きまくった。
空襲を受けつつも、何とか健在であった工場はともかく、ほぼ無傷であった内陸部の工場も、無数に飛来する大口径砲弾や、重巡、軽巡、駆逐艦群の
砲弾に隙間なく耕され、生産したばかりの物や破壊された残骸も分け隔てなく吹き飛ばされ、微塵に粉砕されていった。
シホールアンル帝国の心臓部でもあるシェルフィクル工業地帯は、150年前から発展を続け、今日までこの大帝国を支え続けていた。
だが、戦艦部隊は機械的に砲弾を送り続け、歴史ある建造物の数々を吹き飛ばし続けた。
砲撃開始から3時間20分が経った午前3時5分には、観測機から敷地内全域に大規模な火災が発生中との知らせを受けた事で、第5艦隊司令部は
シェルフィクル工場地帯の完全破壊成功を確信し、砲撃を終了した。
ここにして、第5艦隊は任務を全うした訳だが……犠牲も少なくなかった。
「第5艦隊はシホールアンル海軍の主力部隊を撃滅しましたが、引き換えに戦艦、空母各1、巡洋艦1、駆逐艦7を喪失し、中破以上の損傷艦が35隻。
省14
450: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:30 ID:nTL/qsO20(15/27) AAS
「水上艦同士の戦闘でも、我が方の個艦性能が優っていたため、敵水上部隊の撃滅も果たせています。特に、改アイオワ級戦艦である
モンタナ、イリノイ、ケンタッキーは相当の損害を負ったようですが、前期型と比べて戦訓を反映させた改良を施したおかげで損失には
繋がりませんでした。また、唯一、マサチューセッツが撃沈された事が痛手でしたが、サウスダコタ級も新式の50口径16インチ砲を搭載したお蔭で、
2隻のネグリスレイ級戦艦相手に互角以上に戦い、2隻とも大破、航行不能に陥れています。そして……巡洋艦、駆逐艦部隊もほぼ同様で、
我が方のデ・モイン級重巡やギアリング級駆逐艦は、期待に違わぬ活躍を見せてくれました。」
「ふむ……つまり、我が艦隊の総合力が敵を上回った事が、今回の大勝利を呼び込んだという事だな。」
「そうなりますな。」
「陸軍の方でも、反撃は順調に推移しており、既に敵侵攻部隊は連合国軍によって包囲されたようです。」
ロシュフォート大佐がそう言ってから、ニミッツは彼に視線を向ける。
「反撃には確か、海兵隊も参加していたな。」
省13
451: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:31 ID:nTL/qsO20(16/27) AAS
1485年(1945年)12月9日 午前2時 シギアル沖北東360マイル沖
目が覚めた時、そこはいつもの狭い艦長室の中であった。
「……ん……今何時だ?」
彼はすぐ側にある電球の明かりをつけて時間を確認する。時刻は午前2時を過ぎたばかりだ。
「2時か……予定の時刻まであと2時間はあるな。」
省17
452: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:31 ID:nTL/qsO20(17/27) AAS
「実を言いますと……私も地味に気分が高揚しているのか。艦長と同じく寝付けないのです。」
「ハハハハハ。お互い、似た者同士だな。」
スレッドはそう言いながら、マーチスの肩を叩いた。
「いや、ごもっともです。」
2人は互いに苦笑し合うと、視線を格納庫内に収納されている艦載機群と、それを整備する整備員達に向ける。
格納庫内では、ひっきりなしに機体を整備する機械音や整備員達の声が響き渡っていた。
「皆、良く頑張ってくれているな。」
「ええ。明日は本番ですからな。1機の故障機も出さぬとばかりに、整備員達は気合を入れていますよ。」
「そう言えば、君は第2次攻撃隊の指揮官だったな。部下達の具合はどうだね?」
「良好です。あとは本番を待つだけですね。」
省12
453: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:32 ID:nTL/qsO20(18/27) AAS
スレッドは腕を組みながら、マーチスに自らの心境を語る。
「やはり、長官はヤル気だ。シギアル港とウェルバンルにある目ぼしい物は、片端からぶち壊そうしているぞ。」
「ブル・ハルゼーの采配、ここに極まれり。という事ですな。」
「まぁ、そうなるな。」
スレッドは苦笑しながらそう返しつつ、改めて格納庫内の機体をじっくりと見回す。
翼を折り畳まれたベアキャットとスカイレイダーの周囲には、整備員が張り付いている。
寝る間を惜しんで整備する彼らも、恐らくは明日の攻撃成功を心から祈っているに違いない。
「気象班の報告では、天候も程良く晴れつつあると言うから、明日は絶好の攻撃日和となるだろう。マーチス……明日は頼んだぞ。」
スレッドはそう言ってから、再び彼の肩を叩いた。
それを受けたマーチスは、自信満々の笑みを浮かべながら返した。
省10
454: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:33 ID:nTL/qsO20(19/27) AAS
「あれから30分経つが……グリンゲルさんの置いた魔石はちゃんと起動するかな。」
ハヴィスは地下に繋がる階段を見据えながら、そう呟いた。
魔導士、レイリー・グリンゲルが、この敵地ウェルバンルに派遣されてから1カ月半が経過している。
レイリーは、表向きはハヴィスが経営する雑貨屋フヴィスの住込み従業員として、そして裏ではミスリアル王国の魔道士、レイリー・グリンゲルとして
首都全域と、港湾都市シギアルを回って来た。
レイリーは、本国で持たされた特殊な魔法石、約200個を首都とシギアルの要所にばら撒いている。
彼からの説明では、この魔法石は一見、何の変哲もない石ころに見えるが、実際はシホールアンル側の魔法通信を妨害する通信妨害魔法が
組み込まれており、レイリーが特別に作った魔法を起動すれば、首都から半径100ゼルド(300キロ)は、4時間ほどの間、シホールアンル側は
一切の魔法通信が出来なくなるようだ。
今、レイリーは地下の個室で術式起動の最終確認を行っている。
省15
455: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:34 ID:nTL/qsO20(20/27) AAS
彼らの言によれば、朝8時に工場に出勤し、そこで働いたという感覚は残る物の、気が付いたら程良い疲労感と共に外に出ている……となっている。
精神操作の魔法に知識がある2人は、工場の中に大規模な精神操作の魔法が展開されている事を確信した。
通常、工場内にそのような大規模な魔法を展開する筈がない。
では、何故、外見上はただの大きな建物で働く労働者たちの記憶が一部消失し、そればかりか、彼らが……
“何の疑問も持たずに、そこで働き続ける”のか……
「それはつまりー……」
「起死回生の何かを作っているという事の証……だね!」
ある時、その不可思議な工場群の事で話し合っていたサミリャとレビンクは、そう結論付けた。
そして、普通ならここで、多少の無理をしてでも内部を調査しようとする物だが……そこからはグレンキア流スパイ術の通りとなった。
グレンキア軍諜報部曰く
省9
456: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:34 ID:nTL/qsO20(21/27) AAS
「ああ、術式は問題なく起動する。ただ……」
彼は、左手で自らの耳……変装魔法が解除され、元に戻ったエルフ耳を触る。
そして、彼の右手には包帯が巻かれており、包帯には血が滲んでいる。
「ドジしてしまったな……まさか、術式に不具合が生じていたとはね。」
「レイリーさん。姿が元に……」
「……仕方が無かったんだ。」
驚愕の表情を浮かべる2人を前にして、レイリーは苦笑しながら答える。
「うちの大元が用意した術式は見事な物だった。そして、俺はそれを元に更に術式を改良した……出力は問題ないさ。予定通りの展開距離は
これで確保でき、その通りに作動する。」
省9
457: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:35 ID:nTL/qsO20(22/27) AAS
「そんな……」
レビンクは悲痛めいた口調で、レイリーの献身ぶりに口を開くが、レイリーは手をあげて制した。
「目標を達成するには、必要な犠牲さ。最も……本国の魔道院から渡された聖石は予想以上の大食らいで、俺のマナをかなり持って行きやがったが……」
レイリーは、右手から伝わる痛みに時折顔を歪めるが、その双眸は鋭くなっていた。
「持続時間の問題は解決できた。これで、敵を予定の時間まで目くらましできる。」
「レイリーさん……そこまでして……」
「ミスリアルの諜報部隊は、グレンキアと違って相当に厳しくてね。」
省5
458: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:36 ID:nTL/qsO20(23/27) AAS
AA省
459: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2015/05/31(日)11:38 ID:nTL/qsO20(24/27) AAS
SS投下終了であります!
460(1): 2015/05/31(日)17:31 ID:9R7ffzTs0(9/29) AAS
久々の投下乙です!
シホールアンル本国の話いろいろな意味で末期の匂いがしてきました。
この頃になると米軍も航跡が見えない電池魚雷を使いはじめているので
さらにマジックステルスを積んだ米潜水艦部隊に苦戦を強いられることでしょう
そして次回F8FとAD-1だらけの首都奇襲部隊がどこまで活躍できるのか見ものです。
461(1): 2015/05/31(日)21:24 ID:PY69kBrk0(1/2) AAS
首都近郊の第6艦隊の戦力が解らないのが気にかかるが、竜母の1隻もいない水上艦隊じゃ機動部隊
相手には全くの無力になるしかないよこれ・・・。
史実呉軍港空襲みたいに残存する艦艇の殆どが沈められて終わる運命しか見えない・・・。
462(1): 2015/05/31(日)21:33 ID:tuAmAx1o0(2/4) AAS
投下お疲れ様です。
シホールアルンが末期状態に・・・
起死回生の策は猛攻撃から守り抜けるのか?
463(1): 2015/05/31(日)22:54 ID:ZkExnEH.0(1) AAS
投下乙でした
切り札の艦隊と虎の子の陸軍部隊という戦力のみならず、国最大の工業地帯まで失ったシホールアンル帝国
覇権国家である帝国の歴史にもまもなく終わりが訪れそうですな
そして次の話は第3艦隊による帝国首都空襲か?
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